サカイ・マキナは蛮族の手綱を握りたくない。   作:青いカンテラ

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幕間ー01
―――だから殺す。絶対に殺す。


 …

 ……

 ………

 

145:以下名無しのダイバーがお送りします。

またマスダイバーが出たって?

 

146:以下名無しのダイバーがお送りします。

みたいだな。今度はデュエルバトルスタイルを荒らしまくってるらしい

 

147:以下名無しのダイバーがお送りします。

デュエルバトルスタイルっていやあ、同ランク帯のダイバーと2on2で戦うっていうあれか?なんでまたそんなところに

 

148:以下名無しのダイバーがお送りします。

ちょっと前に流行ってた、連戦ミッションの最終フェーズだけをかっさらってくあれと同じだよ。バトルで消耗してるところを叩けば、大した労力も使わずにポイントが大量ゲットできるってわけよ

 

149:以下名無しのダイバーがお送りします。

しかもランクの差があっても参加できる連戦ミッションと違って、デュエルバトルスタイルはランクがある程度固定されるから、低ランクダイバーの集まりだと思って乱入したら実は高ランクのダイバーが混ざってて事故るっていうのも少ない。2on2だから人数こそ固定されるが、その分リスクも少ないんだ

 

150:以下名無しのダイバーがお送りします。

なーにがリスクだよ。こっちからすればマスダイバー野郎の方がリスクしかねえっての

 

151:以下名無しのダイバーがお送りします。

ちげぇねぇ

 

152:以下名無しのダイバーがお送りします。

俺らみたいな普通にガンプラバトル楽しみたいダイバーからすれば、あいつらはゲームの楽しみをぶっ壊すカスだからな。チートで俺TUEEEしたいなら他ゲーにいってろ

 

153:以下名無しのダイバーがお送りします。

他ゲーでもチーターなんかお断りなんだよなあ…

 

154:以下名無しのダイバーがお送りします。

そんなんいても許されるのは便秘とか幕末くらいだろ

 

155:以下名無しのダイバーがお送りします。

あ、おい待てぇ。便秘はバグを楽しむバグソムリエ狂人たちの楽園なのであってチートが許されるわけじゃねぇぞ。幕末? チート使った程度で上位勢に勝てるなら誰も苦労なんかしねえよ

 

156:以下名無しのダイバーがお送りします。

それなすぎる

 

157:以下名無しのダイバーがお送りします。

いうて幕末も別にチーターなんかの存在が許されてるわけでもないし

 

158:以下名無しのダイバーがお送りします。

あそこはなんかやってるやつみんな頭おかしいからチーターだろうがなんだろうがまとめて天誅されてるだけだからな。イキッたチーターキッズがトップランカーたちに挑んで3分で「もうさぁ、無理だよぉ!」と泣きながら逃げたのはもはや伝説

 

159:以下名無しのダイバーがお送りします。

チーター如きがトップランカーに勝てると思うな

 

160:以下名無しのダイバーがお送りします。

むしろよく3分も持ったな

 

161:以下名無しのダイバーがお送りします。

話逸れてきたから戻すけど、マスダイバーもどうにかならんものかね

 

162:以下名無しのダイバーがお送りします。

明らかな不正行為してるのに、通報しても定型文返されるだけだしな

 

163:以下名無しのダイバーがお送りします。

運営の怠慢だろ怠慢

 

164:以下名無しのダイバーがお送りします。

なんかマスダイバーって、火力が馬鹿みたいにいきなり上がるんだっけ?

 

165:以下名無しのダイバーがお送りします。

それだけじゃない、装甲も強化される。手持ちのビームライフルくらいなら余裕で弾いてくるぞ。下手すりゃビームマグナムも効かん

 

166:以下名無しのダイバーがお送りします。

そんなの勝てるわけねえじゃん!

 

167:以下名無しのダイバーがお送りします。

いや、どうだろうな。一応大出力のビームランチャーとか、大質量で叩き潰すとかなら効くらしいが。あとは火炎放射とかで炎上させてのスリップダメージ

 

168:以下名無しのダイバーがお送りします。

マスダイバーと遭遇した時のために毎回持っておくなんかできねえよ

 

169:以下名無しのダイバーがお送りします。

そんなお前にグシオンリベイクフルシティだ。俺はこいつでマスダイバーの野郎を挟んで潰してやったぜ。まあ、自慢のナノラミネートアーマーはやつらのバカみたいな火力のビームで溶けてテレビ版ラストの半壊グシオンみたいになっちまったんだけど

 

170:以下名無しのダイバーがお送りします。

お前かぁぁぁ!

 

171:以下名無しのダイバーがお送りします。

ア、アア、アカチャン…!

 

172:以下名無しのダイバーがお送りします。

生きてりゃいいこともあるもんだな…

 

173:以下名無しのダイバーがお送りします。

がくっ

 

174:以下名無しのダイバーがお送りします。

なにやってんだこいつら

 

175:以下名無しのダイバーがお送りします。

しかし、グシオンのハサミって装甲強化されてても効くんだな

 

176:以下名無しのダイバーがお送りします。

それ自体はビームやらと違って直接挟み潰す質量武器だし。装甲値じゃなくて装甲がどれだけ厚いかで決まるんだよ。このあたりはPS装甲とかあっても変わりないから覚えておくといい

 

あと衝撃力の高い武器は装甲値とか関係なしに相手の動きを止められるから、大口径の実弾や質量武器メインで衝撃力の高い鉄血系の機体は、実は装甲が固い敵と結構相性がいいんだよね。ダメージの軽減はできても、衝撃までは無効化するってPS装甲とかでもない限りは中々できないから

 

177:以下名無しのダイバーがお送りします。

なるほろ

 

178:以下名無しのダイバーがお送りします。

升野郎にはグシオンかあ。これはいいこと聞いたな。明日探しに行ってみるか

 

179:以下名無しのダイバーがお送りします。

鉄血ペンチで升をぺしゃんこにしよう!

 

180:以下名無しのダイバーがお送りします。

やはり暴力。暴力がすべてを解決する

 

 ………

 ……

 …

 

「……グシオンのハサミ、シザースか……」

 

 そこまで読むと、ボクはGBNのネット掲示板のタブを閉じた。あのマスダイバーのカスに負けてから色々と情報を探していたけれど、マスダイバーのカスに鉄血の機体が有効だというのは有意義な情報だ。

 

 鉄血……アニメ『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』の世界では、ビーム兵器が廃れて大口径砲や大質量の武器がメインになっている。それはオルフェンズに登場するナノラミネートアーマーの特性によるところが大きいけれど、とにかく他のガンダム作品とは違ってとにかく敵を押し潰すような戦い方が多い。

 

 マスダイバーの機体は……大した工作もされていないような、ほぼ素組に近いようなガンプラでも、高難易度ミッションに登場するNPD機体並みかそれ以上の異常なほど高いステータスを発揮する。だから、やつらを倒すためにはそのステータスでも耐えられないほどの火力で叩くしかない。でもそういった武器は大体が大きすぎて持ち運びに不便だったりする。いつどこで会うかわからないマスダイバーなんかのために持ち歩くのは非効率的だし、見た目的にも敵を警戒させてしまう。

 

 けれど鉄血の機体ならば、元々そういう戦い方を主軸にしているし、キットも最近出始めたばかりだから、マスダイバーのカスどもも戦う機会が少なくて油断しているだろう。マスダイバーのカスの機体は装甲値が異常に高くなるだけで、装甲自体が厚くなってるわけじゃないとすれば、付け入るスキはそこにある。

 

 近づいて、挟んで、潰す。とってもシンプルだけど、だからこそ通用する。マキナにX2改を借りた時には、ボクが不甲斐ないせいで、ボクが弱かったせいで、マキナのガンプラをバカにされた上に、ボロ負けしてしまった。許せない……。絶対に許せない。ボクのことはいい。だけどマキナのガンプラをバカにされたことと、そうさせてしまったボク自身の弱さに腹が立っている。あのケモミミアロハシャツマスダイバーのカス野郎、次に会ったら絶対に殺す。会わなくてもこっちから探し出して殺す。マキナのガンプラをバカにした代償は必ず支払わせる。

 

 ……これは怒りだ。あのカスのマスダイバーに対しても、そしてボクに対しても。よく怒りに任せて戦ってはいけない、とか言うけれど、ボクは怒りに任せて突っ走ろうとしているわけじゃない。今はこの怒りをため込んで、然るべき時に解放しようとしているだけなんだ。

 

 そのためには、ガンプラがいる。ボクの怒りをマスダイバーのカスにぶつけられるガンプラが。

 

 そのためにも、まずはガンプラの調達と……それと、プラ材もいるかな。そしてプラ材と言えば……。携帯を手にして、ある番号にかける。数回ほどコールして、お目当ての相手が出た。

 

「あ、ヒメコ? ボクだよ。ヨノモリ・ミオ。そう、プラ材が欲しいんだ。……オオヤシキの、プラ材がね……」

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

「―――ふぅ。ありがとう、ルヴィーラ。下がっていいわ」

「はい、お嬢様。おやすみなさいませ」

 

 学校から戻り、自室で人心地ついた(わたくし)は、お傍付きのルヴィーラに退室してもらう。彼女が部屋の外に出て、ドアがぱたんとしまったのを確認すると、(わたくし)はベッドに横になった。

 

 負けた。初GBNで。楽しみにしていた。実際とても楽しかった。ガンプラに乗って操作するというのが、幕末とはまた違ったアクセントとなった。ほとんど棒立ちみたいなNPDを叩くだけのチュートリアルバトルは少し退屈だったけれど、それでも、ガンプラを動かして戦うのは楽しくはあったし、次のデュエルバトルスタイルというのも、どんな相手が来るんだろうとワクワクした。

 

 それをぶち壊された。あのマスダイバーとかいうものに。そして負けた。(わたくし)は負けたのだ。アニメや漫画なら、主人公の秘めた力が覚醒したり、大物が助けに来たりするけれど、残念ながら現実はそうならない。そうならないから、負けたのだ。

 

 ここにどんな文句を並べたって、どんな言葉を積み重ねたって、(わたくし)が『敗北』したという事実は変わらない。それによって押された『敗北者』という烙印も消えはしない。

 

 それはいい。どんな形であれ勝負な以上は勝ちもあれば負けだってあるのだから。それはいい。

 

 ただ、(わたくし)が許せないのは、今も思い返せば腸が煮えくり返りそうなほどの怒りを感じているのは、相手がチーター(不正ツール使ってイキッてるカス野郎)だからなのだ。

 

 実力で負けるのはいい。それはひとえにテメェが弱かったせいだろ、と自分に言い聞かせられる。その時はどんなに悔しくても、笑顔を張り付けてグッドゲーム! と健闘を称えられる。

 

 でもチート野郎はダメ。テメェの実力でもないくせにイキり散らしてるようなやつは特にダメ。殺意が抑えられない。(わたくし)が儚げ深窓の令嬢系病弱美少女でなければ即座にマウント取って殴り殺してるところだ。でもできない。(わたくし)にはそんな力ないから。神様はクソだわ。

 

 GBNではマキナの手前、幕末を理由にしてなんとか平然な(わたくし)を演じることができたけれど、思い出すだけで怒りで手が震えてくる。今すぐ誰かを天誅したい気分だわ。でもそれはダメね。それは八つ当たりだもの。

 

 ―――だから殺す。絶対に殺す。

 

 あのにやけた面をしたマスダイバーを。リアルではとても無理でも、ゲームの中ならば100万回殺せるのだから。

 

 この(わたくし)の楽しみをぶち壊しにしてマス掻いてくれたあのチート野郎はバラバラにして、その残骸の上で指をおっ立ててやらないと気が済まない。そして言ってやるのだ。テメェは所詮チートツールがなければその程度だ、チート使って脳汁ドバドバ垂れ流してただけのカスだ! 身の程を知れよ! とね。

 

「……そのためには、剣がいるわね。何ものも断ち斬る鋭い剣が……」

 

 なんとか身を起こして、彼女を呼ぶ。

 

「ルヴィーラ。剣を研ぐわ」

「はい、お嬢様」

 

 即座にドアを開けたルヴィーラに抱えられて、部屋を移る。作業は寝室ではできないものね。

 

 マスダイバーがどんな斬新な命乞いをするのか。今から楽しみね……。

 

 

 

 ―――To Be Continued




やられたらやり返す……100倍返しだ!!!
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