氷海の下に生きる者   作:Pabelon

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第五話:元先輩

第4セクター中心街

多くの人々が行き交うその場所は、海底であるとはとても思えない場所であった

ケイクとドールはそんなところを歩いていた

 

「…」チラチラ

「気になるところがあるなら後で行かせてやる」

「…!うん!」

 

ドールはしきりに辺りを見回しながら歩いていた時、ケイクが足をとめる

 

「…?」

「ここか」

「??」

二人の目の前にあるのは、とあるレストランだった

 

「騒がしくするなよ」

「ん」

店内に歩を進める

店内は料理の匂いと、客の話し声が混ざっている

ガラス張りの壁の向こうには暗い海が広がっていた

 

「いらっしゃいませー!何名様でしょうか?」

「先客が来ているんだが…」

「あっはい!あちらのテーブルですね!」

店員が示したテーブルには笑顔で手招きをしている女性がいた

 

「やぁやぁ、ケイクはん、久しぶりやなぁ。まさか女連れとは思わなんだよ」

「すまねぇな。こいつを一人にしておくと、どうなるか分からんから連れてきた。あと、リンカー試験は合格したのか」

「うぐっ…い、痛いところを突いてくるやないかケイクはん。こ、これでも潜水艇免許は取ったんやで」

「そうかよ。座っていいか?」

「あぁ、座ったってや」

 

「で、何のようだイリージャ。わざわざ変更した連絡先やセクターまで突き止めやがって…」

「ただ世間話をするためやったけど…」

「…?」

イリージャはドールに目を向ける。黒いショートヘア。ダイアモンドのような水色の瞳。そして、青白い肌。外見からして年齢は18前後だろう。

 

「ジブン、なんて名前なん?…と、名乗るなら自分からやな。ウチはイリージャ、ケイクはんの元先輩や」

「えっと…ドール、です」

「ドールっちゅうんか、よろしゅうなドールはん。そんでなケイクはん、ちょいちょい」

「?」

「ドールはんってもしかして、プラズム被験者か?」(小声)

「よく分かったな」(小声)

「っ!……ど、ドールはn「まて」ん?」

「ドールは俺と会う前の記憶がない」(小声)

「!?記憶喪失ってやっか!?」(小声)

ケイクは無言で頷く

 

「…?えっと…イリージャさん?何か…私に?」

「あっあぁ、何や、今日はウチが奢ったるから好きに頼んでええんやで!ケイクはんも好きに頼みや!」

「…!」

「こいつがこう言ってんだ、自由に選べ」

「ん!」

 

ケイクはメニューを渡し、ドールは目を輝かして見る

 

「容姿の割におぼこいね。これもプラズムの影響かいな?」

「俺が知るとでも?」

「そうやな、知っとる訳があらへんわ」

 

「ん、ケイク」

「何だ?決まったか?」

「これ…んと、ハンバーグランチ!」

「分かった、すみませーん!」

「はい!なんでしょう!」

「ハンバーグランチ一つとアイスコーヒー一つを」

「あぁそれならウチにも冷コーのおかわり頼むわ」

「はい!ご注文繰り返しますね!ハンバーグランチお一つ、アイスコーヒー二つですね!少々お待ちください!」

 

注文が来るまでの間、ケイクとイリージャは雑談をしていた…




第4セクター

だいたい日本とパラオの真ん中辺りに存在する海底居住施設。
連なる4つの半円筒状の建造物であり、西側から一棟、二棟、三棟、四棟と呼ぶ。
一棟は設備管理、二棟と三棟は居住区、四棟が港となっている。
太平洋に存在するがトライグルの管理するセクターではなく、アトラスグループ管理の中立のセクターである。
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