カフェ&バー「カズキ」。
毎週金・土・日曜日の夜にバーへ変わるここは、あるヒットマンへの依頼の場でもあった。
「……手紙、落ちてましたよ」
「……確かに受けとった」
依頼者は、手書きの依頼届を「落ちていた手紙」と称して店主の「数城 覆真」に渡している。
ヒットマンの名は「CROWL」。
烏のCROWと梟のOWLをかけた造語で、どちらも狩る者の名だ。
「今回の内容はなんですかぁ」
既にちょっと出来上がってる女__金井 茜が話しかける。お前少し酒を控えろ。
「ちょっと待ってな。……はぁ、「釜瀬組」ってとこのヤクザの組長がお見合いの相手らしい」
「……それで」
「お薬を上げたら喜んで昇天するかも、ってさ」
「……ふぅん。薬はどうすんの?分かりやすく青酸カリで恋に落ちてもらう?」
「待て待て、アイドルがそんなこと言うな」
……薬は特別調合した、使った薬品名がわからんアレを使おう。名前も決まってないアレ。
ネズミに使ったらアレルギー症状出してぴょんと跳ねて……ちょうどそこが地面から高さのあるテーブルだったんで落下死してた。
__翌日、月曜日。釜瀬組、組長宅前__
「さぁて、始末ターイム」
「行ってらっしゃい、近くのコンビニで待機しておきます!」
「はいよ」
今回の運転手は、バイトで入った高橋だ。茜はお酒を飲んでたのでね。
それじゃあ、読者のみんなにさっきの会話の答え合わせだ。
『ちょっと待ってな。……はぁ、「釜瀬組」ってとこのヤクザの組長が暗殺のターゲットらしい』
『……それで』
『毒でも仕込んで殺してくれ、ってさ』
『……ふぅん。薬はどうすんの?分かりやすく青酸カリで神経弱らせて殺す?』
『待て待て、アイドルがそんなこと言うな』
……と、まぁそういう依頼だ。
「……ふ、ハッキングはダチが既にやっているみたいだな」
警報システムは機能していない。俺の「フェイス」に、そんな力はない。
こんなことをできる「フェイス」を持っているのは、知っている人の中ではただ1人。
「さすがだぞ、高橋」
仲間のひとり、「高橋 奏多」。そう、さっきのやつだ。
うちにバイトで入り、その時につい「裏の顔」を自ら漏らしたことで発覚。
なんでもハッキングされたサイトに入り、そこをハッキングして直したことがあるそうだ。強くね?
「……!(いた!あいつか……)」
「ふぅ〜」
組長を見つけた。呑気に酒飲んでやがる。
どのタイミングで仕留めるか。
「……夜風に当たるか」
「(え、ベストタイミング!)」
なんと、ベランダに移動した!マジかよ。
「はぁ〜、どいつもこいつも、金が足りないだの後がないだの。働けよボケ」
釜瀬組は闇金で成り上がったクソ組織だ。いざ、猛烈アタック!
プスッ
「う、うぐぅ__ん゙む!?」
「……大人しく恋に落ちとけや」
注射器で毒を注入。そして猿轡を着け、そのまま放置。
すると組長はビクンと跳ねて、その反動でベランダの手すりを通り越し、下に落ちる。
このまま放っておけば、アレルギー反応で死んだ後、毒が霧散して原因不明になるだろう。
「猿轡は回収しておこう」
それじゃあ、高橋の用意した安全な道を通ってコンビニへ行こう。
服は着替えておく。
「やっほー高橋」
「終わりました?」
「モチロンサァ……あ、後で組長の家以外のカメラ戻しといてね」
「了解です!」
助手席に座り、高橋にそう伝えておく。
「しゅっぱーつ」
「ぁう!」
「どうしました急に」
「別にー」
黒き狩人は、夜の街へと飛び去った。
すんません!茜が飲酒運転してることになっちゃうので変えました!