サカイ・マキナは蛮族の手綱を握りたくない。 作:青いカンテラ
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ウチのガンプラ、言うても一般的には『美プラ』や『MS少女』にカテゴリされるんやけどな……のシャルトーネ・サーガは、機動戦士ガンダム00の外伝『機動戦士ガンダム00P』に登場するガンダムマイスター『シャル・アクスティカ』をモデルにした少女タイプの素体に、彼女の搭乗機やったガンダムプルトーネのアーマーパーツを装着しとる。
武装については、元がシンプルすぎるから同じくガンダム00の外伝である『機動戦士ガンダム00V』に出てくるケルディムガンダムサーガを参考にした。装備は軽装寄りで、GNドライヴの恩恵もあって機動性もそれなりにある。だから高機動戦闘にも対応はできるっちゃできるんやけど……
「ガチの高機動機は苦手なんよなあ……!」
ウチの叫び声と共にGNビームマシンガンから放たれたペレット状のビーム弾はむなしく空を切る。MA形態で飛ぶロービジカラーのギャプラン相手に、照準が全く追いつかん。
NGNグレネード・ランチャーはビームよりもさらに弾速が遅いし、何より一発程度じゃあまりにも心もとない。近接信管ならワンチャン使えたかもしれんけど、これ通常弾頭やからなあ。
そんなことを考えてたら、旋回したギャプランが向かってくる。ムーバブル・シールド・バインダーの連装化されたビーム・ライフルの銃口に光が灯り、次の瞬間には四つのビームを撃ち出した。
「……っの! 危ない、なあ!」
ビームと突撃をなんとか回避し、お返しにGNビームマシンガンを撃つ。けどギャプランはバレルロールで避けると加速して距離を取ってしまう。さすがは元々強化人間用に開発された機体やな。機動性がダンチや。
こんなところでいつまでも足止めされとるわけにもいかんけど、かと言って素直に背中見せられるとも思えんのよな。……やっぱりアレ使こうて、短期決戦狙うしかないか……?
「っ、また正面から!」
旋回したギャプランが再び向かってくる。今度も連装式のビーム・ライフルかと思いきや、背面部分が開いて、そこから無数のマイクロミサイルが発射される。
「くっ!」
後退しながらGNビームマシンガンでマイクロミサイルを撃ち落とす。爆炎と煙が一瞬視界を塞ぐ。それを切り裂くようにして、MS形態に変形したギャプランが、ロング・ブレード・ライフルを構えて突っ込んでくる。ばら撒くように撃ったんはこのためか……!
とっさにGNビームマシンガンを掲げて盾にする。ロング・ブレード・ライフルのヒート・ブレードが、銃身を深く切り裂いた。……って、あかん! さすがに機体サイズの差でパワー負けしとる!
『マキナちゃん!』
「先輩!」
そのままパワー差で押し込まれる前に、先輩のジャジャバルカンが救援に駆けつけてくれた。バックパックのバルカン砲がうなりを上げて、弾を高速で撃ち出す。
ギャプランはロング・ブレード・ライフルを引くと変形して離脱。一秒前までギャプランがいたところを無数の弾丸が通り過ぎていく。
『遅れてごめんねぇ、マキナちゃん』
「いえ、助かりましたわ」
ジャジャバルカンの隣に移動しながら、もう使い物にならんなったGNビームマシンガンを放棄する。今のでメインアームを全部失ってもうた。……やっぱり久々のGBNやからか腕が鈍っとるなあ。
『マキナちゃん、まだ武器はある?』
「あ、はい。まだありますけど」
『それじゃあ、あいつが突っ込んで来たら……』
バルカン砲を散発的にギャプランへと撃ちながら、先輩は短く作戦を告げる。
『いけそうかな?』
「大丈夫です。やってみせます」
『うんうん。それじゃあ、頼んだよぉ』
ギャプランが旋回したのを見て、ジャジャバルカンが両手の盾を構える。上から連装ビーム・ライフルとマイクロミサイルを織り交ぜた攻撃が降り注ぐ。並みのガンプラなら破壊されとるような弾幕や。
けど、先輩のガンプラ、ジャジャバルカンはその攻撃を耐えとる。ギャンシュトロームからコンバートした大型シールドが堅牢なのもあるやろうけど、本体の作り込みもかなりのものや。
『防御力には自信があるんだよねえ……。マキナちゃん、よろしく』
「了解や!」
攻撃で巻き起こった土煙の中から、シャルトーネが飛び出す。ギャプランが慌てて加速して離脱しようとするけど、一手遅かったな!
「トランザム!」
音声入力で、シャルトーネの……GNドライヴ搭載機の切り札を起動する。圧縮粒子が全面開放され、一定時間の間だけ機体性能を約三倍にまで引き上げる。
トランザムは効果時間が終わった後の反動もえげつないけど、今回は時間一杯まで使う必要はない。ワンセコンドあればそれでええ!
「追いつければ、それで十分や!」
シャルトーネがぐん、と一瞬だけ加速して、ギャプランの機体を掴む。直後にスラスター全開になったギャプランが急加速して振り落とされそうになるけど、何とか踏ん張る。
「これで……
膝のアーマーからGNビームサーベルを逆手で抜き取り、そのまま胴体にぶっ刺す。さらにギャプランを蹴って離脱しつつ、腰部アーマーのGNミサイルを発射。大空に爆発の花を咲かせる。
「ふぅ、何とか倒したか……」
『お疲れぇ、マキナちゃん』
「先輩」
『このあたりにもう敵はいないみたいだねぇ。次のエリアに行こっかぁ』
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先輩と二人で、トリントン基地の拠点エリアに指定されている場所を目指す。左肩のGNスモールシールドのクリスタルセンサーによってシャルトーネの索敵能力が上がってるおかげで、敵が角待ちしといても先に発見することができる。
「はっ! 丸見えやで!」
『な、なぜバレ……ぐわぁ!』
ウチらが通るのを今か今かと待っている敵さんの前に飛び出て、GNビームピストルⅡによる射撃を見舞う。バイタルパートが穴だらけになったジンハイマニューバ2型はそのまま爆散した。
さっきから先輩と一緒に進んで来とるけど、敵の機体とぽつぽつ出会い頭に戦うことはあっても、さっきみたいに部隊規模で遭遇はしてへんな。
『や、やめてくれぇぇぇ!』
『あはははは! なにぃ? 聞こえなーい!』
見ると、先輩のジャジャバルカンが建物に叩きつけられたイオク機カラーのレギンレイズをシールドで殴りつけとった。
ナノラミネートアーマーで多少は頑丈になっとるのがあだになってるのか、少しずつコクピット周りの装甲がひしゃげとるけど、撃墜判定にはなってないみたいや。
相変わらず先輩やることエグいなあ……。部長として現役やった頃もこんな感じしとったっけ。
『おらおらおら! さっきから殴られっぱなしですかぁ!? 反撃してみなよ、タマついてるんでしょ? ねぇ!』
バゴン、バゴン、と殴られるたびに装甲がひしゃげていくレギンレイズ。もはやここまでくると反撃するも何もって感じやな。
それから数回ほど殴られて、完全にコクピットが潰れたことで撃墜判定になったらしくレギンレイズが沈黙する。
昭弘のグシオンリベイクフルシティに潰されるイオクの気分やったろうな……。レギンレイズのダイバーさん、南無やで。
『チッ、タマ無しが……。さ、ここらへんにも敵はいなさそうだし、進もうかマキナちゃん』
「あ、はい」
さっきまで敵をボコボコにしとったとは思えんほどの切り替えの早さ。
それからも一機、二機くらいの敵とぽつぽつと遭遇戦をしつつも進んでいく。いよいよ
『ふはははは! 俺のスーパーハイペリオンは無敵だ!』
『なっ、ビームが反射されて……!?』
なんか金色のハイペリオンガンダムが待ち構えとった。しかもその金ぴかは派手なだけの見掛け倒しっていうわけでもないみたいで、他からやってきた緑色のドム・トローペンが、自分の放ったビーム・バズーカを反射されて爆散した。
『ヤタノカガミかあ。GBNだと性能再現にとっても苦労するって話だけど……』
「ビームが効かないとなると、ウチは厳しいですね……」
手持ちの武器はGNビームピストルⅡと、後は膝アーマーに残っとるGNビームサーベルだけや。実弾のGNミサイルはギャプランに使ってもうたしなあ。
『ビームが効かへんなら、ミサイルで!』
『行って、ファンネルミサイル!』
また別方向からやってきたクスィーガンダムとガンダム・端白星のカスタム機らしい機体がミサイルを放つ。けどハイペリオンは避けるそぶりすら見せない。
『無駄だ! アルミューレ・リュミエール起動!』
機体全体を覆うようにビームシールドが展開され、ミサイルの雨を防ぎきる。ビームはヤタノカガミで、実弾はビームシールドで、隙を生じぬ二段構えの守り。これは厄介なやつが門番しとるなあ。
『んー、あのハイペリオン、中々の作り込みしてるねぇ……。マキナちゃん、対ビームコーティングしてるアーマーシュナイダーとか持ってない?』
「持ってたとしてもリーチ足りませんよ」
『だよねぇ』
ハイペリオンが出てくる作品だと、確かに対ビームコーティングのされたアーマーシュナイダーで切り裂いたりとかもしとったけど、さすがに懐に飛び込んでいくには刃が短すぎる。
先輩の機体も、あのハイペリオンのビームシールドを突破できる武器は持ってないしどうしたものか。
『あのぉ』
いっそここは諦めて迂回するかと考えていた時、さっきミサイルを撃ってたガンダム・端白星のカスタム機とクスィーが近づいて来た。
『あ、すいませんお話し中に……。ただ、少し聞こえてきて。対ビームコーティングされてる武器があれば、いいんよね?』
『まあ、あの厄介なビームシールドを切り裂いて本体にダメージを与えられるからねぇ』
「ある程度のリーチは欲しいですけどね」
『それなら、わたしのレヴィアタンのロングブレードライフルならお役に立てるかもしれへん。この武器、一応は対ビームコーティングしとるから』
そう言って、そのレヴィアタンという名前の機体は手に持っている長物の武器を掲げて見せる。ふぅむ、なるほど。確かにこれなら大丈夫そうやね。
『あのビームシールドさえなんとかすれば有効打を与えられるんよね? ならわたしが突っ込んで……』
「まあ待ち。それなら斬り込み役はウチが行くで。この中やと装備的に一番武器の射程が短いのはウチのシャルトーネや」
先輩のジャジャバルカンも、バルカン砲は中距離くらいまでは届くやろうし。そうなると射撃武器が射程の短いGNビームピストルⅡしか残ってないウチが突っ込むのがええと思うんよな。
『でも、ええんですか? わたしのレヴィアタンはナノラミネートアーマーあるから、ある程度のビームなら耐えられるんやけど』
「構わんよ~。どうせニートするなら働かせてぇな。あ、そういえば自己紹介がまだやったな。ウチはマキナやで~。こっちは先輩のレンカさん」
『レンカさんでーす。よろしくねぇ』
『わたしはマリンて言います』
『私はカノンなのだわ!』
一通りの自己紹介を終えて、改めて役割を決める。といってもハイペリオンのビームシールドを叩き切る突っ込み役はウチで、後の三人は敵の注意を引き付ける役っていうシンプルなもんなんやけどな。
「さあ、行くで!」
『オッケー』
『了解、さあこっち向きぃや!』
『ライフルでけん制するのだわ!』
マリンさんのレヴィアタンから借りたロングブレードライフルを手に、ハイペリオンの視界から外れるように少し大回り気味に突撃する。
その間に先輩のジャジャバルカン、マリンさんのガンダム・レヴィアタン、カノンちゃんのクスィーガンダムが弾幕を張る。特にレヴィアタンとクスィーはミサイルを温存するために超高インパルス砲とビーム・ライフルで弾幕を張る。
『無駄だと言ってるだろう! 俺のハイペリオンの守りは無敵なのだから!』
先輩のジャジャバルカンの実弾を警戒してか、ビームシールドを展開したまま反撃をするハイペリオン。
アルミューレ・リュミエリールは普通のビームシールドと違って、展開中でも裏から攻撃できるっていうインチキくさい能力を持っとる。
つまり自分は敵の攻撃を防ぎながら、自分は敵に一方的に攻撃できるってわけやね。なんとも陰湿な戦法やけど、対抗策がなければまず破られんというのは厄介や。
けど、今のウチはその対抗手段を持っとる。
「片方だけに気を取られとったらあかんよ!」
『な、こいつ対ビームコーティングを!?』
鉄壁に見えた光の盾を、ロングブレードライフルが切り裂く。片方のビーム発生器を両断して、返す刃でもう片方もぶった切る。
「これでもうビームシールドは張れんな!」
『チィッ! だが、俺にはまだヤタノカガミが……!』
『いいや、
『ファンネルミサイル、持っていくのだわ!』
ビームシールドが消滅したのを確認して、飛び退いたウチと入れ替わるようにレヴィアタンとクスィーの放ったミサイルが、ハイペリオンに直撃する。
ヤタノカガミは対ビーム射撃攻撃に対してはほぼ無敵ともいえるほどの防御力を発揮する。けど、実弾にはめっぽう弱い。
『ば、バカな、この俺のハイペリオンが負け……ぬぼぁぁぁ!?』
金ぴかハイペリオン、撃破。いやー、強敵やったね。
『やったー! 倒したのだわマリンさん!』
『せやな。わたしたちの勝利や』
『バトル自体はまだ勝ち負け決まってないけどねぇ。でも、ほっといたら面倒なのを倒せたのはよかったよぉ』
「ふぅ……。マリンさん、武器貸してもろてありがとうな。助かったで」
ピキ
「ん?」
バキィ!
マリンさんにロングブレードライフルを返そうと近づいたら、そのロングブレードライフルが綺麗に真っ二つになる。なった。
「なぁ!? お、お、お、」
折れたぁぁぁ!?
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あの後。拠点エリアの制圧によって、バトルは
バトルの後、ウチはロングブレードライフルを壊してしまった件をマリンさんに謝り倒した。お詫びもしようかと思ったけど、これは自分の作り込みの精度やからと、許してもらえたで。
マリンさん、その名前のように心の広い方やったな……。フレンドコードもお互いに交換して、機会があればまたということで分かれたのが数十分前。ウチは先輩と少しだけGBN探訪をしてから、ログアウトした。
「もうこんな時間かあ。やっぱりバトルとかミッションとかしてると時間が過ぎるのが早いねぇ」
「そうですね。ウチはもう帰りますけど、先輩はどうします?」
「私も帰るよぉ。明日もお仕事があるからねぇ」
そう言って先輩はジャジャバルカンをタッパーに詰める。仕事……まあ、先輩は進学やのうて就職したんやったな。
「んー、はぁ……。今日は楽しかったぁ。久々の休日で羽を伸ばせたよぉ。マキナちゃんもいつかお仕事するなら、求人情報だけじゃなくて会社の情報もしっかりと集めておいた方がいいよぉ? そうでないと十何連勤とか余裕なブラックなところで働く羽目になるんだから」
「はぁぁぁ……」と先輩はマリアナ海溝よりもなお深いため息を吐く。その目は黒々と濁っとった……。
ウチはまだ学生やけど、経験者が物語るのを見ると将来というものに対してのぼんやりとした夢とか希望とかそういうのが削られていくのを感じる……。
「あはは……。そないな貴重な休日、ウチなんかの様子見に来るのにつこうてしまってよかったんです?」
「んー? まあ、様子を見に来たっていうのは理由の半分くらいだよぉ。服の整理してたら百合星の制服が出てきたから、懐かしくなって今でも通用するかなぁ? 思って着て来ただけ。みんな百合星の生徒だと思って通してくれたんだよねぇ」
「あんた何してんねん」
思わずツッコミが出てしもうた。百合星の制服着てるんはそういう理由かい。ていうかセキュリティ! しっかりしぃや、不審者が校内に入って来とるで! この人OGやけど!
「マキナちゃん、長く社会人を続けるコツはねぇ。定期的にキチゲ発散しとくことなんだよぉ?」
「いや長くって先輩が卒業したの数か月前でしょ」
なんか社会人数年ですみたいな顔して言ってるけど、まだ数か月の駆け出しやん。
「やぁん、マキナちゃんのツッコミが冷たい。私ってば泣いちゃいそう。よよよ」
「はいはい」
まったく、そんなことで泣くような人じゃないやろに。
「……ふふふ。久々にマキナちゃんと話せて、GBNも遊べてよかった」
「いつでもまた会えますよ。ウチもGBN、またやってるんで」
「そうみたいだねぇ。でも、時間的には合わないかもしれないねぇ。ログインできるのは大体深夜だから」
「いや、深夜になるなら寝てくださいよ」
「ふふふ、ブラック社畜はねぇ、終電間際に帰ってきた深夜帯くらいしかゲームを遊べる時間なんてないんだよ……。マキナちゃんも社会人になったらわかるよぉ」
「後輩の将来に対する夢や希望をぶっ壊すような発言はやめてもらえます!?」
黒々とした目で闇を吐き出す先輩。ヤンデレかな?
「まあでも、GBNを続けていればどこかで会えるかもしれないねぇ。マキナちゃんが新しいフォースを組んだら、フォースバトルの相手になるって可能性だってあるし」
「フォースですか」
「ふふふ。私が今いるのはフォース『二十二字軍』ってところ。もしバトルするようなことがあったら……コテンパンにしてあげるねぇ?」
いやそこは手加減してあげるねぇ? やないんかい。
「それじゃあ、またね。マキナちゃん。美術部とのガンプラバトル、頑張ってねぇ」
それだけ言って、先輩は去っていった。
……よく考えたら、直接会いに来んでもダイバーギアのメール機能使えばよかったんじゃ……?
―――To Be Continued
直接会いたい、そんな日もある。
『ガンダム・レヴィアタン』と『マリン』、『クスィーガンダム』と『カノン』を『ガンプラバトルがクソ雑魚でもGBNで遊びたい』から少しお借りしました。
『金色のスーパーハイペリオン』と『ホッシー』を『ガンダムビルドダイバーズ アナザーテイルズ』から少しお借りしました。