サカイ・マキナは蛮族の手綱を握りたくない。   作:青いカンテラ

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(わたくし)が可愛いのは当然ね!」

 -06-

 

《GPEX SYSTEM START UP》

 

 目の前に英文が流れていく。前は毎日のように見てたそれに、どこか懐かしさを感じてしまう。

 

 結局あの後は流されるままにGBNの筐体に座って、あれよあれよという間にこうしてログイン画面を眺めることになっていた。

 

《Welcome to GBN》

 

 専用のゴーグルを付ける感覚も、操作スティックを握る感じも、何もかも懐かしく思えてしまう。離れていたのは、ほんの数か月くらいやのにな。

 

《Will you survive……?》

 

 君は生き延びることが出来るか? ガンダムの有名な一文をなんとなく目で追う。その数秒後に、意識が身体から切り離されて深い水底へと潜っていくような独特な感覚がやって来る。

 

 水底に向けて並んでいるいくつものゲートを潜り抜けて、ウチはリアルの『サカイ・マキナ』から、GBNのダイバーである『マキナ』へと組み替えられ再構築されていく。数十秒か、数分か。再構築が完了し、一番最初のログインスポットであるセントラル・ロビーにウチはおった。

 

「……ほんま久しぶりやな」

 

 セントラルロビーを行きかう多くのダイバーたち。GBNはとにかくアバターの自由度が高いのがウリの一つや。だからこそ、多種多様なアバターで賑わっとる。

 

 定番のガンダム作品のキャラクターの再現から、ファンタジー作品に出てくるよう戦士や狩人、体の一部を機械化したサイボーグに、はては二頭身のゆるキャラなんてのも。

 

 この雑多感。このごった煮こそGBNっちゅーゲームのオモロいところや。

 

 

 

 -07-

 

「さて、ミオたちはもうアカウント登録できたかな?」

 

 初回ログインということで、新規にアバターを作ってる最中なはずのミオとルベリアの二人を待つ間に、改めてセントラルロビーを行きかうダイバーたちを見る。

 

 GBNはアクティブユーザーが2000万人もいるなんて話もあるけど、夕方とはいえ平日にも関わらず多くのダイバーで賑わっているのを見ると、その数もあながち大げさに盛られているものではないんやと思えてくるな。

 

 もしもこの中ではぐれたりなんかしたら、もう一生会えんような気すらしてくる。砂漠の中から針を探す~みたいなアレと同じや。そう考えると、なぜこのゲームで挨拶代わりにフレンドコードを投げ合うのか、みたいなのもわかるってもんやな。

 

「……マキナ?」

 

 そんなことを考えていると、おずおずといった感じの声が掛けられる。この声は、ミオやな! そう判断して、その声の方に振り向く。

 

「ミ……! オ?」

「よ、よっすー」

 

 そこにおったんは、確かにミオやった。青みがかった銀髪に青い瞳。ただ違うのは頭に二本の角が生えていて、長い尻尾が生えてるところや。あとは、そう、ウチと()()()()()

 

「……」

「な、なに……? ボクの顔、何かついてる?」

「ああ、いや、いつものミオやけど……いやいつものミオとはちゃうけど。なんか小さないか? もっとデカいやろ」

「デカいっていうな。……そりゃあ、体形とか色々いじるよ。アバターなんだからさ」

 

 確かGBNって、リアルの体形をベースに色々変えていくんやったな。ケモ系とかの一部の非人間系は別やけど。例えばオコジョとかな。ああいうのって変えれるの服装とかくらいらしい。

 

 ミオはリアルやとウチよりもかなり背が高いしデカいけど、アバターのミオはウチと同じくらいの背格好になってる。つまり小さくて薄いってことや。……自分で言ってて悲しなってくるけど……。

 

 こんなに思いっきりアバターいじれるなら、ウチもやればよかったなあ。こう、数年後に急成長したお姉さんなウチを想像したりして、な!

 

「それにしてもミオ、服それでええんか? 他にもいろいろあったやろ」

 

 アバターの身長とかはいったん置いといて。改めてミオのアバターを見る。基本はリアルベース。まあ、身長とか体形とかいじってる関係で顔は面影があるって感じやけど。

 

 そこに頭に竜の角と腰からは尻尾が生えてる。そんで服装は暗めの青色のパーカーに同じ色合いのズボンという組み合わせ。正直地味やな。もっと腕にシルバーとか巻いた方がええと思うで!

 

「いいでしょ別に……。そんなこと言うならマキナだってフリル付きのミニスカエプロンドレスじゃん。……なんか、動いたら見えそうだし」

「これがウチのファッションなんや! それにスカートの中はバッチリ対策されてるから見えへんよ。ほら!」

 

 そういって、その場でくるっと回転して見せる。ふわり、と何重ものフリルがあしらわれたミニスカートが浮かび上がる。けど、()()は絶対見えんようになっとる。まさに絶対領域の鉄壁ってわけや!

 

 けどミオはなにやら神妙そうというか苦々しいというか、なんも形容のしがたい顔になってた。

 

「……マキナ、やっぱりミニはダメだよ。ここは原点に立ち返ってロングスカートにしよう? そのほうがいいって」

「えぇ? このミニミニがかわええのに」

「ならせめてタイツ履こう。白いやつ」

「なんやミオ、注文多いな」

「ね?」

 

 がしっ、とウチの肩を両手で掴んでずいっと顔を寄せてくるミオ。圧よ。

 

「……もう、しゃあないな……。これでええ?」

 

 すいすいっとコンソールを操作して、ガーターベルト付きのニーソを白タイツに変更。

 

「うん……。本当ならロングスカートにして袖も長くして肌の露出を抑えたい所だけど……OKだよ」

「これでローアングラーおじさんが来ても安心やな」

「そんなおじさんが出たら潰すけどね」

 

 笑顔でそんなことを言うミオ。どこを? とはさすがに聞けんかった。

 

「お待たせしたわね!」

 

 そんなやり取りをミオとしていると、ログインポートからアバター姿のルベリアが出てくる。こっちもリアルベースみたいやけど、ウチと違って髪の色や瞳の色は変更ないみたいやな。

 

 ルベリアは頭に赤いリボンを付けて、真っ赤に映えるドレス。足元はブーツでビシッとキメた、中々に気合の入った姿やった。腰に手を当てると、長い白髪をふぁさっと靡かせる。

 

「衣装選びに手間取ってしまったわ! なにせドレスだけでもかなりの種類があるんだもの!」

「おぉ。ルベリア、アンタのアバター姿かわええなあ。見た感じリアルベースからあんまりいじってないんやろ? やっぱり元がええとアバターもええなあ」

「ふふん。そうでしょう、そうでしょう! (わたくし)が可愛いのは当然ね! (わたくし)は見ての通りに美少女! なのだから!」

 

 わー、すっごい自信満々やん。ドヤァ……という表情もしてるけれど嫌味さを感じないのは美少女無罪ってところやろうか。

 

「もちろん! あなたたちも可愛いわ! この(わたくし)が断言するのだから誇っていいわよ!」

 

 断言された。ウチは可愛い。まあ、悪い気はせえへんけど。

 

可愛いとか、ボクにもそんなに言ってくれることないのに……

「……ミオ?」

「これで三人揃ったし、ミッションを受けに行こうよ。GBNを始めたらまずはチュートリアルするんでしょ?」

「そうね! GBNの初ミッションよ!」

「やる気満々やなあ。ほな、ミッションカウンターに行こか!」

 

 

 

 ―――To Be Continued




マキナはクソボケです。
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