記録:とある剣の話 作:折れた小枝
ねずみ(裏路地の人)じゃなくてただ人間サイズのネズミです。
Foooo!
すごく調子がいいぜ!
全体的な身体能力の向上、思考加速、痛覚鈍化、再生力強化、再生加速・・・とりあえず付いてるバフはこんなものかな?
これで・・・何匹目だ?忘れた!
面白いくらいよく斬れるし、血だまりが増えてく!
俺スプラッター系苦手なはずなのに!
・・・ステータスのせい?
あなたは気づく。この世界に来て、ステータスを与えられて、その恩恵でかつての自分とはかけ離れたことになっていることを。
ならば今のあなたは本当に"あなた"なのか?
意識の持続がある。記憶も、何もかもある。
それに、魂ってのがあるのなら、俺は俺のままだと思う。
・・・そう思ったのなら、あなたは止まるべきではないだろう。
・・・ウィンドウくんと会話してる時だけエンケファリン抜けるな。
あ~^^戻って来ちゃ~^^
ポキュ要らずで精神安定幸福になれる!
「・・・い。おい」
なんすか!?俺今メッチャいい調子なんですよ!
「調子がいいのはよく分かった。だが、その、なんだ?高笑いしながら刀・・・あ?剣?」
そー。凄いでしょ。
キルスコアに応じてコロコロ入れ替わるの。同じことできるけど。
「・・・そうか。とりあえず高笑いしながらソレを振り回すな。殴る蹴る頭突きもだ。気味が悪い。まるでおとぎ話に出てくる化物・・・気味が悪いな・・・本当に」
化物・・・?ちがう、俺は悪魔だァ・・・!
ってか!ガハ!あんたの方が十分強いと思うけどな!
でも、顔がいいんだから血で汚れたりしないように気遣っとけよ!
「・・・」
お、追加来たよ~!
どんどん狩って奥まで~!
・・・やがてあなたたちは最奥にたどり着くだろう。
たどり着いたその場所には、さらに大きな、腹を引き裂かれたネズミが居た。
そのネズミは赤黒い中身から、自身より小さな、しかし大きなネズミを生み出していた。
おっ、グロ母体発見~!
「路地裏で生きてるならあれくらい見慣れてるだろ・・・」
え?基本掃除屋にチューチューされてるから死体見たことない!
知らんけど!
とにかく、あれを潰したら勝ちよ!
げに巨大で獣臭き鼠なり~!
「流石にあのサイズ、一刀両断は無理だ」
うむむ・・・いでよ!『反響』ちゃん!!!
あなたが念じると、刀が出現したのと同じ空間から深緑色の六枚の羽が飛んできた。
『反響』はまるで犬がじゃれるかのようにあなたの周りを飛び回る。
新しい主人にとてもご満悦の用だ。
会話ができるのなら『ご主人様!ご主人様だ!次は何すればいいの!』と言っているだろう。
oh・・・ウィンドウくんやけに饒舌だね。何かあった?話きこか?
まあいいっかそんなこと。
とにかく!
と!に!か!く!
やっておしまい!『反響』ちゅぁん!
カーリーのサポートよ!
「なるほど・・・さっきのアレを私にもか」
彼女が脚に力を込めて跳びあがる。
首をめがけて思い切り振りかぶり、そして振り下ろす。
その一撃で首が半分ほど断ち切れ・・・深緑色の羽が一枚、クルクルと周り、『パリン』と音を立てて大剣に刺さった。
『反響』ちゃんの効果は『反響』。
俺の[斬る]を保存して繰り返すように。
彼女の[大剣を振り下ろす]までの一連の動作で生じたエネルギー
首の半分を断ち切った剛撃が、再び振るわれた。
完全に首は断たれ、ぐじゅると音を立てて地に落ちた。
気づけばあなたの周りのネズミはすべて肉塊か血だまりになっており、胎から新たにネズミが生まれてくることもないだろう。
「無理矢理追撃させられたというか・・・なんだ?自然にもう一振りした結果だけが出てきた・・・ような」
そうなのか?
それに『パリン』って音も気になるしな・・・まるで
この
『――ねぇ、主様はどうしてこんなことをしているの?何も僕たちにいいことないじゃん!』
『主の成すことに異論か?小僧、貴様どうやら・・・』
『落ち着けよ二人共・・・俺は、この行動が、人助けが、最後には自分のためになると思ってやってるんだ』
・・・あ?
誰の、何の記憶だ?
周りの風景が一番近いのは・・・H社辺り、東部の方か?
『そうなの?』
『そうさ!■■■。俺たちがこうして正義でいる限り、必ずいいことが――ほら!チキン屋が見つかったぞ!飯にしよう!』
『ちょうど先ほどクーポンをもらいましたしね。この■■■■■も、腹が空いております』
『ごはん?やったー!主様大好きー!ごっはん!ごっはん!』
H社にチキン屋?
潰れた店か?
それに、あまりにも周りが・・・相当な過去の記憶か。
『・・・』
『■■■■様?・・・あ、主様!どうかしましたか?』
『何か不測の事態が?』
『いや、何でもない』
明らかにこっち見てた~!
え、怖い。
あれ?あの従者が着てる鎧って、それにあの子供の周りに浮かんでる鏡の装飾の六枚の羽根も。
・・・あの主人が持っている刀?剣?
これって・・・
『そこまでだ』
暗転。
気付けば俺は横になっていた。
『夢現』も『反響』ちゃんも消え、刀も無くなっていた。
コンクリートと血だまりの中で寝転んでいるはずなのに、なぜか頭の下は柔らかい。
鼠の死骸か?それにしては毛が無いか。じゃあなんだ?このちょうどいい反発ともちもち度合い・・・この枕欲しいな・・・。快眠できそう。
「そうかそうか。永眠させてやるからとっとと起き上がれ」
――あっ、カーリーさんじゃないですか。
――えっ、カーリーの膝枕だったんですか?
二つの思いが同時に沸き上がり、混乱する。
「はいはーい。おはようございます。イチャイチャしてないでいいのでとっとと帰ってください。ここからは我々の領分ですので。9級は帰れ」
目の前に立っていたのはレイピアを携えたスーツ姿の(恐らく)女性。
おそらくって?いや・・・その・・・あまりにも貧相で・・・ね?
「どこ見てるんだ最低だな」
「報告書に書かせていただきますねド変態」
ごめんなさい・・・。
セブン協会の女性―名前はフォーンと言うそうな―がまとめた資料とともに依頼達成の報告に出向いた。報酬は1,400万眼。マジで言ってんの?
そりゃそっか。巣にまで踏み込んでたしね。
きれいに二人で山分けして、そこでカーリーとは別れることになった。
このまま彼女は研究所に行き・・・あとは、知ってる。
俺はどうすることにしたかというと、旅に出ることにした。
都市・・・とりあえず外側から、巡る旅。
それが正しい選択とは限らない。しかし、いま最も賢い選択であることは確かだ。
知るための旅に。
――これは、俺の日記と、過去と、記録の話。
――だから頼むから、その手に持った日記帳を俺に返してくれないか?
――え、ダメ?どうして?それはそれとして読みたいの?
――あー!わかった!サインとかあげるから、ほら、返してね?ね?
――良かった。帰ってきた。
・[都市伝説]母なる鼠
母体が鼠を一定数まで生み出す。
生まれた鼠は最後に死亡した同種の場所までしか移動できなく、その移動範囲を越すと爆発して周囲を真っ赤にする。
巣の内部(下水道だけど)に至るまで進行していたので、このまま放置していたら都市悪夢くらいにはなっていた。
その数の広がりまくった鼠駆除に必要な予算を考えたら都市の星まで行けた・・・行けたか・・・?
母体が死亡したので子鼠も干からびて死亡した。
これにてプロローグ二編、完!
ここから彼の旅路と、都度日記を挟みつつ原作にどうかかわらせていくか・・・。
指令を待つかの如く、お待ちください・・・。