100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~ 作:羽黒楓
まるで踊るかのように剣を振るうテージャス。
目の端に
アンティアと戦う
――
味方を信じて、まずはこの敵をやっつける!
「行くよおお!」
高速の連突きを放つ
「ふん! 掃除婦にしてはなかなかやるな! おもしろい!」
テージャスは巧みに剣を操ってその攻撃をいなしていく。
「私のことも忘れないで!」
アカリが一本の
テージャスはまるで見えているかのようにその攻撃も華麗にかわしていく。
戦闘を続けていくうちに、慣れない長柄のホウキの扱いにだんだんと慣れてきた。
100円のホウキとは違って、
全身に力がみなぎる。
脳内にアドレナリンが放出され、
テージャスの身体の動き、重心の移動、そしてアシの剣の軌道。
それらがまるで手に取るようにわかる。
――負ける気がしない!
アカリが上段から
それをテージャスが剣で受け、同時に右足で思い切りアカリのみぞおちに前蹴りをヒットさせた。
「あう!」
数メートルも吹っ飛ばされて床に倒れるアカリ。
だが、そこに隙ができていた。
テージャスとの距離15センチ。
「ふん!」
テージャスは
ぐらりと揺れるテージャス、今度はそのアシを握る右手にホウキを打ち付けた。
ゴキィ、という音が響く。
――折った!
間違いなく、骨までダメージを与えた手ごたえがあった。
「貴様!」
憤怒の表情でアシを左手に持ち替えるテージャス、しかしその動作が生む隙を見逃す
「ええええい!」
「ぐふ……!」
テージャスは身体のバランスを失いながらヨタヨタと一歩二歩後ずさった。
「これで、終わりだぁ!」
その瞬間、意識を失ったテージャスの身体はまるで棒のように硬直しながら床に倒れた。
そして、床の上で細かく痙攣を始める。
〈おおおお!〉
〈倒したぁぁ!〉
〈あとはアンティアだけだ〉
〈っていうかこっちはやばいぞ!〉
ちょうど、
「
思わず叫ぶ。
まだ床に倒れているアカリのことも気がかりだった。
「うう……」
と呻いて痛みに耐えているようだ。
ほんのゼロコンマ数秒考えてから、
とにかく、アンティアをまず倒してからだ!
シーコがムチをふるう。
そのムチがアンティアの腕に巻き付くが、アンティアは逆にそれを利用してグイッと引っ張ると、シーコはその圧倒的な怪力に抗えずバランスを崩す。
「ほーらよ!」
タタッと駆け出すアンティア、そのまま宙に飛び上がって膝蹴り。
その膝はシーコの顔面に突き刺さって、シーコはそのまま床に沈んだ。
「シーコさん! ……アンティア、こっちだ!」
長柄のホウキをアンティアに向けて突き出す。
アンティアはひょいとジャンプしてそれを避けた。
「ははは! あのラクシャーサを倒すとは、なかなかやるな! だがかなり消耗しているようだな! 私の魔力はまだまだ満タンだぞ!」
アンティアの言う通りだった。
テージャスとの戦闘で
素早い蹴りが
それをなんとかホウキで受け流す。
シーコも床に倒れてピクリともしていない。
アカリもまだたちあがることもできていない。
――もう、私しかいない!
気力をふりしぼり、ホウキを突き出し、それがかわされると今度は叩くように打ち付ける。
だけど、明らかにスピードは落ちていて、アンティアはそれをこともなげにかわすと、あっというまに
「ははっ! これで終わりだ!」
アンティアの上段回し蹴りが
――まずい! ガードが間に合わない!
そう思った次の瞬間、これまでに味わったこともないような衝撃を感じた。
まともにアンティアのハイキックを受けてしまったのだ。
「ぐはっ……」
ホウキを杖代わりにして何とか倒れずにはすんだが。
目の前にはアンティアの残酷さを感じさせる笑みがあった。
「はは、私はすべてを……手に入れた!」
そして右のストレートパンチが
いつの間にか。
アンティアの背後に、
「私にだって……できることがある!
その手が握っているのは、鋭い刃のメス。
「切り刻んでやる!」
人間には通常不可能なほどのスピードで、
だが、
それは致命傷にはなりえず、アンティアの皮膚一枚を切るのがやっとだった。
だけど。
それで十分だった。
アンティアの注意が
「おあああああああ!!」
ゴキンッ! という嫌な音をたててアンティアの前腕が直角に曲がる。
皮膚が破れ、折れた骨が見えた。
「な……! くそ……!」
アンティアはモルモー、吸血鬼である。
この程度のケガには動じず、
ゴキィ!
今度はその左足が、ホウキに折られた。
膝の上あたり、大腿部が120度ほどの角度で折れ曲がっている。
「……あ……!?」
間抜けな声を出すアンティア、折れた自分の右腕と左足に視線をやり、そして
その顔面に、ホウキの穂先が突き刺さる。
サクッ、という軽い音。
穂先はまるで針のようにアンティアの顔に無数の穴をあけた。
「……ああ? 嘘だろ……!?」
穂先が引き抜かれる。
ブバッ、と幾百もの小さな穴から血が噴き出る。
アンティアは右足だけで立っている。
解放骨折している右腕、変な方向に曲がった左足、血まみれの顔面。
そして。
とどめの一撃。
アンティアの顎に
アンティアの身体は一瞬宙に浮き、そしてくたりと床に倒れて、動かなくなった。
〈勝ったーーー!〉
〈すげええ!!!〉
〈まじか、ラクシャーサと吸血鬼、どっちもぶっ倒した!〉
〈すげーーーー!〉