ソードアート・オンライン〜英雄の影に英雄あり〜   作:静かな人

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また長くなってしまっています。行動が解り辛い所もあるかもしれませんがよろしくお願いします。


恐竜の巣

ボスの部屋まではガイコツ兵士が立ち塞がったが、マリ、リズベットのメイスによる心地いい粉砕音とともに倒れていった。

 

ボス部屋を一本道の奥に発見したので注意する

 

「マリ、お前は絶対入ってくんなよ、ボス部屋の入り口でいろ。もしモンスターが来て、危なかったら転移しろ。」

 

「分かってるわよ。」

 

少し怒っている声だ

 

「リズもそうしてくれ」

 

とキリトが注意している。

 

「分かったわ」

 

こっちは元気がいい声だった。

 

一本道を歩いてボス部屋に足を踏み入れる。後ろを振り返り、マリがついてきていないのを確認して中心に進む。

 

ポリゴンが集まって大方の形を作り、完成に近づくために余分なポリゴンが消えていき、犬が水から出て身震いさせるようにそのポリゴンが動き、ポリゴンが飛び散る。そこに見えたのは犬なんていう可愛いものではなく、恐竜だった。だが、それは恐竜と言うには異形だった。

 

名は《切り裂き恐竜(ブラッシュオブザウルス)

HPバーは三本、多分体力少なめの攻撃力が高めの奴だろう。

 

黒いティラノサウルスをベースにパーツを取り付けていった感じで、黄色の目、額に漆黒の大きなツノ、手は短いものの三本の指の先から長く鋭く先端に丸みがあり物が引っ掛けられそうな爪が伸びてる。さらに尾の先は大剣になっている。

 

「おいおい、どんだけ武装してんだよ…」

 

「破壊できる部位はあるか?」

 

キリトにそう言われ恐竜にズームする。

 

「爪、ツノ、尾、が破壊できるぞ」

 

「じゃ、そこ頼む」

 

そう言って重武装の恐竜に飛び掛っていく。

 

「結構難しいんだからな!」

 

グチを言いながらも走り出す。

 

噛みつき攻撃が目の前のキリトを襲うがステップで簡単に躱されれている。

 

「へし折ってやらぁ!!」

 

壊れないとわかっているが意気込み、ナックルスキル熟練度が最大に達した俺の最大威力の単発攻撃「陣壊拳(じんかいけん)」を閉じた歯に叩き込む。

 

怯んだところにキリトのソードスキルが入っていく。

俺の役割を果たすため爪を折ってやろうと思うがこれまた、ポイントが小さい。ピンポン玉より小さい。最近はこんな奴ばっかりでうんざりしてくるがそれはそれで壊した時の達成感がある。

 

ポイントは1メートルはある爪の付け根にあるので潜り込もうするがそこは爪が振り下ろされる。刀で弾くが手は二つある。ナックルで受けとめるが丸まった爪で引っ掛けられているのでものすごい力で引っ張られるが手は短いため吹き飛ばされるような形で尻尾の方まで行ってしまった。

もちろん転がった先には巨大大剣が降ってくる

 

「お!!うぉ!!うぉ!!」

 

一回目二回目三回目同じく転がりながら避けているとキリトが攻撃をし、タゲを自分に向けたようで攻撃が止まる。

 

立ち上がり、ごく自然に一体化した大剣めがけて青龍刀破壊用スキル「蹄月(ていけつ)」を繰り出すが尾が動きポイントから外れる。

 

(パーセントはーーー89%、だいたいの奴はさっきのが当たったら25%は減るのだがさすがは硬いってところだな)

 

キリトの方を見ると胴体は結構簡単に切れているので攻撃部以外は硬くないようだ。鉱石とかのクエはだいたい敵が硬いので剣士が苦労するのだが、たまに柔らかい奴がいてそいつは剣士でも簡単にダメージを喰らわせられるのでHPバーが一つ消えている。

 

「グオォォォォ!!」

 

巨体に見合った低く大きな声で吠えた恐竜はおもむろに身体を持ち上げ、もう一度、今度は長く吠え始める。

すると体が揺れ始める。

 

「うぉ!なんだこりゃ?!」

 

「地面が揺れてる?!」

 

揺れが一層強くなり、驚くべきことが起きた。

地面が剥がれ始めたのだ。地面だけならず、この平べったい円柱形に半円状を乗せたようなの岩の部屋全てが剥がれ始めている。

不自然に浮いた岩は頭のツノにひっついていくまるで磁石のN極とS極だ。

凸凹の地面に両足と尾を使って立っている恐竜はその目を光らせる。

 

ツノの磁石を反転したのかどうかは知らないが弾けるように岩が四散する。刀で斬っていくが大きな岩優先なので小さい岩が必ず当たってしまうのでHPが二割ほど減る。

 

岩の猛攻が終わったと見えた俺は足を潜り抜け手頃な爪から破壊していくことにした。

俺の目だけに見える赤い点を狙って青龍刀破壊用スキル「断鉄」を爪に繰り出す。刀身が一気に喰い込み三分の一ほどで右手の爪が地面に落ち、ポリゴンに分解される。

 

「もう一発ーーー!!」

 

以外に柔らかいかったので次は「隼羅(しゅんら)」を打ち込み右手の爪を失くしてやる。

俺の方に向き直り黄色の目を光らせ、まだ生えている左手の爪が迫ってきたが硬直時間中に冷静に判断し、迎え撃つ。

 

破壊用スキルの中でかなりの威力を誇る「桜ノ氷柱(さくらのつらら)」を回転の勢いをつけて叩き込む。

少し前、と言っても6ヶ月ほど前までは敏捷値振りながらかなり上位の筋力値を持っていたが今となってはトップランカーながら攻略組の中では中の上くらいになるまで敏捷値を極振りしてしまった。

敏捷値が高いと回転の後の勢いは目を見張るが、武器と何かとぶつかる時は初めの一撃でその何かを打ち破らなければ吹き飛ばされる。相手が動く物の場合鍔迫り合いになり力負けすることもありうる。最悪武器が壊れる。ちなみに耐久値可視化スキルには自分の武器の耐久値も見えるのでポイントは外して攻撃しているので壊れたことは無い。

 

まあ、だいたい俺の方が吹き飛ばしたり、部位や武器を壊したりするのだが今回はそうはいかなかった。

 

回転して水平に繰り出した俺の刀と爪がぶつかりかなりの衝撃波が起きたが結果は押し合いになってしまった。

 

「ぬぐぐおぉ!!」

 

ブーツを凸凹になった地面に引っ掛け耐えているがこのままでは俺の足が折れる。ソードスキルを使おうかと思ったがタメの間にやられるのは目に見えてる。

三本の爪のパーセントは全て48%まで減り0.1%ずつ減っていっているが身体の関節にも忠実なSAOのシステムがアバターの膝への過重を感知しておかしな方行に曲がるに違い無い。身体を引いても俺に向かっている爪が俺を宙に放り投げそのまま口にパクリも考えられる。

恐ろしい考えを振り払い、柄から片方の手を刀身に当て、爪に加重をかけて折る作戦を実行しようと思った時、黒い影が横目に見える。

 

キリトが俺の刀の刀身に自分の剣の腹で押しているのだ。剣の腹と柄を持って押してくれている。

 

「ウオォォォ!!!」

 

二人で叫びながら爪を押して咆哮する。みるみる耐久値が減っていき爪が折れるその時に備える。

バキィ!三本同時に折れる痛快な音とともに二人の身体が前傾姿勢になるが一歩踏み出し持ち堪える。

 

「サンキュー、キリト」

 

「ちょっとは筋力値パラメーター上げとけよな…」

 

「うるへー、今から敏捷値パラメーター極振りの俺がなせる妙技よーく見やがれ!」

 

宣言したすぐ後に両爪を失った恐竜が吠え出す。またあの岩の攻撃だ。

 

俺は恐竜に背を向け壁に走りだす。

 

「おい、カイ!」

 

後ろでキリトが止めるが構わず走り、10メートルくらいある円柱形を登り、半円状に入るところで気合を入れ直す。

 

「おりゃゃゃ!!」

 

天井を走ってる訳で皆の顔が見えるのだが鍛冶屋二人組はポカーンとしていて、キリトは驚いた顔をしている。

驚く顔を見た後は正面に見えるバカみたいに大口開けた恐竜を睨む。恐竜の咆哮によって揺れてるいる天井を蹴り、宙に舞う。その先は黄色っぽい黒いツノだ。

 

ここの天井は12メートルほど、恐竜は身体を持ち上げても6メートルくらい、この6メートルの差を利用しツノを斬る。

 

刀を抜き、刀を握った右手を左肩に置き紅のライトフェクトを纏わせ三回転してツノの目の前に来た時自身の身体も動かしブーストして破壊用スキル「破市之丞(はいちのじ)」をポイントに喰らわす。

 

結果は音とも無くツノが斬れた。斬った後は恐竜の背中に着地して長い硬直時間を終えるとキリトの方を確認してから後ろ向きにジャンプして途中半回転を加え天井に向かって足を伸ばし天井で膝を曲げ、再びキリトの方を確認して天井を蹴り一回転して恐竜を見ると呻いている。多分キリトが攻撃しないのが原因だろう。地面に着くと滑ることも計算に入れて天井を蹴ったがキリトの少し後ろで止まる。

 

「すげーな、でも妙技っていうより敏捷値の荒技って言った方がいいぞ」

 

剣を握ったまま拍手をくれるが嬉しくない。

 

「でも、仕事はしただろ!」

 

「そうそう、今度その速さを活かして外壁の柱を登ってくれよ。」

 

「キリ公、残念だったな。もう検証済みだ」

 

渾身のドヤ顔をするが似合わない、と笑われただけだった

 

「おっ、そろそろくるぞ」

 

とキリトが指さす方行を見るとさっきまで絶賛呻き中の恐竜が怒りをあらわにしてこちらを睨んでいる。

 

「グルォォォォ!!」

 

叫びながら突進してくるがツノと爪が無い姿は哀れだった

 

「俺がフォワード行くから頼むぜ。」

 

「よし、任しとけ!」

 

噛みつき攻撃のモーションに入る前に後ろに倒れ逆立ちをして肘と膝を一気に伸ばし、顎を蹴り上げる。

 

「キリト!スイッチ!」

 

すかさずキリトが反応して斬りかかり、終わったとところで恐竜のHPバーは最後の一本、未だ仰け反っている恐竜の腹に向かって走りだす。

 

ソードスキルは空中でも発動でき発動するとそれが終わるまで落下はしない。それどころか回転して蹴るなどの地面に足がついてこそのスキルも普通にできるのでそれを活かして編み出した技を恐竜の腹にぶつける。

 

高くジャンプしてまずナックスキル「セルブレイク」を決め硬直時間が終わるとすぐに体術スキル「ローキリング」のキックを決め、またしても硬直時間に入り、動き出す。

青龍刀スキル「双龍」の右上から左下に弧を描き斬りき、右上へと切り上げ硬直時間の中着地すると小さく呻きその身体を四散させる。

 

後ろのキリトと拳を合わせる。

 

「LA取りやがって」

 

「それを言うなら二層ボスのLA四つ全部取りやがって!」

 

「まぁ、仕方ないだろ…そんな恨まなくても…でLAはなんなんだ?」

 

興味深々で見てくるキリトを横目に操作する

 

「えっ〜と、《ブラッシュ・ピック×4》…ピックかよ!」

 

「次はお目当ての鉱石だ…おー、9個!」

 

キリトの嬉しそうに報告するがこっちは最悪だ。

 

「3個…」

 

膝から崩れ落ち、自分のリアラックのなさに嘆いた後は最終手段に出る。

 

「頼むキリト!鉱石分けてくれ!」

 

奥義・土下座である。

 

「わかったよ、いくついるんだ?」

 

「本当か?いいのかキリト?!」

 

「いいよ、いくついるんだ?」

 

「後5個…」

 

呆れた顔をされたが快く分けてくれた。そのあとは転移門まで一緒に歩き、そこで別れた

 

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五十五層・バニ《マリの鍛冶屋》

 

「アイテムここに全部置いといて」

 

慣れた手つきで準備しているマリの指示に従いアイテムをだす。

 

キリトのユニークスキル《二刀流》は片手剣を二本造ればいいだけの話だが、《剣拳闘士》はそうはいかない。籠手などの武器は全て特殊な物なので特殊なアイテムが必要になる。《剣拳闘士の武具作成書》というアイテムだ。書と言っても羊皮紙一枚だけでそこに武具作成者の名前を書けばその人が剣拳闘士の専用武具を作れると言ったものだ、ちなみに常アイテム欄に強制的に入れられおり、アイテムの持てる量は筋力値によって決まるので邪魔にならないかと思ったがそこは親戚設計、重量は0だった。試したことはないが多分破ろうとすれば破壊不可か何度でも戻ってくるだろう。スりができる《強奪》スキルがあってもスれ無いだろう。

 

出来上がった装備を着けてみる。装備は全てブラッシュオブザウルスの黒を薄めた感じで灰色だ。《籠手》は掌の革の部分以外逆立っていて、真ん中に恐竜と同じ目の黄色の玉があるが黒目はなく睨まれている感覚は無い。《肘当て》、《膝当て》、《フットニア・ガード》も逆立って攻撃しなくても少しでも触れれば敵味方関係なしにダメージがありそうで無骨な恐竜そのもののデザインだ。

少しパンチを繰り出して見る。スピード系だけあって予想以上に早い。

 

「ありがとう、マリ」

 

「どういたしまして!お代は十万コルね。」

 

「はいよ、また頼むぜ。」

 

そう言って店を出る。

 

十五層の家、と言ってもアルゴとコルを出し合って借りている宿屋に向かう。

 

「ただいま〜」

 

「おかえり、カー君。にゃ!その装備何?!」

 

にゃ?アルゴが驚いた時言う言葉だがどうしたんだろう?

アルゴの手が素早く俺の体の8箇所を指していく。嫌な予感がする。記憶を必死に辿るがある行為をした記憶がない

恐る恐る手を見る。

 

やばい装備外してない…。

 

誰かに見られたか?いや人通りはほぼなかった。こっちを見ていたか?いや見ていなかった。自問自答した後は急いで装備を外す。

 

「カー君?どういうことかナ?」

 

金髪で両頬に三本のラインのペイントは変わらないが服は地味なフード付きのマントと上下一体の薄いオレンジ色の服と手のテーピングを外してその代わりに薄手の黄色い肩を出した長袖のブラウス、下はゆったりした上と同色のズボンだ。アルゴの情報集めの先入観がある事もあ り、ペンと手帳を持ってゆっくり近ずいてくるアルゴには恐怖を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうね〜、カー君。《聖騎士》ヒースクリフの次は《鬼神》カイがユニークスキルを持つとはネ〜」

 

剣拳闘士スキルを洗いざらい話してしまったカイはソファで項垂れている。

 

「鬼神って呼ぶのやめて……」

 

話してしまった自分を責めながら答える。

 

「でも刀を含めて9箇所で攻撃できるなんて鬼神度が上がるナ」

 

「なんだよその鬼神度って………」

 

カイは精一杯のツッコミだが側から見れば情け無い姿だろう。

 

「獲得条件はなんなんだロ?一定の実力だったらキー坊くらいが持ってそうだナ〜」

 

「さあな〜?」

 

心臓が跳ねたがごまかすことはできたようだ。

 

「あっ、そうだカー君、明日レベリング手伝ってヨ!」

 

予想外の話に顔を上げる

 

「どうしたんだ?いきなり?」

 

「ただ単にレベリング手伝って欲しいだけだヨ」

 

「ん〜攻略がな〜?」

 

「頼むよカー君!」

 

「わかった、行こう!」

 

「ありがと!!」

 

「じゃ、もう寝るぞ」

 

「うん、おやすみ〜」

 

(まぁ、2日連続で攻略休んでもバチは当たらないだろう。時折昼寝してる奴もバチが当たったとは思えないし)

 

後ろでアルゴの寝息が聞こる。それに流されるように眠りに落ちていく。




今回も読んでいただきありがとうございます。次の話は結構物語に関係してくる話です。
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