ガバガバ近代日本史(世界史) in 惑星パラドックス   作:AKI久

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現実:()内は惑星パラドでの年号との差
1894年(×) 日清戦争
1895年(×) 三国干渉
1902年(×) 日英同盟
1904年(×) 日露戦争

アジア情勢は落ち着いている惑星パラド。プレイヤーは居ないのかな?


第六講 ガバの近代化(1890~1905)

「今日は先週と同じ区間、1890年代から1900年代の政府の活動を見ていくぞ~。

ただし内政面を中心にやるから、先週のノートも見ながら話を聞け~」

 

「先週アヘン少なくない?」

 

「ヨーロッパ要素もだぞ。世界史の自覚が足りない」

 

不満を口にする生徒達を尻目に、教師は授業道具を教壇の上に置いた。

 

―――――

 

「三菱については説明したから省くとして、政府主導で行った他の投資について教えていくぞ。8/1だから出席番号9番、答えてみ」

 

「アヘンです。軍需物資として必要になったと教科書にありました」

 

「マジ⁉ アヘン⁉ 世界史始まったな!」

 

一部の生徒が湧き立つ中、教師は安堵した。しっかりと予習してくれた生徒が居てくれたからだ。半端に有名で以前にも学んだことがある日本近代史だからといって軽んじられていないということが、回答によって教師にも伝わってきたからだ。

 

「理由まで答えられて偉いぞ~。しっかり予習してるな~。

資源のための征服活動には、屈強な軍隊が必要だ。武器が第一だが、兵士の生存率をあげるための医薬品も重要だ。兵士の数が減らない方が相手にとって脅威だし、何より幾度倒れようが痛みに耐えて戦場に赴く姿が侍らしいという価値観があった。それには痛み止めのアヘンが必要となった」

 

教師は白板に軍に必要な物品を書いていく。銃器に食料、輸送に必要な発動機などを並べていく。

 

「そういう訳で大阪のアヘン農園拡大、九州と東北で武器弾薬工場が設立されていった。

そして勿論兵士を訓練し、駐屯させる兵舎も拡大した。なぜか四国と東海に異様なほど集中していたっていういつもの政府らしさはあったがな」

 

「この期間って、この間のやらかしもあったんだよな……」

 

「まあ……不足や国がおかしくならないなら……いいんじゃない……?」

 

先週の授業は生徒達の脳裏にしっかりと刻まれているようだ。皆一様にどこか気まずい、あるいは不安そうな顔をしている。

 

「ともかく、こんな準備をしていたらロシアが満州軍閥を解放しようとしているという情報が入った。

今の日本の戦力がどんなものか、そして外国と比べてどうなのか、なによりも地域大国であるロシアとの友好、最後に以前のブラジルの一件での恩返しのため無償で参戦した」

 

「ついに無双ですね!」

 

色めき立つ生徒達に冷水を浴びせかけるようだが、教師は少し訂正を入れる。

 

「間違っちゃいないが、そもそも列強二つと清から分離した国じゃ勝負にならなかった。

ここら辺の軍閥は多いから詳しくは中国史で扱うぞ。とりあえず教科書の地図をみるくらいで、そんなに気にしなくていいぞ~」

 

白板に地図を書く代わりに教科書の対応しているページを記す。

 

「一番重要なのは軍質、まあ軍隊の強さみたいなもんだ、それがロシアよりも低く、満州軍閥とそこまで変わらなかったという事実だ。

ロシアは塹壕戦術、穴掘ってそこから銃を撃つ戦法を使って死傷者が極端に少なかった。

そして、味方ではあるが、それに対する有効な打開戦術が日本には思いつかなかった」

 

教師は塹壕戦術と当時日本が採用していた散兵戦術のイメージ図を描く。塹壕が盾になり損傷が少ないのに対し、軽装で多少の機動力があるだけの散兵戦術では身を守れる度合が違うことを明確にしていく。

 

「アヘンがあるでしょ! こっちにはアヘンがあって、あっちにはない!」

 

「いや大陸こそアヘンのメッカだろ」

 

「お前の勝ちだ……この私がアヘンで負けるとは、流石本土」

 

「私語は慎め~。

分かりやすく言えば、国力に見合った戦力がないってことだ。これは当時の軍部にとって衝撃的だった。友軍のロシアだったからいいが、またイギリスが攻めてきたら負けてしまうのではないかと思い、軍事技術の研究と更なる戦艦建造へと突っ走った」

 

「開国から……ええっと……70年近く経ってるのにまだ怖がってるんですか?

その当時の人はもうみんな亡くなっちゃってるんじゃないですか?」

 

「お前達だって会ったことも無いのに侍とか新選組好きだろ。その反対だ。

このことが自動車の発明に繋がったり、非効率すぎる行政実態を暴いたっていう側面もあるから一概に悪いとも言い切れない。そこら辺を補足して今日は終わりにしようか」

 

―――――

 

「行政はこの間に説明したからパスするぞ。

当時から日本の一大産業である自動車、そして発電技術も発明されたのはこの頃だ。まあ電気は使い道がまだ無かったうえに発電効率が悪かったから特に使われなかったんだけどな」

 

「じゃあタイムスリップしてもスマホの充電出来ないじゃん! やば!」

 

「電車も動かねえじゃん! 通学は歩きかよ!」

 

「まずコンセントが無いぞ。それと蒸気機関車だ。

自動車が発明された経緯としては、敵地でも使える輸送手段を求めたからだな。当時国内で主流だった鉄道はレールが無いと使えない上、行き先の自由度が低い。これについては大学でイノベーション理論で詳しくやるから、今はこんなもんでいい」

 

教師は列車と車双方のメリット・デメリットを並べていく。既に線路が普及している国内では機関車の方が優位、一方路線整備のなされていない外国では自動車の利便性が高いことをはっきりとさせる。

 

「列車が使えないなんてことないでしょ。

どこにだって線路は続いてるし、東北なんて保守点検中に使う予備やその予備の路線だってあるじゃん。映える写真用の線路だっていっぱいあるじゃん」

 

「それも政府の雑な建築政策のせいだ。

とにかく増やせばどうにかなると思ってた造船所と同じことをしていた名残だよ。

普通はそんなに線路を敷かないんだ。樺太みたいな小さくて儲からない島を線路まみれにしたり、各駅に大学を作ったりしないんだ」

 

「えぇ……。

私、大陸出身だけど、どこにでも電車で行けたよ?」

 

現代的な感覚だとそうなるだろうなと教師は苦笑する。その変化を楽しめるようになると歴史が身近で興味深くなるのだがと心の内で呟く。

 

「今はな。それと日本の勢力外はそんな風じゃない。

そういう訳で新しい輸送手段を軍は求めた。エンジン、つまり発動機の生産が得意な三菱と協力し、自動車を発明した。これは世界初で、研究力も当時の一流国に並びつつあることを象徴しているな」

 

「それで東海地方に超大規模な自動車工場を建設した。もちろん馬鹿みたいな規模だった。

おかげでそれまで大した産業の無い地域だった東海は発展したぞ。

自動車はまだ初期のものだから軍用に使えるほどタフじゃなかった。だけど、富裕層には便利な移動手段として、なによりステータスとして飛ぶように売れた」

 

「まだ関東や中国地方では作ってなかったんですね。マツダとか川崎とか」

 

「そりゃあ……いつものでしょ……。

いきなり超大規模とか、嫌な予感しかしない」

 

「売れるかも分からない段階だから、工場を分散させなかったとも考えられるな。

自動車の生産に必要な素材でゴムと石油は十分な量を国内では入手できなかった。

そこで投資権を用いてオランダ東インド諸島にそれらのプラントを馬鹿みたいに作った。

当時のオランダは経済的に侵略でもするつもりかと身構えたが、日本だからどうせまたやらかしただけだと考え直し、逆に国際社会について色々教えたという記録が双方に残っている」

 

「えぇ……ブラジルの件といい、仲良い国に頼りっきりじゃん……」

 

「あれ? 自動車産業があるなら戦車とかはどうなんです?

今だと四国でめっちゃ作ってますけど?」

 

現代と混同してしまいやすいことだけが近代史を教える上でのネックとなる。だが、その共通点に助けられていることも事実だと教師は思い直し、生徒の疑問に答える。

 

「まだ1900年代になったばかりだからな。もっと先の話だ。

他にもロシアの塹壕戦術を学び取り、急ピッチで軍全体に教え込んだりもした。丁度急拡大の時期だったから意外とすんなり受け入れられたそうだ。奇しくも、侍以外の庶民の募兵が始まったから穴掘りへの抵抗は無かったそうだ」

 

「行き当たりばったりでも何とかなるんですね~」

 

―――――

 

「こういった軍拡と産業育成、法整備が1890年代から1900年代に進んでいった訳だが、その中で外交的にも重要な意味を持った法律が制定された。出席番号1番、答えてみろ」

 

「自由貿易は開国の時に強制されたし……なんでしょう?」

 

やはり人気のある人物が居ないと生徒達が自発的に予習しなくなるようだ。教師としては次回の範囲を予め伝えて促しているつもりだが、上手く機能していないらしい。

 

「公武合体の条件のため保護貿易に変えたっきりだから間違ってるぞ。

正解は農奴制の禁止だ。その後は商業化された農業に自然と変わっていった。

ちなみに当時のロシアは小作農が主だった」

 

「そんなのこれまでの世界史で聞いてないんですけど……」

 

「世界史的にはそこまでじゃないし、日本史でやるから言ってなかった。

農奴制っていうのは西洋では非常に嫌われた、言い換えれば幼稚な文明の証拠であり啓蒙してやるべき後進的な法律だった。だから、この制度が禁止されたことで近代化が進んだと外国からも見なされるという訳だ。その制度が重要なんじゃなく、それがどう見られるかが世界史的な視点だな」

 

ようやく世界史らしいことが出来たと教師は安堵する。一方、生徒達はそれがどうして重要なのかいまいち把握しきれていない様子だ。

 

「なんでもっと早くに変えなかったんですか?

人が足りないとか言ってたんだから、農奴解放を侵略を考える前にやるべきでしょ」

 

「先生も分かんない。多分ミン先生でも分かんない。

国内で反乱や抗議運動が起きたわけでもないから、政治的都合が主な要因で変えられたと考えられる。後で話すが、侵略活動で広まる予定の悪評緩和とそれに対する先進国による武力制裁回避の一つでもあったとも考えられる」

 

「ガバガバ運営ばっかりじゃん! ソシャゲの方がマシだよ!

侍はめっちゃ頑張ってたのに、引き継いだ政府は駄目じゃん!

徳川幕府の方が頑張ってた!」

 

昔のこととは言え政府批判は不味い。教師は急いでその要因を持ち出して庇う。

 

「出来ることとやるべきことが増えたことも関係しているんだろうな……。

近代化の始まった1836年にはGDPが£970万だったのに対し、1900年にはGDPが£1億を超えたんだ。それに対して意識はまだ幕府の時代から変わり切っていなかったのかもな。まあ成長中ってことで許してくれよ」

 

「なんで円じゃないんですか?

まあ小遣いが10倍になったら、行動も派手になっちゃうよな。

俺、月100万貰っても、多分結構余らせちゃうだろうし」

 

そういえば、世界史では当時の経済を比較しやすくするため基軸通貨であった£を用いることを生徒に伝え忘れていた。

 

「£については、イギリスが当時の覇権国家だったからな。毎回各国の通貨とか覚えたくないだろ?

他にも勿論海軍の拡張はこの時代も続いている。戦艦100隻に兵員輸送用の軍艦100隻が建造された」

 

「『軍艦数え歌』で有名な奴ですね」

 

「そうだぞ。ちなみにそっちは戦艦、つまり戦闘用の軍艦しか入ってないからな」

 

「あれ、駆逐艦とか空母はカウントされないんですね。

知らないですけど、そっちの歌もあるんですか?」

 

「そもそもそんな小型艦なんてものは生産されてない。

まじで戦艦、つまりバトルシップしかない。小回りの効く船なんてない。

黒船の衝撃が抜けていなかったのもあるかもな。幕府時代含め海戦なんてしない期間が長すぎて、大きい船があれば強いみたいな尋常小学生並みの考えしか出来なかったのかもな」

 

チャイムが鳴り、教師は授業道具を片づけ始める。

 

「またガバだ! この時代そればっかだな!」

 




プレイ中:
・外征&投資権
国内の資源施設の上限が見えてきた……→拡張政策。
もっと早く投資権を確保しておけばより儲かったはず。海軍での関心が面倒くさく感じてしまった。使いこなせれば以前より多くの関心を保持出来そう。

・鉄道多すぎ問題
インフラが足らず、自動拡張有効化により東北で鉄道が作られる。一方、助成金もつけていないので全く労働者が集まらない。インフラが足りないままなので、更に自動で鉄道が作られる。結果、東北の鉄道が100を超えたのに、インフラ超赤字。

・自動車の研究早めの裏側
電話や自動車は儲かるイメージ。
どこよりも先に作ることで儲けの独占&ゴムの供給を増やす意図があった。それで電化や塹壕歩兵解禁が遅れた……。
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