ソードアート・オンライン〜英雄の影に英雄あり〜 作:静かな人
65層 〜ファントムフォレスト〜
「ここだ!俺の手がクロスしてるところを狙うんだ!」
「よし!わかった」
骸骨剣士が降り下ろしている片手剣を止めている手のクロスを解き、後ろに下がる。
「……ッ!」
無言の気合とともにキリトが骸骨剣士の剣に向かってソードスキルを発動させた剣を振るが俺の目だけに見えるーー《耐久値視覚化》スキルを持っているものなら見える赤い点を大きく外れる。
「どうだ!?」
「ド低脳がァーーッ」
そう言ってピックをキリトの頬に突き刺す。
「ギャー!何すんだよ!」
「もう10回目だ!しかもずっと同じ位置ばっか叩きやがって!何回教えりゃ気がすむんだ!やる気あんのかテメェーーッ!」
「なんか、いつもと性格違うぞ!」
「おら、きてるぞ!もっかいやれ!」
「ハッ!」
11回目の武器破壊挑戦は赤い点…ポイントを捉えた。バリンと言う音とともにポイントを中心に剣が折れポリゴンとなり、数秒して柄と残った刃もポリゴンとなった。
「あなたはりっぱだ…教えた通りやればできます。あなたはできるんですよ…」
武器がなくなった骸骨剣士はもう逃げ出している。
「と、言うことで次は大剣行ってみよう」
「また性格変わった…」
「ん?さっきのは瞬間的にブチギレただけだ。我が『テンションを変える』と言う特技は『性格を変える』までに至ったたのだ!!」
「それより俺刺したせいでカーソルイエローだぞ」
「カルマ回復クエスト受ければよかろうなのだァァァァァァッ!!」
ここら周辺は狩りつくしたので奥に進む。
大きな木に囲まれて周りから見えなかったためそれは急に現れた。
「こりゃ、なんだ?」
「古い洋館?」
奥に進む途中キリトがふと森を見上げた時に建物を見つけたので近づくと大きな屋敷だった。
アルゴからも聞いたことがない情報だ。これをアルゴに売り、一儲けするのと好奇心で中へ入る。
ファントムフォレストの名にふさわしいボロボロで所々クモの巣が貼ってあるような所かと思ったが意外と綺麗だ、想像する王宮とかには至らないが十分綺麗だ。一人、メイドの格好をした女が歩いてくる。アイコンはNPC、俺たちの一歩前まで近寄ると話し始めた。
「ようこそ。ギャンブルの館へ」
なんとも怪しげなところに来てしまったなと思っていたらメイドが話を続ける。
「このギャンブルの館では様々なギャンブルができます。部屋ごとでできるギャンブルが違いますので後ろの地図でご確認くださいませ」
メイドが手を指した先には地図があったが俺たちは探索に来ただけでギャンブルがしたい訳ではないので必要ない
中回るか、と声をかけようとした時左奥のドアが開く。
出てきたのは紳士然とした男だが顔に横縞模様と言う顔だけ変わった出で立ちだった。カーソルは青、プレイヤーだ。
「こんにちは。」
「あなたは?」
「申し遅れました、ダービーと申します。」
「俺はキリトです、こっちはカイ。」
軽く会釈する。
「立ち話しもなんでしょう、こちらへどうぞ、お茶でも入れますよ。」
男、ダービーの言われた通りその部屋に入る。中は右側にキッチンと食器棚、右側に木製テーブルが一つ、木製の椅子が四つ。ダービーはキッチンでお茶を淹れてくれている。
「いや、驚きましたよ。イエローカーソルを発見した時はどうしようかと思いましたがいい人そうでよかった。」
お茶を淹れながらダービーは話す。
「すいませェん、ちょと狩りの最中ドジっちゃいまして。」
横から冷たい目線が刺さるが気にしないでおこう。
「ここはあなたが発見したんですか?」
「私が初めてかと言われますとわかりませんが、私が発見した時は誰もいませんでした。アルゴの攻略本にも載ってなくて、偶然でした。」
キリトが喋る。
「ここは何のギャンブルが出来るんですか?」
「ここは『早食い』です。他にもポーカー、ルーレットなどたくさんありますよ。ババ抜きもありましたね、スロットはありませんでしたが。」
ダービーが茶を持ってきてくれる。
「まぁ言う私も2日前に見つけたばかりでしてね」
茶をすすると紅茶っぽい味がする。五十層あたりのNPCショップで見つかったのもだ。あの時は結構騒ぎになってNPCショップで売り切れが多発してた記憶がある。
「突然ですが私達とギャンブルをしませんか?」
ダービーの顔つきが一気変わる。そして
「いいでしょう」
キリトが待ってましたといわんばかりに即答する。ギャンブは避ける人間だと思っていたが…。
そしてテーブルの上いきなりウインドが現れる。互いに賭ける意思を見せたら賭けの方法などが書かれたウインドが出現するシステムのようだ。
「ルールは私が出した料理を制限時間内に食べ切れたら、あなたの勝利です」
「何を賭けましょうか?」
「では、これなんてどうですか?」
アイテムウインドを出し、アイテムをオブジェクト化する。それは羽が散りばめられたコートで、暖色を使った明るい、というより派手な色をしている。
テーブルの上のウインドにそのコートの名と効果が表示される。かなりの代物だ。
「じゃあ俺はこれを」
と勢いよく椅子を立ち、コートを脱ぎだす。
(それなくなったらまずいだろ!黒の剣士の大切な一部だよ!仮に勝ってもあんな派手なコート使わないだろ!)
多分キリトは止まらないので無駄であろうツッコミは心の中に止めておく。
「私はよろしいですが、キリト。あなたは?」
「俺もOKです」
「グッド!」
と指でキリトををさして叫ぶ。
「では規定の八百グラム、時間は十五分。料理はカレーを作らせてもらおう」
キッチンに向かい作る
「おい、キリト大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。俺って以外に食べるんだ」
見るからに食の細そうな体して、何言ってんだか…
ひそひそ声で話し、時折顔を見ると目が輝いている。根はギャンブラーなのかと思ってしまう。五分ほどできカレーを皿によそっている。
キッチンにはちょっとした仕切りがありこちらからはよく見えなかったが、小さな瓶に入った緑の液体が仕切りの向こうに隠れると次出た時には瓶の中が空っぽになっていた。
「さあどうぞ」
「では、いただきます」
カレーをキリトが口にした。
瞬間、その顔が歪められた目を見開き、その目は虚ろでどこを見ているかわからなかった、だが数秒の硬直の後、声にならない声を上げた!
「ーーーーーー〜〜〜〜ッ!!?」
「テメェ!キリトに何をした!」
勢いよく立ち上がり問い詰める。
「ほんのちょっぴりあるものを入れただけですよ」
「テンメェーッ!これだけは間違いなくわかる、テメェ、『イカサマ』をしたな!」
胸ぐらに掴みかかる。キリトは椅子から転げ落ち、床で喉を抑え苦しんでいる。
「イカサマですって?イカサマは見抜けなかった人間の敗北なんですよ」
その時カイの頭に浮かぶものがあった。
「私と賭けをしてくれたら教えて上げましょう」
「いいだろう、賭けをしよう。テメェーはこのカイがぶちのめす」
「いいだろう。その前にキリト
賭けは重複して行えないシステムで賭けの勝敗が決まるまで互いに賭け合う意思を見せても意味がないシステムだ。
喉の奥からキリトが声を出すとダービーの手元にキリトの黒のコートが現れる。
「私はさっき頂いたコートを賭けよう」
「なら俺の上着を賭けよう!」
と俺もキリトと同じように上着を脱ぐ。
人差し指で俺を指す
「グッド!」
キリトの時と同じように賭けダービーが料理を作っているところで床で倒れているキリトに話しかける。
「どんな味だ?」
「……に……が…ぃ…」
どうにか喋れるようにはなっているようだ。
「これを飲め。飲んだら楽になるけど苦しそうなふりをしておけ、頼んだぞ」
ウインドウを開き、小瓶を二つ取り出し一つはキリトへもう一つは自分でのむ。
「さあ、どうぞ」
ダービーはカレーを出す。
(フン、自分ならどうにか耐えれると思っているんだろう。だが無駄だ、システムから与えられる苦味は同じだからなぁ。このカイとか言うやつの装備も高く売れそうだ、『とらぬ狸の皮算用』と言う言葉があるが罠にかかった獲物を逃す猟師がどこにいる!さあ、その澄ました顔を歪ませてくれたまえ)
ダービーのニヤけた笑いは次瞬間消えた!
「グッド、まあまあ良い味してんじゃねーか」
「ばっ、バカなあり得ない!そんなことッ!」
「何があり得ないんだ?俺は今このカレーを食べている、早食いの当たり前の光景だろう」
(成功!苦い味なら甘い味で相殺してやればいいのは分かってても分量がわからなかったから不安だったがここまで無味になるとはな。ジュース作りの経験がここで生きたってわけか。でもやっぱりなんも味がしない飯ってのはきついけどダービーの驚いた顔で我慢しよう)
時間内に全て完食し、キリトのコートを取り戻すことに成功した。
「もう一度、もう一度私と勝負だッ!」
ダービーが顔を怒りに満ちさせ叫ぶ。
「OK、ルールはさっきと同じでいいな」
ダービーは派手なコートを俺は上着を賭けた。
またカレーが運ばれてくる。
『覚悟』はしていた、もしそうでなかったら気絶していただろうか。
とてつもなく甘いのだ、キリトにもあげた甘い液体の甘さが口の中にあるがカレー自体も甘いのだ。バレていた、俺がなぜ苦いカレーが食べれたのか。ポーカーフェースしてるつもりだったんだがな…
だが、こんなやつに負けられない!負けてなるものかッ!カイの正義感から策が!一つ浮かんだ!
水を飲み、口を押さえ十秒ほど下を向く。
「ハア、ハア………………………やってくれるじゃねーか」
「
カイに無情な追撃がかかるが返ってきた返答は驚くべきものだった
「じゃあ、やらせてもらうぞッ!」
カイは猛烈な勢いでカレーをかきこんでいく。
「何いいいいーーッ!!バカな…あり得ない、あり得ないィィーーー!」
賭けに負けたことでダービーは見るからに弱気な顔で、蚊一匹だけビビりそうだ。
「ふぅ、ごちそうさま。始めにまあまあ良い味してるといったがスマンありゃ嘘だ。なんの味もしなかった、二回目は不味かったぞ」
食べ終えたので派手なコートが現れるがそれはテーブルに置いといて立ち上がる。
「コリドーオープン」
アイテムウインドを操作し高価な回廊結晶を取り出し、キリトに退いてもらい自分の背後に発動させる。
「ヒィィーーッ!」
ダービーがドアに走っていくがカイがそれを先回りし止める。
「『イカサマ師ダービー』俺は最初気づかなかった、だがお前の言葉で分かったんだ、「イカサマは見破れなかった奴の敗北」って言葉でな。軍の犯罪者リストにいた奴だってな。
普段はトランプを使ったイカサマでコルやアイテムを巻き上げてたのに早食いなんて変わったものを選んだのが運の尽きってやつだな…選べ!自分からそのコリドーに入るかぶち込まれるか?」
「ど、どこに繋がっているんだ?」
ワナワナとした口調で聞くダービーにカイは無情に答える。
「黒鉄宮に決まっているだろうが」
「嫌だ入りたくない!入りたくない!」
連戦連勝のプライドを傷つけられパニックに似たような状態になっている。
「なぜお前のような奴がいるか知ってるか?この世界に法ががないからだ、マナーはあるが守るか守らないかはこの世界じゃ自由だ…訴えることは無論できねぇ…だから俺が裁く!!」
話ながら両手にナックルを装備するカイを見てかダービーが短刀を取り出しカイに襲いかかったがそれよりも早く拳が入る。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!裁くのはALFの参謀だッー!!」
何十発もの拳がダービーの体に打ち込まれ、ぶっ飛びそのままコリドーに入る。
「やれやれだぜ」
テーブルの上のコートに目をやり、どうするか考えた結果エギルの店で売り、軍の資金にさせてもらうことにする。
「行くぞキリト」
そういって黒のコートをキリトに渡し、カイも上着を着る。
「お、おいカイどうやってあのカレーを食べたんだ?」
「種は簡単だ下を向いた時アイテムウインドを操作して苦い液体が入った瓶を取り出したんだ」
「でもいつ飲んだんだ?そもそもあの状況で瓶を出現させるなん……あっ!」
「俺の手は口に当てられてたんだぜ、そこから瓶を出す。口は事前に空けといてあとは瓶を噛み砕き、液体を口の中に出す」
「よく考えついたな…でも何んで二回目の賭けをしたんだ?」
「ああ言う奴はキッチリぶちのめしたかったんだ」
「そうか、ありがとな。そうじゃなかったらここに《黒の剣士》はいないからな」
「物理的な意味でだろ」
「その通り…そういやこの館どうするんだ?」
「アルゴに情報渡してもいいんだけどな…ダービーみたいな奴が出てきたら揉め事が必ず起きるだろうし…でもアインクラッドの数少ない娯楽だからな…キリトはどう思う?」
「一介のソロプレイヤーなんかに振らないでくれよ…」
「そうか、なら保留だ」
場所だけ記録しその場を立ち去る。その際に地図をみたが周りと同じ木として扱われていたため見つからなかった訳だ。振り返ると古い洋館はそこにあったが小さいころドラえもんで古い洋館に入り幽霊と遭遇するという話が怖かった思い出が蘇る。もしかしてダービーも幽霊だったとかどんどん深読みしてしまった思考を捨てまた、性格を変え武器破壊の訓練をつけてやることにしよう。
今度からこういうのはやめてジョジョネタを挟むくらいにしておきます。
恥知らずのパープルヘイズ読みましたけどかなりよかったですね、個人的にムーロロのスタンドがやばいと思いました。