南廷での日常   作:xm6

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書いてて思ったんですけどこれ実質オリ主では?
そんで新月同行の要素が薄いんですが?


美少女、センシュウ!

 

新月が拠点としている幽影列車の駅。

そこには書類の海が出来上がっていた。そして白い三角帽子が特徴の1人の人物が机に突っ伏していた。

 

『助けてくれ…』

 

女性の声と男性の声が混ざりあい、そして反響するような声を出している彼は、元"オレンジブレイド"、現"新月"の隊長である。

月面の危海駅での事故で"現実流失"を患い、過去の記憶を失い、帽子の下の顔にあたる部分は流れ出ていく黒い煙で出来ていた。

 

「おはようございます…隊ちょ…!?ちょっと!?何が起きてるんですか!?」

 

彼が半ば諦め、机に突っ伏しているとき、元気な少女の驚く声が聞こえてきた。

隊長が声の聞こえた方に顔を向けると、彼の仲間であるセンシュウが驚愕の顔でホームを見ていた。

 

『セン…シュウ…助けて…』

 

「いやいやいや!隊長なにやってるんですか!?」

 

『はは…数日間サボってたら…泉蓮グループ、全聯堂、コンビニ、ネヴァー楽園、南廷支部…超実体の報告書やその他諸々の書類だとかが貯まってしまってね…』

 

「昨日の夜うるさかったのはこれのせいですか…シンリョウは?」

 

センシュウがそう問いを投げ掛けてくると、隊長はおもむろに腕を上げ、背後を親指で指した。そこには隊長と同じようにダウンしたシンリョウがいた。

 

新月の中で機械に最も精通しているシンリョウがあの姿なのだ。隊長だけでは到底終わるとは思えない。実際、彼女がダウンしてからの仕事効率は格段に落ちてしまっていた。

 

「隊長~!起きてください!このままだとまともに駅使えませんよ~!」

 

センシュウがそう喚きながら隊長の体を大きく揺さぶる。

彼の体は大きく前後に揺れ、大きな音を出し、座っている椅子ごと後ろに倒れてしまった。

 

『ぐあぁ…』

 

「起~き~て~!!」

 

『揺らさないでくれ…チュウゲン…ミンソウは?』

 

「チュウゲンとミンソウは任務中でしょ~が!それに、ミンソウはともかくとして、あの筋肉達磨がいたところで何にも貢献しませんよ!」

 

はは…酷い言われようだな…チュウゲン…

微睡んでいく意識の中で、隊長は心の中でひとりごちた。

 

───────────────────────────

 

『………』

 

私が目を覚ますと、そこはベッドの上だった。暖かい毛布と心地の良いベッドに挟まれて二度寝を敢行しそうになるが、すんでの所であの雑多にばらまかれた書類の海を思い出した。

 

時計を見ると寝ていた時間は4時間ほどのようで、もう昼を越していた。

 

『終わらせなくては。』

 

体を起こしてベッドから降りる。

冷蔵庫から2本のコーヒーを取り出して、ホームへと歩いて行く。

 

「ひぃ…終わんないよ…」

 

ホームには弱音を吐きながら1人で仕事をするセンシュウがいた。彼女の背後に忍び足で近寄り、そのうなじにとても冷えたコーヒーを当てる。

 

「にょあッ!?」

 

彼女は素っ頓狂な声を漏らし、少し仰け反った。

私はコーヒーを彼女に差し出し、私も缶を開けてコーヒーを飲む。

 

「た…たいちょ~…びっくりしましたよ…」

 

彼女は私に正当な文句を言いながら、差し出されたコーヒーを受けとる。

 

『すまないな。少しイタズラしたくなった。』

 

「まったく……まぁでも、昔みたいになってきて良かったです。」

 

『じゃあ今度ご飯でも奢ってもらおうかな。』

 

「何がじゃあなんですか!?あとそこまで戻んなくて良いです!今くらいがちょうど良いぐらいですねぇ!」

 

今も奢るのは嫌なのか…早口で捲し立ててくる彼女の姿はやはり面白い。これからもイジッてやろう。

 

『冗談だよ…もう昼も過ぎているし、私の奢りで何か食べにでも行かないか?』

 

「…あの、まだ全く終わってないんですけど。」

 

『…時には休暇も必要だろう?』

 

「それ現実逃避ってやつじゃないですか?」

 

三角帽子の先を掴み、目深に被って、彼女の問いに乾いた笑いを返す。何が良いだろうか、焼肉?肉まん?

 

「隊長~?」

 

『焼肉店に行かないか?』

 

「行きます!!」

 

食べ物をちらつかせればセンシュウはすぐに従順になる、ここで生活していく中でわかったことの1つだ。

 

「シンリョウはどうします?」

 

彼女も私と同じようにセンシュウに寝かしつけられ、今もベッドで眠っている。

 

『シンリョウは…焼肉とか好まなさそうじゃないか?』

 

「確かに…シンリョウには悪いですが2人で焼肉に行っちゃいましょう!」

 

───────────────────────────

さて、私達はあの後店に来たわけだが…少々奮発して中々に高い店を選んだ…少しでもあの量の仕事を思い出させないようにするために。

 

「うわぁ…これ全部奢ってもらっちゃって良いんですか?」

 

『もちろん。』

 

「さっすが隊長!一生ついていきます!」

 

メニュー表を見ると、どれも高価なものばかり、とは言え…普通の人間くらいが頼む量だったら、そこまで痛手ではないだろう。

 

「よし、決めました!隊長は?」

 

『私も決まっているよ。』 

 

じゃあ…と、彼女が店員を呼び、注文する。

 

「カルビと牛タンと鶏モモ肉とハラミとロースと豚バラと特盛の白米…あと牛モモ肉もお願いします!」

 

頼みすぎではないだろうか?常日頃から思うのだが、小柄な彼女の一体どこにそんな容量があるのだろうな。

 

『私はタンとカルビ…あと白米を。』

 

店員は私達の注文をメモし終えると、ごゆっくり…と言って部屋から出ていった。

 

「いや~それにしても焼肉なんてホント久しぶりですよ~」

 

『そうだな…』

 

彼女の言う通り、ここずっと新月は南廷の大きな問題解決のために奔走し続けていた。

全聯堂と和祥義の抗争…テスラ達の負の遺産"胎動"…それに、泉蓮ビルの地下……

思い返しただけで目眩がするレベルで濃い数ヶ月間だった。

 

『まあ、弱音は吐かないさ、隊長だから。』

 

「でも朝…助けてくれって?」

 

『……全ては過去!終わったことだ…!』

 

「過去!?」

 

『まぁ…すぐに論破されてしまったが…普段は弱音を吐くつもりはないさ。』

 

「…というか、戦闘中とか策略でピンチに陥ったとき、隊長って笑ってません?」

 

『さぁ、どうだろうな?』

 

「ムキーッ!その嘲るような仮面をいつかとってやりますからね!」

 

『ははっ…期待しているよ。』

 

やはり、仲間と談笑するのは良いな。

過去の私はどうだったのだろうか…

───────────────────────────

 

「仕事をほったらかして、お二人で焼肉、楽しそうでしたね。」

 

「『すみませんでした』」

 

その後、シンリョウに正座させられた。

今度はシンリョウも連れて…いや、ハルチ、フライス、ナンキョウ、ゴウシャ、スズメも連れて新月の皆で行こう。





焼肉のシーンはデウス・エクス・マキナされました。
南廷にも焼肉はあるのかどうか。
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