「衣装を着る?」
学校に着くと雄二からいきなりそんな話をふられた。
しかしどうしてだ?雄二の話ではそういうのはしないって……
「理由としてはAクラスはメイド喫茶らしくてな。翔子が公平じゃないからといってきたからだ。
あとは知っての通り姫路のことだな」
「そっか今回の売り上げで机とか買っていいらしいもんね」
「あと学園長から特例で手伝うことを条件に畳とかガラスを変えてくれるらしい。
しかしなんでだろうな?」
そりゃ教室の状況を僕が言ったし……
何より僕の隣に座る晶だ。彼女は退魔士名家の詩祇家の娘。
そこらへんは気にしないようと言ってももしもがあったら大問題だからだろう。
「まっそういうことだから男子は執事服、女子はチャイナ服だ。
服は……」
「……準備済み」
いきなり現れたムッツリー二が袋を見せる。
その中には執事服、そして別袋でチャイナ服が2着あった。
いや、3着だけどサイズが明らかに合わない分だし誰が着るかは直ぐに理解できたけど。
「あれ?一着足りないよ?」
「……断られた」
「私はメイドですから。この服装でやらせていただきます」
「……っく」
ムッツリーニなら問題なく作れそうだが……
「……流石に俺でも藪をつついて蛇を出す気はない」
「なるほどね」
だがしかし……
「晶のチャイナ服か……」
「明久様?」
「いや、見れるなら見てみたいかな~って」
「……それほど見たいのですか?」
「うん、見れるならね。晶なら似合うだろうし」
晶は僕の顔をじっと見つめる。なんかほんのり頬が赤いがどうしたんだろう?
すると晶は携帯を操作し、
「わかりました。明久様の頼みですから着ましょう」
「……(クワッ!!」
「服はこちらで用意させていただきます」
「……(ガクッ」
ムッツリーニがすごく悔しそうに膝をついてる……
しかし晶も僕をじっと見てどうしたというのだ?
「明久様は……チャイナ服が好きなのですか?」
「え?いや晶なら似合うだろうな~って。別に格好について強要する気ないし、晶なら似合うと思っただけだよ」
「そうですか」
「ほらそこ惚けるな」
意味がわからない。しかしまぁ、心なしか晶も喜んでたみたいだしいいか。
「「「「殺す殺す殺す殺す……」」」」
問題はこいつらだよね~
FFF団はその後キレイに晶に掃除されました。
__________________________
「え、そういうの着ないんじゃなかったの?」
「売り上げのためだ、すまんが着てくれ」
「仕方ないわね」
俺がそう言うと島田と姫路は服を持って更衣室に向かった。
数分後
「着替えたわよ」
「似合ってるよ」
「…ありがとう…」
明久のやつ素でそう言うから片っ端からフラグを立てるんだろうな。
今のとこ島田、姫路、アレイシアそうだな。
いや……
俺は少し視線をずらすと明久の後ろで詩祇が少し面白くなさそうにしている。
ほんと少しの表情の差だが、翔子で慣れてるせいかわかった。まぁわかりきってたが詩祇被害者か。
まぁそういうとこが明久の美点であることは確かだ。アイツは馬鹿だからこそ周りの評価や見た目で人は判断しない。
接して、時間をかけて……おまけに決定で決めつけもしない。
……そう、あの時もそうだ。
中学時代、俺は荒れていつの間にか悪鬼羅刹と言われていた。そんな喧嘩に明け暮れてた日、俺は喧嘩を売ってきたやつらをぼこったところに偶々通りかかった明久をそいつらの仲間と勘違いした。
俺は明久に殴りかかり、そして……負けた。
一方的、いや全く相手にされてなかったというべきか?殴ろうが蹴ろうがあいつはそれを全て受け止めた。
そんな時俺の携帯にメールが届いたのは……
呼び出しのメール。そして……縄で縛られた翔子だった。
俺は明久を無視しそこへと向かった。そこにいたのは前に潰した暴走族の野郎達と翔子だった。
どこから調べたのか俺と翔子が幼馴染であることを知ってたらしい、そいつらはあろうことか翔子にナイフを突きつけ俺に動けば翔子が見れない状態にすると言ってきた。
あいつのために距離をとっていたのにそれでは本末転倒だ。
俺は腕を組み、胡座をかいた。そこからある意味悲惨なものだった。
殴るは蹴るは、挙句には木刀、バット、鉄パイプまで出してくる始末。しかし俺は意識を失うわけには行かない。そうなったら翔子がどうなるかわかったもんじゃなかったからだ。
涙ながらこちらを見る翔子に俺は笑いかけるしかできなかった。
済まない、お前の幼馴染はこんなダメ人間だったよ……
限界を感じ、ふりおろされる鉄パイプに俺は……
そんな時俺の前に影が割り込み、
「やっと見つけたと思ったらボロボロだね」
そんな声と共に鉄パイプは受け止められていた。その人間こそ明久であり、あろうことかアイツは腕で鉄パイプを受け止めていた。
「お前……」
「頑丈だね。そこまでして……なるほどね」
明久は俺を見て何か言おうとし、向こうで翔子にナイフを突きつけていた男を見て納得すると持っていた袋からジャガイモを取り出すと
驚異的な速さでジャガイモを投げた。
「がっ!?」
そんな叫びと共に男……暴走族のヘッドは倒れた。そのジャガイモは頭を捉え、意識を刈り取ったようだ。
「……手かしてあげるよ」
「……へっ、んなもんいるかよ!!」
翔子が安全になったんならもう容赦しない。
俺は散々俺を殴り飛ばした男達に拳と蹴りをお見舞いしていく。
明久は移動し、翔子を守るように近づく奴らの意識を次々と刈り取っていった。それは数分としないうちに暴走族を全滅させるに至った。
「……翔子」
俺は翔子に近づき縄を解く。翔子は何も言わず抱きついてきた。
「……お前、なんで俺を探してたんだ?」
「え?そりゃ君が焦ってたからだよ」
「……俺はお前にいきなり殴りかかったんだぞ?それに知ってるはずだ、俺はここら辺で悪鬼羅刹って呼ばれてる不良だって……」
「あぁ、君が悪鬼羅刹なんだ」
知らなかったのかよ……
「でも関係ないかな。ただ君の顔が大切な人が危ないって焦ってるように見えただけだよ」
「大切だと?んなわけ……」
「ないと言い切れるかい?そこまでボロボロにされるのを耐えといて」
「……だが俺がいたらこいつは……」
「……だったらお前がその子を守りなよ。パッと聞いてた限り大事な幼馴染なんでしょ?
だったら……危険にさらすと思うなら守り切りなよ」
明久はそう言って袋を持って帰っていった。
それ以来あいつと良く関わるようになり、翔子とも昔ほどと言わずとも関係を戻していった。明久という緩和剤をはさんで。
「本当、お前には感謝してるよ」
「うん?雄二何か言った?」
「何も言ってねぇよ。たのんだぜ、相棒」
暴走しだしたFFF団を八つ当たりのごとく過剰清掃しようとしてる詩祇を抑える明久にそう言いながら、俺は清陵祭に向けて案を巡らせた。
ということで明久と雄二があったシーン?です。
ちょっと無理やり感が否めないけどね(´・ω・`)