記録:とある剣の話 作:折れた小枝
シ協会からの依頼を完遂し、そのハナ協会にて新たな事務所である『
それから時間にして数ヶ月。そのわずかな時間で事務所に何名か人が加わり、依頼をこなすなど、飽きの来ない日常を過ごしていた。
「代表~そう言えばディリーが、『Warp列車の一等席を経費で落としたい』って言ってましたヨォ~」
「この護衛依頼って項目に『依頼品を無事に届ける』しかないよね?『依頼人と配達員』は居なくてもいいんだよね?」
「それは依頼人が現場に来る時だけでしょ?あれ、違うっけ?カインさん!」
「二巻十三項四十二行目。ディリーには『そういうのは直接聞け』って伝えろ。代表は今お忙しい」
「「はーい!」」
「了解~伝えとくヨォ」
シ協会からの計らいで一気に4級フィクサーにまでのし上がり、ついでに事務所をつくった。
事務所をつくってからしばらくの間は人を集めることに集中していた。
この場にいないディニーも合わせて五人。
信頼のおける部下ができた。
「代表?どうかなさいましたか?」
こいつはカイン。紺色ショートカット、得物は片手斧だったが、俺の元に来てからはムク工房の刀を使うようになった。ちなむと4級フィクサー。同じ階級なのにどうした。
「フェイさんまたボーっとしてる!」
「ハムパンでも行きますか?」
紅白双子のミューとニュー。左側が赤髪のミューが女の子で右側が赤髪のニューが男の子。二人そろってムク工房の短剣を二本使っている。これまた二人そろって7級フィクサーだ。
「昨日も一人で依頼三件とシ協会からの依頼二件でしょ~?そりゃあ疲れますってェ~」
胡散臭さが顔に出ている男、金髪褐色糸目のアーロ。基本は事務仕事をしているが、一応戦える。
得物がロジックアトリエの二丁拳銃なのだが、基本的には拠点にいるので本当かどうかは誰もわからない。
5級フィクサー。
「あ~いたいた。所長に合わせて移動し続けるんスから、次の移動先くらい教えてくださいよホント。まぁ発信機のおかげで場所は分かるんスけどね?」
これでもかと強調された胸部。うちの稼ぎ頭でもあるディリー。
雑に伸びた金髪を後ろで雑にまとめている。うちがなければ生きていけたのかと心配になる。
アーロの妹で、6級フィクサー。
こんなに愉快なメンバーに囲まれ、あなたたちは8区へ移動を続けていた。
ここまで平和で、愉快な旅。その果てには何が待っているのだろうか。
そう言えば俺たちって
「その話しちゃいますか?」
「お兄・・・
「・・・まぁ」
「頼んだって?何を?どこに?ミュー気になる」
「ニューも気になる」
「・・・大方
そーなんだ。
ハナ協会に圧かけられる力を持つ実家ってすごいね。
そんな他愛のない(?)会話をしながら、今日の宿を探す。
――幸せは、突如として、崩れ去るものなのに。
目の前の空間が割れる。
その中から、三つの影が現れる。
――あなたはそれを、よく知っている。
黒のロングコートに、左腕の義体。その腕と頭に合計で三つ刺さったアンプルの中身は、すべて別物だろうと推察できる。
そんな人物が二人。中央には女性が立っていた。
黒地に金色のハニカム状の刺繍がされている服。
顔が見えないように、黒い石板のような仮面をつけている。
息が荒く、鼓動が速まっていくのを感じる。
あなただけではない。あなたの部下も、全員。
全身の産毛が逆立ち、今にでも気絶してしまいそうなプレッシャーを、感じる。
「・・・おや?まさか喉笛を義体に変えているわけではあるまい。それとも、喉が渇いているのか?」
調律者なのに普通に喋ってるよこの人!怖いよ!
てかこの声聞き覚えあるよ!ヘッドホン越しだけど!
ビナー様だよ!
「・・・何の用でございましょうか?」
「お前たちはチェスを知っているか。キングを取られれば、その時点で敗北となる。この状況は既に
えっと・・・『代表が前に出てきて話をすべき』ってこと?
「そう言っているだろう。仔犬」
仔犬?
「仔犬?」
「えっ仔犬?」
「今代表が仔犬って呼ばれました?」
「「代表はわんちゃんなの?」」
「(今この人目の前のアレに仔犬って言ったのか?)」
「(シッ!ガリオン様に聞こえるだろ!・・・でも何で仔犬なんだ?)」
ほら、全員困惑しているよ。
「仔犬よ。お前は仔羊でもあるが、お前という個人を現すには仔羊より仔犬と言う言葉がよく似合う。知る匂いが一つもない荒野に放り出された仔犬だ。このままではお前は意味もなく虫や太陽、月、自分の尻尾すら追い続け、どうにもなく飢えて死んでしまうであろう。正しき道へと導いてくれる匂いが必要な、哀れで可愛い仔犬だ。だからこそ私はお前を『仔犬』と呼ぶ。わかるか?」
・・・。
おい。
「どうした?」
俺の出自を知っているってことでいいな?
つまるところ、
「ふむ・・・そうだな」
(周りを見渡す)
(上を見る)
(仲間を見る)
(足爪を交互に見る)
(調律者をじっと見つめる)
「どうした?仔犬よ。川の流れは常に同じではない。風の流れが常に変わるのと同じように。船を浮かべるべき時と場所は間違えるべきではないぞ」
なにを!どう!選択しろって言うんだよ!
「え、今の意味わかった?」
「なんで足爪と調律者を前にして普段通りなの
選択対象がわからないから、どう選択すべきかわからないです!
「なるほど・・・では仔犬。お前は首輪のない野犬の路地裏での末路となるか、首輪のついた犬となり生き延びるのか。どちらが好みだ?」
えっ、死ぬくらいなら首輪つけてたいですけど・・・首輪をつけられる人は、選びたいです。
「なら、いいだろう」
調律者が、あなたに近づいてきた。
そのまま、あなたに抱き着くようにして――
――カシャン。
あなたに首輪を嵌めた。
足爪の片割れが何故か持っていた鏡を覗くと、首には黒色をベースに黄金のハニカム柄が刻まれた金属製の首輪が。
不思議と見た目通りの重さは感じない。今までと何ら変わらない動きが出来ることが直感で分かる。
それはそれとして気に喰わないな。
自我出てるよ~ウィンドウくん~。
絶対に中に人いるよね。こいつ禁忌かもって思いながら生きてきたから今死にそうなんだよね。
「それは私からの贈り物。慈悲であり、慈愛であり、お前を守る首輪だ。そして契約でもある。――『お前は死しても、私のものだ』」
気づけば仮面を取っていた調律者が、満足そうにあなたの耳元で囁く。
そしてあなたの耳を甘噛みし、舐めとり・・・ひとしきり満足してから軽く口づけをして、足爪の元へ戻った。
ふへぇ?(混乱++)
「河の流れとは、不安定なものだ。ときに鎮まり、ときに荒れ狂う。全てを飲み込まんとする波に出会ったとき、その首輪はお前
「ガリオン様。そろそろ」
「分かっている。・・・次合うときは、正式に依頼を持ってくるとしよう。私ではないと思うが」
空間が裂け、三人が背を向ける。
ガリオンがこちらを振り向き、最後に言葉を残す。
――「また会いに来るぞ。『私の仔犬』」
・剣刀事務所
『どんな依頼も500眼から、まずはお話剣刀事務所』のフレーズを掲げている
これといった拠点を持たない・・・と言うか、路地裏の夜を抜けれる宿をつど取って、そこを仮拠点にして東に動き続けている。代表のせい。
特に指定事務所になっていないが、シ協会からの依頼が多い。代表のせい。
本編の影響で、今後『頭』から直々に依頼が飛んでくる可能性が出てきてしまった。全ては代表のせい。
今後の展開を決めているダイスが荒ぶると代表以外全員死ぬかN社に就くことになる。全てお前のせいだな!代表!(野生のエイハブ)
・首輪
A社「GPSとK社の特異点を内包させました。なんでこんなものを?」
ガリオン「
A社「了解。Bのも盛っておくわ」
とかいう雑なやりとりがあったとか無かったとか。
X社製の首輪に、A社がB社の監視装置、K社のアンプルが複数本(自殺、他殺防止。『殺すなら私が』)が加えた特注品。
この首輪をつけてる奴に喧嘩を売るとなんか消されるよ。誰にだろうね。