この『セカイ王国』には、姫を魔族や敵国から
守るための騎士団があった。
彼等の犠牲の上に、平和な日常は成り立っている。
そんな事、まだオレは知る由も無かったが。
*
(アキトside)
「あー!アンタ、また素振りなんかして。
騎士にでもなりたいわけ?」
「…うっせぇな、ほっとけよ」
庭で偽物の剣を振るっていたオレに、実姉の
『エナ=シノノメ』が絡んできた。
鬱陶しい限りだ。
オレの家は庶民階級だ。
親父は名が知れた画家だから、暮らしには
困っていない。
そんな父の影響で、エナは王宮画家になる事を
夢見ている。
…が、オレは絵の道に進むつもりは毛頭無かった。
エナの夢を否定するわけでは無いが、
オレには良さが分からない。
と、言ってはいるものの、他に特にする事も無い。
商人から荷物運びの礼として渡された偽物の剣を
こうして振り、退屈を紛らわせていた。
「アンタは知らないでしょうけど、ここ最近
この地区、治安悪いんだから。
騎士の人達が巡回警備してくれているけど…。
問題起こされると面倒なんだから、うろちょろ
しないでよね」
エナはいつもみたく、眉間にシワを寄せて言った。
オレは皮肉を込めて言い返す。
「知ってるっての、そんなことくらい。
お前みたいに注意散漫じゃねーし、大丈夫だっての」
「は?アキトのクセに生意気なんですけど?」
エナは溜め息を吐いた後、
「まぁ、そんな事よりパン買ってきてくれる?
暇なんでしょ、どうせ」
「うろちょろさせたくないんじゃ無かったのかよ…」
さっきのやり取りは何だったんだ、と内心で呟く。
渋々財布を受け取って、商店街に赴いた。
*
エナにパシられる事はしょっちゅうだし、今更苛立っても
しょうがない。
パン屋から受け取った、焼きたてのパンが入った袋を
抱えて帰路に着く。
袋ごしでも充分温もりが伝わってきた。
「…さっさと帰るか」
治安が最近悪くなってきているのは本当の事だし、
長居は無用。
住民同士のトラブルなんかも相次いでいる今、
巻き込まれるのは控えたかった。
…それなのに。
「ふざけんじゃねえぞ!」
「…!?」
男の怒鳴り声が辺りに響いた。
(何だ?)
子供のすすり声も聞こえてくる。
(…いや、待て)
声のした場所に向かおうとしていた足を留める。
厄介事に巻き込まれるのは確定事項だろう。
オレには関係無い事。
…そう割り切ろうとした。
「ひっぐ…うっ、ぐすっ」
オレがそう悩んでいる間にも、子供のすすり声は
止まなかった。
焦燥感と罪悪感に囚われる。
「あー、ったく!」
オレは声の聞こえる路地裏へと、足を運んでいた。
サヨ天復刻引きたい…。クリスタル集め頑張ります