ただ思うがままに初代ポケモンの世界を堪能するTSおっさんのお話 作:茜 空
現在の手持ちとニックネーム
・フシギダネ→ハーベスト
途中で一悶着あったものの、マサラタウンにはほぼ予想通り夕方前に余裕で到着した。そして俺もハーベストもまだまだ元気。
という事で先にお届けものを渡しちゃおうとそのまま研究所へ。研究所では研究員さんが博士のところまで案内してくれた。そりゃあゲームみたいに勝手に入ったりできませんよ?研究所はもちろん、個人宅もね。
「博士、お客さんですよ」
「ん?おお!リリィ。案内御苦労。作業に戻ってよいぞ」
「では失礼しますね」
「ありがとうございましたー」
俺を案内してくれた研究員さんは、お礼をいうと笑顔で会釈して出ていった。
「どーだい?ワシのやったポケモンは」
「強くて可愛くて愛嬌あってノリも良くて人懐っこい最高の子ですありがとうございます!」
自分に素直というか、自由な子なんですけどね。それも含めて魅力ある子なんですよ。
「う、うむ、喜んでもらっているようで何よりじゃ」
「?なんで若干引いてるんですか?」
「い、いや、なんでもないぞ」
「?そーですか?」
「変な博士」
若干早口になって圧が出たかもしれないけど、それが原因?まさかね。
「ね、ハーベスト」
「ダネ」
「ほう」
なんなんだろうねーってハーベストと顔を合わせてたら、オーキド博士の顔つきが変わった。
「だいぶなついたみたいだな?」
「そーなんですかね?」
自覚はない。てかこの子誰にでもこんな感じだしなぁ。
「ダネ?」
首を傾げるハーベストかわいい。お前の話をしてるんだぞ?
「お前ポケモントレーナーの才能があるな!」
「だったら嬉しいですね」
現実世界での俺だったら、そんなことないですよーって謙遜してたところだ。でも万が一ここで認められなかったら詰むので、当たり障りないように心掛けながらも自己主張をちょっとトッピングしてみる。
「あ、そうそう、博士に渡すものがあります」
違う話してて忘れるところだった。
「え?ワシに渡すものが?」
「ちょっと待ってくださいね」
カバンをゴソゴソ。テッテレー
「これです。どーぞ」
俺はカバンからフレンドリィショップで預かった物を取り出してオーキド博士に渡す。
「おお!これはワシが注文してた特注のモンスターボールじゃ。どうもありがとよ!」
「いえいえ。これくらいでお役に立ててたら嬉しいです」
そしてここでとびきりのスマイル。美少女に微笑まれて悪い気がする人間なんてほぼいないと言っても過言じゃないね。*1ほら、オーキド博士も嬉しそうだ。*2
「じいさん!」
「ん?あ、レンゴクじゃない」
「おう、リリィもいたのか」
ここでライバル登場。確かにゲームじゃこのタイミングで登場してたけど、こっちの行動次第でずれてもおかしくないのにしっかりここで来るって、何か不思議な力とか働いてない?ゲームの強制力?修正力?みたいな。
そんな事考えてちょっと戦慄してる俺を他所に、ライバルはオーキド博士の方へ。いや、ちゃんと言葉を交わしてくれる辺り、ゲームより人当たり良さそうというか、マイルドになってる気がする。まあ気がするだけかもしれないけど、これは俺にとって超大事。
だってライバルなんだからこの先もどんどん絡む機会があるんだよ?なのに喋りにくい相手だったりしたら地獄じゃん。まあ欲を言えばもっと仲良くなっていいライバル関係を構築したいね。その方が楽しいし。
「すっかり忘れてた!俺になんかよーじだって?」
「ああ、そういえば私も数日前私を探してたって聞きましたよ?何かよーじでした?」
「!」
ここはライバルに話を合わせておく。答えは知ってるけどね。
「おお、そうじゃ!お前たちに頼みがある」
「私たちに?」
「頼みってなんだよ?」
そういうとオーキド博士は目の前にある机とは別の近くの机へと歩いて行く。その机には電子手帳のようなものが二つ。あれがポケモン図鑑か。
「机の上にあるのはワシが作ったポケモン図鑑!見つけたポケモンのデータが自動的に書き込まれてページが増えていくという大変ハイテクな図鑑なのじゃ!」
「じいさんが作ったのか!?」
「すごいですね」
いやほんとにね。ほら、お孫さんもじいさんすげーって顔してますよ。
「リリィ、レンゴク。これをお前たちに預ける」
オーキド博士は机の上に置いてあったポケモン図鑑を俺たちに手渡す。
おお、これがポケモン図鑑。比べたら失礼だけど、メーカーの出してたおもちゃのやつとは全然違う。もっとメカメカしい雰囲気。お、思ってたより軽い。これもハイテク感を感じるな。
「おお、なんかすげーなこれ」
ライバルも受け取ったポケモン図鑑にご執心。分かるよその気持ち。
「ポケモンをただ見つけただけでは詳しいデータを手に入れることは出来ん!」
ほらライバル、ポケモン図鑑に興味津々なのはいいけど、博士の話はまだ続いてるよ?
俺はライバルに軽くヒジを入れて注意を促す。ライバルも今のでちゃんと気がついたようだ。うん、察しが良くて助かるよ。
「必ず捕まえなければならんのだ!そのために必要な道具を渡そう!」
そういうと博士は白衣のポケットから次々にモンスターボールを取り出しはじめた。
いや手品かよ!もしくは四次元ポケットかよ!
非現実的な見た目に思わずツッコミそうになったけど、よくよく考えたらこのカバンも四次元ポケット仕様だったわ。それに博士もポケモン図鑑作れるような超技術をお持ちのお方。ポケットに何か細工するのなんかお茶の子さいさいか。
でも絵面がさ。すっごくシュールぅ。
というわけで博士のポケットから出てきたモンスターボールは全部で十個。俺とライバルはそれを半分づつもらった。
……ボールしまうか。
「野生のポケモンが飛び出してきたらチャンス!モンスターボールをポイ!と投げればポケモンを捕まえられる!ただし、うまくとれるかどうかは分からんぞ!元気なポケモンは逃げやすいし、運もあるからな!」
俺は博士の話に耳を傾けて、相づちをうちながらボールをカバンのボールポケットにしまう。まあだいたいゲーム通りの仕様だな。
「この世界のすべてのポケモンを記録した完璧な図鑑を作ること!それがワシの夢だった!」
てことはこの図鑑、作ってからかなりの年数たってる?あ、いや、スマホみたいにどんどんバージョンアップしてるのか。ポケモン世界でもどんどん進化してったみたいだしな、図鑑。
あとその夢、多分もうしばらくは叶いませんよ?だってこの先どんどん未発見のポケモンがガンガン出てきますし。言わないけど。
「しかしワシももうジジイ!そこまで無理はできん!そこでお前たちにはワシの代わりに夢を果たして欲しいのじゃ!さあ二人とも、早速出発してくれ!これはポケモンの歴史に残る偉大な仕事じゃー!」
「あの、博士、もうそろそろ夕がt」
「よーし!じいさん!俺に全部任せなー!」
「レンゴクもストップ!だからもう夕方」
「リリィ!残念だがお前の出番は全くねーぜ!」
「お願いだから私の話を聞」
「そうだ!うちの姉ちゃんからタウンマップを借りていこう!リリィには貸さないように姉ちゃんに言っておくから俺んち来ても無駄だからな!」
「いいから私の話を聞けー!」
とうとう俺もキレた。
「一方的に喋り続けるなー!もう夕方だから出発するなら明日からにして!今から出たって途中で夜になるよ!家族に心配かけるような行動は慎め!ちゃんと計画性を持って動かないと」
「あー、リリィ?」
「なんですか博士!」
「レンゴクのやつならもう出て行ったのじゃが……」
「……あんのぱーぷりんが!頭ヤドランか!」
「ふぐっ」
今の例えはオーキド博士のツボに入ったらしい。
「あー」
そんでもって今のオーキド博士の反応で我に返った。話を無視されて一方的に喋られたことで随分頭に血が登っていたようだ。
「ごめんなさい博士、ちょっと頭に血が登ってました」
「いやいや、ワシもついついテンションが上がってしまって時間を忘れておったようじゃ。すまんかったの」
「ああ、いえいえ、こうやってちゃんと気づいて話も聞いて謝ってもらえたので」
冷静になって考えれば、あの年頃の男の子がこんなテンションぶち上がる話を聞いて暴走しないわけないかぁ。とは言え、家族が心配するような行為と他人に迷惑をかけるのだけは避けてくれるといいが。ゲームじゃ主人公が来るまでの短い間とはいえ最終的にポケモンリーグのチャンピオンになるんだし、大丈夫だとは思うんだけど俺が異物っちゃー異物だからなぁ。どう変化するかも分からないからちょっと気にかけておこう。
「さて、それじゃあ私はこれで。出発は明朝に」
「うむ。気をつけてな」
「はい。ハーベスト、帰ろっか」
「……ダネ?」
ハーベストに声をかけたらすみっこで寝てた。まあトキワシティから帰ってきてその足でここにきたもんね。疲れてて当然か。ただ単に暇なだけだったかもしれないけど。
「帰ってご飯食べよ」
「ダネッ♪」
さて、ポケモンはこっからが本番と言っても過言じゃない。今日は早く寝て明日に備えねば。
オラワクワクしてきたぞ。
次回、仲間が増えるよ。