FACE_フェイス_   作:堕落と強欲の権化

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1:顔

人は皆、「顔」を持っている。

その顔たちを使い分けて、日々生きている。

 

その中に、「全く別人のような顔」を持つ人はどれだけいるのだろうか。

 

俺は、数多の顔を使い分け、人々を守る。

世間の声曰く、俺は「FACE MAN」だと。

 

顔を分ける男。FACE MAN。

世界を相手に、「FACE」を変える、最高で最強の__

 

 

 

__カフェ&バー「カズキ」__

 

「いらっしゃい」

「あ、フクマン!」

「ッだぁれがフクマンだ」

「えー、覆真ふくまさんだしフクマン、でしょ!」

服男ふくマンじゃねえか」

俺、「数城 覆真かずき ふくま」をいつも「フクマン」と呼ぶこの女は、最近高校生になったばかりの常連だ。

2年前からこの店を利用している。

 

「勉強、ついていけてるか?」

「大丈夫だしー」

「ほんとかよこのギャル……」

なかなか特殊な性格だが、学校側は特に気にしていないのだろうか。

 

「なぁ、知ってるか?」

「何をだよ」

「俺らの学校の七不思議!」

……あの2人、このギャルと同じ学校だな。いやしかし、七不思議の噂話とは、まさに学生って感じだ。

 

「なんでも、理科準備室のホルマリンに、目ん玉が浮かんでいるとか!」

「……元からそこにあるのでは?」

「違うんだよ!ある日とない日があるんだぜ!」

「まじぃ!?」

学生2人は盛り上がっているようだ。

……その目ん玉とやら、どうやら人を驚かすだけの弱い「存在」だな?

……覆真の目に、紫色が宿る。

 

 

 

__夜の高校、理科準備室__

「……さて、ここだな」

紫色と白の和風な服を纏った男が、数珠を手に掛け理科準備室へ入る。

……数城 覆真だ。しかしカフェにいた時とは打って変わってピシッとしたオーラを感じる。

 

「ふむ、あれだな」

机に置かれたビーカーの液体は、ホルマリン特有のツンとした刺激臭を放っており、すぐに特定できた。

……親のコネを使って独学で化学実験しまくったお陰だ。

 

ギョロッ!

 

「……おぉ、w」

おっとつい冷笑が。

ビーカー内に、目ん玉が1つ。こちらを睨もうとしているのか、ジッとこちらを見ている。

 

「すぅぐ祓ってやるからなぁ。“祓霊解呪、急急如律令はいれいかいじゅ、きゅうきゅうにょりつりょう”」

 

ギョルロロロロロ!

 

目が勢いよく回転し、苦しそうに蠢く。

 

「“聖清波せいせいは”」

パンッという音とともに、目ん玉は消え去った。

 

「……任務完了」

そう言って廊下に出て、扉を閉める。

ピッキングで理科準備室の扉の鍵を開けていたが、それを閉める術は__

 

「そい」

霊力を扉に込めると、カチッと鍵の閉まる音がした。

 

「ふー、じゃ、屋上に戻りますかな」

廊下を歩き、階段を上って屋上へやってくる。屋上の扉の鍵は、外から鍵を開けるタイプだったので侵入は簡単だった。

 

「そいじゃ、Ciao〜」

いつの間にか黒い衣装を纏い、ロープをつたって下へ降りる。防犯カメラを避けるルートは把握済みだ。

 

「……はい、おつかれちゃん!」

「おつかれちゃん、じゃないですよ」

おっと怖い。

近くに止まっていた黒い車の助手席を開けると、ムスッとした顔の女性が運転席に座っていた。

彼女の名は「金井 茜かねい あかね」。茜は、「警察学校時代の同僚」だ。いつも協力してもらっている。

 

「だいたいこんな夜に呼び出すなんて、アイドルとしては寝ていたい時間なんですよ!」

「それはぁ……ごめん」

「もう……いいですけどね」

シートベルトをしてすぐ、彼女がエンジンを掛ける。

 

「じゃあ、撤収!」

「はいはい、撤収」

俺たちを載せた車は、夜の街へ溶け込んでいく__。

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