記録:とある剣の話 作:折れた小枝
とある巣の中――。
研究者のような装いをした女性が、赤髪のフィクサーと対面していた。
会話の内容は、うまく聞き取れないが、赤髪のフィクサーが怒り、研究者に掴みかかっている。
「『巣』の中で生まれ育ったお嬢様風情に、何が分かる・・・都市の苦痛を理解したように言ってんじゃねぇ」
「・・・」
「てめぇは『裏路地の痛み』をどれだけ知ってそんなこと言ってんだよ!なぁ!」
怒りが態度に、行動に見えている赤髪のフィクサーとは対象に、研究者の女性は至って冷静に返した。
「ならあなたは、『巣の痛み』についてどれだけのことを知っているの?」
「・・・っ」
「私は、知ってる。でも、『巣の痛み』だけ。だから私はあなたに、それについて教えてあげる。だから私に『裏路地の痛み』を教えて?」
そう言い放ち、赤髪のフィクサーに名刺を押し付ける。
「・・・私、あなたが見知らぬおばあちゃんの葬儀費用を肩代わりしてたのを見たの。・・・ううん、それだけじゃない」
「もっと色々な『人助け』をあなたはしていた。そんなあなたの優しさが好きで、私はそれを期待してるの!」
彼女は、赤髪のフィクサーが今まで出会ってきた詭弁と綺麗事を並べて人を騙す有象無象とは違ったように思える。
何処か、似ていた。
この腐った都市にも希望があって、誰かのための人助けは正しいことで、努力さえすれば世界も変えられると信じ切っているようで。
――まるで、彼のようだと。
「はぁ・・・そんな綺麗事を本気で並べる奴はお前で
「私以外にも同じことを言っている人がいるの?」
「そいつは『他者にした施しは巡り廻って自分にとって良いこととして帰ってくる』だの、『努力しても良くならないなら努力の方向性を変えればよくなる』だの言っていた。――それに、『諦めなければ夢は必ず叶うもの』だって」
「――そうね。とっても、いい言葉」
『あいつと同じことを言う、何処か他人とは違う彼女なら、この
赤髪のフィクサーは、そう信じて彼女と彼女が所属する『研究所』を保護する任務に就いた。
「・・・ここまでが、事の顛末だ」
「・・・それで、何が言いたい。ん、このお菓子美味しいな」
片や、先ほどの赤髪の女のフィクサー。
片や、黒髪赤目の男のフィクサー。
場所は転じて、ここは22区の巣の某所。名前は――『剣刀事務所』。
秘書―正確に言えば自称秘書。勝手に『私は代表様の補佐官。つまり秘書である』って言ってる。―が灰皿を取り出し、換気の為に少し窓を開けて部屋から立ち去る。
「お前の話もしていたんだ。そしたらなんだ。あいつもお前について知っていたらしくな・・・会いたいそうだ」
「断る」
一寸の迷いもなく、男は誘いを断った。
女の方は断られるのは想定していたが、ここまで即断だとは思っておらず驚きはしたものの、煙草を吸って話を続ける。
「――ふぅ。理由を、聞いておこうか。あいつの思想も、目標も話しただろう?」
「夢見がちなクソガキの戯言にしか聞こえん。失敗する未来しか見えん。それに――『外殻』での研究だろう?」
「・・・よく、分かったな」
女はいくつかの情報を伏せたうえで男に『研究所に訪れ、研究者の女に会ってほしい』と伝えていた。
その伏せていた情報を、既に
そのことに気づいた男は少し動揺し、より深く煙草を吸う。
「――フゥー・・・。うわさくらいになるさ。
「そうか。で、何故『外殻』がお前の訪れられない理由になる?」
質問された男はもう吸えなくった煙草の火を消して灰皿に捨て、懐からもう一本煙草を出して吸う。
着ているタートルネックの首元をめくり、金のハニカム柄が刻まれた黒い金属製のチョーカーを指さす。
「・・・」
「理解してくれたようで結構だ」
「外せない・・・いや、外したら来るんだったか?」
「あぁ。心臓が止まったかと思った」
男はある時、全身血と体液に塗れてになって帰って来る時があった。
原因としては外殻の遺跡の調査、その護衛依頼を受けた時に出てきた巨大な蛇に飲み込まれて内側から刻んだ為なのだが・・・閑話休題。
事務所に帰宅しシャワーを浴びる際、チョーカーを外し、そのままチョーカーを明日の着替えの上に置いて就寝した。
――翌朝、ダブルベットの上で目を覚ますと、視界の左側に黒い影がある。
鼻腔に入ってくる匂いは都市では珍しい香水の仄かな香り。
顔をそちらに向けると目尻にほくろのある黒色の髪が特徴的な女性が、同じベットに
――『駄目じゃないか仔犬。飼い犬が勝手に首輪を外しては。確かに仔犬と言う生き物は庭を駆けまわるものだが、首輪をつけていない野犬は駆除されてしまう。私はお前を想っているのだよ』
――考えてみてくれ。寝て起きたら裸の調律者が横に居るんだ。二度と味わいたくない。
男の少し前の話を思い出した女の機嫌が少し悪くなった。
「チッ。あぁ、それで、お前から会いに行くことはできないんだな」
「そういうことだ」
女は足を組み、男を見つめる。
男は前屈みになり、女を見つめ返す。
「じゃあ、近いうちにあいつを連れてくる」
「こっちも、上手く許可を取って研究所に直接行けるように努力するよ」
女はその答えに満足し、事務所を立ち去った。
その後、片付けに来た秘書が彼に話しかける。
「代表様。一連の流れを聞いてしまいましたが・・・どのようにするおつもりですか?」
「・・・そうだな。向こうから来るのなら構わないが、俺が出向くことはないと思う」
秘書は驚き、代表が続ける。
「意外だろうな」
「意外です。ああいった事柄には進んで飛び込んでいくものかとばかり思っていました」
「理由・・・一つ目、『
首についているチョーカーを爪で弾き、煙草の火を消して続ける。
「二つ目、『外殻にいい思い出が一つもない』から」
「黒い森では莫大な量の鳥の駆除、二度訪れた遺跡では蛇に丸吞みにされたり、多くの長い腕を有する怪物。・・・まぁ、代表にとっては苦い思い出かと」
「おう。とっても苦しい思い出。しかも俺しか現場にいなかったし」
過去の記憶を思い返して、代表は苦い顔をした。
そして地図を取り出して指を刺す。
「三つ目、『俺の目的のため』があるから」
「代表の目的・・・
「んにゃ、お前たちには事務所を任せたい」
男が『剣刀事務所―代表』と書かれた札の建てられた机の引き出しから書類を取り出し、秘書に渡す。
「――カイン『所長代理』。俺が留守の間、任せるよ」
「・・・っ、了解、しました。代表――フェイ様!」
「あ、他の主要メンバーからはとっくに許可もらってるから気にしないでね」
「代表・・・(泣)」
・剣刀事務所
結局事務所の建物買った。場所は22区の巣。
煙戦争以降に移転予定(代表談)。
代表「俺の目的達成してから事務所買うってなったら何も出来なくなるわ。事務所買う」
経理「あいヨ。コレが土地と建物の候補ネ」
自称秘書「ここがいいと思う」
双子「「賛成!」」
妹「私も賛成――ねぇ私だけ『妹』って雑過ぎない!?」
・調律者
『寝るときはありのままの姿で寝るべきだろう?』と言う思想を持っているといいなって。性癖。
アッチョッマッ柱飛んでk(
・代表について(代表=所長である)
カイン (代表様!このカイン、命に変えましても所長代理を務めさせていただきます!)
ディリー(Warp列車使えばいいのに。忘れてるのかな?)
ニュー(Warp列車使えばいいのに・・・フェイさんのことだし忘れてるんだろうけど)
ミュー(Warp列車・・・切符買うの面倒臭いって思ってるのかな?)
アーロ(あの
L社職員にするとしたら・・・
-
カイン
-
アーロ
-
ディリー
-
アーロ&ディリー
-
ミュー
-
ニュー
-
ミュー&ニュー
-
新しい剣刀事務所の所員
-
一切内部に関わらない