「本日の議題だが」
カカカカカッと書紀がリズミカルに書いていく。
『敵対組織の女怪人で性癖を満たすのは有りか無しか?』
「少し前の会議で、イケメン壁ドン野郎が女怪人をメス顔にしていたと聞いた。
それならば我々にもチャンスがあるかも知れない」
「首領、それなんですが」
「む?何か追加情報でもあるのか?」
「正確には「壁ドンイケメン野郎」ではなく。『壁ドンイケメン王子(女)』です。」
「「「「あいつ女だったのか!?」」」」
「そして、当然ですが性癖が致命的に噛み合いません。彼女はノーマルですから」
「ええー・・・」
「さらに言えば、彼女は壁ドンされたい側です。思考はゴリゴリの背景に花を乱舞させる系乙女漫画。そして敵対した怪人はガチレズ。」
右手を挙げながら筋肉質が質問を飛ばす。
「それなら、うちの組織に普通の人間も居るし、怪人でも見た目は人間よりのヤツも居るはず。イケメンだし、選び放題とは言わないが需要はあるのでは?」
重苦しく頷きながら書紀が答える。
「イケメン女性で、超恋愛漫画的思考、性癖は『スポーツ万能なクール系、でも笑うと可愛くて、さらっと壁ドンして口説いてくる人』。貴方・・・その性癖を満たす相手になれますか?」
「無理ですごめんなさい。クールじゃないし背景に薔薇とか出せません」
「ワンチャン、植物系怪人とかになればイケそうっすけどね」
「ん?それなら何故、女性怪人をメス堕ち顔させたぜ!なんて報告してきたんだ?」
筋肉質・触手・首領が言う、が。
「それは『性癖とは合わないけれど、一つくらい成功報告が有れば皆元気になれるかもしれないだろう?』と言っていました。」
「やだ、優しい」
「イケメン(女)」
「気遣いは嬉しいが、切ないなあ」
続けて書紀が
「それと、敵対組織の女怪人についてですが」
「うむ、議題を忘れる所だったな」
「以前会議で言いましたよね、我々の共通点」
筋肉質が首を捻りながら
「あれだろ?死にたくないから戦う。性癖が・・・噛み合わない?」
「はい。女性怪人の性癖も調査しましたが、これまた当然の如く、我々男性怪人とは噛み合いません」
「お前凄いな。そんなもの調査できるって何者だよ」
「やりようは幾らでもあるのです。それは兎も角、女性怪人ですと」
ボードに書き連ねていく。
『ショタコン』『オジコン』『触手フェチ』『痴女』『くるぶしフェチ』・・・
「調査の結果このような情報が出てきまして」
「ふむ・・・オジコンならイケオジが・・・いやあいつロリコンだったわ」
「触手フェチなら俺がイケるっすね。でも性癖が噛み合わないって事は」
「はい、『触手なら誰でもいい。むしろ色とりどりの触手の海に溺れたい』との事なので、純愛廚触手さんとは致命的に合わないでしょう」
「痴女!痴女が居るなら俺が!」
ハイハイハイ!と手を挙げながら筋肉質が言う、が。
「逆レしてくるタイプの痴女ではなく、露出狂的な意味での痴女です。見せるだけ見せて逃げるそうです」
「どうしてだよぉおおおお!」
血反吐を吐かんばかりに叫ぶ筋肉質。
「ちなみに純度60パーのケモノっ娘で、性癖は『どろどろになるまで甘やかしたい』、なら居ましたよ首領」
「・・・・・・・・・・・・・」
無言で机に突っ伏し、うわごとのように
「99パーじゃなきゃ俺は・・・ダメなんだ・・・!」
それを見つつ書紀は。
「表情豊かなくすぐられフェチはどこかに居ないものでしょうか・・・」
と、遠くを見つめていた。