記録:とある剣の話 作:折れた小枝
土曜日に更新してみた。
このままプロローグ終わりくらいまで更新予定。
「ここが、我々の拠点です」
親切な人差し指の伝令、インディゴに連れられてあなたは人差し指の拠点に着いた。
指令に翻弄される人差し指の拠点とはいかがなものであろうか。だがしかし、拠点として紹介されたからにはここは拠点なのであろう。
若干の困惑を残し、インディゴの言葉を聞く。
「貴方が人差し指の一員であるのならば、このまま次の指令が来るまで待機なのですが、生憎『貴方への勧誘をしろ』と言う指令が来ていないので・・・これで、以上となります」
オッス!ありがとなインディゴくん!
インディゴに感謝を告げると、ビープ音が聞こえる。
指令が来たみたいだな・・・中身は何だろな。
俺への勧誘以外ならなんだっていい!
「・・・指令です。『フェイに対して150,000
彼は指令を告げ、戸棚から懐中時計を取り出してあなたに渡す。
その後、150,000眼が入っているであろう金袋をあなたの上着の内ポケットにねじ込み、扉を開いて外へ出る。
とっとと送って、次の指令を求めるように。まるであなたから逃げるように。
せかされるようについていくと、ひときわ大きな建物が見える。
入り口にあるエンブレムは、この建物が『ハナ協会』の建物であることを示していた。
「これにて。我々は拠点まで帰還します」
インディゴくんあざっす。・・・この場合は感謝先は指令?
「・・・はい。指令に感謝を」
うぃーす。
インディゴたちと別れたあなたは目の前の建物に入る。
ぱっと見・・・ってか周りの人の服装的に西部かここは・・・もしかして23区では???
なら地獄か???
よく生きてたな俺。
受付カウンターは・・・あそこか。
すみません~「すまない」
あ?「は?」
あなたが受付の人間に声をかけようとすると、被るように女性の声がする。
その声の方を向くと、同じようにフィクサーになりに来たのだろう。赤い髪の女性がこちらを睨みつけていた。
おんおん。特徴的な赤い長髪。それに目の色、背格好、|無駄なく鍛えられた筋肉による美《胸筋もあるだろうけどコートの上からでもわかる大きなお胸と特に素晴らしいお尻から太ももにかけてのむちむち》ボデイ・・・。
――赤い霧やないかい!
「・・・なにを人のことをジロジロと見ているんだ」
あっすみません強者のにおい*2が・・・。
てか顔いいなゲブラー。あ、今はまだカーリー。
あれ?まだフィクサーになってないの?
てことは時系列は
「こんな路地裏の犬からか?だとしたらその鼻は腐っている」
あっはいそっすか。
あ、お姉さん書類ってこれであってる?これに記入したらフィクサーになれる?
金いるよね?
「おいまて。私が先だ」
お?
「あ?」
・・・あなたたちが至極くだらないやりとりをしている間に、受付は金を数え、二人分のライセンスを発行する。
くだらなくないやい!コイツが勝手に喧嘩売ってきただけだい!
「先に喧嘩を売ってきたのはお前だろうが・・・」
ほう・・・やるか?
「いいだろう・・・」
「支部内での暴走行為はペナルティ一点となります」
・・・この依頼でのキル数で勝負!
「乗った」
将来的に特色フィクサーとなる存在と、下水道に巣食う頭が裁定した『怪物』の討伐戦を競う。
あまりにも無謀で、あまりにも面白い話だ。まだ名をあげていない彼女に対してなら勝機があるとでも思っているのだろうか。
辛辣ですねウィンドウさん!
とりあえず依頼内容の再確認。
依頼の内容は以下の通り。
巣から裏路地につながる下水道から異音が聞えるようになり、調査の結果全長1m程のネズミ型の怪物が巣食っていることが判明。
巣の範囲とその周辺の下水道は掃除したが、ネズミの巣の本体は裏路地の下水道にあるようだ。
目的:ネズミの駆除(可能ならば巣の駆除)。報酬:要相談。
詐欺?
命の危険は当然のように在るだろうけども、巣の連中は自分たちさえよけりゃそれでいい精神だし・・・。
やっぱクソだな!
「今更だろう。・・・ほら、来たぞ」
カーリーが鉄製の無骨な大剣を構える。
彼女の目線の先を追うと、巨大なネズミの群れが、こちらに走って来ている。
獣臭いし気持ち悪い。
とっとと終わらせるか。
思念によって刀を取り出し、居合の構えで待機する。
フェイの構えは様になっていた。そして彼は待っていた。
ネズミの先頭が間合いに入る。
カーリーが剣を振り下ろす――直前。
一閃。
抜刀術の要領で、前方に駆け出しながら刀を振り抜く。
先頭の一匹を、その後ろの数匹を、間合いの外側の数十匹を、
ちらりとカーリーの方を見ると、一振りで三匹近いネズミを斬り伏せて、すでに十振り目に入っていた。
流石将来の特色フィクサー。赤い霧。
キル数ではギリギリ俺の方が多いくらいだ。
「どういう動きだ?腕すら見えないような速度だったが・・・」
簡単な話だよ?
あなたの返答を聞いたカーリーは『ふざけているのか?』と言う顔であなたを睨む。
本当なんですよ。俺の力と言うか未登録の特異点と言うか。
詳しく言うと、[斬撃]を保存して、保存した[斬撃]を少し座標をずらして空間に貼り付けて、そしたらこの世界で『俺が刀を振ることで生じた[斬撃]』が二つになります。さらにその[斬撃]を保存してずらして貼り付けて・・・という一連の流れを『鞘から刃が見えてから、完全に刃を振り切るまで』の間、繰り返すだけなんすよ。
『反響』ちゃん様様。
彼女は完全に『ふざけている』と言った顔をし、顔を背けて再びネズミ狩りを始めた。
それじゃあ俺も、もっと斬りますか!
あなたが再び刀を鞘にしまう。そしてまた振り抜く。その度に血だまりが増える。
彼女が振り下ろす、薙ぎ払う。その度に肉塊が増える。
二人の剣によって織り成される軌跡は美しく、剣舞としても素晴らしい代物であった。
・・・周囲の赤一面に目を瞑れば。
「まさかまだ疲れてはいないだろうな?」
・・・当たり前だ。
刀を亜空間にしまい、右手を胸の前に構えると胸部全体に拘束具の様な、胸の中央にダイヤルを付けた装置が現れた。
それは溢れ出る力を抑えるための鎖である。
それは迸る衝動を抑えるための檻である。
それはあなたが求めた罰。この世界に存在してはいけない遺物に対する罪。
枷であり、蓋であり、倉であり・・・鎧であり仮面である。そして、力である。
ダイヤルを正面から見て時計方向に、俺から見て左に一回捻る。
緑の液体が拘束具から伸びて全身に巻き付くチューブを満たす。
さらにもう一回捻る。
そして叩く。
あなたの髪が黒と緑のグラデーションカラーになる。末端に近いほど緑が強い。
あなたの瞳が緑色に染まる。それと同時に視界が明るくなり、思考が冴え、体が軽くなる。
「・・・!?それも、お前の力なのか?」
辛うじて禁忌に触れてないでしょ?だって別に『人間』だもの。
姿が少し変わったあなたに、彼女は驚いた。
刃が滞ることは無いが。
私がフィクサー登録をしに来た時にかぶせてきた気色の悪い奴。
全身を視姦するようにこちらを見てきたと思えば、頭を抱え、『強者のにおいがした』とかほざいた。
初仕事から合同であるのは気に喰わないが、コイツに下に見られると思うとその方が気に入らない。
だからこうして下水に巣食うネズミ型の怪物狩りに乗った。
下水道に着くまで獲物が一切見えなかった。
徒手空拳にしては身体の鍛え方が甘い。服の内側に隠し持っているのだろうか。
大剣を構え、振り下ろす――刹那、風が、紫電が通り過ぎて行った。
いつの間にか握られていた刀。
その黒刀が一振りで何十匹もの巨大なネズミを血だまりに変えた。
どうやって?と問えば、やり方をすべて語る。
――その全てに、常識がない。
斬撃の保存?どこに?
空間に貼り付け?どうやって?
疑問は絶えない。だが、剣を振る。
ひたすらに殺し続けて、アイツが止まった。
刀をしまったかと思えば右手を胸の前に構えて、何か装置を取り付けて、ダイヤルを二回ひねって胸を叩いた。
拘束具のように伸びる帯のチューブが緑色に染まったかと思えば髪の色と目の色が変わり、動きがより機敏なものになった。
「それも、お前の力なのか?」
「そうだ。別に構わないだろ?禁忌じゃない。俺は『人間』だ」
誰が赤い霧と同期にしろと言った?
すみません・・・指令(ダイスの女神)が・・・。
・カーリー(後の赤い霧)
気に入らない男と初仕事が合同になった。
かと思ったらなんかわけのわからない刀の使い方してるし、何?変身?
なんだこいつ・・・面白い男・・・。
・フェイ
まさかの赤い霧が同期。挑発して初仕事も合同。
インディゴくん!俺、フィクサーに友達ができそうだよ!
―捏造ポイント―
・ハナ協会が仕事の斡旋もしている