ソードアート・オンライン〜英雄の影に英雄あり〜 作:静かな人
ぼやけた視界が鮮明になる、いつものアラームがなってないなと思い出し、二度寝をするため目を瞑る。
その暗い視界の中に緑の細長いバーとアルファベットが見える。
「Kai」それが俺の名だ、そして横のバーはHPバー。
そう、ここはゲームの中である、ただゲームなら良かったがこのゲームはデスゲームだ、そのゲーム内の通貨があるゲームをやったことがある人なら一度は『ゲームの金が現実の金になればな〜』そう思ったことがあるだろう。
このゲームの製作者・茅場晶彦はHPを現実と一緒にしてしまったのである。
このゲームーーーー《ソードアート・オンライン》通称、SAOでHPを全て失えばゲームの世界に俺たちをこの牢獄とも言える《浮遊城アインクラッド》に閉じ込めているヘルメット型の《ナーヴギア》がマイクロ波を内蔵バッテリーを使って脳に照射し、電子レンジと同じ原理で脳を焼かれ、殺されるのだ。
そしてデスゲーム開始から約2年が経つ。
そんなことを考えていると鼻歌を歌っているのが聞こえる。幽霊ではない、縁あって家賃を半分ずつ出して一緒に住んでいる同居人の「アルゴ」だ。
情報屋として活動していて頬に三本のヒゲのペイントをしていてるので通称《鼠のアルゴ》。
その信用は絶対的で攻略本を発行しているのだが攻略本を書いにきた人が店主に『誰の攻略本だ?』と訊くと『アルゴのだよ』と答える。すると『そうか』といって買っていってしまうのだ。
結構可愛いのだがサバサバしたと言うか男みたいな性格がそれを潰している。あと語尾が変だ。
不意に鼻歌が止まる。そして思い出される、アレが来ると。
俺はデスゲームにビビってじっとしていたわけじゃない、アインクラッドから解放されるには一層から百層まで攻略しなければならず各層の迷宮区を探し、登り、そこのボスと戦い勝ち、次の層に進む。
これをしてる人を攻略組と呼び俺もその一員でその中でも上位だろう。そして、この世界の自分のスピードを左右する敏捷値は誰にも負けないほど高い。
だがこの俺の速さを持っても防げなかった。
ドタドタと、速い足音がする。
「カー君!」
しまった、と目を開け、避けようとした瞬間にはもう遅かった。
「起きロー!!」
「ぶへっ!!」
見事に腹にフライングボディアタックが決まってしまった。一カ月前からこの調子なのである。
「ぐぁ…おはよう」
少し前に起こし方に抗議したがこっちは居候、飯まで用意してくれるので頭が上がらずどうにもならなかった。
「おはよー、カー君!」
アルゴがベットから飛び退き朝飯をテーブルに並べてる間に趣味のジュース作りをするため、何種類かの果物らしきものを置き、職人クラスに作ってもらった手動ジュサーで果汁を絞り、ブレンドする。
どす黒い色ながらも葡萄ジュースの味がするジュースを持って行く。
「今日はどうするんだ?」
「いつもの通り情報取集サ」
「なんか頼みごとはないのか?」
「うん、特にないナ」
情報取集を手伝うのは別にいいのだが突発的に言われて面倒なことになったのが多々あるからだ。
「そうか、俺はエギルの店行ってから軍に顔を出して、何もなければ攻略行ってくる」
「かんばってナ」
朝食を食べ終え、深緑の半袖、半袖と似た色のスウェットパンツとでもいうのだろうか、収縮性があり動きやすい足首くらいまでのズボン。足首から爪先を覆ってくれる緑色の靴、足に二つ、足首に一つベルトが付いている。
肘に緑と黒のラインのサポーターのようなのもを着け、胸当ての代わりに袖無し、前開きの迷彩柄のジャケットを装備する。
親友のキリトはコートを装備しているがとても動き辛そうに見えるがそんなことはないらしい。
武器は専属スミスのマリが打ってくれた青龍刀の《
次にナックル《ルイネスアースクエイカー》を装備し、アイテムを確認する。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーイ」
前線からかなり離れているため人が少ない15層の転移門を目指して歩く。
俺は今、とんでもないレアアイテムを売ろうとエギルの店に足を運んでいる。エギルは50層のちょっと奥に入った道にある分かりずらい雑貨屋を営んでいるのだが阿漕な商売をしている。普通なら文句の一つも言うものだが店主が2メートルはあろうかと言う体格で、しかも黒人のスキンヘッドなので威圧感がハンパなく、なかなか言い出せないのだ。
その風貌に物怖じしないものがいてもエギルは攻略組なので脅すなんてことをしたら普段は見た目に合わず優しいエギルも大斧を持って斬りかかってくるだろう。
エギルの店に続く小道から肩を落としたプレイヤーが出てくる。多分阿漕な商売をされたんだろうな。
また、阿漕な商売やってるなぁ。と店に入ったら行ってやろうと思いドアを開けるが大声が響いてきて片目をつぶり顔をしかめる。
さっき、阿漕な商売ながらに文句をなかなか言えないと言ったがはっきりと言い、値段の相談をする奴もいる。
「15000だ!」
「いいや、10000だ!」
「15000より下は行かねーな!!」
「それなら、こっちも10000より上は行かん!!」
バリトンのある声と少年のような声が大声を出し合っている。
一人はこの店の店主・エギルだ。緑づくめの服装に幅の広く長い刀、青龍刀、左手にはナックル、もう片方は親友のカイだ。
二つ名があり、二十五層のボスに仲間を殺され、激昂しボスを殴り倒した姿が鬼神のような姿だったので《鬼神・カイ》
「うー…13000でどうだ!!」
俺と一緒くらいの長さの髪を掻き、値を少し下げ再び交渉を再開する。
「12000だ!!」
二人同時にショーウインドを拳で叩き、声をハモらせる。
「「12500!!」」
そして一際大きな声で
「「のった!!!!」」
交渉は成立したようだ。
ちなみにカイは2500コル損していることを知らない。
(アルゴの巧みな話術で交渉対決してる俺でも一度きめた値をなかなか変えないここの店主は骨が折れる)
激しい値段交渉の末2500コルの得に満足している後ろから知った声が聞こえる
「朝から頑張るね〜」
後ろには男とは思えない線の細い顔、黒づくめで盾無しの片手剣使いキリトがいた。
キリトにも俺と同じく二つ名がある《黒の剣士・キリト》その由来はこの黒づくめの服装からだ。
「おはよう、キリト」
「おはよう」
挨拶を交わしたあと適当に店内を見ていると
「いいっ!!?」
と普段エギルが上げない声を上げて驚いている。
「どうしたんだ?」
「これを見てみろよ」
エギルが指を指してるウインドを見るとその一番上に《ラグーラビットの肉》とある。
「いいっ!!?」
俺もエギルと同じ反応をしてしまっているが驚かずにはいられない。この《ラグーラビットの肉》はS級レア食材だからだ。しかもトレード欄、売ろうとしているのだ。
「キリト、こいつを売っちまうのか?」
「食おうとは思わないのか?」
俺とエギルが提案するが
「知り合いに料理スキル上げてる奴なんていないしな」
もっともな意見でぶった切られる
「カイ、お前はどうなんだ?ジュース作ってだろ。」
「俺のは果物を特殊なアイテムで破壊して出来たアイテムを混ぜて作ってるだけだからなぁ…」
エギルの意見もぶった切った所で店のドアが開く。
「キリト君」
聞き慣れた覚えのある声がする。
「あっ、カイ君も」
と俺とキリトの名を呼んだのはアインクラッドで最強ギルトと名高い《血盟騎士団》の副団長・アスナだ。
彼女にも二つ名があり、レイピアの剣先が見えないくらいの速さで繰り出されるので《閃光のアスナ》また攻略に熱心なため《攻略の鬼・アスナ》
「シェフ捕獲」
キリトが急にアスナの手を掴み言った言葉に一瞬何のことか思ったがすぐに理解する。
すぐ、何かにギョッとしたように手を離す。キリトの目線を追うと三白眼でアスナと同じ色の鎧を着てる男がこっちを睨んでいる。たぶん護衛だろ、ヒースクリフが前そう言っていた
「今日はどうしたんだ?」
「もうすぐボス攻略だから生きてるかどうか見に来てあげたのよ」
「フレンドリストを見りゃ、分かんだろ」
3ヶ月前からなぜか口調が変になることがたまにあり、最近ではもうすっかりこの言葉が出てしまう。
「生きてればいいのよ!…それでさっきシェフとか言ってわね」
「アスナ料理スキル熟練度は今いくつだ?」
「先週コンプリートしたわ!」
ドヤ顔のアスナなんて滅多に見られないがその努力に感嘆せずには居られず、
「「「おお!」」」
と三人で声を上げる
「それを見込んで頼みがある」
「ええっ!!」
今度はアスナが驚く番だった。驚いた後はキリトの提案したラグーラビット調理の代わりに一口の条件を半分にまで数秒間の交渉で持って行くなんてとんでもないやつだと思っている間にキリトが去ろうとする。
「キリト、俺ら友達だろ」
「な、一口だけでも…」
「感想文を800字以内で送ってやるよ」
そう言って出て行ってしまった。この後本当に感想文を送って来て腹がなったのは後の話だ。
「俺も帰るわ」
「じゃあな」
店を出た後猥雑なアルゲートの転移門を使い軍に足を運ぶ
次はグリームアイズ戦です。
テストが近づいてきてるのでしばらく投稿できないかもしれません