ただ思うがままに初代ポケモンの世界を堪能するTSおっさんのお話 作:茜 空
それからしばらくして。俺が起死回生にと考えた策の効果ははというと。
「だーっ、ダメージがぜんっぜん出ない!あとちょっとなのに!」
しっかりと現れていた。
いや思った以上に効果が出てて自分でもびっくりしてる。思わず「へ?」って声が出たくらいに。なきごえってこんな有能だったっけ?
まあ、結果がいいので、ヨシ!*1
「よく耐えたねハーベスト!あと一撃!それでこの勝負、勝てるよ!」
「ダッ、ダネェ……」
でもマジでギリギリ。ライバルのレンゴクが言う通り、こっちのHPもあとちょっと。この最後の土壇場で逆転できたのだ。
なのでもし、ここで攻撃を外すようなことがあれば。
再び逆転され負けが確定。*2
この大事な場面でのたいあたりの頼りなさよ。
泣き言はあるけど、外して欲しくないけど、俺は今日からポケモントレーナー!トレーナーなら、ポケモンを信じないでどうするよ!だから。
「頼んだ、ハーベスト!たいあたりだ!」
「ダッ、ネェェェ!!」
ドンっ!
命中!
俺はドキドキしながら手を握り、成り行きを見守る。
そしてハーベストのたいあたりをもろに受けたヒトカゲは、フラフラしながら。
「カ…ゲ…… 」
ドタっと倒れ込んだ。
「それまで!勝者、リリィ!」
「ぃやったぁぁぁ!!!」
「えー!そんなバカな!お前のポケモンにすりゃあよかった!」
ポケモン初バトル!初勝利!なんか思った以上に嬉しいんだけど?なんで?でもいいや。嬉しいから!嬉しすぎてコイキング並に跳ねる。しかしなにもおこらない。なんちて。
「嬉しいのはわかるがスカートでジャンプは感心せんのう」
「おっと」
オーキド博士に指摘されて慌ててジャンプをやめてスカートを手で押さえる。
はねるなのになにかおこってるじゃん。
嬉しいとは言えちょっとはしゃぎすぎた。反省。ってちょっとライバル、露骨にこっち見すぎ。
「ダ、ネェ」
そこでハッと気づく。そういえばお互いギリギリのバトルだった!
「大丈夫?」
「ダネ」
慌てて駆け寄って抱き抱えたハーベストは、ボロボロだけどすごくいい笑顔で手?前足?をあげた。
お前、かわいいだけじゃなくて、しっかりかっこいいじゃん。
「うん、よくがんばったね。お疲れ様。私たちの勝ち」
「「ダネ」」
ハーベストのダネって声に俺も合わせる。で、お互いに笑い合った。
ぽぽぽぽーん♪
「うわっ!?」
そんな感じでハーベストと勝利の余韻に浸ってたら突然音楽が鳴って結構驚いた。
でもあれ?この音って確か、
レベルアップの音!
「ハーベスト、レベルアップ!」
「ダネッ♪」
ハーベストも嬉しそう。強くなるって分かんだね。
「……あー」
って喜んだのも束の間、投影されてる数字は+1ばっかり。
さげぽよぉ*3
ステータスの上がり方ってこんなだったっけ?
ま、まあHPと欲しいとくこうは1じゃなかったからいっか。
ヨシ!*4
「ダネ?」
「あ、ううん、なんでもないよ」
ハーベストが心配そうに見上げてくるけど、ちょっとガッカリしたなんて気取られたくない。だって。
がんばったこの子には胸を張って欲しいじゃん。
それにもしそれがバレてしょんぼりされるのも心が痛いし、それが原因で嫌われるのもちょっと辛い。
そしてそんな自己中な自分にちょっと自己嫌悪。
「おいリリィ、賞金」
「あ、うん」
あ、そかそか、ポケモンバトルは勝ったら相手から賞金もらえるんだった。
自己嫌悪なんてあとあと。今は頭を切り替えて、と。
手渡されたのは60円。
……ブラックサンダーなら買えるかな。
「うむ!見事じゃ。勝つと賞金がもらえ、ポケモンも強くなっていく!多くのトレーナーと勝負して、ポケモンを鍛えていくことじゃ!」
「はい」
賞金を受け取ったら最後にオーキド博士が締めて、初のポケモンバトルは終了。気づけば緊張はどこへやら。なんか怒涛の時間だったな。でも楽しかったし、何より勝てて嬉しかった。あー、思い出すだけで顔がニヨニヨする。
「よーし!他のポケモンと戦わせて、もっともっと強くするぜ!リリィ!じいさん!そんじゃ、あばよ!」
「ちょっ、今バトルしたばっかりじゃん。それにあんたはよくてもヒトカゲはダウンしたんだからちゃんと休ませてあげなよーって」
行っちゃった。ちゃんと話聞いてたかなあいつ。
「ヒトカゲ、苦労しそうだなぁ」
「ダネェ」
ハーベストがまるで俺の言葉にこたえるように鳴いた。
「さてそれじゃあ私たちも行こうか」
「ダネ!」
ハーベストが嬉しそうに返事をする。こうしてる間に気力はある程度回復したみたい。
とりあえずハーベストをボールに戻して博士に挨拶して、研究所を出ると。
「ぉぉぅ。もう夕方か」
夕日が目に入った。
「綺麗」
マサラタウンは田舎なせいか、夕日がめちゃくちゃ綺麗に見えるな。
よし、今日はもう帰って、あとは明日からにしよう。
睡眠は大事。超大事。
これ、社会人的に、年齢的に学んだことだ。ハーベストも休ませてあげたいしね。ついでにゆっくりしながら明日何をしようかも考えよう。
俺はそのまま昔話的なアニメのエンディングを口ずさみながら、帰り道を歩き始めた。