エリア99+1 〜最凶メタモンと最弱メタモン〜   作:77493

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【悲報】ゆめしまの雑誌入手率がアレでソレでなので一部記事に各種設定が散りばめられている(こともある)のにエアプでないにもかかわらずオール把握しきれていない件【物欲センサー】

本当に優秀ですね。未だにクールなコーデが見つかりません。泣くぞ




1話:いうて最凶ムーブだけれど

 

 

「メタモン」。全国図鑑ナンバーは百三十二、通称、へんしんポケモン。

その名の通りどんなモノにも「へんしん」出来る、紫ないしピンク色をしたフシギなポケモン。

へんしんの精度や形状の維持には個体差があり、また、一説によれば彼ら同士は不仲であることが多いのだとか。

どこか愛嬌のある表情とナニモノにもなり得る個性的な生態から、好んで彼らを仲間に加えるトレーナーも少数ながらいるという。

しかし、彼らが捕獲される主な理由はナニモノにもなれる――それこそ雌雄という機能さえ――特性を活かした、「交配」目的であることがほとんどである。故に強力な血を継がせるための色違い、ならびに高ステータス持ちの個体の捕獲は、ブリーダーにとっては必須事項とまで言われている。

 

 

 

 

……旅立ちは、順調に、基本に忠実に、イレギュラーを避けて、マサラタウンからにした。交通の便からみると、ちょっと遠回りなのが玉にきずかも。でも余計なトラブルは御免だったし、野生のポケモンのレベルを考えればまあ、妥当なスタートだったと思う。

ニビシティを皮切りに、ハナダ、クチバ、タマムシと……ジムリーダーを順番通りに倒してバッジを集めた。手順と属性を間違えなければ、大体問題なし。

確か、最後の八枚目を手に入れられればどんなレベルのポケモンでもこっちの言うことを聞くっていう話だったと思う。そう……例えば、リーグ公認の高レベルの配布専用ポケモンとか、いわゆる伝説のポケモンとか、それこそ幻のポケモンとかでさえ。

ズルとかチートとかバグ……? とか、そういうやっかみはめんどうだから、きちんと正規ルートで堂々と色んなポケモンを連れ歩けるようにしたいよね。

だから、やっぱりバッジは八枚全部必要。……べつにチャンピオンとかリーグとか、そういうのには興味ないんだけどね。

……それで、えーと。

現在、残すジムはあとふたつ。五年がかりの旅は本当に快適で、自分のペースでゆっくり観光もかねることが出来た。

学業の合間や休日に育成をやっていたから、クラスメイトには「いや時間かかりすぎちゃうん?」なんて言われたっけ。余計な世話じゃー、おこんにゃろー。

勝てば官軍、イシツブテの上にも三年。つまりはそういうこと! ポケモンだって生き物だし、急いだところでなんの得にもならないしね。

 

「へぇ……これがクリムゾンバッジ。炎の形なんだぁ。かっこいー!」

 

クリムゾンバッジがもらえるグレンジム……グレン島は、何年か前に起きた大噴火で島の形が大きく変わってしまったそう。元の景観がどんな感じだったのかいまではもう分からないけど、ジムそのものは近くの孤島、ふたごじまに移設されたって話だった。

手持ちのラプラスの「なみのり」を駆使して乗り込ませてもらって、同じく「なみのり」の連打でリーダー・カツラ氏からバッジをサクッと頂戴しておいた。

……正直、ラスト直前のジムだからもっと苦戦するかと思ってたけど、今のパーティのレベルだとそんなに支障はなかったみたい。

思い返してみれば、そもそもバッジ集めの理由は堂々とポケモンを連れ歩きできることと、どんなポケモンでもこっちの話を聞いてくれるからってことだ。

そりゃ、五年もかけてれば手持ちの子だって強くなる。ラプラスに至っては、バッジ効果ギリギリの六十九レベルだし……。

 

「うん。よし、まあ、順調!」

「――キュウーゥ」

「って、ラプラス? ジム戦、おつかれさまぁー。んふふ。うっぐ、かっ、かわ、かわい……っ」

 

頬ずりしてくるポケモンたち、プライスレス。わざ特大火力なのに、めちゃめちゃ懐いてくれるラプラス……くう……可愛さがアバンギャルド過ぎる……!

……閑話休題。

なので、せっかくだからちょーっと捕獲し損ねていたポケモンをチェックしていくことにしよう。なにせ、バッジはあと一枚だけだから。

 

「おおーっ! 『メタモン』が……メタモンが、いっぱい!!」

 

まず寄り道といえば、野生のポケモンの捕獲。これしかないっしょ!

立ち寄ったのは、セキチクシティ近郊のとある草むら。セキチクジムへの挑戦と休息もかねて通ったときに、ちらっと見えた紫色の子。あれはまだ「わたし」のポケモン図鑑に登録されていないポケモンのひとつ、へんしんポケモンのメタモンだ。

相手にへんしんしてバトルするとかいかにも一癖も二癖もありそうだけど、図鑑コンプリートのためにもぜひここで仲間にしておきたい!

……問題は、数がめっちゃ多いってこと。どのメタモンを捕まえたらいいんだろ? この難問は他の野生のポケモンみんなに言えることでもあるわけだけど。

 

「うーん、ブナンに目の前の子? それとも奥? あっちのちっちゃい子かな? いやいや、もーちょっと粘れば色違い、とか――」

 

――とりあえずは、セオリー通りにモンボ、モンスターボールで試し投げから。

「わたし」は大きく振りかぶって、狙いに狙いを定めて目の前のメタモンにボールを――!

 

「そぉいッ!!」

『……!!』

 

ぺんッ。

なんか……なんか、そういう音がした。

思わずポカーンと固まった「わたし」の足元に、今しがた投げたばっかりのモンボが転がりながら返ってくる。

そのとき、「わたし」の前にいたのはフツ――のメタモンだった。色違いでもないし大きさも普通通り。ちょっとだけ、他の子より小さい……くらい?

……おかしい。気のせいじゃなかったら、あのメタモン、モンボを手で(手て。メタモンって全身メタモルフォーゼな生き物なんじゃなかったん?)弾き飛ばしてなかった?

なんかこう、こう、ぺんッ。って。『は? モンボとか! カッコワライ』みたいな、そういう雰囲気っていうか……。

って、いやいやいや! おかしいおかしい!!

メタモンはメタモンでしょ、モンボ拒否、はもしかしたら野生だしありっちゃありかもしれないけど……弾き返すのは……ちょっと露骨が過ぎるのでは?

 

「……! なら、こっち!!」

 

とりあえず次点。モンボがダメなら、お約束のワンランクグレードアップ、スーパーボールでしょ!

文句なし百二十点満点のフォームと投擲。「わたし」は今度こそ、ボールが目の前のメタモン……なんか、他のメタモン……いなくなってるけど……あれぇ……? を捕まえるって、確信した。

 

「はい捕獲ー! はいゲッ……」

 

ぺんッ。

 

「……はぁあああー!? うっ、うそだ、うそでしょー!?」

『……!!』

 

またボールが弾き飛ばされた。やっぱり片腕の横薙ぎ一閃。問題のメタモンは、今度は両腕を空に伸ばしてぐにゃぐにゃさせてる。

なんか……なんかこう、すっごい小馬鹿にされてる気分になってきた。っていうか、他のメタモン……マジでいなくなってるんだけどどういうこと?

なに? わたし、こいつしか捕まえちゃいけないってこと? どういうこと? 誰か説明してプリーズ?

 

「……! もうっ! じゃあー、コレで!!」

 

致し方ない。かなり痛い出費になっちゃうけど、ここは更に性能のいいボール、ハイパーボールでいくしかない。

……このとき、どうしてかわたしはこのメタモンとバトルをして「弱らせよう」って頭が働かなかった。あとになってから分かったことだけど、これはいわゆる直感ってやつだったみたいで、無意識に安全かつブナンな対応になってたみたい。

話を戻そう。とにかく意固地になったわたしは、三度目の正直よろしくハイパーボールを投入した。ぶっちゃけ、旅続きの財布にはかなり手痛い。くそう。

 

「三度目のッ、正直!! よろしくーネッ!」

 

ぺんッ。

 

「……」

 

わたしはもう、なんにも言う気が起こらなかった。

それどころか、問題のメタモンに至っては『えぇ〜まだ分かんないの〜?』って言いたげにニヤァ……っていつもより五ミリくらい口角上がってるんだけど。

なにこいつ。すごいカワイイけどすごいムカつく。

 

(でも……もう、手持ちの空きボールなんて……)

 

腰のベルトを見下ろしてみる。手前から、モンボ二個、スーパー三個、ハイパー一個……。他を捕まえてたってこともあるけど、空きのボールは残り少ない。

たかがメタモンされどメタモン、ってことなのか? でもこのままあいつにしてやられるのは、それはそれで悔しい、です……!

ぐっと何かを噛み殺したとき、わたしはあいつが「いなくなっている」ことに気がついた。はっとした次の瞬間、いつの間にか間合いを詰められている。

 

「……! う、わっ!?」

 

ダメだ、やられる――!

その瞬間、腰のベルトから何かが持っていかれる感覚が走った。

 

「えっ。へっ、あえっ、……えぇえっ!?」

『……!!』

 

黒地に金の装飾、赤色の飾り石。わたしの目の前で、あのメタモンはすっごい煌びやかな装飾のボールに自分から吸い込まれていった。

我に返る。あれはベルトの一番後ろ、本当の本当に貴重なポケモン用にとっておいた、超高額な「ゴージャスボール」だ。当然、手が込んでる分値段が張る。おこづかいをせっせと節約しつつ……他のトレーナーをぶん殴り……つまり、コツコツ資金を貯めてやっと手に入れた超高級品ってコト。

これ、中もすっごい豪華な作りで、ポケモンにとって限りなく快適な空間が約束されているらしい。だから本当の本当に大事な子用に、って買ったのに……。

 

『……!』

 

ゴージャスボールに入っ……もとい、勝手に住みつきくさりやがったメタモンは、すっごい得意げな顔をしてボールから飛び出した。

まさかの連れ歩きだ。おとなしくボールに入ってるっていう概念がない。捕まえられ……強奪……強盗……うん、仲間になったばかりの新参のハズなのに。

なんかどこの誰よりも『ワタシ、主役ですが?』顔ですっごい偉そうにふんぞり返ってるんですけど? なんなのこいつ?

そもそもなんできみがボールを選ぶ側になってくれちゃってるわけ? 元を正せばそのゴージャスボール、わたしの所持品なんですけど?

 

「……」

『……』

「……」

『……』

「……、うん。まあ、いっか。一応、図鑑も埋められたわけだし」

 

わたしは、深く考えないことにした。

のーんびりと歩き出したとき、メタモンがのーんびりと後ろからついてきているのが気配で分かった。頭にきたからボールに呼び戻してやったら、中でゴージャスシリーズの家具に囲まれてマフィアのドンよろしく超絶優雅にくつろいでる。

なにこいつすごいムカつく。

 

「……、次はぁー『トキワジム』かぁー!!」

 

こんなことで立ち止まらない。立ち止まったりなんかしないぞ、わたしは……!!

残すバッジはあと一枚! ちょっと遠回りになってめんどうくさいけど、マサラタウンの北、トキワシティのトキワジムへ!

そこで最後のバッジ「グリーンバッジ」を手に入れればこの旅も一段落だ。あとはゆっくり、ポケモンを集めて図鑑を埋めていけばいい。

なんか、予定になかったヘンなメタモンが仲間になったけど。なんか、これはこれで……小賢しいっていうか小生意気っていうか、……悪くないっていうか。

別に開き直ってるとかそういうことじゃなく……単に逃がしたら逃がしたでボールがもったいないと言いますか。ハイ。

 

「せっかく仲間に出来たんだしね。なにかの縁だよね、たぶん」

 

メタモンは、相変わらずボールの中でめちゃめちゃくつろいでいる。まあ、仲間になったものはなっちゃったんだから仕方ない。これも縁だ。……たぶん。

名前つけてあげよっかな、なんて考えながら、わたしは「なみのり」するべく自慢のラプラスを呼び出した。

メタモンは、ボールの中からじっと「なみのり」の様子を観察している。

 

 





サイト掲載日:2026/09/02

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