サカイ・マキナは蛮族の手綱を握りたくない。 作:青いカンテラ
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「―――模型部の活動は、主にガンプラを作ったりすることなんやけど、アマツガさんはガンプラを作ったことはある?」
「ミナカでいいよ! ガンプラは初めて!」
「ふむ。ガンプラ初心者か。ならまずは、あそこに行こか」
「あそこって、どこに行くの?」
「ガンプラで行くといえばもちろん、ガンプラショップやで!」
「というわけで、やって来たで!」
「ここって……」
「喫茶店よね? どう見てもガンプラを売っているお店には見えないけれど」
ルベリアが復活した後にルヴィーラさんに車を出してもらい、やって来たのはあるお店の前……。
ミオとルベリアが疑問符を浮かべるのも無理はない。確かにそこは、外見こそ二階建ての喫茶店にしか見えへんからな。
けど、中身はれっきとしたガンプラショップなんやで。……まあ、店主さんはちょっと変わり者やけどな。
「ステ……ラ? 星?」
「ステッラ・デッラ・グイーダ。……イタリア語で『導きの星』という意味ね」
表に出ている看板に店名として書かれている『Stella Della Guida』にミオが目を通す。頭のところを読んだところで、ルベリアが続きを読み上げた。
「……それで、ここがマキナのおススメなガンプラショップ? どう見ても喫茶店だけど……」
「そやでー。見た目はこんなやけど、中身はちゃんとしとるから安心してや」
「いやまあ、疑ってるわけじゃないんだけどさ」
そう言って店の外観をもう一度見るミオ。確かに、初見やと困惑するよな。ウチも初めに入った時はそうやった。
「賑やかな声がすると思えば……お客さんかしら」
カランカラン……。とドアベルの音が鳴り、店のドアが開く。そこからそっと顔を覗かせたのは、淡い金髪を三つ編みにして肩から前に流しとるエプロン姿の女性。
「あ、エミさん!」
「あら……。マキナちゃん。しばらくぶりね。……その子たちは、お友だち?」
「そんなところです!」
その人は、エミさん。この外観が喫茶店なガンプラショップ『
「今日はこの、ミナカのガンプラを買いに来ました」
「アマツガ・ミナカだよー! よろしくね!」
幾分か抑えた大声で、ミナカが右手をシュパッと上げて挨拶をする。それでもまた耳がキーン! となってダウンするのを防ぐためか、ルベリアの耳をルヴィーラさんが手で押さえとるけど。
「あらあら、ふふ。とても元気がいいお嬢さんね。……ガンプラよね? ちょうど新しいものも入荷したから、よく見て選んでいってね」
そう言って、みんなを店内へと招き入れるエミさん。入ってすぐ、目立つ場所に置かれた分厚いアクリルケースが目に入る。そこに飾られとるのは、もちろんガンプラや。
それはビギナ・ロナをベースにして、バスターランサーの代わりにマスケット銃型のガンビットを収納したホルスタービットを備えた、エミさんのガンプラ……。その名も『ティラトーレ・ジャッロ』。
白を基調に、黄色やオレンジで塗装されたそのガンプラが、店内のライトの光を受けて輝いとる。
「うわ、すごいガンプラ……。だけど」
ティラトーレ・ジャッロの完成度に息を飲んだのも束の間、すぐに店内を見回すミオ。
「やっぱり喫茶店じゃない?」
そう、店の中央、目立つところにエミさんのガンプラが置いてある以外は、店内の内装は喫茶店にしか見えへん。実際居ぬき物件をそのまま
「ふふ、一階はね。ガンプラがあるのは二階なのよ」
「喫茶店とガンプラショップ、二つの側面を合わせ持っとるってことなんやで」
「なんでマキナがドヤってんのさ……」
「わー、喫茶店とガンプラの組み合わせなんて、面白いお店だねー!」
「確かに、他にはないようなお店ね。店内に置かれている調度品も拘りを感じるわ」
「ありがとう。製作スペースは一階にあるから、二階でいいものを見つけたら、こっちですぐに組むこともできるわよ」
ルベリアは一階に残るということで、ウチとミオ、ミナカの三人で二階に上がる階段へと向かう。
「ほんなら、早速行こうか」
「そうだね……」
「うん! どんなガンプラがあるのかなー!」
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所狭しとガンプラの箱が積み上げられとる天井近くまである棚には、一般販売されてるものはもちろん、中にはプレミアム財団B限定のものや、再販されずにレアキット化したものもある。
さすがにガンダムベースと比べれば種類は絞られてるけど、それは逆に言えばエミさんが選んだこだわりのガンプラたちがここにはあるということやな。
「すごーい! ここにあるもの全部ガンプラなのー!?」
「そうやでー。一応はグレードごとに分けられてるから、ある程度探す手間は省けると思うで。それじゃあ、ウチはビルドコーナー見てくるから。ミナカもティン! と来るガンプラ見つけるんやで」
「うん、また後でねー!」
大きく手を振って、ガンプラの棚と棚の間に入っていくミナカ。それを見送って、ウチはフロアの隅にあるお目当てのコーナーへと向かう……。と、ミオも後ろをとてとてとついて来た。
「ミオはガンプラ見て来んの?」
「いや、ボクもビルドコーナーに興味があるから……。どんなものが置いてあるのかなーって」
なるほどな。ミオはこの店は初めてやしな。そこのビルドコーナーとなれば、どんなものがあるかは気になるか。
ミオも腕のいいビルダーやしなあ。あのティラトーレ・ジャッロの完成度の高さを見たら、エミさんが手がけた他のパーツも気になってくるのは自然なことやな。
「ここのビルドコーナーは凄いで~! なんせエミさん手ずから作ったビルダーズパーツの他にも、オリジナルの武器なんかもあるんや」
「へー……。そうなんだ……」
「なんや気のない返事やなあ。まあ、ええけど。……そんで、今回のウチの目的はそのオリジナル武器や」
目的はもちろんシャルトーネの強化。軽装寄りなシャルトーネに、何かガツンと一発できそうな武器を持たせてやりたいねんな。
ここに来たのはミナカのガンプラもためでもあるけど、エミさん謹製の武器を見ておきたいというのもあった。
具体的にこんな武器が欲しい! みたいなのはないけど、まあ、それも武器を見てれば何かティン! と来るものが一つくらいはあるやろ。
「武器、かあ……。火力が欲しいなら大型レールガンとか、ビームバズーカとかを持てばいいんじゃない?」
「あー、それも考えたんやけど、やっぱり大きい武器やと取り回しがな。それに、シャルトーネの機動性も下がるし」
ミオの言う通り、火力増強の手っ取り早い方法は大型武器を持つことや。でもあまり大きい武器は取り回しに難があるし、どちらかと言えば機動性に重きを置いてるシャルトーネの機動力低下にも繋がりかねん。
そうなったら本末転倒や。だから比較的小さくて、でも一撃の火力はある、みたいなのが欲しいんよな。そんな武器そうそうないやろっていうのは分かってるけども。
まあ、いざとなったらGNアームズみたいなのでも作ればええとは思うねんけど、ただアレも今やとプレ値が付いてて、学生のお小遣いやと手が出しにくいんよな。
「そうなんだ。……ボクなら、マキナのためならいくらでも武器作ってあげるのにな……」
「ん?」
「コホン……。あ、ここみたいだね」
ミオと喋ってたら、お目当てのコーナーに着いていた。そこには壁に沿って配置されたワイヤーネットに、ビルダーズパーツや武器、防具といったパーツがビニール袋に小分けにされて吊るされていた。
「……へー、思ったよりも種類があるんだ」
ざっと見ても各パーツで数十種類ほどあるそれらを前にして、ミオが目を丸くする。個人のやってるガンプラショップで、これだけの品揃えがあるんは珍しいからな。
「ウチは射撃武器系を見てくけど、ミオはどうする?」
「ボクは近接武器を見てるよ。よさそうなのがあればベルフェゴールにも持たせられるし」
「そか。なら、後で合流やな」
「うん。また後で」
ビルダーズパーツコーナーの前でひとまず分かれる。射撃系武器、といってもこれも種類がかなりある。
サブアームとして腰のアーマーやシールドの裏とかにちょこっと取り付けておけるハンドガンに、ウチのシャルトーネがメインで使ってるマシンガン系。
それに折り畳み式のスナイパーライフルに、大型大口径のアンチマテリアルライフル。もっと大きくなるとガトリング、バズーカ、キャノン、となっていく。
中には複数の武器が組み合わさってる武器や、銃身下部が近接ブレードになっとるライフル。変わり種やと長身のライフルに巨大なハサミがくっ付いた武器なんてのもある。
「うーん。複合タイプの武器一つとっても、色々とあって悩むな……」
フェダーインライフルをベースにしているであろう、ハサミの形をしたクローアームユニットと合体した武器を手に取ってみる。
これ一つで射撃戦と近接戦の両方に対応できるし、刃も中々の切れ味をしているようにも見える。けど、なんかしっくりとはこーへんな。
そもそもサイズ的に敵をハサミで挟んで倒すというよりも、その武器や盾を破壊するための用途に見えるし。一発ズドンっていくタイプでもないしな。
「いっそダインスレイヴでも小型化して持たせてみるか……?」
鉄血のオルフェンズに出てくる禁止兵器、ダインスレイヴ。禁止と言いつつも最後当たりはギャラルホルンが鉄華団殲滅のために使いまくってたそれは、禁止兵器と言いつつも同名の射出機構を備える機体は多い。
実際に劇中で引き合いに出されたガンダム・フラウロスは当然だし、ギャラルホルン側のガンダム・フレームであるガンダム・キマリスヴィダールも、大型ランスとシールドとの連結でダインスレイヴを撃つ機構がある。あとは外伝作品に出てくるガンダムアスタロトも火薬式のダインスレイヴを備えた武器を持っとる。
GBNでも強力な武装の一つとして認知されとるし、小型化してシャルトーネに載せるというのも悪くはなさそうに思える。一発ズドンと行く、という意味でも合ってるしな。ただ、ダインスレイヴって基本は一発使い捨てやからなあ。
さて、どうしたものかと考えていると、ドタドタという足音と共に一つの箱を抱えたミナカが走って来た。
「マキナ、マキナ、マキナー! 私、ガンプラこれにするー!」
「こんな狭いところで走ったら危ないでー。と、それは……。ファントムか。ええとこ見つけてきたなあ」
ミナカが掲げて見せたのは、全体が淡い緑色になっとるガンプラの箱。それは一般販売されとるガンプラとは違う、プレミアム財団Bの限定商品。ファントムガンダム……。機動戦士クロスボーン・ガンダムゴーストの主人公機やな。
「えへへ、このガンプラが私を呼んでた気がするんだぁ。だから、これにする!」
「ティンと来た! ってやつやな。そのガンプラ、組んでいくんか?」
「うん! 私、一階に行ってくるねぇ!」
「ミナカ、急ぎすぎて転ばんようになー! ……ほんま、見た目と中身のギャップが激しいなあ」
階段を駆け下りていくミナカを見送って、思わず呟きが漏れる。ガンプラ製作なら一階におるエミさんが教えてくれるやろうし、ウチは探し物の続きでも……。と、そこにミオがやって来た。
「あー、マキナ? 今、大丈夫?」
「ええけど。どしたん、ミオ」
「あの、これ……。近接系のオリジナル武器のところにあったんだけど、マキナのシャルトーネに、どうかなって」
おずおずと差し出してきたのは、一見すると少し分厚いシールドのようにも見えるパーツやった。けどそれは、まさにウチが求めとった、
「これは……。ええやん! サイズもちょうどやし、威力もありそうや! こんなええパーツ見つけてくれるなんて、おおきにな、ミオ!」
「あ、うん。マキナが喜んでくれたのなら、ボクも嬉しいよ。へへ……」
感謝の意を伝えると、顔を赤くして頬を掻くミオ。
「よし、他にもパーツを買ってシャルトーネの強化するで!」
―――To Be Continued
【天津牙美無花(アマツガ・ミナカ)/ミナカ】
【一人称/私】
【身長/162cm】
東京からやって来た転校生。輝くような銀髪に、左右で色が違うオッドアイの瞳、人形のように整った顔立ちと、黙っていれば少し憂いを帯びたお嬢様。ただし口を開くと声のデカい元気っ娘。
【エミ】
【一人称/私】
【身長/157cm】
元は喫茶店だった店舗を居抜きで改装しているガンプラショップ『
店舗の二階部分でガンプラを販売しており、自作のビルダーズパーツも置いている。各パーツつにはそれぞれイタリア語で名前を付けるのが拘り。
ヒロインは
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ヨノモリ・ミオ
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ルベリア・朝日奈・リベロール
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構わん、両方抱け。