転生特典がパワプロ風成長だったのでデートして最強になろうと思います 作:TSハーレム最高!
てれれれってってってー
「……は?」
ダンジョンの1層目の攻略という、冒険者にとっては小さな1歩だが、私にとっては大きな1歩を踏み出した記念すべきその瞬間。脳内にファンファーレが響き、言葉が脳裏に文字通り浮かんできた。
『ダンジョン1層攻略おめでとうございます! 転生特典:ステータス割り振りが解禁されました! また初回ボーナスとして万能ポイントを授与します』
「特典……? 転生……?」
『使い方……を説明するのも手間なので、前世の記憶もプレゼントです! それでは、英雄を目指して引き続き頑張ってくださいね!』
「何を──ぁ……?」
とまあ、これが俺……もとい、私がダンジョンで座り込んでいる理由。まあ冷静に考えれば、とりあえず冒険を切り上げて戻るべきだとは思うのだけど……それどころじゃなかった理由。
「異世界転生って言うか現地人じゃないの? これは……いやまあ、文句言ってもしょうがないんだけどさ……」
頭がガンガンする。前世の俺と今の私がちゃんと混ざりあってないような気持ち悪い感覚。ひとまずまあ、自分について振り返ってみようか。
身寄り、無し。学、無し。専門知識、無し。孤児院出身で、金銭的な援助の望みもなし。お金を稼がなくては明日食うご飯も買えない。けれど奴隷奉公は流石に嫌だ。だからデカい街なら働き口がいくらかはあるだろう。そんな考えだったのだけど……
「まあ、そりゃ余所者なんか雇ってくれないよねぇ……しかも孤児だし……」
身元の保証が無い、というのは大きなハンディキャップみたいです。まあ何かやらかした時に文句を言う所が無いという訳で、つまりは盗みやら何やらをされても泣き寝入りになる可能性が高いということ。そんなリスクのある人間は誰も雇用契約なんかしてくれなくて。
「うう……力仕事も出来るし、読み書きも計算も出来るのに……」
そりゃあ専門職は無理だろうけどさ。せめて肉体労働ぐらいなんとかなると思ってたよ。かといって孤児院に戻って再び迷惑をかけながら暮らす訳にもいかない。孤児院のお手伝いは外貨獲得が出来ないのです。
「……ここがダメだったら、いよいよ身体を売るしかないかなぁ……都会にはそういうお店があるらしいし……」
そうして私が選んだ道が冒険者。危険なダンジョンに潜って魔石──魔物から採れる資源。魔導師が加工することで暖房になったり水道になったりする──を集める人達。簡単に言うと命懸けで日銭を稼ぐ労働者。春を売るのとどっちがマシかと言われると微妙なところ。
まあ幸いと言っていいと思うのだけど、身元調査とかは特に無かった。私が本で読んだ物語とは違って、冒険者という存在はあまり尊敬されるものではないらしい。まあ勝手に夢見て勝手に死んでいく連中なんてそうもなるか……なんて思えたのはもっと後になってからの話。
そうして冒険者登録をするに当たって、とりあえず最低限の素養があるかを確かめる為にとダンジョンの1層を攻略させられることになった。ダンジョンとは──脱線しちゃうからこれは後でいいか。
まあともかく弱い魔物しか出てこないところに来たわけだ。……初めて魔物と戦うのはだいぶ怖くはあった。弱いとか強いとか、命懸けだともう関係無いね。そもそも当たり所が悪かったらゴブリンのナイフ1本でも殺されるだろうし。初めてのダンジョンの初めての戦闘で、ちょっとおしっこ漏れたのは墓場まで持ってこうと思う。股の辺りが気持ち悪いよ……
とはいえさっきも言った通り、これはあくまで最低限の素養があるかを確かめる為だけのもの。最後に広間に出てきたちょっとデカい魔物を倒して、1層目の攻略完了。奥に行くのはやめておいて、ひとまず報告に帰らなくては……と思った所で謎のファンファーレが聞こえて、冒頭に戻るのである。というかさっきのファンファーレ、どっかで聞いたことある気がするんだよな。
「うーん、ステータス割り振り……? そもそもステータスって何……? ステータスオープン! とか言えば──マジ?」
ステータス出ろ〜って念じたら本当にウィンドウみたいなのが出てきた。イメージとしては……ARって言うんだっけこういうの。なんか半透明のよく分からないものが浮かんでるのって冷静に見ると結構怖いね……
「……うん、分からん。俺……私はこういうのはやってみないと分からないんだよね……」
説明書は読まないタイプです。チュートリアルも実際操作させてもらわないと覚えられないタイプ。四角ボタンで弾丸を撃ってこのボタンでリロードで……とか言われるよりとにかくコントローラーを触って覚えるタイプです。ということでとりあえず画面に触れて適当に動かしてみることにする。
「とりあえず基礎ステータスとスキルがある感じかな……? そんで割り振り……」
STRとかVITとか書いてあるのはまあ文字通りだと思う。嘘、私のSTR低すぎ……!? なのは一旦置いといて……あとSANとか書いてあったのも見なかったことにして、とりあえず割り振りとやらを試してみることにする。
「剣戦闘15……ここまで使ってきたからちょっと上がってるのかな……というか細分化されてるの? ……うお」
戦闘タブで括られてるのはまあいいとして、剣戦闘だの槍戦闘だの拳だの……もしかしてありとあらゆる武器のステータスがある? こんなん見てられないよ……というか。
「うわ、魔術タブとか生活タブとかある……戦闘ポイントとか魔術ポイントとかで振り分けてくのかな……? 戦闘とか生活は既にちょっとあるみたいだけど」
多分これまでの人生での獲得ポイントだよねこれ。生活タブで『料理』とか『掃除』とかちょっと高いのは孤児院暮らしのおかげだろうし、『剣戦闘』とか『軽装備』はダンジョンでのここまでの経験だろうし、あと高いのは──
「あ、これ高いじゃん。性経験タブの、えっと……オナ──」
思わず拳を叩きつけたらウインドウが消えた。なんか避けられたみたいでちょっとムカつく。神は全てを見ています……そう、貴女の1人遊びも……ってコト?!
……うん、とりあえず一旦ダンジョンから帰ろう。あんまり長居してるとモンスターがリポップしそうだし。不思議のダンジョンも長居しすぎると大体強制ゲームオーバーになるし。安全なところでゆっくりステータスと向き合うこととしましょう。
そんなわけで。
「──はい、確かに1層の主の魔石を確認しました。おめでとうございますテセリアさん。貴女を正式な冒険者として認定します」
「ありがとうございます」
「ですが、貴女はまだ駆け出しだということは忘れないでくださいね? できればベテランの方に付き添って……もらうのは難しいかもしれませんが、事前の準備をしっかりとして、情報収集もしっかりと。新人冒険者の半分以上は──」
「うお……」
そりゃ私は確かに見た目からして頼りないだろうけど、まさか新人冒険者全員にこんな過保護に接してる? 言ってることは正しいんだろうけど、早く帰りたいっす。つまんない講習を受けてる気分になっちゃう。
「ですから、私達の言うことは特にしっかりと聞いてくださいね? せめてベテランと呼ばれるぐらいに慣れるまでは」
「わ、分かりました……それじゃあ、今日は帰りますので……」
脚が……脚がプルプルする……! 回復ポーションってこういうのにも効くのかな……?
とまあ、帰り際に忘れかけてた魔石の換金もしてもらって、この街に来て以来使ってる宿の部屋へと帰ってきた。そしてステータスウインドウよ開け~と念じてみれば、ダンジョンでも見た例の画面が開く。
とりあえず適当にいくつか操作してみて分かったことは──
一、獲得したポイントはそれぞれ対応したステータスにしか割り振れない。
どういう意味かと言えば単純で、戦闘ポイントで『料理』は上げられないし、逆に生活ポイントで『鎖鎌戦闘』は上げられないってこと。いや、料理はともかく鎖鎌は上げる気無いけども。まあ逆に言うと剣で戦ってるのにパイルバンカーの取り扱いが上手になるっていう意味わからない現象は起こせるみたい。……この世界、パイルバンカーあるの?
一、基礎ステータスはポイントで上げられない。
STRとか、VITとかINTとか色々あるんだけど、これにはポイント割り振れないっぽい。せめて低いところだけでも上げたかったんだけどな……剣と呼ぶには大雑把すぎる大剣とか使ってみたかったし。今? シンプルな片手剣と盾スタイルだよ。某狩りゲーの初期装備みたいな。
一、条件を満たすとポイント消費で特別なスキルが獲得できる。
料理ステが一定以上で解禁される『錬金術師の卵』を取ると料理ステが上がる時に錬金術にもボーナスが入る……って感じで色々お役立ち要素みたい。なんかもう完全にゲームだよね。この世界ってもしかしてゲームなんですか?
一、万能ポイントは色々例外。
戦闘、魔術、生活……どれにでも使えるのは前提として、さっきと矛盾するけどこれを使うと基礎ステータスも上げられるみたい。ムキムキも夢じゃない……?
あとこれを使うことでだけ得られるスキルも結構ある。『○○の才能』とか、獲得ポイント増加とか……ポイント増加は最優先なのでは……?
「とりあえず剣戦闘に戦闘ポイントは振っておくとして……万能は取っとくか……? 生活もとりあえず保留で……性経験関連はなんでこんなスキル充実してるの……?」
エロ同人ゲームのステータスもびっくりだよ。……これ、妊娠・出産回数とかまで記録されたりしない……? いや、前世を思い出しちゃった今となっては男と行為は結構抵抗あるのだけど。
「まあでも、前世の知識は有り難いねぇ……なんとなくビルドの方向性作れるし……」
知識無かったら片っ端から取って器用貧乏になってたかもしれないし。得物は一つを極めた方が良いって定番だもんね。まあ複数マスターするとボーナスあったりもするんだけど……そういうのはいわゆるやり込みだもんね。今は考えなくていいでしょう。
「そんでデカデカと書かれてるこれ……」
『人生の大目標:英雄になること、中目標:未設定、小目標:未設定』
うんまあ、確かに子供の頃に読んだ本で憧れた冒険者は英雄って呼ばれるようなやつだったけど。院長先生にもそういった気がするけど。でもそれって子供が言う、プロ野球選手になりたい! とか、ケーキ屋さんになりたい! みたいなやつじゃんね。ふわっとしすぎて具体的な道筋が分かってないやつ。
「まあでも、冒険者はやってかないとね。孤児院に仕送りはしたいし……転生特典が役立ってくれれば良いんだけど……お?」
ぴろん、と音がしてウインドウの文字がちょっと変わった。『小目標:孤児院にお金を贈ろう!』だそうで。
「なんかちょっとイラってくるなこれ……あ、消えた」
とりあえずこんなわけで、私の冒険者生活の始まりです。個人的には大目標は死なないこと、かなぁ……?
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本日中に2話目投稿予定です