サカイ・マキナは蛮族の手綱を握りたくない。 作:青いカンテラ
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『
シチュエーションに応じる、といっても使う機体が固定されたりするようなガチガチなものやなくて、あくまでミッションの雰囲気作りのフレーバーっていう面が大きい。
例えば『逆シャア』を元にしたシチュエーションなら攻撃側はアクシズ落下の阻止。防御側はアクシズを阻止限界点まで落下させる、みたいなそんな感じ。
そして今回のシチュエーションは、規定時間以内に攻撃側は基地を制圧、もしくは中枢エリアの拠点を破壊。防御側は襲撃者の殲滅もしくは規定時間一杯まで拠点の防衛というもの。そして選ばれた場所はトリントン基地。
つまりは『機動戦士ガンダムユニコーン』でジオン軍残党がトリントン基地を襲撃した時のエピソードをベースとしたシチュエーションということやな。そして攻撃側になったウチらは、基地を遠くに見る荒野のフィールドで、ミッション開始の時を今か今かと待っとった。
『今回の作戦指揮を取るマキヤです』
味方への全体通信。モニターに灰色の髪をオールバックにしてメガネをかけている神経質そうな男の顔がポップする。
今回みたいな多人数の参加するタイプのミッションは、少しでも勝率を高めるために全体のまとめ役を買って出るダイバーもおる。このマキヤと名乗ったダイバーもそうなんやろう。
トリントン基地はいくつかの侵攻ルートがあって、
ただまあ、チーム組んでる相手ならともかく野良同士やとまともに話を聞くかはまた別やねんけど……。
『私の指揮の下で作戦行動に臨めること、光栄に思いなさい』
『ヒャァ! 何言ってんだかわからねぇぜ!』
『ようは全部ぶっ壊せばいいってことだろ!? ヒャァ!』
『この野蛮人どもが……!』
案の定、話を聞く気のない野良モヒカンが二人。割って入ってきたいかにも世紀末ヒャッハーな恰好をしたモヒカン頭の2人に対して、マキヤと名乗った男は額に青筋を浮かべとった。
『そこの野蛮人どもは論外として、あなたたち。勝利を手にしたいのならばこの私に従うことですね。……そろそろ作戦開始です。賢い選択をするように』
そう言って通信が切れる。定型文のチャットが頼りやった時代から、今こうして通信でお互いに言葉を交わせるように変わったとしても、野良同士の集まりでやる大型ミッションはやることなんか大して変わらん。高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に、や。
野良同士で即席のチーム組んでもええし、とりあえず強そうな人の後ろについていっておこぼれをもらうのもええ。それぞれ好き勝手に動いてたらなんとなく連携して謎の一体感を感じたりとかもする。野良の集まったミッションっていうのはそういうものやからな。
『……さっきの男の人、なんか感じ悪かったねぇ』
「そうですか? 確かに言葉の端々に圧は感じましたけど」
『うぅん。自分以外の人間は見下してる感じ、私のところのクソ上司にそっくりだよぉ。顔はあんなイケてる感じじゃなくてバーコードのハゲおやじだけどねぇ』
さっきのマキヤって人と入れ替わるようにして、コヒルイマキ先輩……ダイバーネーム:レンカさんの顔がポップする。普段はほんわかとした笑みを浮かべてる彼女にしては珍しく、うげぇと嫌悪を隠さない顔をしとる。それだけそのクソ上司とやらが嫌いらしい。
「先輩、そんなにその上司の人のこと嫌いなんですね」
『嫌いも嫌い、大嫌いだよぉ。だからさっきの男みたいなのも嫌いなんだあ。いますぐ背中から撃っちゃいたいくらいにはねぇ』
「開幕フレンドリーファイアはまずいですよ」
『うふふ。ここでは撃ったりしないよぉ。やるならどさくさ紛れに誤射しないとねぇ』
それ絶対に誤射ちゃいますよね? という言葉が出るよりも先に、ミッションスタートを告げる電子音声が響く。
『ヒャァ! 一番乗りだぜ! ヒャァ!』
『ヒャッハー! ポイント置いていきなあ!』
まず真っ先に突撃していくのは、さっきのモヒカンの二人組。全身をリベットやトゲでゴテゴテと装飾したデザートカラーのドム二機が、ジャイアントバズとザク・マシンガンを乱射しながらトリントン基地の正面に展開した敵部隊へと仕掛ける。
『野蛮人どもが仕掛けましたか。やつらが敵の目を引き付けているうちに、我々も仕掛けます』
マキヤと名乗った男の指揮下に入ったらしい機体たちが、武装を展開していく。ダブルガトリングガンの代わりにハンドミサイルを持ったEW版のヘビーアームズ改が盛大にミサイルを放ち、180mmキャノンを持ったゲルググキャノンとマゼラトップ砲を持ったジムカスタムが砲撃を加えていく。
もちろん負けじとトリントン基地からも撃ち返しの砲火が飛んでくる。さっきのモヒカン二人? 迎撃の砲撃を真っ向から受けて南無三したで。
『貴族主義者の諸君! この私に続きなさい!』
『へっ、貴族主義を掲げてるわけじゃあないが、アタシも続かせてもらうぜ!』
『ふふ、ふふふ、あーはっはっはっ! さあ始めましょう! 心躍る戦いを!』
SDタイプのX2がフリント数機を引き連れて砲火の中に飛び込み、それに青いアルケーガンダムのカスタム機とこれまた青いトリスタンのカスタム機が続く。
戦端が開かれたことで、そこかしこで爆発が巻き起こる。派手にやるやないか。やっぱり多人数の参加するバトルはこうでないとな。
「攻撃が始まりましたね。ウチらも仕掛けましょう」
『そうだねぇ。前衛は私が行くよぉ。これでも防御には自信があるからねぇ』
そう言って、先輩のガンプラ……ギャンバルカンのバックパックを装備し、両手にミサイルシールドの代わりにギャンシュトロームの自航防盾を持ったR・ジャジャのカスタム機……ジャジャバルカンが、その腕の大きなシールドを掲げて見せる。
ウチも撃ち尽くしたGNミサイルコンテナをパージする。少し身軽になったウチのガンプラ、シャルトーネ・サーガと共に、トリントン基地からの砲火に突入する。
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……トリントン基地襲撃。ユニコーンのラプラスの箱を起動させるため、手始めに箱の示した場所であるトリントン基地へと、ジオン軍残党による攻撃が行われた。強襲により基地の施設やMSが破壊されていく中、そのジオン軍残党に反撃ののろしを上げた機体がおった。
それは基地で秘かに改修されていたバイアランカスタム。SFSを使うか、可変MSでもなければ飛行できないのが基本なMSの中で、単独で飛行し戦闘できるという機体。サプライズ的な登場で、それまで暴虐の限りを尽くしとったジオン軍残党のMSを撃破していくシーンは、人気がある。
なんでウチがそんなことを思い返しているのかと言うと……
『クソッ、弾が当たらねえ!』
『ひらひらと飛んで上から見下ろしやがって!』
「あっははは! そらそらそらぁ! もっと対空砲火気張りぃ! そんなんじゃウチのシャルトーネは百年経っても墜とせへんで!」
下から飛んでくる対空砲弾やミサイル、ガトリング砲をGNドライブ機特有の動きで躱していく。代わりに両手に持ったGNサブマシンガンのビーム弾は迷彩の施されたズゴックを上から穴だらけにし、ザク・マリナーのロケットランチャーを破壊する。
空から地上の敵を一方的に撃つ。気分はまさしくバイアランカスタムや。あのシーンではジオン軍残党が基地を襲う側で、バイアランカスタムは基地を守る側やったけど、今はウチが攻撃側であちらさんは防御側。ことここにおいては立場が入れ替わっとるというわけやな。
『おい! 誰か飛行スキル持ってる奴いねぇのか!』
『いたらとっくに飛んでる!』
『くそぉ、拘りがアダになったか!』
飛行スキル。それはガンプラに付けられるスキルの一つで、本来は飛行できない機体でも単独で飛行することができるっていうものや。GBNではとりあえず付けとくんがマストなんやけど、スキルの枠使うし拘りから付けへんってダイバーもおる。
まあ、飛行スキル持ちがおったとしてもウチとシャルトーネはそう簡単にやられたりせえへんけどな。
トリントン基地に突入したウチと先輩は、中央突破を狙う本体から離れて、港湾沿いのルートを行くことにした。中枢エリアの拠点をまっすぐに狙って突き進むのは大乱戦になるのは必至やし、中央ばかりに注力しとると他の敵が横合いや後ろから回り込んできて攻撃されかねんからな。
せやからウチらは後顧の憂いを断つために側面から強襲を仕掛けようとしてる敵へと逆に仕掛ける……という建前でこっちに来たわけや。まあ実際には動く戦争博物館みたいなジオン残党軍のMSたちが横から攻撃する機会を窺っとったわけやけど。
ちなみに一緒に来てた先輩はというと、「ここはマキナちゃんに任せるねぇ」といってどこかに行ってしもうた。タンク役がタンクせんでどないすんねん。今のところはウチだけでも何とかなってるけども。
「ほらほら、しっかりと狙った方がええで~。ウチのシャルトーネはキャフトオフ仕様やからなあ。被弾すればアーマーパーツが外れるんやで~」
『キャ、キャフトオフ……!』
『なに、シャルちゃんのキャフトオフだって!?』
『バカ! 乗せられるな!』
「あはは! スケベェやな、お兄さんたち!」
ザク・キャノンの砲撃をくるりと後ろに一回転して躱す。GNサブマシンガンを脚のマウントラッチに付けて、急降下して射線をずらす。
地面すれすれを飛んで、すれ違いざまにザク・キャノンをGNビームサーベルで切り裂いて、爆発したザク・キャノンの爆風を背に受けながら再び空へ。
『ラチネル! さっきからフラフラと好き勝手飛び回りやがって……! おい、援護しろ!』
『おう!』
ゾゴックのブーメラン・カッターとシュツルム・ファウストを躱してGNサブマシンガンで穴あきチーズにしてやる。
そして視界の端にビーム・ナギナタを展開したデザート・ゲルググが、ジェガンのビーム・ライフルを持ったガルスJと一緒にブーストを吹かして飛んでくるのが見えた。
『美プラだか何だか知らねえが! そんなナヨナヨしたもんをGBNに持ち込むんじゃねえ!』
「……っとぉ! ならあんたはそのナヨナヨしたもんにやられるんやでっと!」
鋭く斬り込まれたビーム・ナギナタの一撃を、回り込むようにして回避する。腕が伸び切って隙を晒した背中を蹴とばして、すかさず両手持ちのGNビームサブマシンガンを撃ち込んでやる。
『俺が、俺がこんなやつに―――』
バックパックの推進剤に引火して空中に爆発の花を咲かせるデザート・ゲルググ。へっ、汚い花火や。
『こいつ、やりやがったな!』
「あんたも土ペロしとき!」
がむしゃらにビームを撃って来るガルスJに急接近。横っ腹にブーストの乗った蹴りを叩き込んで、地面へと逆戻りさせたる。
「さて、そろそろ次のエリアに……。その前に先輩と合流せな」
レーダーに残っとる敵がおらんのを確認して、どっかにいってもうた先輩を探しに行こうかと思った矢先、ロックオンアラートが鳴り響く。
「……っ! 速い!」
急速で接近する機影。それを認識した瞬間に飛んでくるビーム。撃ち抜かれたGNサブマシンガンを投げ捨てながら、新手の方を見る。
鋭角的なフォルムの戦闘機みたいな機体……ギャプラン、それもTR-5の方のカスタム機か! さっきまでの空から地上の敵を見下ろすような一方的なんとは違う。空戦の機動性に特化した可変MS。
油断したら今度喰われるんはウチの方や。これも立場が入れ替わったってことやな。逃げようにも、速度は相手の方が圧倒的に早い。ならここでやるしかない。
「ええで……。相手したる」
右肩にマウントしてたGNビームマシンガン……ゼー・ズールからコンバートしたもの……を手にして、突っ込んでくるロービジカラーのギャプランを見据える。
―――To Be Continued
トリントン基地は何度も燃える―――★
『青いアルケーガンダムのカスタム機(アリム)』を『GBN:ダイバーズコンピレーション(作者/X2愛好家さん)』から少しだけお借りしました。