魔法先生ネギま!描かれる物語   作:びーびー

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新章スタートです。


正反対の二人
第一話 世界樹


 

 

 季節はいくつか流れ真は高等部2年へと進学した。

 と言っても特に変わったこともなく、あちこちに赴いては絵を描く生活を続けていて、なかでも森の中のねこだまりの広場には今でもよく訪れている

 広場では猫に餌をやっている茶々丸と遭遇し、そのたびにいろいろな猫のスケッチが真のスケッチブックの中に増えていっており、なかでもしずくと名付けられた猫がその過半数を占めている。

 その茶々丸だが、最近は急速に表情が豊かになっており、無自覚に笑みを浮かべることが多くなっていた。

 本人に自覚がないため、真が指摘しても首をかしげることが多数だが、以前はぎこちなかった笑顔も自然に表情に出るようになってきていた。

 頻繁に男女が二人っきりであっているとなるとその手の噂の的になってしまいそうなものだが、それも最初のころだけでその後二人の間にそのようなうわさが流れたことはまったくなかった。

 それは少女の心の成長に余計な雑音を与えて、悪影響が与えられることを嫌った少女が暗躍したという説や、「そもそもそんな男との関係なぞ認めん」と文字にされることも嫌がった少女の雄たけびがあったなどとされているが真偽は定かではない。

 実際のところ、お互いに笑みを浮かべながら森の中の広場で男女が向き合っている、と文字にするとそれこそ恋愛小説の1ページのようだが二人の間にそのような言葉のやり取りはない。

 互いに多少の雑談はするものの、一人は絵に集中し、もう一人はもともと言葉数が少ないということと絵の邪魔をしないようにさらにしゃべらないためそもそも会話自体があまりないのだった。

 そんな様子が毎回続くのであきらめの悪い新聞部の少女も匙を投げ捨てており、二人の間もまた先輩、後輩という間から変わらなかった。

 

 

 

 

 

「真―、今日はどこ行くんだー?」

 遠くから聞こえてくる浩輔の声に真の意識は引き上げられる。

枕にしていた腕から顔を上げると笑いながらこちらをのぞき込んでくる浩輔の顔があった。

 「ん……もう、放課後か?」

 「そ。寝すぎだよ、お前は。」

 「あぁ、ちょっと昨日は遅くまでやってたからなっと……」

 そう言いながら真は机脇にかけてある鞄を手に取り立ち上がろうとするが軽い眩暈を感じ机に手をついて体を支えるような形になってしまう。

 「大丈夫かよ、あんまり無理をしない方がいいんじゃないか?」

 「大丈夫、大丈夫。今日は世界樹の方に行きたいから一緒にはかえれないけどな」

 真はそういうと心配そうな表情を浮かべる浩輔に手を振り教室を後にする。

 真がこうなるのはよくあることなのでいつものようにしょうがないなという表情を浮かべ教室から出ていく真を見送る。

 よくある放課後の風景だった。

 

 

 

 「さてと」

 世界樹の見える広場のベンチに腰をおろし、真はスケッチブックを広げる。

 世界樹はもちろん麻帆良のいたるところから見えるが、真はかなりの割合で世界樹というものを絵の題材に選んでおり、またそうでない場合でも真のスケッチに世界樹が描かれていることは少なくない。

 それは真の中では世界樹をこの麻帆良という街の象徴としてとらえているからだった。

 外の世界からはじかれた真を受け入れた街、麻帆良。

 その街の象徴である世界樹を描くことは真にとって、自分は麻帆良におり、ここでは自分は排斥されたりしない、という無意識な自己暗示の一種だった。

 だから真は疲れた時や落ち込んだ時には決まって世界樹の近くをスケッチ場所として選んでいて、今日もその例にもれず真が腰を落ち着けたのは世界樹の近くの広場だった。

 「でっかいよなぁ」

 筆を走らせていると自然とそんな言葉が真の口からこぼれる。

 「外の世界だったら大騒ぎだよ」

 疲れているから注意力も散漫に、ここじゃあそんなことはないけど、と一人ごとをこ ぼしながら真は手を止めることなく描き続ける。

 その言葉を聞いているものが、いたにも関わらず。

 

 だからこそ、ここにきてよかった

 

 そう続くはずだった真の言葉は乱入者が落とした鞄の音で中断させられてしまった。

 しまったという顔で恐る恐る振り返った真の視界には信じられないといった表情で真を見つめる少女とその少女が落としたであろう鞄が映る。

 (絡繰の着てる制服と同じ?)

 そんな外れたことを考える真をよそにその少女は驚くほどの勢いで真に近づいてきて、目の前まで来ると鬼気せまる勢いで真に言葉をぶつける。

 「あんた、今世界樹が外の世界だったら大騒ぎって言ったよな!」

 「……」

 その言葉に黙り込む真にいらだったかのように少女は少し声を荒げる。

 「答えてくれ!」

 その少女の言葉には助けを求める幼子の鳴き声のような悲痛な色が見えた。

 

 




読んでいただきありがとうございます。
相変わらず遅い更新ですがこれからもよろしくお願いします。
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