100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~   作:羽黒楓

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第59話 決戦直前

 紅亜(くれあ)たち一行は、すでに地下8階に到達していた。

 狼は乃音(のの)の歩幅に合わせるかのようにゆっくりと先導していく。

 

 紅亜(くれあ)や澄見歌(すみか)に守られながら乃音(のの)も必死に足を動かしていた。

 まだ小学4年生、乃音(のの)の体力は限界にきていた。

 足が痛い。

 しかし、母を助ける、その一心が乃音(のの)の身体を突き動かしていた。

 お母さんを絶対に助けるんだ。

 お母さんが死んじゃうなんて、絶対に許さない!

 乃音(のの)は前を行く紅亜(くれあ)の背中を見て思う。

 

 ――このお姉さんは私を助けてくれてる――。

 

 同時に、アンティアのことも思い出す。

 

 ――あのお姉さんも、言葉は乱暴だったけど、でもどこか、優しかった――。

 

 アンティアに連れまわされていたとき、彼女はなんども乃音(のの)に言った。

 

「お前は永遠の命を手に入れるんだ。しばらくは実の母と暮らしてもいい。サンジーヴァニは私が手に入れてやる、お前の母親も治るさ。だけど、もっと大きくなったら、必ず私のもとへと帰ってこいよ? 勉強なんてもうしなくていい、人間なんて意地悪なやつばかりだ、私とおもしろおかしく過ごそう。すごく楽しい生活が待っているぞ?」

 

 それはそれでいいと思った。

 同級生より身長の高い乃音(のの)はそれが理由でいつもからかわれていたし、学校生活がいやになることも多かった。

 あのお姉さんについていけば、いじめられることもなくなる――。

 そう思うと、アンティアについていくのも悪くないよね、と思ったのだった。

 お姉ちゃんも、紅亜(くれあ)さんもそれには反対みたいだけど。

 

 そんなことを考えていた時。

 突然、狼が歩みを止めて振り返った。

 そして、アンティアの声で話し始める。

 

「サンジーヴァニはすぐ近くにある。あそこの通路を曲がって数十メートルの場所だ。油断するなよ。ラクシャーサが守っている」

 

 紅亜(くれあ)が狼に尋ねる。

 

「で、アンティア、あんたは今どこにいるの?」

 

 その瞬間、紅亜(くれあ)の目の前にすうっと人影が現れた。

 夏子だった。

 

「この壁の向こう、同じ場所につながる別の通路にいるわ。今のところ、妙な動きはしていない。でも、油断はしないで。乃音(のの)、戦闘に巻き込まれないようにすみっこにいなさい」

 

 その言葉に乃音(のの)はうなずく。

 

「乃音(のの)ちゃん、私と一緒にいようね」

 

 澄見歌(すみか)が乃音(のの)の肩を抱いた。

 

「大丈夫だよ、乃音(のの)ちゃん。誰かがケガをしても私がすぐに治しちゃうし」

 

 湯歌(ゆか)もそう言って乃音(のの)に笑いかけた。

 乃音(のの)にしてみれば、今自分にできることはなにもない。

 

「みなさん、お願いします……お母さんを……助けてください」

 

 そう言ってペコリと頭を下げた。

 

〈ついにここまで来たな〉

〈ラクシャーサってどんなモンスターなのかワクワクしてます〉

〈ホウキ女なら勝てるだろ〉

〈初見。シーコのXッターからきました。この人たち、強いんですか?〉

〈めちゃくちゃ強いぞ。人類最強レベル〉

〈レーティングでいえば俺の予想だけど2800以上はありそうです〉

〈2800ってw もはや神話級だろw〉

〈米特殊部隊でも2300とかだもんな〉

〈シーコのやつ、また新しい女のケツ追っかけてるよな、どうでもいいけど〉

〈あれは犯罪だと思う〉

〈ホウキ女のことは諦めたのか? あいつはすごい、顔もいいとかずっと言ってたけど〉

〈それはそれでまだ別の女も気になってるみたいだぞ〉

〈しょうもなさすぎるけどスーパーボランティアも人間味があっていいじゃないか〉

〈さあ、最終決戦か〉

〈サンジーヴァニなんてとんでもなく貴重だからな〉

〈この配信見て調合師がスタンばってるらしい〉

〈調合師?〉

〈サンジーヴァニを薬に調合しなきゃいけないだろ、この子の母親を治療するんだから〉

〈なるほど〉

〈とにかくハッピーエンド頼むぞ〉

 

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