幽霊生徒の青い青春交流譚   作:AMENOTE

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プロローグ

初めまして、幽霊だ。

 

⋯⋯待ってくれ、そんな疑わしい目で俺を見るのはやめようか。確かにそんな事を急に言われてもリアクションに困るだろうし、自分を幽霊だっていうなんてヤバい人なんじゃないかって考えてしまうのも分かる。自分でも素っ頓狂な事を言っている自覚はあるからね。

 

でも、俺の話を聞いてほしい。

 

生前の俺はミレニアムサイエンススクールの一年生で、現在セミナーに所属している調月リオや超常現象捜査部の明星ヒマリと同学年だったんだ。

 

ただ、ある夏の日の実験で大失敗。元々周りの子達より身体が頑丈じゃなかったこともあって、目が覚めたら⋯⋯身体が透けていた。

手をグーパーしてみても、指の先が掌に刺さるような感触もなし。頬をペタペタ触ってみようとしてもすべすべもちもちなはずの俺の頬を手が触れることはなく、頬に手のひらがのめり込んだ。

 

手を壁に押し当てようとしたらすり抜けて隣の教室まで行ったし、鉛筆を掴んでみようとしたら机に指が突き刺さる始末。

 

この時ようやく悟ったのさ、「ああ俺は死んだのかって」。

まだやり残した実験もあったし、学びたいことややりたいこともたくさんあった。

悔いが残ってるかって言われたら全力でYESって答えるくらいにはね。

 

それに、自分はここにいるはずなのに「死んでいる」なんて信じられるはずがないだろう?

 

そこで俺はミレニアムの学生らしく、自分の解析をしてみることにした。

実験において大切なのはトライアンドエラー。何ができて何ができないのか。

幽霊になるっていう事象がどうして起こったのか分からないから、多少の例外は認めつつ俺なりにまとめることにした。

 

 

1つ目。『昼の間はモノに触れることができないが、夜の間はモノに触れることができる』。

 

昼夜問わず壁をすり抜けられるし、床や天井お構いなく通り抜けることができた。幽霊と言えば、を体現しているような感じだ。

 

ただ、夜の間は自分の「触れたい」って思ったモノに触れることができるようになる。

学校の怪談とかに『誰もいないはずの音楽室からピアノを弾く音が聞こえる』ってあるでしょ?まさにそれ。

昼間は触れない机や棚の本を指で押したり持ち上げたりすることができた。

夜の学園でピアノを弾いていたら教室に入ってきた子を驚かせてしまったのはちょっと申し訳なかったなあ⋯⋯めっちゃ面白かったけど。

 

ただ、夜の間でも人に触れることはできないみたい。

試しに生徒の肩を叩いてみたら、ワンタップ目で肩に手がのめり込んだ。グロかった。

 

 

2つ目。『俺の事が見えている生徒と見えていない生徒がいる』。

 

霊感があるとかないとか生前はよく耳にしたものだけれど、意外にも幽霊の俺が見える生徒はいるらしい。

特にゲヘナの悪魔要素が強く残っている生徒は昼夜問わず俺の姿を視認できるらしい。⋯⋯まあ、ゲヘナじゃなくとも俺の姿が見える生徒はいたんだけどね。特に凄い疲れてる生徒とか。

 

 

3つ目。『俺の声は生きている人間には届かない』。

 

怪談じゃ「うらめしや」だの「呪ってやる」だの言ってるくせに、俺の声は生きている人間には聞こえないらしい。

授業中の教室で教壇のうえに立って大声で叫んでも誰も気にもとめない。なんなら聞こえている様子もなし。

頭の中で強く念じてみても誰も反応してくれなかった。悲しい。

 

幽霊同士ならちゃんと会話できるのにね。

 

ただ、そんな俺でも唯一コミュニケーションを取れるツールがあった。それがこの「プラカード」だ。

ホワイトボードになっているカード部分に伝えたい事を書き込んで掲げるだけで相手に言いたいことが伝わるお手軽品。

出し入れは自由自在だから持ち運びも便利。

 

⋯⋯え、スマホがあるでしょって?そんなの死んだときにどっか行っちゃった。

服装は死ぬ前の制服のままなのにスマホがないのは是如何に。おかげさまで暇つぶしにゲームする事も出来なくなっちゃったよ。

 

ああ、制服で思い出した。

 

 

4つ目。『幽霊になると服装は自由自在』。

 

これには驚いた。頭の中で「どんな服を着たいか」思い描くと服装もそれに合わせてチェンジすることが分かった。

執事服に私服、道着につなぎに水着まで。メイド服やバニー服までチェンジするのは驚いた。

男のバニー服は需要ないだろうに。

誰が決めたんだこの仕様。

 

幽霊は意外と自由自在らしい。

 

 

そんなこんなで俺が死んで幽霊になった事を認めつつ、幽霊生活を楽しむこと早2年。

俺と同時期に幽霊になった女子生徒の先輩と一緒になんやかんや幽霊生活を楽しんでます。

 

女子生徒の先輩がどんな人かって?

一言で言うならすっごいドジな人。

緑がかった水色の髪を膝まで伸ばし、脚や右腕に絆創膏を沢山貼っている人。

白シャツにチェックのスカートっていう組み合わせがよく似合っている人。

 

名前は『梔子ユメ』。

話を聞いてみるとアビドスの生徒だったらしい。

なんで死んだのかは知らないけど、凄いおおらかでお人好しな人だから誰かの恨みを買ったとかは無さそう。

まあ、本人の口から聞いたわけじゃないし聞くのは野暮ってもんだ。

 

たまにフラっと現れては俺と話をしてくれるので間違いなく悪い人ではないのは確かだ。

 

 

閑話休題(自由なのが幽霊だぜ?)

 

 

今日はこれからサンクトゥムタワーに向かう予定。

キヴォトスに新しく外の世界から来た「大人」が来るらしくて、どういう人なのかを一目見ようと思ってるんだ。

 

一体どんな人なのかな?

 

 




幽霊生徒
性別:男
幽霊部員とかではないマジの幽霊。
ある実験の最中に命を落とした。
お茶目かついたずら好き
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