100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~   作:羽黒楓

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第63話 大混戦

 それは、柄が1.2メートルほどもある長いホウキだった。

 紅亜(くれあ)はそれを構える。

 100円のホウキと違って、自分の魔力が十全にホウキへ行き渡るのを感じた。

 

「これは……? シーコさん、どうしてここが……?」

「へへ、紅亜(くれあ)っちの配信はチェックしてるからね! ドローンが案内してくれたのさ! ユニーのおかげで追いついたよ」

 

 湯歌(ゆか)がタブレットでドローンを操作していたのだ。

 

「コメント欄の人が、シーコさんとアカリちゃんがこのダンジョンに潜ったって教えてくれたの!」

 

 澄見歌(すみか)の背中に隠れていた間、湯歌(ゆか)はなにもしていないわけではなかった。

 AIの選別による読み上げから外れたコメントもすべてチェックしていたのだ。

 

「ザコめらが! お前の命で勘弁してやる!」

 

 テージャスがアカリに斬りかかる。

 アカリはそれを何とか両手の光機の剣(ライトニング・ソード)で防ぐが。

 

 耳をつんざくような音がしたかと思うと、左手に握った光機の剣(ライトニング・ソード)が中ほどで折れた。

 剣先が回転しながら床に突き刺さる。

 

「ふん、命を捧げよ!」

 

 伝説の剣、アシがアカリを襲う。

 だが、テージャスの攻撃より紅亜(くれあ)の踏み込みが速かった。

 長い柄のホウキをまるで槍のように突き出す紅亜(くれあ)、それを身をのけぞらせてかわすテージャス。

 

 馬上からシーコがムチを振るう。

 ムチの先は音速を超えてテージャスに向かうが、テージャスは音速を超える太刀筋でそのムチを叩き斬った。

 

     ★

 

 アンティアも動いていた。

 彼女にしてみれば、紅亜(くれあ)とテージャス、どちらが勝っても問題なかった。

 どちらとも消耗してくれれば良い。

 紅亜(くれあ)が新たに武器を手に入れたのは予想外だったが、それでも魔力は消費しつづけるだろう。

 アンティアの狙いはサンジーヴァニ、そして乃音(のの)の身柄。

 一番の脅威である紅亜(くれあ)とテージャスはお互いに目の前の敵に集中している。

 その隙をアンティアは逃さない。

 

「その子をよこしなあ!」

 

 アンティアは大きく飛び跳ね、乃音(のの)を守る澄見歌(すみか)の前に立った。

 

「お前ごとき三下、私の敵じゃあないね! 内臓ぐちゃぐちゃにしてやる!」

 

 そして、紅亜(くれあ)をも吹っ飛ばした蹴りを澄見歌(すみか)に向かって放った。

 

「裏切者! させないよ!」

 

 澄見歌(すみか)は七支刀でアンティアの蹴りを受け止めた。

 アンティアの蹴りに耐えきれず、七支刀が光の粒となって霧散する。

 だが、アンティアの方もはじき返されていた。

 くるりと回転して床に降り立つ。

 

「チッ! だが、お前はもう武器を失った!」

「何言ってるの! ラララララァァァァーー!」

 

 再びマイクから光る刀身が伸びた。

 今度は蛇矛のようなギザギザの刀身。

 

「私の魔力が尽きるまで! 私の武器が尽きることはない!」

「チッ、てめえごときの魔力、すぐに尽きるさ!」

 

 再びアンティアが跳躍しようとしたとき――。

 そのアンティアに向かって白い馬体が突撃してきた。

 ユニコーンであるユニーが、シーコを背にのせたまま、その長く鋭いツノをアンティアに突き刺そうとする。

 

「むお!?」

 

 アンティアは飛び退ってそれを避けた。

 

「あっちは紅亜(くれあ)っちとアカリに任せてきた! ウチはこっちに加勢しちゃるけん! ユニー、あの二人を守って!」

 

 シーコがユニーから飛び降りてムチをバシィッ! と鳴らした。彼女のムチも澄見歌(すみか)の剣と同じく、魔力が続く限り再生可能なのだ。

 ユニーはそのまま乃音(のの)と湯歌(ゆか)の前に立ち、そのツノをアンティアに向けて、威嚇するように「ヒヒィン!」と短く鳴いた。

 

 アンティアを前後に挟み込むようにして澄見歌(すみか)とシーコが同時に攻撃をしかける。

 

「チッ、ザコどもが!」

 

 アンティアは華麗な体さばきで澄見歌(すみか)の剣を蹴り壊し、シーコのムチを避ける。

 

 一方、紅亜(くれあ)とアカリもテージャスに向かって同時に攻撃をしていた。

 紅亜(くれあ)の最高級長柄ホウキと、アカリの青く輝く光機の剣(ライトニング・ソード)が、テージャスの振るうアシの剣とぶつかり合い、火花を散らす。

 

 大混戦が始まった。

 

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