サカイ・マキナは蛮族の手綱を握りたくない。 作:青いカンテラ
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「わぁ、すごーい! ファントムがおっきくなってるー!」
「ふっふっふっ、GBNといえば自分で作ったガンプラを格納庫で見れるのも醍醐味の一つやからな」
連戦ミッションを受けたウチらは、その出撃前に一度格納庫へと来とった。そこにはウチらの使うガンプラが並び、出撃の時を今か今かと待っている。
ウチのシャルトーネに、ミオのベルフェゴールラージュ、ルベリアのマルコシアス。それから今回は新しくミナカのファントムガンダムが並ぶ。
リアルやと小さいガンプラやけど、ここGBNではほぼ原寸大までに拡大される。自分で作ったガンプラに、乗り込んで動かせる……。
スキャン時に取り込んだままの姿を再現されたガンプラは、迫力もあるしゲームへの没入感も高めてくれる。ただ、なにもええことばかりやない。
「……私のガンプラ、みんなのよりも……傷だらけ?」
「それなー、初心者のうちは結構あるんよな」
見比べて、むむむと唸っているミナカ。ファントムガンダムはよー見れば、装甲の所々が抉れてたり、リアルやとシールになっている部分が少しずれていたりする。
ガンプラをスキャンしてGBNで再現している都合、機体が大きくなればそれだけ小さな傷やシールのよれも拡大されてしまう。こういうところは耐久のステータスにも関わって来るんよな。
「リアルだと気にならないくらいの傷も、GBNで見るとかなり目立つんだよね」
「それだけヤスリ掛けは重要になって来るのよね」
うんうん、と頷いてる二人。経験者は語るってやつやな。まあ、ウチもヤスリ掛けはかなり気を使ってる作業やけど。
「……私にも、できるかな。みんなのガンプラみたいに」
「もちろん。ミナカもビルダーとして腕を磨けばミキシングも改造もできるようになるで」
「そして知るんだよね。ヤスリがけは虚無を詰めた作業だって」
「虚無?」
こてん、とミナカがかわいらしく首をかしげる。
そのうち分かるで。そのうちな……。
「ま、その話もまた追々な。まずは連戦ミッションでミナカのダイバーポイント稼ぎしてDランクにせんとな」
「そうだった! 早く行かないと!」
「まあ待ちぃ。GBNの醍醐味がまだあるで」
「何個もあるね、醍醐味」
ミオの呟きは聞き流すとして。せっかくGBNに来たんやったら、やっぱりアレは外せんからな。
「わー、すごい、動いてる!」
「GBNと言えば、カタパルトからの発進! これは外せんで!」
「ガノタの興奮ポイントだね」
台ごと移動し、ミナカのファントムがカタパルトへと接続される。
「さあ、思い切って行ってみよか!」
「ファントムガンダム、ミナカ、いっきまーす!」
音声入力でカタパルトが作動し、ファントムを打ち出す。空中に投げ出されたファントムは最初こそ危なっかしい動きをしとったけど、すぐに体勢を整えた。
「ん、大丈夫そうやな。ほんなら、ウチらも行こか」
「そうだね」
「ええ。続きましょう」
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連戦ミッション『ホンコン・シティの落日』……。それは『機動戦士Zガンダム』のエピソードをモチーフにしたミッションで、目的地であるホンコン・シティを目指して移動しながら敵部隊と交戦。途中で補給を挟んで、ミッションボスのサイコガンダムを撃破すればクリア。
ミッション自体の推奨ランクは低めやけど、ボス機体がサイコガンダムということで人数が揃ってないと中々厳しいミッションではある。後はまあ、飛行スキルか単独で飛行可能な機体も要るやろうな。
『マキナ! そっちにガルバルディが行ったよ!』
「了解や! いくらSFSやろうと、空中での機動性はこっちのが上や!」
ミッションのフェーズ3。戦いは海洋と空中へと場を移しとった。敵のメインはティターンズやからか、水中からちょっかい掛けてくるような敵はおらん。
けど、敵の大型輸送機からは
「っとぉ……! 危ないなあ、これで、落ちろ!」
大気圏内用のベースジャバーから放たれたメガ粒子砲を回避して、ライフルを照射モードで放つ。
ベースジャバーと、それに乗っとったハイザックがビームに焼かれて爆散。エース機として設定されとるらしいガルバルディβはビームの照射を飛んで躱すと、スラスターを吹かして飛びながらこっちに向かってくる。
「そっちから向かって来るんなら……!」
ビームライフルとミサイルをけん制にしてビームサーベルで斬り込んでくるガルバルディβに、ライフルを回転させてシザーアームを展開。振り下ろそうとしてた腕を挟んで、そのまま破壊した。
「これで
そのままコクピットにハサミをぶち込むと、パイロットキル判定になったガルバルディβが沈黙する。
「さて、他のみんなは……」
動かんなったガルバルディβを落としながら、今も戦っとる他の三人へと目を向ける。
『チェストォォォ!』
ルベリアのマルコシアスが大太刀でベースジャバーを両断し、乗っていたハイザックが空中に放り出されて動きが鈍ったところを逃さず、二機とも切り捨てる。さすがルベリアは戦い慣れとるな。
『空中戦はSFSに頼らざるを得ないのがそっちの欠点だよねぇ!』
ミオのベルフェゴールラージュが、両腰に備えたワイヤークローを射出する。シュヴァルベ・グレイズからコンバートされたそれは、強靭なワイヤー強度によって、クローが突き刺さったベースジャバーすらも振り回せる。
『どっせぇぇぇい!』
ガンダム・フレーム機特有のハイパワーもあって、振り回したベースジャバーを引き寄せると、両手に持った峰にトゲの付いた大振りの片刃剣で乗ってた機体ごと真っ二つにする。
『よし、次!』
新武器もかなりええ感じみたいやな。ウチも負けてられへん。そんで、後は……。
『でりゃぁぁぁ! てりゃ、てりゃ、てりゃ!』
ミナカのファントムが、
ここまでのフェーズでもそうやったけど、どうにもミナカには射撃の才能は無さそうやと感じる。このミッションの最中の戦いでそう思えてしまうほどに、ミナカの射撃はいっそオモロいくらいに掠りもせん。相手が低難易度用のNPDで回避が甘いにも関わらず、や。
『ああ、もう、当たんない! ならば!』
何を思ったかバタフライバスターBを投げ捨てて、ファントム・ライトのパワーに任せて加速。ベースジャバーに追いつくと、なんとそのまま殴りかかった。
ハイザックが慌ててビームサーベルを抜いて応戦しようとするものの、ファントム・ライトによってビーム刃が流されてしまい機能不全に。その間にもファントムに殴られてメインカメラが破損。胴体を蹴られたことで空中へと叩き出され、落下していった。
……。ワイルドな戦い方やね!
「っと、ミナカ危ない!」
「えっ!?」
ヒート・ホークを手に、背後から切り掛かろうとしたハイザックに向けて、ハサミ付きのライフルを投擲。勢いのままにバックパックに深く突き刺さった刃は、どうやらコクピット判定もぶち抜いたらしい。そのままがくり、とハイザックは動かなくなる。
「ミナカ、その武器使ってええで!」
『うん、マキナありがとー!』
ハイザックから武器を引き抜いて、ミナカのファントムが次の敵へと向かっていく。せっかくの新武器を手放してもうたけど、まだ武器はあるからな……。
両脚のマウントラッチからGNサブマシンガンを取って、敵を下ろし終えて離脱しようとしてる敵の大型輸送機の方へと向かう。撃墜すれば追加報酬の対象になっとるからな。稼がせてもらうで!
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「敵の数がやたらと多かったけど、フェーズ3も終わったね」
「次はいよいよ、ホンコン・シティへ上陸かしら」
途中の補給ポイントになっている、カラバが持つガルダ級の格納庫で消耗した機体の応急修理と消耗したエネルギーや弾薬の補給が完了するのを待つ。
その間に、ミオとルベリアがいよいよ中ボスとミッションボスが出てくる次のエリアについて話し合っていた。
難易度低めかつ撃破されてから少し間をおいていたとはいえ、さすがに合計四十機近い敵と戦うのは疲れたな……。たまに混ざっとるエース機扱いのガルバルディβはちょっと手ごわかったし。
まあでも、敵が多かったということはその分ポイントも期待できるというものや。それにこの連戦ミッションも次のフェーズ4とミッションボスで終わりやしな。
さすがに中ボスの取り巻きがわんこそばみたいに次々出てくる! なんてことはないやろうし、そう考えればいくらか気が楽やね。
「ねぇねぇ、マキナー」
「んー? なんやミナカ」
休憩しとったら、隣にやって来たミナカがシャルトーネの方を見ながら口を開いた。
「マキナのガンプラって、ミオともルベリアとも違うよね? 女の子だし」
「ああ。あれはなー、美プラって言うんやでー」
「美プラ?」
「せや。ウチはガンプラやと思っとるけどな」
ついでなので美プラ、いわゆる美少女プラモについて軽く話をする。開祖になったすーぱーふみながどうとか、それを元にして財団Bが乗っかって、30MSという商品展開を始めたとか……まあ、そういうのはともかくとして。美プラとは何か? について、ほんまに触りだけをサラッと。
ミナカはウチの話を、馬鹿にするでも無くイヤそうにするでも無く、むしろ興味津々といった風に聞いてくれた。大体こういう話をすると「ガンプラをバカにするな!」だの「美プラを使うなどガンプラバトルを愚弄している!」だのおかしなこと言われたりするんやけど……そこらへんは拗らせてるやつと、ガンプラに触れて間もない人間との反応の差ってところか。
「―――と、いうわけでなあ。女の子をモデルにした素体に、MSのアーマーパーツを着せとるのが、ウチのガンプラ。シャルトーネってことや」
「そうなんだ! だから、ミオやルベリアのガンプラと違うんだね!」
キラキラとした目でシャルトーネを見るミナカから目を逸らす。そしてウチは、胸の内に湧き出たモヤっとしたものを、思わず口に出していた。
「な、なあ……ミナカ……。変やと思ったり、せぇへんか……? ウチはシャルトーネのことをガンプラやと思ってるし、ウチの好きって気持ちを詰めとるけど……。美プラだと言われたらなんも言えんし……」
「なんで? シャルトーネには、マキナの『好き』が詰まってるんでしょ? それをおかしいなんて思ったりしないよ!」
「それにシャルトーネもとっても可愛いし!」と言って笑うミナカ。その裏表なんかあらへん笑顔に、ウチの心の内にあったモヤっとしたものが、消えていく感じがする。
「二人して何の話をしてるの?」
ミナカの光に充てられとったら、ミオがやって来る。そしてミナカはいつものように元気な声で、
「マキナが好きって話ー!」
と言った。その瞬間、
「はぁ?」
ミオがじっとりとしたジト目をする。何かわからんけどここだけ空気が重くなったような気がする……!
「いや、違うて。ウチのシャルトーネにはウチの好きが詰まっとるってことや」
「そうそう、そういうこと!」
「……なんだ、ボクはてっきり……。んん。もうすぐ補給が終わるから、出撃の準備しといてね」
ついさっきの重い空気は霧散して、ミオは自分の機体の方へと向かっていく。……何か知らんけど身の危険を感じたわ……。
補給を終えて万全になったウチらは、次のフェーズの戦場となるホンコン・シティに降り立った。
Zガンダムの本編やと、このミッションのボスになっとるサイコガンダムが大暴れするその街は、当然やけどまだ戦場になってないからか綺麗なもんやった。
「さあ、そろそろ中ボスのお出ましやで」
【WARNING!】の警告音と共に、このフェーズで戦う中ボスが姿を現す。それはティターンズが誇る、空中戦闘に特化した試作型MS。バイアラン。
「っ! 高エネルギー反応!」
今まさに戦いが始まろうとしたところに、さらに上空から大出力のビームが割って入って来る。それはバイアランを飲み込んで、一瞬にして蒸発させてしまう。
そして、そのビームが当たった地面はぐつぐつと溶岩のように熱気を放っている。そのバカげた威力のビームを放って中ボスを瞬殺したのは、ジンクスの改造機らしき機体。
『ここまでごくろーさん。お前らはもうリタイアしていいぞ』
「な、なんやアンタは!? 連戦ミッションに割って入って来るなんて……!?」
モニターにポップしたのは、アロウズの制服を着たドーベルマンモチーフの獣人。声からしておそらくは男……やと思う。
『聞こえなかったか? ミッションボスは俺が始末しておくから、お前らはとっととリタイアしろって言ったんだよ。この程度も分からないか?』
『いやだから、なんでお前なんかに譲らないといけないわけ? ここまでミッションをこなして来たのはボクらだよ。それを、美味しいところだけ持って行こうって?』
『ハッ。連戦ミッションっていうのは、最後のボスが一番うまいんだ。けど、そこまで行くのは面倒だろ? だから、連戦ミッションをやりそうなやつに目を付けて、美味しいところの手前で頂くってワケよ』
心底馬鹿にしたような口調で言うドーベルマン獣人男。
『なるほど、ロビーで感じた視線はあなただったわけね……』
『ダメだよそんなズルしちゃ! そんなことしたって、楽しくなんかない! 横取りされた人だって、イヤな思いをしちゃう!」
『ハァ……。お前らさあ、あんまり真面目にやってると馬鹿を見るぜ?』
その言葉と共に、何度も見てきた禍々しいオーラを纏うジンクスの改造機。
『っ! ブレイクデカール……!』
『気が変わった。さっさと帰ってれば見逃してやろうかと思ってたけどよ、やっぱりお前らここで潰すわ』
ジンクス系特有の四つ目のカメラアイが、禍々しく輝いた。
―――To Be Continued
ヒロインは
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ヨノモリ・ミオ
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ルベリア・朝日奈・リベロール
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構わん、両方抱け。