俺は家に帰った後、俺の部屋でめぐみんと遊んでいたら何とか立ち直ってきた。
めぐみんにお礼を言わねば。
「めぐみん」
「何ですか?」
「ありがとう。何とか立ち直れたわ。別にアークウィザードじゃないからってなんだ!そう、我が名はカズマ!紅魔族随一の最弱職にして、数多のスキルを操りし者!」
「カッコいい!かっこいいですよカズマ!」
紅魔族流の挨拶をしたらめぐみんが賞賛を送ってくれた。
紅魔族流の挨拶をして、めぐみんからの称賛を浴びていると気分がよくなってきた。
よし、早速スキルとか覚えようかな。
名乗りで数多のスキルを操りし者って名乗ってるし。
スキルポイントだけはおまけで100ポイントもあるんだし。
「なあめぐみん。冒険者ってどうやってスキルを覚えるんだ?普通、その職業のスキルがスキル習得欄に出てくるけど、冒険者だと載ってないぞ?」
冒険者については最弱職ってのだけを見て特に詳しいことを調べなかったんだよな。
もともと魔法使いになる気だったし。
「すみません。私も知りませんね。適当に秘蔵のお菓子を全て食べられて落ち込んでいるニートにでも聞いてみますか」
そう、家に帰ったらぶっころりーが部屋の棚の後ろに隠していたお菓子を俺たちが根こそぎ奪って食べた。
美味しかった、ありがとう、ぶっころりーよ。
あいつ一応、俺の兄なんだけども、数回しか兄貴とかって呼んでない。
ぶっころりーの部屋に言ってノックしてから
「おーい、ぶっころりー?ありがとう、お前のお菓子おかげもあって立ち直れたわ。俺は今日から冒険者として日々研鑽を積むことにするよ。ところでさ、冒険者ってどうやってスキルを覚えればいいか知ってる?」
俺はお礼を言ってからぶっころりーに声をかけた。
「…そうか、いつまでメソメソしててもしょうがないからな!お前が立ち直れてよかったよ」
だいぶ落ち込んでいたような声が聞こえたが徐々に元気を取り戻してきたようだ。
メソメソしてたのはブッコロリーも、と言ったらまた落ち込みそうだから黙っておこう。
「よし、それでスキルだったか?確か冒険者は他の職業と違って覚えたい職業を教えてもらう必要があるんだ。よし、ここは兄であるこの俺が一肌脱いでやろう!」
そういってぶっころりーは部屋から出てきた。
どうやらぶっころりーは冒険者がどうやってスキルを習得すればいいかを知ってるらしい。
「なるほど、冒険者は他の人から教えてもらうことで覚えるのか。結構大変だな」
ただでさえ本職より補正が乗らない分劣り、スキルポイントも多く必要だというのにさらに覚えるのにもそんなに手間がかかるとは。
「そうだね、難しいスキルほどしっかり教えてもらわないとだし、魔法は普通に詠唱やポーズも覚えて、実際の魔法を見ないとだしね。まあ魔法に関しては他の職業も大体そうだけど」
ぶっころりーの言ってる通り、魔法を覚えるのには、難しい魔法ほど、実際に魔法を見たりしないとだし、初級魔法は詠唱がいらないが、中級魔法は詠唱がいるし、さらにその上の上級魔法となると詠唱だけでなく、身振りも必要になってくる。
俺は自分の部屋に戻ってめぐみんに伝えてくるから先に外行っててくれと言って、部屋に向かった。
「どうやったら覚えられるか分かりましたか?」
「ああ、どうやら他の職業の人に教えてもらう必要があるらしい。そんでもって、今からぶっころりーにスキルを教わりに行ってくる」
「分かりました。では、私は帰らせていただきますね。夕飯の準備をしないといけないので。将来、私も魔法を覚えたらカズマに教えてあげますよ!」
「おう、ありがとう。その時になったら頼むよ。じゃあまたな」
「はい。また後ほど」
教えてくれるといわれたが、どの魔法だろうか。
紅魔族は上級魔法を覚えれば一人前と呼ばれているから正直上級魔法ならめぐみんより俺のほうが早く覚えることができると思うんだが...
俺はめぐみんを送ってからぶっころりーにスキルを教わりに行った。ぶっころりーは何やら変なポーズをしているけど何だろうか。
「さて、それではお前が学園に行った時に馬鹿にされた時に対策できるように教えるだけ教えてやろう。スキルポイントがたくさんあるようだが冒険者は本職に比べて習得する際に必要なポイントも多い。ましてや数多のスキルを使うとなると大量のポイントが必要になってくる。ここで俺が色々と授業をしてやろう」
とか言って変なポーズを決めながらドヤ顔でこちらに教えてきた。めんどくさいので黙って聞いていると先生になった気で、教えるのは気分がいいのか色々語ってきた。
「まずはスキルポイントの入手方法だ。これは2つある。一つはレベルアップによるポイント獲得だね。二つ目はスキルアップポーションだ。学園に行くと、テストとかイベントが色々あるから、そこでいい成績を残したりすればスキルアップポーションがもらえる」
なるほど、俺はまだレベル1だし、これからもたくさんスキルポイントが入る思うんだがそれでも足りないくらいか。
確かにスキルポイントはいくらあっても困らないしな。
「そして、学園の卒業条件だけど、基本的には魔法を覚えたら卒業だ。みんな上級魔法習得を目指している。だが社会勉強や名乗りの練習、格好よく戦う方法などもしっかりと学ばないといけないから、どんなに早くても、半年はみんな学園に通うことになる」
「へー。じゃあ魔法を覚えたら卒業ってことはスキルポイントが溜まっても魔法を習得しなければ卒業できないのか。つまり、そこでスキルポイントを稼げるだけ稼ぐということか」
「その通りだ!ただ、スキルポイントが有り余っているのに魔法を覚えないとさすがに注意されるからな。だからバレないようにするしかない」
なるほど…ってそれだと俺100ポイントもスキルポイントがあるんだし簡単に覚えられちゃうし、そんなに持っているのは今日のでみんなにバレてしまっている。
「そこでだ。カズマは冒険者、つまり魔法以外も覚えられる!」
「なるほど!入学までの約2年の間に魔法以外のスキルを覚えて100ポイント全てとは言わないから大体使い切っちゃえばいいのか!すげえぞ兄貴!俺、今日生まれて初めて兄貴のことを尊敬したかもしれん!」
「ふっふっふ、褒めても何も出ないぞカズマ。ん?なんか最後の方にすごい変なこと言っていなかったか?」
「いや、変なことは言ってない」
そう、変なことは言ってない。
別にただただ事実を言ったまでのこと。
何も変なことではない。
そんなことよりも、そう、なにも魔法を覚えることにこだわらずに、ソードマスターやルーンナイトの強い攻撃系のスキルとかでもいいじゃないか!
ほかにも盗賊のスキルとかも有能なものが多かったな。
「まあいい。それではお前は今からテレポートを使える里の大人達に掛け合ってどこか旅行に連れて行ってもらえ。残念ながら俺はまだ上級魔法しか覚えてないからな。上級魔法に関しては学校でしっかり教わるから、今教えなくてもいいし」
「わかった。ありがとう兄貴!」
「ふっ、兄貴として当然のことをしたまでだ。俺もテレポートを使える知り合いのニートに声をかけておこう」
今日はぶっころりーが輝いて見える。
今まで学園を卒業してから何かと言い訳と建前を並べに並べて親の手伝いをのらりくらりとかわし続けて親のスネを齧ってるだけのニートだと思っていたのに。
テレポートを使えないことを建前にめんどくさいから俺が一緒に行ってやると言わなかったことに目をつぶれば。
「ちょうど今から暇だしテレポートを使える大人達に掛け合ってみるわ」
店をやってる奴らは暇じゃないから、暇を持て余しているニート達か、学園卒業して冒険をしようとしている人に声をかけて一緒について行けるか、旅行に行けるか聞いてみるか。
正直なところ前者はめんどくさがって何かと理由をつけて断りそうだけどな。
そういえば今から行こうとしてる族長のところだけど、族長の娘はなんか変わり者とかみんなが噂していたな。
めぐみんも会ったことあるらしいけど、変わり者って言ってたしな。
俺からすればもうこの紅魔族って種族自体が変わり者だからそんな奴らから変わり者と呼ばれている族長の娘はどれほどやばいのだろうか?
そうこうしてるうちに族長の家に着いた。
呼び鈴を鳴らしたら、出てきたのは族長の娘であるゆんゆんだった。
「あ、お、お客さんででですね!?どどどどうぞここここちらへ!?」
めちゃくちゃ挙動不審だ。
紅魔族達から変わり者だって言われているだけはあるな。
初対面だし自己紹介をしておかないとな。
そう思い、俺はポーズを決めて、
「我が名はカズマ!紅魔族随一の最弱職にして、数多のスキルを操りし予定の者!」
ちょっとしまらない名乗りだし、毎回思うけどこれ結構初対面の人にやるの最初は恥ずかしかったけど、みんな同じことやってるし、今はもう慣れたなーと思ってゆんゆんを見てみると。
「え、えーと、わ、わが名はー…」
なんか顔を赤くしながら名乗りを躊躇っていた。
ん?ちょっと待って、紅魔族っていう、種族自体が変わり者だという奴らから、変わり者って言われてるけど、もしかして…
「あ、別に無理して名乗らなくて大丈夫ですよ。俺も紅魔族流でやってるだけなので。普通の自己紹介で大丈夫ですよ?」
「あ、ありがとうございます。私はゆんゆんって言います。不束者ですがよろしくお願いします」
「お、おう」
どうやら変わり者から変わり者と言われているのは常識のある普通の人だったと言うことだったようだ。
でも、初対面の人との自己紹介で不束者とかいうのか?
周りがおかしいから友達もできずに距離感をはかりかねていたのか?
「あ、あの、私のこと変だと思わないんですか?」
「ん?いや別に?俺って捨て子でさ、親が紅魔族じゃないかもしれないんだよね。だからほら、髪は茶髪で、片目だけ紅だし、今日冒険者カードを貰ったけどアークウィザードになれなかったし。紅魔族の感性がおかしいって俺は思ってるから、別にゆんゆんが変だとは思わないよ。というか逆に普通の感性なんじゃ?」
捨て子ってのはそういう設定にしてある。
まあ実質捨て子のような物だしな。
「そ、そうですか。ありがとうございます。あ、お父さんに何か用ですか?どうぞあがってください」
「あ、お邪魔します」
というか族長の家ってでかいな。
めぐみんの家とは段違いだ。
こんなこと言ったら怒られそうだけど。
そこで、俺は要件を伝える。
「えーと、今日俺は冒険者カードもらったって言っただろ?それで、冒険者になったんだよ、最弱職の。それで、スキルをなにか教えてもらうために旅行かなんかで里じゃないところに行きたいんだ。それで、俺一人だと不安だし、ぶっころりーはめんどくさがって、親父は店があるから無理だしな。だから、だれかテレポートを使える大人と一緒に行きたくて、族長に相談しにきたんだ」
正直なところ最弱職っていうのは嫌だけどこの狭い里は噂など一瞬で広まる。
最初からあきらめて受け入れたほうがダメージは少なくなる。
「分かりました。お父さんはこの部屋にいます。お父さーん。お客さんだよー」
特に触れてこなくてよかった。
そして、そう言ってゆんゆんは扉を開けたその先には
「我が名はしろぽん!この里の長にして、紅魔族を導くもの!」
「我が名はカズマ!紅魔族随一の最弱職にして、数多のスキルを操りし予定の者!」
初対面の人なら名乗る紅魔族として当たり前の事をした。
紅魔族同士なら必然的に名乗り合いになる。
正確には初対面ではないのだが、その時は名乗っていなかったので、今が初対面となる。
「カズマくんか、いい名乗りだ。アークウィザードになれなかったと聞いたがそこまで落ち込んでいないようだね」
「はい。まあ、落ち込むには落ち込みましたがすぐに立ち直ったので、これから冒険者として頑張りたいと思います。それで、話なんですが」
「わかっているとも。冒険者になったんだからスキルを覚えたいのだろう?しかし、残念なことに私は族長の身だからすこし手が空いていないんだ」
「あ、それは分かっているので、誰かちょうど行ける人とかいませんかね?テレポートとまで贅沢はいいませんから」
「ふむ、学園を出たものは最近はいないし、すでに出たものはもうみんな里をでるか職に就いているからな...今空いてるのは里のニートどもだけだな」
やはりあの暇を持て余しているニートどもを頼らないといけないのか...。
でもあいつら何かと理由をつけて断るのが容易に想像できる...。
そう思っていると、族長が思い出したかのように顔を上げて
「そうだ、魔道具職人達の売り込みについていけばいいんじゃないか?里でできた魔道具を他の街に売りに行くならすぐにとはいかないまでも近いうちに行けると思うぞ」
なるほど、その手があったか。
確かにそれなら他の街に行ってスキルを教えてもらえるな。
ついでに将来冒険者になったときにどこの街にいけばいいのかなどもわかるからちょうどいいな。
「ありがとうございます。それじゃ、明日あたりから魔道具職人達にいけるか聞いてみます」
「冒険者でもアークウィザードじゃなくても我らが同胞に変わりない。では、達者でな」
ではまた、と残して部屋を出た。
「じゃあ、またな。ゆんゆん」
「あ、はい」
ずっと黙ってもはや空気となっていたゆんゆんに一応声をかけて家を出た。
明日になったら魔道具職人達に聞いてみよう。
俺は明日の事を考えながら帰路についた。