エリア99+1 〜最凶メタモンと最弱メタモン〜   作:77493

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そんななかレッドさんのコーデと髪型はわりと早い段階で出てきてくれたので捜索願も兼ねて着回していますが未だにクールな(ry
着ない方が出るんすか??

オニドリルがスキです。赤緑でそらをとぶを覚えてくれなかったので泣く泣く二軍行きにした思い出。泣くぞ




2話:甘味も酸味もないけれど

 

 

せっかくならかわいい名前で、ってことで、例のメタモンの名前は「ブルーベリー」にした。ベリーってなんか可愛いし、色的にもちょうどいいかなって。

というわけで、メタモン改めブルーベリーは、相変わらず偉そうにゴージャスボールの中でふんぞり返っている。まったく、何をどうやったらこんなポケモンが出来上がるんだろう? 自然の神秘、謎すぎる。

 

「へぁ、受付停止中?」

 

そんなこんなで、ブルーベリーが仲間になって二週間――ぶっちゃけ中間テスト期間中だったからトレーナーやってるばわいじゃなかった――経過した後。

わたしはようやくトキワシティまで足を運んだわけだけど、なんの嫌がらせか、こんなときに限ってジムリーダーは不在だった。なんでも、アローラ地方だったかな? そこから出向依頼が来ていた? らしくて? しかもたまたま代理の人も、今日に限って私用が入ってた感じらしい。

要するに、その日わたしはトキワジムのジムテストを受けそびれてしまった。テスト明けだしちょうどいいと思ったのになぁ。

仕方ないので、遠路はるばる来た記念にトキワシティをぐるっと観光してみることにする。ジム巡りはプチ旅行も兼ねた気分転換でもあったから。ここのキャッチコピーは「トキワはみどり、えいえんのいろ」だったかな? 街ごとに色テーマが決まってるって、なんかいいよね。

 

「……あれっ、電話だ。はーい、もしもしー?」

 

トキワ新名物抹茶ラテを試飲して、多少、ほんの少し、ビミョーに機嫌が回復してきた頃。片腕につけていたポケギアが鳴った。相手はクラスメイトだった。

 

『ちょっとー! ヤヨイ!? やっと出た、何回もかけたんだからね!?』

「はぁ、ソーナノ?」

『ソーナンス! って、やってる場合じゃないよ!? リーグ! ポケモンリーグの人が来てるよ、ヤヨイに会いたいって!!』

 

クリームごと抹茶ラテ噴くとこだった。危ない危ない。

とりあえず飾りのグリーンバッジ風チョコをもぐもぐしておく。葉っぱというか羽根というか……印象的なデザインだよね。テストは受けられなかったけど。

それにしても、ポケモンリーグって確かポケモントレーナーの頂点、地方チャンピオンを選出したりする組織じゃなかったっけ?

そんなのに目をつけられる覚えはないですし、なんなら目立ちたくないなぁ。わたしは将来かつ老後のために、細々と平和にお金を稼ぎたいのであって――

 

『ヤヨイの評判を聞いたんだって。入れ違いになったんでしょ、ジムテスト。申し訳ないから代わりに割のいいバイトを紹介したいって……』

「やるます! やるやる、割のいいアルバイト、だーいすきっ!!」

『ちょ、はやッ!! もうちょっと迷いなよ!』

「おかね、だいじだよ? それにジムテストがパァになっちゃったのはホントのことだし。帰るにも早い時間だから、助かるなぁ」

 

――リーグだかポケモンリーグだか知らないけど、おこづかい稼ぎを安全に斡旋してくれるところなら大歓迎ソーナンス。

だって……他のトレーナーを殴るにしたって、やりすぎても目立っちゃうし。それでカモ……いやカモネギ……いやネギガナイト……が減るのも、困るし!

しかもリーグ相手ならホワイトな匂いしかしないし! 依頼元がはっきりしてるバイトなんて、女子高生には有難いことこの上ないですわー。

 

「じゃ、受ける、って話しといて。たぶんだけどポケセン経由で通話出来るよね? 先にそっち行ってますねー、って」

『えぁ、ちょ、ちょっと! まさかの丸投げ!? こらあっ、ヤヨイーッ!!』

 

通話プチっとな。どんなアルバイトかは知らないけど、ラプラスたちにかかればだいたいの問題はプチっとなーの即解決ですわー。んふふ。

……その後、ポケセンことポケモンセンターに仲介してもらい、わたしは改めてサクッとおこづかい稼ぎの内容をうかがった。

なんでも、数年前に通りがかる人間に見境なく強襲をかけてはついに追い払われたオニスズメの群れが、問題の公的道路にまた戻って来ちゃっているらしい。被害も出始めてるそうで、わたしには群れを統率しているオニドリルのつがいのどちらか、あるいは両方を捕まえてほしいとのこと。

 

「りょ、でーす。二十二番道路ですねー? 進展がありましたら、またご連絡差し上げますー」

 

通話画面の向こう、自称ポケモンリーグの担当者さんはクールな印象のどえらい美人なおねーさんだった。メガネとスーツがまた涼しげな印象を強めてる。

なんか……どこかで見たような気もするんだけど……思い出せないから仕方ない。

早々と条件その他もろもろを確認したわたしは、意気揚々と徒歩で西に向かった。なにせ、件の二十二番道路はトキワシティの西、すぐ近くにあるんだから。

 

「……! ええ……」

 

現場はろくでもない状態だった。まず捕獲対象のオニドリルだけど、早速お出迎えしてくれている。なんか……異様に大っきい。これ何レベルくらいだろ、ってポケギアで計測してみたら、なんと五十三レベルもあった。

 

「ええ……グレンジムのカツラおじさまのギャロップだって五十だったのに……それより高いとか」

 

ジムリーダーの手持ちよりレベルが高いって、それってどうなの? 今までコレが放置されてたって……ヤバいのでは?

オニドリルはノーマル、飛行タイプ。逃がさないためにも慎重にいきたいとこだけど……指先が手持ちのボールのどれかに触れて、わたしは視線を落とした。

あのゴージャスボールの中から、ブルーベリーがこっちを見てる。もしかして「出たい」のかな、なんて思ったら、

 

『……』

 

ほっぺたをぷにぷにさせながら首を振って、ヤレヤレって感じで溜め息をつかれた。な、なんなのこいつ……出る気ないんじゃん! なんでコッチ見た?

 

「……はあ、仕方ないですねぇー。えっと、じゃあ」

 

初めてこの子とバトル出来るかな、と思いきやコレだもん。ブルーベリーの初陣は諦めて、いつも通りラプラスを呼ぶ。出てきた瞬間、スリスリってほっぺ擦りつけてくるんだよ。あーもー可愛すぎるぅー。んふふ。

 

「ラプラス、いつも通り! お願い!」

「――クォオ!!」

 

ラプラスは両ヒレを一度羽ばたかせるみたいに上下に振って、大きく口を開けた。

ひやりとした感覚が肌を刺して、わたしは少しだけぎゅっと目を細める。次の瞬間、目の前に無数の六花が舞った。

 

「できれば二匹とも墜ちてほしいっ! 『れいとうビーム』!」

 

ラプラスが大きく息を吸った瞬間、凍てつく粒子が口腔に集約した。近くにいるこっちまで冷気を感じるくらいだ。

彼女が首を横薙ぎに払うと同時、凍てつく氷の奔流が青白いエネルギー光線を纏わせながら一気に放たれる。見てるだけで寒い。まさに氷のビームって感じ。

ラプラスの持ち技のひとつである「れいとうビーム」。これ、命中率めちゃくちゃ高いし威力も高いから重宝するんだよねぇ。おまけに、

 

「! ……一匹だけ!!」

 

ズズン、と確かな手応えと落下音。手下か子どもか、大量のオニスズメを引き連れていたオニドリルのうち片方が、翼を片方凍らせて墜ちてきた。

このわざの凄いところは、運がよければ相手を「こおり状態」に出来るところ! 「ふぶき」もいいけど、わたしは使い勝手がよくてこっちを多用してる。

オニドリルは体を震わせてこっちを見た。敵意剥き出し、悪意剥き出しの目。そんなこと言われても危ない子を放っておけないんですぅー。

というか、放っておけない、はわたしじゃなくてリーグの言い分なわけだけど、こおり状態でもまだ戦おうとしてるあたり、このオニドリルもちょっとヘン。普通、オニドリルって敵とは距離を置く感じの慎重な生態持ちだっていわれてるんだけど……見た感じ、逃げようって意思は感じられない。

この闘争心のまま、この数となると……わたし一人じゃもうどうしようもない。トレーナー、もう十人くらいは欲しいかも。

とりあえず、もう一度ラプラスにれいとうビームを撃ってもらう。さすがに二度目はヤバいって感じたのか、もう一匹の方は背を向けて空高く飛び上がった。「そらをとぶ」か「たかくとぶ」かな、って思ったけど、本来の性格通り、今回は思い切って逃げる選択をしたみたい。

 

「……あの高さはさすがに……ありがとねー、ラプラス。助かっちゃったよ」

 

わたしは落ちてきたオニドリルをスーパーボールでサクッと捕まえて、振り向いたラプラスは首を撫でて丁寧に労った。グレンジムでもそうだったけど、この子には助けられっぱなしだ。よく懐いてくれるし本当に有難い。

それに引き換え……わたしはちらっとゴージャスボールの中を盗み見る。ブルーベリーは、相変わらずだらだらとゴージャスな家具に寝転んでだらけていた。

バトルに興味ないのかな? ならどうしてこのボールに入ってきたんだろ? 考えても全然分からない。一応わたし、トレーナーなのになぁ。

 

「うーん……放っておくのはマズそうだけど、一人じゃ対応しきれなさそうだし。一応、報告だけはしておこっかなぁ」

 

空を埋め尽くすオニスズメの群れ、ボス個体のオニドリル。その攻撃性と、二十二番道路への異様な執着。

なんだか異常というか、言いようのない不穏さを感じるけど――このときのわたしは、少額減っちゃうものの、成功報酬のことくらいしか考えていなかった。

ラプラスを呼び戻して、来た道を引き返す。遠ざかるオニドリルの鳴き声は、やっぱりどこか不吉な感じがする響きを伴った。

 

 

 

 

『あら、無事に依頼を達成してくれたみたいね。ありがとう、確認したわ』

 

トキワシティのポケモンセンターに戻ったわたしは、パソコン経由で依頼主に報告を済ませる。おねーさんは、メガネの奥の赤瞳を柔らかく細めて笑った。

クールな印象だけど、話してみると口調は柔らかいのに物言いははっきりしてるタイプ。こういう人はシゴデキなんだよねぇ。

 

「そですね。オニドリルは転送してあるので、確認よろしくお願いします。群れの数、えげつなかったですけど大丈夫ですかね?」

『今は人を遠ざけておくしかないわね。リーグも人が出払っているし、本来の担当者が不在だからね……そのうちこちらで対応するわ。ありがとう』

 

気にしないでちょうだい、言外にそう言われて、わたしは無意識に背もたれに背中を預ける。溜め息が出てたのか、おねーさんに笑われてしまった。

 

『ヤヨイさんだったかしら? あなた、ジム巡りはトキワシティが最後だって聞いているけど……グリーンバッジ、急ぎで欲しい?』

「へぁ? ああいえ、大丈夫です。急いでないですし、今までだって七枚集めるのに五年かかってますし」

『ごねッ……!? そう……そうなの』

「はい。ソーナンス」

『あらソーナノ。可愛いわね。ヤヨイさん……あなた、ポケモンリーグに挑んでみるつもりはないのかしら?』

 

このおねーさん、なかなかステキなリアクションをしてくださる。ノリが分かるな、なんてウキウキしながら話してたら、途中から話の流れが不穏になった。

わたしはいつも通り、全力で首を横に振った。ポケモンリーグなんて冗談じゃない! 目立つし仕事に縛られるし、女子高生には重すぎる!

 

「リーグっすか。やー、『ない』ですね。バッジ集めが出来れば、それで」

『……あなた、トレーナーなんでしょう? リーグに参加するとか、チャンピオンを目指すとか、あると思うけど』

「トレーナー、ですけど……必ずしも興味があるってワケじゃーないですし? リーグ? ないない、ないです。そういうのはやりたい人がやってくれれば」

 

おねーさんは黙り込んでしまった。そういえば彼女はリーグの中の人なんだから、「ない」って言い切るのはマズったかも?

わたしはフォローのつもりで「ポケモンたちと一緒にいられたらそれでいいので!」なんて付け足したけど、おねーさんの反応は芳しくない。

そう……なんて小さく呟かれて、わたしは嫌な汗を頬に伝わらせた。けど、顔を上げたおねーさんの笑顔は晴れ晴れとしている。怒ったわけではないみたい。

 

『いえ、こちらの話よ。気にしないでちょうだい。あなたのようなスタンスのトレーナーは、珍しいから』

「そ、そっすか。それならいいんですけど」

『ふふふ……ねえ、あなた、とても珍しい「メタモン」を捕獲しているそうね。興味があるわ』

 

ここで急にブルーベリーの話を振られた。ブルーベリーの……話だよね?

思わず目をシパシパさせていると、おねーさんはパソコンに何か打ち込んだ。報酬をデータで転送しておくわ、って言われてわたしはまた瞬きする。

 

「えっと……確認しまし、って……じゅ、十万円!? いいんですか、こんなに!?」

『構わないわ、もともとリーグからの支払いだし』

「はわぁ……上客ぅ……、はっ! あ、ありがとうございました。ほんとにいいんですか、こんなに。や、やったぁ……!!」

 

お財布と通帳が潤うのは良いことだ。うれし、うれし。

にやにやっと頬を緩めていたら、おねーさんはまた別の内容をパソコンに打ち込んでいる。なんだろ、って首を伸ばしたらメールが飛ばされてきていた。

なんでもいいけど、このおねーさん、すごいタイピング速いなぁ。日頃からシゴデキなんだろうね。美人な上にシゴデキってすごいなぁ。

 

『ふふふ、少しあなたに興味が湧いたの。あなたさえよければ、わたしと勝負してみない? グリーンバッジとまではいかないけど、報酬はお支払いするわ』

 

メールは、おねーさんからの「挑戦状」だった。日時と場所が指定されている。にしても、いきなりフシギなことを言い出すなぁ。

バッジもリーグも絡まないポケモンバトル、かつ報酬ありなんて、割のいいアルバイトでしかないのに。路上で出くわす野良トレーナーと条件は同じだし。

 

『持ち込むポケモンは……そうね、「本戦でもないんだし」、二匹までにしておきましょうか。どうかしら、受けてくれる?』

「あ、いーっすよ。単発のバイトですよね? そういうことなら大歓迎です」

『そう、それはよかった。では来週この時間に、トキワジムで合流しましょう……楽しみにしているわ』

 

おねーさんはそう言って通話を切った。わたしはポケギアにメールを転送して、更にスケジュール帳に予定を書き込んでから共用パソコンをスリープさせる。

 

「あれっ。そういえばあのおねーさん、なんて名前だろ? 集合するとき不便じゃない?」

 

数秒考えて、まあいいか、って流してポケモンセンターを発った。どのみち来週には再会するんだし、名前なんてそのとき聞けばいいかと思ってたから。

まあ……あのおねーさんの正体がただの「ポケモンリーグの中の人」じゃないなんて、想像もしてなかったわけだからね。このときのスルーっぷりは、わたしの性格上、まあ仕方なかったんだ。

その日わたしは、意気揚々と帰りの空飛ぶタクシーに乗り込んだ。

 

 





サイト掲載日:2026/09/02

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