第4セクター中心街
多くの人々が行き交うその場所は、海底であるとはとても思えない場所であった
ケイクとドールはそんなところを歩いていた
「…」チラチラ
「気になるところがあるなら後で行かせてやる」
「…!うん!」
ドールはしきりに辺りを見回しながら歩いていた時、ケイクが足をとめる
「…?」
「ここか」
「??」
二人の目の前にあるのは、とあるレストランだった
「騒がしくするなよ」
「ん」
店内に歩を進める
店内は料理の匂いと、客の話し声が混ざっている
ガラス張りの壁の向こうには暗い海が広がっていた
「いらっしゃいませー!何名様でしょうか?」
「先客が来ているんだが…」
「あっはい!あちらのテーブルですね!」
店員が示したテーブルには笑顔で手招きをしている女性がいた
「やぁやぁ、ケイクはん、久しぶりやなぁ。まさか女連れとは思わなんだよ」
「すまねぇな。こいつを一人にしておくと、どうなるか分からんから連れてきた。あと、リンカー試験は合格したのか」
「うぐっ…い、痛いところを突いてくるやないかケイクはん。こ、これでも潜水艇免許は取ったんやで」
「そうかよ。座っていいか?」
「あぁ、座ったってや」
「で、何のようだイリージャ。わざわざ変更した連絡先やセクターまで突き止めやがって…」
「ただ世間話をするためやったけど…」
「…?」
イリージャはドールに目を向ける。黒いショートヘア。ダイアモンドのような水色の瞳。そして、青白い肌。外見からして年齢は18前後だろう。
「ジブン、なんて名前なん?…と、名乗るなら自分からやな。ウチはイリージャ、ケイクはんの元先輩や」
「えっと…ドール、です」
「ドールっちゅうんか、よろしゅうなドールはん。そんでなケイクはん、ちょいちょい」
「?」
「ドールはんってもしかして、プラズム被験者か?」(小声)
「よく分かったな」(小声)
「っ!……ど、ドールはn「まて」ん?」
「ドールは俺と会う前の記憶がない」(小声)
「!?記憶喪失ってやっか!?」(小声)
ケイクは無言で頷く
「…?えっと…イリージャさん?何か…私に?」
「あっあぁ、何や、今日はウチが奢ったるから好きに頼んでええんやで!ケイクはんも好きに頼みや!」
「…!」
「こいつがこう言ってんだ、自由に選べ」
「ん!」
ケイクはメニューを渡し、ドールは目を輝かして見る
「容姿の割におぼこいね。これもプラズムの影響かいな?」
「俺が知るとでも?」
「そうやな、知っとる訳があらへんわ」
「ん、ケイク」
「何だ?決まったか?」
「これ…んと、ハンバーグランチ!」
「分かった、すみませーん!」
「はい!なんでしょう!」
「ハンバーグランチ一つとアイスコーヒー一つを」
「あぁそれならウチにも冷コーのおかわり頼むわ」
「はい!ご注文繰り返しますね!ハンバーグランチお一つ、アイスコーヒー二つですね!少々お待ちください!」
注文が来るまでの間、ケイクとイリージャは雑談をしていた…
第4セクター
だいたい日本とパラオの真ん中辺りに存在する海底居住施設。
連なる4つの半円筒状の建造物であり、西側から一棟、二棟、三棟、四棟と呼ぶ。
一棟は設備管理、二棟と三棟は居住区、四棟が港となっている。
太平洋に存在するがトライグルの管理するセクターではなく、アトラスグループ管理の中立のセクターである。