原作通り入学式の朝、公園で幼馴染の美織と再会を果たした俺は学校の前の通りを歩きながら視線を感じていた。
原作では灰原夏希が痩せてもキモいと思われているかと誤解していた場面だ。
憑依してから1ヶ月程経過したが、同年代と合わなかった為正直俺自身も俺がイケメンの分類に入るか主観ではわからなかった。しかし嫌でも感じる視線で容姿が整っていると判断していいだろう。
しかし、男の俺ですらこの視線か。女子は視線に敏感とも聞くから視線には注意しないとな。
そんなことを考えながら登校していると少し先に1人の少女を見つけた。
俺は少女を見た瞬間誰だかわかった。
彼女は星宮陽花里(ほしみやひかり)灰原夏希がタイムリープ前も、タイムリープ後も恋をした女の子。
確かに美少女だ。しかし知っているからこそ一目惚れすることはない。今後どうなるかはわからないが仲良くだけはなっていこう。
改めてそんなことを考えているとふと彼女から視線を感じた気がした。彼女の方を見てみると既にその場にはいなかったので気の所為だったのだろうか?
まぁとりあえずは早く登校してクラス分けを確認しよう。クラス分けとか何年ぶりかもわからないな。
年寄りじみた考えをしながら校門を通り過ぎると直ぐに人集りが出来ていた。おそらくクラス分けを確認している集団だろう。
原作通り1年2組だといいのだが。
そんな不安を抱えながらクラスを確認すると無事原作通り1年2組だった。
「ねぇねぇタツもレイも私と同じ1年2組だったよ!!また3人一緒だね!!」
「そんな大きい声出さなくってもわかるつうの。」
「まぁまぁ詩も入学したばかりでテンションが上がってるんだよ。」
「タツだって嬉しいくせに。何すかしてんの。」
「はぁ、なんで俺がお前と一緒で喜ばないといけないんだよ」
「竜也はツンデレだからね」
原作通りで安心していると三人の会話が聞こえ振り返る。それに気が付いたのか一人のイケメンが話しかけてくる。
「あぁごめんね。うるさかった?」
「いや仲良いんだなって思ってさ」
「3人とも同じ中学出身だからね。君も1年2組かい?」
「あぁ灰原夏希っていうんだ。これからよろしく。」
「僕は白鳥怜太」
「凪浦竜也だ。なかなか良い体つきじゃないか、部活は何やってたんだ?」
「部活は何も。中学は帰宅部だったんだ」
「マジ!それにしては鍛えられてる気がするな」
「趣味が筋トレなんだ。そう言われると嬉しいなってえっと?」
竜也と会話してると詩と呼ばれていた少女が俺の身体を触ってくる。
「おぉすごい!腹筋割れてるねぇ。私は佐倉詩だよ。詩って呼んでね。」
白鳥怜太(しらとりれいた)凪浦竜也(なぎうらたつや)佐倉詩(さくらうた)この三人は原作での一軍メンバーだ。
「俺のことは夏希って呼んでくれ。」
「なら俺は竜也でいいぜ」
「僕も怜太でいいよ」
「夏希だからナツだね。」
「あぁそれでかまわないよ。3人ともこれからよろしくな。とりあえず教室行こうぜ。」
俺達は雑談をしながら教室へと向かった。
先頭を歩いていた詩が教室に入るといきなり驚きの声を上げた。
「あぁー!!なんかめっちゃ可愛い子いるんだけど!!」
「えっ!?私?」
「うん!近くで見ても滅茶苦茶可愛い!!」
「あ、ありがとう。」
「あたしのものにしたい!!」
「それはちょっと・・・」
「はい詩。そこまでだ。彼女怯えてるでしょ?」
テンションの高い詩を怜太が止める。
「だって滅茶苦茶可愛いから」
「えぇそうよね。陽花里は私たちの中学で1番人気だったから」
「唯乃ちゃんそういうのやめてよ」
「へぇ!ていうか2人は同じ中学なんだ。」
「そうよ。笠井中ね。貴方達は?」
「あたしたちは大島中学出身だよ!あ、でもナツだけ違うね。」
「あぁ、俺は水見中出身だよ。この高校からはちょっと遠い」
「水見中って確か・・・高崎の方だっけ?」
「まぁ正確には若干違うけど、だいたい高崎だ。そういえばまだ自己紹介してなかったな。俺は灰原夏希っていうんだ。気軽に夏希って呼んでくれ。」
俺は率先して自己紹介をしていく。下の名前で呼んでもらった方が親しみやすいかもという打算もある。
「私は七瀬唯乃(ななせゆいの)陽花里とは同じ中学で親友よ」
「えへへ。親友なんだ。私は星宮陽花里」
「学校一の美少女で趣味は読書と映画鑑賞、中学の、部活は文芸部よ」
「そう・・・って違う!私は美少女じゃない!」
からかうように口を挟んだ七瀬の腕を掴んで星宮が反論する。
しかし星宮の反論にクラス全体が一瞬何を言っているんだという空気になる。
「その容姿で美少女じゃないは無理があるんじゃないか?」
星宮は俺の言葉に驚いたように目を瞬かせると、照れたようにうつむく。
「あ、ありがと・・・」
「へぇー、陽花里が照れるなんてね。美少女なんて言われ慣れてるのに」
「もう!唯乃ちゃん!流石に怒るよ!」
「はいはい、ごめんなさい」
「というか七瀬も美人だし、七瀬は星宮が学校一の美少女と言ってたけど、男子の中では二大美少女だったんじゃないか?」
俺の言葉に七瀬は一瞬目を瞬かせる。
「・・・ありがとう。もしかしたらそうかもしれないわね」
「唯乃ちゃんも照れてるんじゃない?」
星宮は七瀬の一瞬の間を見逃さず、さっきのお返しといわんばかりに切り返す。
「そんなことないわ」
そんなこんなで残りのメンバーの自己紹介をしていると教室に教師が入ってきてホームルームが始まった。