「ガハッ・・・・・・・!!」
口から血の塊が吐き出る。血は、服をなぞりやがて、月の地面を汚していく。終焉の刃で体を切られたのだから私の体が助かる道は万の一つも無い。
「ダメ・・・・!!ダメだよジーンお姉ちゃん、もうやめようよ、これ以上やるとお姉ちゃんは死んじゃうよ!!」
涙を必死に堪えながら、終焉の女王であるキアナカスラナは、終焉の刃を私に突きつける。
なぜ泣くのかが私にはわからない。自分が持つ力は、危険で悍ましいのに。
でも、話したら私はきっと彼女に甘えて彼女に救済の手を求めてしまう。
それだけは、絶対にダメだ。
彼女は強くなった。誰にも負けられないくらい精神的にも物理的にも。そして支えてくれる友達もいる。
そんな場所に私は、いてはならない。
この崩壊3rdというストーリーに。
、、、、、、、だからこそ
「キアナカスラナ。あなたが止めようが止めないが。私は、この世界を滅ぼします。だから邪魔をしないでください。もし、邪魔をするというならばあなたを殺します」
自分ながらなんて理屈が通って無い理由だと思う。世界を救うために、多くの物を犠牲にしてきたというのに、その犠牲を踏み躙り、世界を壊そうと言い出すなんて本当に自分の頭がイカれているとしか思えない。
だが、実際、私にはそれができる。いや、できてしまう。
「虚無崩壊、セット」
体に今だに流れている忌々しいエネルギーを黒鍵に変えてキアナカスラナに向ける。
「構得てくださいキアナカスラナ、じゃないと死ぬことになります」
まあ、それは主に私なんだけど。
結果は、散々だった。あれだげ大口を叩いたにも関わらず。私は、負けた。
黒鍵を飛ばし、虚無崩壊の力を拳に込めて殴る。それしか芸の無い私が終焉の権能を持っている彼女に勝てるはずもない。
さっきの戦闘で開いた心臓の風穴から血が出るのをゆっくり眺める。
目の前には、可愛い可愛い妹が泣きながらも私の体を支えている。
「ジーンお姉ちゃん、血が・・・・血がぁ・・・!!」
「泣か、ないでキアナ・・・・あなたは、正しいことを、したんですよ・・・・」
泣きじゃくる義理の妹を何とか慰めようと左腕を上げようとするがその腕自体も吹っ飛んでしまい。泣く泣く右腕で背中をさする。
「ねぇ、キアナ・・・・・お姉ちゃんの最後の頼み、聞いてくれる・・・・」
「やだ、やだ!最後なんて言わないでよぉ・・・‼︎姫子先生みたいに・・・・私の前からいなくならないで・・・・」
キアナは私の身体から溢れる血を止めようと躍起になっていて私の言葉が届いていない。仕方無いなとため息を吐いて、その顔を無理矢理自分に向けさせる。
「よく聞いてキアナ……あなたにはまだやることがあるでしょう……崩壊そのものを止めないと……あなたと、芽衣と、ブローニャで……ゴホッ、ゴホッ…!!」
咳き込み、血反吐を吐く。本格的に不味いかもしれない……けれど、まだやるべきことが残っている。
そもそも、終焉の律者を完全に掌握したキアナとこれだけの戦闘を行えたのが奇跡に近い。
私は律者でも正式な戦乙女でもなく、神の鍵ですら持っていない。別の世界にあるエネルギーをただ偶然持っていた人間だ。
もちろん崩壊エネルギーですらまともに使えない。
「キアナ、世界を壊すという嘘をついてしまってすみませんでした」
「ぐすん、分かっているよお姉ちゃん。本当に嘘をつくのが下手だよね。本当は、世界を滅ぼす気なんかなかったのに」
「い、、、やー。さすがにキアナには、バレますか」
「もちろん!!お姉ちゃん嘘をついた時には、いっつも目を下に向ける癖があるからね」
「はははは、これは手厳しいですね」
いやいや、本当に何やっているんですか。真面目な時ほどボロが出るって委員長に言われましたが、まさか今回もそうでしたか。
、、、そろそろ私の体ももたないですね。
「キアナたってください。あなたは、こんなところで立ち止まる人間ではないはずです」
キアナが立ち、私もゆっくりと立ち上がる。
そろそろ限界が近くなる。体は、虚無崩壊でひび割れ、心臓がある場所は、ボールがすっぽり入るほどの穴が空いている。
「キアナ私は今から、体内に取り込んだ虚無崩壊エネルギーと崩壊エネルギーを爆発させます。少なくとも私の体内にあるネルギーが消え去れば、今後人類が世界が破壊される可能性はゼロに近くなります……私の命一つで今と未来の人類が救われるのなら、私は迷いません」
「それってつまり!私はやだよ!!ジーンお姉ちゃんには生きてほしい!!私、私達は…ジーンお姉ちゃんの事が──!!」
「……ありがとうキアナ。あなた…あなたたちに出会えて幸せでした」
キアナの言葉を遮って数歩後ろに下がる……もう、限界ですかね。
ゆっくりと当たりを見渡し、思い出に耽る。楽しい思い出、苦しい思い出、色々なことを経験した。
たくさんの幸せをつかんだ。
だから、悔いはない。
ジーンは、足に崩壊エネルギをめぐらせ、脱出速度を超えて宇宙のかなたまで行こうとした、その途端、ジーンの体から虚無崩壊エネルギーと崩壊エネルギーが衝突しあい溢れ、宇宙を、空間を揺らしていく
(芽衣ちゃん、ブローニャちゃん、姫子先生、テレサ学園長、フカ委員長、ヴェルトさん、アイン博士、テスラ博士、そしてオットー……他にも沢山の人に世話になった……そして何より、キアナ)
これまで関わってきた人達の顔を思い浮かべながら、ジーンは最後に目の前で泣きじゃくりながらこちらに向けて手を伸ばす妹の姿を見る。
約8年近くの付き合いになった。初めて会った時は姉妹の関係になるなんて思っても居なかったが、今では、誇りに思える。少なくともジーンはそう思っていた。
「……じゃあね、キアナ。そしてみんな」
次の瞬間、膨大な崩壊エネルギーと虚無崩壊エネルギーが体内で激突し、爆発的な光となって私を呑み込んでいく。空間が耐えかねて軋み、やがて全てが真っ白な光の中に消え去っていった。
後にはただ、古びた一枚の写真だけが静かに宇宙を漂っていた。
こうして私――ジーン・ザクレスの物語は幕を閉じた。
――だが、運命は時に身勝手で、残酷で、そして素晴らしい奇跡を起こす。
「………うっ………」
薄っすらと目を開く。襲い来る体の痛みを無視しようとするが痛みに耐えられなかったのか僅かに声を上げる。
起き上がれない事を悟っためかは、分からないが何とか顔だけを動かして周囲を見渡す。そこは漆黒の世界。
簡単に言えば、宇宙だった。
遠くで無数の星々が輝き、流れ星が空間を切り裂いていく。
「……つまり私は、今宇宙空間を漂流しているということか………」
もう一度あたりを見渡して、私は思わず呟いた。
「うん、こっからどうしよう」
頭が働いてなかったのか最終的にその結論にたどりついてしまった。
個人的には、この主人公は、虚無崩壊と崩壊エネルギーがあるのでケビンや終焉の女王であるキアナにも余裕で勝てると思います。
だけどインフレが嫌いなのでそういう設定はつけません。
主人公の経歴も次の話で詳しく説明します。