魔法先生ネギま!描かれる物語   作:びーびー

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第二話 森の中での出会い

 

 

 「あっ、こらっ、爪を立てるんじゃない」

 真の手を嫌がり乗っている少女の制服に爪を立てようとする猫をひょいひょいとつまみ下ろしながら真はこうなった経緯を考えていた。

 

 少女が声をかけ、それに真が妙な言葉を返してから見つめあうこと数秒、猫まみれの少女という見かけから受けた衝撃も収まった真は意を決して少女に声をかける。

 「あー、猫を取ってくれっていうのは君の肩やら頭やらに乗っている猫を下してく  れってことか?」

 はい、と少女は感情のこもらぬ声で返事をする。

 「このままだと夕食を作る時間に遅れてしまいます」

 確かに少女の言葉の通り、猫にまとわりつかれた少女は動くこともままならずこれからどこかへ行くことも難しい状況なのはよくわかる。

 「それは自分じゃできないのか?」

 「はい、私は作られてまだそれほど立っていないので力加減がよくわからないので  す。昨日も力加減を誤り、猫に怪我をさせてしまいました」

 「そうか……って作られた?」

 「はい、私はガノイドと呼ばれるもので起動したのは3か月ほど前となります」

 「ガノイドって、つまりロボットってことか?」

 はい、と答える少女の顔をまじまじと見てしまう。

 よくよく見ると、耳の飾り(パーツ)や無表情なところがロボット、少女が言うところのガノイドらしさを垣間見せてはいるがそれ以外はまったくもって普通の少女のように見える。

 はー、と感嘆の声をあげながら真は少女に近づいていく。

 麻帆良に来たばかりの真であったのなら人間と見間違えるほどのロボットが存在していることに、もっと驚いたりしたのかもしれないが、この麻帆良という街に住んでいるうちに真は変わっていた。

 慣れたといってもいいのかもしれない。

 「なるほどな。俺は高等部1年の清水真だ、よろしく」

 「はい。中等部1年A組の絡繰茶々丸と申します」

 必要以上に驚かずこうして普通に挨拶をかわす程度には真はこの街に慣れていた。

 

 

 「じゃあ猫をどかすから動くな」

 「はい、お願いします」

 普通ここまで人が近づいたら野良猫は逃げるはずだが、ここにいる猫たちは茶々丸という少女の体の上や足元で自由にくつろいでいた。

 「よくくつろいでるな、だいぶ懐かれてる」

 「そう、でしょうか」

 「まぁ普通は野良猫は人にはあまり寄ってこないからな」

 真は昔、猫をスケッチしようとして野良猫を追い掛け回したことを思い出しながらひょいひょいと猫をつかんでは地面に下す。

 「よくこうなるのか?」

 「これで三回目です。以前ここで弱った子猫を見つけたときに餌を与え、それからも たまに来ていたのですが、猫が登ってくるようになったのは最近のことです」

 最初は猫をどかすことができずに、立ち去るまでここに座っていて、その後茶々丸がマスターと呼ぶ人物に怒られたこと、2回目は以前に怒られたために猫をどかそうとして力加減を誤り怪我をさせてしまったと茶々丸は言葉少なに語った。

 猫の中には茶々丸の制服に爪を立ててまで抵抗する者もいたが、何とか全ての猫を茶々丸の体から取ることができた。

 「ほら、もう行った行った」

 その言葉に名残惜しそうな鳴き声を上げながら猫は森の中に去っていく。

 「ありがとうございました」

 猫を見送っていた真の背中にそっと声がかけられる。

 「いーよ、これぐらい。困っている人を助けるのは当然だろ」

 「ありがとうございます」

 そう言って頭を下げる茶々丸を真は困ったような顔で見下ろす。

 そもそもここまで丁寧に感謝されたことなど真にはなく、その相手が年下との少女ということが真の対応を難しくしていた。

 それこそ「サンキュー」「あいよ」といったものが主だった中で突然深く頭を下げられては相手にかける言葉も見つからず困り果てていた。

 「ほ、ほら時間がないんだろ」

 その結果口から出るのは話題をそらす言葉であるがこの場ではそれが正解だったのかもしれない。

 「はい。それでは失礼いたします、清水さん」

 そう言って再び頭を軽く下げ茶々丸は踵を返す。

 「あっ、そうだ、絡繰!」

 その背中に向け真は思い出したように声をかける。

 「はい?」

 「ちょっと手を出してくれ」

 「手、ですか?」

 「あぁ」

 その真の言葉に従い軽く挙げられた茶々丸の手を真は躊躇なく右手で軽く包んだ。

 「清水さん?」

 「……これくらいだ」

 表情は変わらず無表情だが、問いかけるように声をかけてくる茶々丸に、真は手を握ったまま答える。

 「猫はこのくらいの力でつかむといいぞ」

 そう言って真は手を離す。

 茶々丸は真に掴まれた手を開いたり閉じたりしながら、その力の強さを覚えようとしているようだった。

 「また来た時に同じことになったら困るからな」

 その茶々丸の様子を見て今更自分がやったことが恥ずかしくなった真は耳を少し赤くしながら言い訳のようにそれだけ言って立ち去ろうとする。

 「じゃあな」

 真はそれだけを言って足早に男子寮がある方向へ歩き出す。

 心中では唐突な自分の恥ずかしい行動に悶絶しながらも、茶々丸の手の暖かさや柔らかさを思い出し、それによりさらに赤くなる顔を隠すための行動だった。

 「清水さん、ありがとうございます」

 背後からかかる茶々丸の声に軽く手を振り真はその場を後にした。

 茶々丸は真が立ち去った森へ軽く頭を下げ、そして再び真に握られた手を見て広場からつながる道を歩いていく。

 

 

 

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