災害の女神になったので異世界巡ります。神話の時代から 作:Revak
戦争は順調に勝ち進んだ。
ローフェが居れば百戦百勝。どの戦もローフェが居るというだけで勝利された。
だがローフェが居ないところは別だ。
何も帝国を攻めているのはジュリアード王国だけではない。他国も攻めている。
そちらでは勝ったり負けたり……敗北の方が数が多かった。
となれば当然、勝ちしかしてないジュリアードに対し同盟を持ちかける国もある。
結果、別々で戦争を仕掛けていた者たちは一致団結し、対帝国の同盟を組んだ。
その結果、ローフェの二十四時間労働が決まった。
東で苦戦とあれば飛んで行き、西で敗走とあれば走って援護する。
ダルマナック帝国は大陸の四割を支配している大国だ。転移魔法も駆使しローフェは休まずの強行軍をした。
ローフェにとってこれは楽しい事だった。久方ぶりに人の役に立てている、と実感出来たのだ。
やはりローフェは小心者で、誰かの役に立ちたいという思いが強い人種なのだ。
そうしてついに帝国の首都サンハフナスを包囲した。
帝国軍五十万に対し周辺国家八つの同盟軍四十万。十万の差がある。
だがこちらにはローフェが居るので問題はない。
帝都は大きく、広い。そして堅牢な壁に囲まれている。
門も当然幾つもあり、ローフェ達ジュリアード王国軍は西門の一つを包囲していた。
兵士が陣列している中に、帝国の元皇子ハジメの姿があった。
ハジメは戦争中だというのに衣服を着ている。鎧ではない。
だが腰には黒い魔剣を下げている。
戦争が始まった。
帝国は一部の軍を野戦に出し抵抗している。
それらの殆どはローフェが無双ゲームをしてバッタバッタとなぎ倒している。
ハジメは腰の剣──魔装の力を使った。
瞬間ハジメは黒い鎧に包まれる。
どこか日曜朝にやってそうな悪役が着てそうな黒い鎧だ。顔は晒されている。
背中には悪魔の翼が生えている。これは魔装と呼ばれるダンジョン産の
魔装とは魔法の鎧を瞬時に纏うタイプの
中級以上からあるアイテムであり効果は様々だがどれも強力な効果を持つ。
その代わり指輪などのアクセサリーは装備出来るが魔装以外の武器や防具を装備出来ないという欠点がある。
だがその欠点を補ってなお強い装備品であると同時に数が少ない
現状では人の手で作る事は出来ず、ラモトラのダンジョンから産出された物しかない。
ハジメが装備しているのは上級の魔装であり、幾つかの機能を持つ。
ハジメは馬から飛び、空を駈けた。
魔装の基本武装に
ハジメは空を飛んで行くと城壁上の帝国軍人たちが遠距離攻撃を放つ。
それらを<回避>などの
■
「ふんぬらばっ!」
ローフェはグングニルを振るい、暴風の刃を複数放った。
それにより帝国軍人たちが紙のように吹き飛んで行く。
「……流石に多いな」
ローフェが戦闘開始してからまだ十分程度。敵はまだまだ尽きる事ない。
そして帝国側はローフェに勝てないことを悟り、ローフェを露骨に避けるようになっていた。
ローフェに感知系の
そのため避けられると敵を探知するのに時間がかかる為、逃がしてはならぬと鬼の形相でペガサスで戦場を駈けまわっていた。
「ん」
そうして敵軍を吹き飛ばしていると空に魔力を感じ取った。
空ではハジメが白い鎧型の魔装を着た者と戦っていた。
ハジメによく似ているが、まだ若い男だ。
神眼で見ればそれはハジメの弟にして現皇帝、ウーヴェとわかった。
加勢するべきか否か。ローフェは少し悩んだ。
兄弟喧嘩などではなく。命を懸けた殺し合いだ。日本人の感覚としてはあまり兄弟姉妹で殺し合って欲しくはない。
だがここは異世界アルトミアルス。邪魔するならば親兄弟でも追い落とし殺すのが貴族の世界だ。
更に言えば皇帝はもはやこの大陸にとっての害。それを打倒する邪魔を女神がしてはならないとも思う。
だが、帝国軍はハジメを攻撃しようとする。
「少し乱暴するか」
ローフェは神の権能を大きく使う。
空に一瞬で舞い上がり、隕石の雨を降らす。
一つ一つは人間大の大きさの燃え盛る隕石だ。だが着弾すると大きなクレーターを残す代物だ。
それが空から降り注ぐ。勿論味方の軍には当てないよう調整済みだ。
その攻撃によって帝国軍が瓦解する。
こんなバケモノ相手に勝てるか、と。
そして空の戦いも決着がついた。ハジメが皇帝の首を斬り落としたのだ。
ハジメが拡声の
『聞け! 帝国の皇帝は死んだ! 大人しく降伏するんだ!』
その声を聞いた帝国軍人たちは、諦めたように武器を投げ捨て、降伏した。
ローフェもこれ以上殺さずに済んでよかった、と武器を収めた。
こうして悪しき帝国は打倒され、平和がやってくる。
■
数年後。
元ダルマナック帝国、現ミュール王国。その王城の客間にて。
「まさか、俺が王になるとは思わなかったよ」
そう笑うのはハジメだ。歳をとったが良い歳の取り方をしている。
帝国は領地を大きく削られた。
大陸の四割を支配していたが、その半分も残っていない。
だが、ゼロになったわけではなかった。
八カ国の同盟により、仲良く領地を切り取られたが、そのすべてを別けるには大きすぎた。
そのため仮に取ったとしても支配を維持できないため、取れない場所というのがあった。
問題はその残った場所の領民や貴族だ。
放置は論外だし、残っている貴族に統治させるにしても内部分裂で内乱するのが目に見えている。
ならば多少はマシな支配者に鞍替えさせるか、とハジメに白羽の矢が立ったのだ。
「余としては其方以上に相応しい人間は居ないと思うよ」
そうローフェが微笑んだ。
ハジメが王の座についてから数年。統治は問題なかった。
何度か反乱を起こそうとした貴族はいたがローフェによって叩き潰され、早期撲滅されていた。
「……そうだな。選ばれた者として、相応の働きで返さないとな!」
そうハジメは笑った。
■
二千年が経った。
その間、ローフェは色々と活動した。
最強の冒険者として動いたり、一時領主になったりなど、様々なことをした。
縛りを捨てたローフェは最強無敵である。
そしてついに新しい大陸も発見された。新大陸の名はツヴァイトという。
その大陸も発見から千年が過ぎた。
これからも、ローフェはこの世界で生きていく。
まだ見ぬ未知を求めて冒険するだろう。安寧を求めて街を治めもするだろう。
そうした人生は、永遠に続く。
完結です。