ステータスの申告後、装備選びの時間があった。
いろんな奴らが各々の気になった武器を取って行ったが、南雲と俺が最後まで残った。俺と清水と南雲は3人で話していた。
「南雲、選ばないのか?」
「うん…ちょっと、自信をなくしちゃってね…ああ…大剣をぶん回してみたいって思っていたんだけど…」
「うーん、バイオレンス。そういや、清水はすぐに決めたよな」
禍々しくも見える杖を見る。
「これをみた時、ピンときたからな」
「ふーん、黒い杖に、黄色い宝石?ミラボレアスみたいな配色だな」
「「たしかに」」
「なんで選んだお前が気づいてないんだよ」
宝物庫を散策しながらケラケラ笑いあう。
「南雲ぉ!さっさと選べよ!雑魚いんだから何持っても変わんねえよ!」
「「「「ぎゃはははは!」」」」
うるさい声が聞こえるが、気にしない。
武器選びをミスると、普通に生命線に関わるからな。
「あほくさ、続きにいこうぜ。ああ、あいつらの対応が面倒なら、訓練後に決めるってのもありだと思うぞ?ちなみに俺はそうするつもりだ」
「うん、参考にしてみるよ」
「自分に合った武器を探すのじゃ…」
「なんかじじい沸いたぞ」
清水が杖を持ったからか、師匠ポジみたいなセリフを言い出した。呪われてるんじゃねえの?その杖。
結局、武器は決まらなかった。取り回しとか、状況対応能力とか、考え出したらキリがなかった。
宝物庫から出て、南雲が素手なのをみた時のクラスメイトからの侮蔑とかがやばかった。なんもしてないやんけ…許してクレメンス…
午後からは、自分のできることを把握する訓練だった。
何人かずつだったり、一人ずつだったりする。
俺は何人かでかくれんぼみたいな訓練をした。
五回ほどやったが、全員見つけたし、一回も見つからなかった。
気配、熱、音、魔力。
それぞれを意識して使うだけで、ありとあらゆることが“観“える
…すげえわ、これ。
清水は、魔法使いの方と話したりしていた。
南雲は…うん、地面に錬成しただけ。綺麗な泥団子っすね…
ちなみに、天之河は騎士と手合わせしていた。ボロ勝ちしてた。なんだこいつ。八重樫さんは、あれより強いらしい。なんだこいつら。
その後は、基礎体力を作る訓練程度で終わった。清水と南雲はかなりきつそうだった。俺は元の世界で二、三日に一回長距離ランニングをしていたから結構マシだった。細マッチョ目指して頑張ってました。モテなかったけど。
その後は、夕食の時間までは自由時間だ。俺は図書館へ戻った。南雲と清水はグロッキーだった。
回復薬とかがあるなら、レシピや材料のある場所も調べてみるか…
夕食後、今回は3人で集まり、会議を行う。
議題は、課題把握が一、二はその解決策だ。おまけに情報共有もある。
今は、使ってもいいと言われた部屋で会議をしている。明日ももちろん訓練&座学なので、長くはしない。
「では始めようか」
「「なんで月見里(君)が仕切ってん(る)の?」」
「気にするな」
くだらねえやじは無視して課題を挙げていく。
「俺が現状の課題だと思っていることは
1.地球への帰還
2.この国に留まって大丈夫か
3.俺たちが結構弱いこと(特に南雲)
4.いつから戦争に行かされるか
5.最初の戦闘がいつか
6.戦う手段の確保
などだ。他にあったらあげてくれ」
清水が挙手する。発言を促す。
「檜山などがたった二日異世界にきただけで増長していること」
「一理どころか五理ぐらいあるな」
メモに書き足す。
南雲が挙手する。また発言を促す。
「この会話が、誰かに聞かれていること」
「「は?」」
扉を見ると半開きになっていた。
飛び出し、下手人を見る。
髪が長い、女子だな。くくっていない上、背中くらいなのを見るに、おそらく白崎だろう。
「たぶん白崎だな。問題はない。続けよう」
「「どこが!?」」
「じゃあ聞くが、あの邪神を警戒してずっと会議するなんて、身が入らないだろ?じゃあ、気にするだけ無駄だ。というか、この会話を他人に話すようなやつじゃないだろ、あいつ」
南雲と清水はまあ、うん…って感じで矛を納めた。
「防音結界とか魔法にないかな…」
「俺が魔法使いの人に聞いてみるか」
「ありがとう、清水君」
「そうしてくれると助かるよ」
「お安いご用だ」
閑話休題
「地球への帰還についてだが、現状どうしようもないな、その辺に置いとこう」
「「異議なし」」
保留、と書き込む。
「じゃあ次、『この国に留まって大丈夫か』これは戦争に行かされる話にもつながるな」
「まあ、ダメだろうね」
「だな、どっかしらでトンズラこくのが正解だな」
だろうな。見ず知らずの奴らに命をかけてやる義理はない。俺は異世界を楽しみたいんだ。理想の癖を求めて、な。
「いつトンズラするかは、また別の機会にしよう。次、『俺たちが結構弱いこと(特に南雲)』これは6ともつながるな」
「耳が痛い話だね…」
「どっかしらで向き合わないといけないからな、俺たち3人を見てみろ、直接戦闘には雑魚すぎる」
錬成師、闇術師、偵察士とびっくりするくらいの支援系職である。ちなみに闇術師はデバフばら撒きタイプの魔法使いだ。敵ならかなり厄介である。
「急務は火力の確保だね」
「そうだな。最悪の場合、月見里が前に出れるステータスだが、一人な上、本職じゃない。できてもサブタンクだろうな」
「そうだね、月見里君が重装職に舵を切らないとかなり厳しいだろうね。しかも、偵察士の長所を潰しまくることになるし」
全員、頭を悩ませる。
「どっかにアサルトライフルでも落ちてねえかな…」
「銃を作るには、熟練度が足りないんだよね…」
「え?できそうなのか?」
「そのうちできるとは思うけど、今のペースなら、何年かかるか…」
「…そう都合よくはいかないよな」
なにかないかな?火力不足とかを補え、南雲の立場も保証できるもの…
「せめて冷兵器…クロスボウは無理なのか?」
南雲は思案顔になった。
「やってみる価値はあるね」
「いいね。現代の技術に通じる思想、この世界にない技術や道具を再現できれば、それだけで価値になる。それをこの課題の対策としよう。まあ南雲頼りになるってのが問題点だが、それはしょうがないだろう」
「追記としては、別の異世界にありそうなものを作ってしまってももいいな。例えば、ゴーレムとか」
「それ、いい案だね。それも調べてみよう。車とかもゴーレムの応用で作れそうだからね」
意見が纏まった。
とりあえず、今回の会議は終了だ。
戦争に行くのがいつ?っていうのはこれまたどうしようもない。
できる対策は一つだけだった。
力をつけること。
錬成、魔法、情報を共有し、生き残る術を探していく。
他の魔法や、この世界にある技術についても調べていこう。
今はまだ何もない。だから、少しすつ増やしていくしかない。
千里の道も一歩から、だ。
清水の性格は、身内とは普通に話せるタイプのオタク、というイメージです。