見た目は仮面ライダーデモンズだけど親愛なる隣人スパイダーマンでやります   作:hachi hachi

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かなり待たせました(汗)
楽しんで読んで頂きたいです!


14話:過去の告白

 

 

――それから、さらに1年。

 

人類側ではニケの量産化技術が確立され、戦場へ投入されるニケの数も増え始めていた。

 

だが、戦争が終わったわけではない。

 

ラプチャーは依然として地上を支配している。

 

そんな戦争の最中でも――勝利の翼号には、束の間の日常があった。

 

◆ 勝利の翼号・食堂

 

スノーホワイト「いただきます!」

 

スノーホワイトの前には、明らかに一人分とは思えない量の料理が積み上がっていた。

 

肉料理。

 

パン。

 

スープ。

 

野菜。

 

さらにデザートまで確保してある。

 

スノーホワイトは黙々と食べ続けていた。

 

レッドフードが呆れた顔をする。

 

レッドフード「おちびちゃん……それ全部食うのか?」

 

スノーホワイト「おちびちゃんではありません」

 

モグモグ。

 

スノーホワイト「それと、全部食べます」

 

レッドフード「即答かよ」

 

スノーホワイト「訓練と戦闘にはエネルギーが必要です」

 

レッドフード「いや、限度ってもんが……」

 

スノーホワイト「レッドフード」

 

レッドフード「ん?」

 

スノーホワイト「私のお肉を見ないでください」

 

レッドフード「取らねぇよ!」

 

リリーバイスが楽しそうに笑った。

 

リリーバイス「スノーは今日も元気だね」

 

スノーホワイト「はい、リリーお姉ちゃん」

 

そこへ――。

 

スパイダーマン「空いてる?」

 

全員が振り返る。

 

私服姿のスパイダーマン。

 

ユウトだった。

 

ただし顔には、いつものお面。

 

レッドフードが自分とスノーホワイトの間を叩く。

 

レッドフード「ここ座れよ」

 

スノーホワイト「そこ狭くない?」

 

レッドフード「詰めりゃ入るって」

 

スノーホワイトも少し横へ動く。

 

スノーホワイト「どうぞ」

 

スパイダーマン「じゃあ……失礼します」

 

ユウトが二人の間に座る。

 

スパイダーマン「近いなぁ……」

 

レッドフード「気にすんな」

 

スノーホワイト「私は気にしません」

 

スパイダーマン「僕が気にするんだけど……」

 

ドロシーがくすっと笑った。

 

だが――。

 

ユウトは料理へ手を伸ばさなかった。

 

スパイダーマン「……」

 

何かを考えている。

 

スノーホワイトが気づく。

 

スノーホワイト「どうしました?」

 

スパイダーマン「いや……」

 

ユウトは皆を見る。

 

指揮官。

 

リリーバイス。

 

ドロシー。

 

ラプンツェル。

 

スノーホワイト。

 

レッドフード。

 

紅蓮。

 

ここまで何度も共に戦った仲間たち。

 

スパイダーマン「……決めた」

 

指揮官「何をだ?」

 

指揮官が尋ねる。

 

ユウトはお面へ手をかけた。

 

スパイダーマン「もう、みんなには隠さない」

 

数秒だけ迷う。

 

それから――。

 

ゆっくりとお面を外した。

 

ユウト「…………」

 

食堂が静まり返った。

 

現れたのは、まだ17歳ほどにしか見えない少年の顔。

 

レッドフードのスプーンが止まる。

 

ドロシーも目を見開く。

 

紅蓮まで固まった。

 

ラプンツェルは口元へ手を当てる。

 

リリーバイス「まあ……」

 

リリーバイスが瞬きをする。

 

リリーバイス「思ってたよりずっと若いね」

 

指揮官も驚く。

 

指揮官「お前……その顔で、本当に何十年も生きているのか?」

 

ユウト「うん」

 

指揮官「……とても見えんな」

 

ユウト「僕の身体は17歳で止まってるから」

 

その時。

 

レッドフードが横を見る。

 

レッドフード「……ん?」

 

スノーホワイトだけは普通に食事を続けている。

 

レッドフード「おい、スノー」

 

スノーホワイト「何ですか?」

 

レッドフード「なんでお前だけ驚いてねぇんだ?」

 

スノーホワイト「…………」

 

スノーホワイトの動きが止まった。

 

ユウト「……」

 

ユウトも彼女を見る。

 

レッドフード「スノー?」

 

スノーホワイト「……気のせいです」

 

レッドフード「いやいやいや」

 

レッドフードが身を乗り出す。

 

レッドフード「絶対もう知ってただろ!」

 

スノーホワイト「し、知りません」

 

レッドフード「目ぇ泳いでるぞ?」

 

スノーホワイト「知りません!」

 

スノーホワイトは顔を赤くして料理を食べ始めた。

 

ユウトは首を傾げる。

 

ユウト「……?」

 

彼はまだ知らない。

 

かつてスーツ改良の途中、眠っていた自分のお面をスノーホワイトがそっと外したことを。

 

やがてユウトは真剣な表情になった。

 

ユウト「みんなに話しておきたいことがある」

 

誰も茶化さなかった。

 

ユウト「僕が……どうしてスパイダーマンになったのか」

 

ユウトは自分の手を見る。

 

ユウト「始まりは、学校の行事だった」

 

会社の研究施設を見学する、ごく普通の校外学習。

 

そこで一匹の蜘蛛に噛まれた。

 

ユウト「その蜘蛛が、放射性物質の影響を受けていたんだ」

 

翌朝。

 

身体が変わっていた。

 

筋力。

 

反射神経。

 

壁に張り付く能力。

 

危険を察知する感覚。

 

ユウト「最初は……何が起きたのか分からなかった」

 

しかし、その日の夕方。

 

人生はさらに大きく変わった。

 

ユウト「叔父さんと叔母さんが乗っていた車が……爆発した」

 

笑っていたレッドフードの表情から笑みが消える。

 

スノーホワイトも食事の手を止めた。

 

ユウト「二人とも亡くなった」

 

スノーホワイト「……ユウト」

 

スノーホワイトが小さく名前を呼ぶ。

 

ユウト「その直後、僕はV.T.C.に捕まった」

 

ユウトは続ける。

 

気絶させられたこと。

 

地下研究所へ運ばれたこと。

 

肉体を不老にされたこと。

 

シスターの格好をしたアンヘルという人物によって、実験を繰り返されたこと。

 

そして――20年。

 

ユウト「ガラス張りの部屋でずっと暮らしてた」

 

紅蓮の表情が険しくなる。

 

紅蓮「……20年だと?」

 

ユウト「うん」

 

紅蓮「正気の沙汰ではないな」

 

ユウト「でも、一人じゃなかった」

 

ユウトは少しだけ笑った。

 

ユウト「マックスさんとオクタビアスさんがいたから」

 

同じ地下施設で実験対象にされていた二人。

 

三人で話した。

 

励まし合った。

 

脱出方法を考えた。

 

ユウト「二人は……僕の大切な友達だった」

 

そして20年後。

 

三人は脱出を決行した。

 

だが――。

 

ユウト「研究所を出る時に、二人とも亡くなった」

 

沈黙。

 

ラプンツェルが悲しそうに目を伏せる。

 

ドロシーも何も言わない。

 

ユウト「僕だけが生き残った」

 

ユウトは胸へ手を当てた。

 

ユウト「それでも……叔父さんが教えてくれた言葉が残ってた」

 

皆がユウトを見る。

 

ユウト「大いなる力には、大いなる責任が伴う。」

 

ユウトは静かに笑う。

 

ユウト「だから僕は、この力を誰かを守るために使おうと思った」

 

隣の市街地へ移り住み――10年間。

 

スパイダーマンとして人々を守り続けた。

 

そしてラプチャーが襲来。

 

さらに数年を経て――。

 

ユウト「みんなに会った」

 

リリーバイスが優しく笑う。

 

リリーバイス「そうだったんだね」

 

ユウト「……うん」

 

リリーバイス「話してくれてありがとう、ユウトくん」

 

ユウトも微笑んだ。

 

ユウト「聞いてくれてありがとう」

 

少し重くなった空気を変えたのは指揮官だった。

 

指揮官「しかし……」

 

ユウト「?」

 

指揮官「ラプチャーが来る前も10年間戦ってたんだろ?」

 

ユウト「そうだよ」

 

指揮官「どんな奴と戦ってたんだ?」

 

レッドフードも興味を示す。

 

レッドフード「それ、アタシも聞きたい!」

 

紅蓮も腕を組む。

 

紅蓮「私も興味がある」

 

ユウト「じゃあ……何人か話そうか」

 

ユウトは思い出す。

 

ユウト「まず――スコーピオン」

 

スノーホワイト「蠍?」

 

ユウト「そう。機械式の巨大な尻尾を装備してた」

 

レッドフード「あ、それ格好いいな」

 

ユウト「戦う側は全然格好よくないよ! あの尻尾、すごい勢いで飛んでくるんだから!」

 

ユウトは身振りを交えて説明する。

 

ユウト「正面を警戒してたら後ろから尻尾が来るし、尻尾を見てたら本人が殴ってくるし……」

 

指揮官「なるほど」

 

指揮官が笑う。

 

指揮官「面倒な相手だったんだな」

 

ユウト「すごくね………次は――ライノ」

 

ユウトが両手を大きく広げる。

 

ユウト「ものすごく大きい」

 

リリーバイスが興味を示す。

 

リリーバイス「強いの?」

 

ユウト「とにかく突進がすごいんだ」

 

リリーバイス「へぇ」

 

ユウト「僕がウェブを何重にも張っても――」

 

ユウトは両手を広げる。

 

ユウト「ブチブチブチッ! って全部破ってくる」

 

リリーバイスが楽しそうに笑う。

 

リリーバイス「一度戦ってみたかったなぁ」

 

指揮官が呟く。

 

指揮官「……似た者同士か」

 

リリーバイス「指揮官?」

 

指揮官「何でもない」

 

前回の教訓を生かしたらしい。

 

ユウト「次はヴァルチャー」

 

ラプンツェル「鳥ですか?」

 

ユウト「巨大な機械翼で空を飛ぶ相手」

 

ドロシーが少し興味を示す。

 

ドロシー「空中戦ですね」

 

ユウト「そう。でも一番嫌だったのは足」

 

ドロシー「足?」

 

ユウト「機械の鉤爪が付いててさ」

 

ユウトは苦笑する。

 

ユウト「捕まって、そのまま空中で何回も殴られた」

 

ドロシー「……痛そうですね」

 

ユウト「痛かったよ……最後はリザード」

 

紅蓮「蜥蜴か」

 

ユウト「この人は少し違った」

 

元々は人間。

 

だが実験によって巨大な爬虫類のような姿へ変貌した。

 

ユウト「だから僕は倒すんじゃなくて、元に戻したかった」

 

スノーホワイト「どうしたんですか?」

 

ユウト「戦ってる最中に身体の特徴を調べて、それから市街地の研究所にこっそり入って――」

 

ドロシー「こっそり?」

 

ドロシーが笑顔で聞き返す。

 

ユウト「……緊急事態だったので」

 

ドロシー「続けてください」

 

ユウト「治療薬を作った」

 

エイブがこの場にいたら目を輝かせそうな話だった。

 

ユウト「それをガスにして、リザードに吸わせたんだ」

 

指揮官「成功したのか?」

 

指揮官が聞く。

 

ユウト「うん」

 

指揮官「……お前、戦うだけじゃないんだな」

 

ユウト「助けられるなら、助けたいから」

 

気づけば。

 

食堂には笑い声が響いていた。

 

ユウト自身も笑っていた。

 

ユウト「それでライノがまた壁に突っ込んで――」

 

レッドフード「またかよ!」

 

ユウト「本当に止まらないんだって!」

 

ラプンツェル「ふふっ」

 

ドロシー「ユウト、それは貴方も無茶をしすぎです」

 

ユウト「ドロシーまで!?」

 

その時、ユウトはふと気づく。

 

――楽しい。

 

昔。

 

マックスとオクタビアスと話していた時のような。

 

いや。

 

それとはまた違う温かさ。

 

自分の素顔を知っている。

 

過去も知っている。

 

それでも、変わらず隣にいてくれる。

 

ユウトは皆を見回した。

 

ユウト(……そっか)

 

ずっと一人で戦ってきたつもりだった。

 

でも今は違う。

 

ユウト(僕……もう一人じゃないんだ)

 

スノーホワイトがユウトを見る。

 

スノーホワイト「どうしました?」

 

ユウト「ううん」

 

ユウトは笑った。

 

ユウト「なんでもない」

 

 

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別の施設。

 

一人の少女がテレビを見ていた。

 

美しい白銀の髪。

 

そして――澄んだ青い瞳。

 

シンデレラ。

 

画面ではニュースが流れている。

 

『本日もゴッデス部隊がラプチャーを撃破――』

 

シンデレラは真剣に見ていた。

 

シンデレラ「ゴッデス……」

 

彼女にとって「美しさ」は、単なる外見ではない。

 

強い心。

 

高潔な意志。

 

誰かを守ろうとする姿。

 

それもまた――美しい。

 

その時。

 

ニュース映像が切り替わった。

 

『さらに、ゴッデス部隊と共同で活動している謎のヒーロー――』

 

画面に映ったのは。

 

赤と青。

 

蜘蛛の巣を思わせる装甲。

 

シンデレラ「――!」

 

シンデレラが身を乗り出した。

 

『通称、スパイダーマン――』

 

シンデレラ「……スパイダーマン」

 

忘れるはずがない。

 

かつて市街地で、自分を救ってくれた存在。

 

鉄パイプしか持っていなかった自分。

 

ラプチャーの攻撃が迫った瞬間。

 

飛んできたマンホール。

 

そして、自分の前へ降り立ったヒーロー。

 

『困ってる人がいたら助ける。僕にとっては、それが当たり前だから』

 

あの言葉。

 

夕日に照らされた姿。

 

シンデレラ「……やっぱり」

 

シンデレラの頬が緩む。

 

シンデレラ「美しい」

 

扉が開く。

 

エイブ「シンデレラ」

 

シンデレラ「……」

 

返事がない。

 

エイブ「おい」

 

シンデレラ「……」

 

エイブ「シンデレラ」

 

シンデレラ「何?」

 

ようやく振り返る。

 

入ってきたのはエイブだった。

 

エイブ「何を見ている」

 

シンデレラ「スパイダーマン」

 

即答。

 

エイブ「……そうか」

 

エイブもテレビを見る。

 

エイブ「あの男か」

 

シンデレラが振り返る。

 

シンデレラ「知ってるの?」

 

エイブ「ああ」

 

シンデレラ「…………」

 

数秒。

 

シンデレラ「会ったことあるの?」

 

エイブ「ある」

 

ガタン!

 

シンデレラが勢いよく立ち上がった。

 

シンデレラ「本当に!?」

 

エイブが少し後ろへ下がる。

 

エイブ「近い」

 

シンデレラ「どんな人!?」

 

エイブ「落ち着け」

 

シンデレラ「本名は?」

 

エイブ「それは本人の秘密だ」

 

シンデレラ「素顔は?」

 

エイブ「知らない」

 

シンデレラ「どこに住んでるの?」

 

エイブ「質問が多い」

 

シンデレラはテレビへ戻る。

 

画面ではスパイダーマンがウェブで市民を救助していた。

 

シンデレラ「……やっぱり素敵」

 

エイブ「そうか」

 

シンデレラ「強いだけじゃない」

 

シンデレラの青い瞳が輝く。

 

シンデレラ「人を守るために迷わず飛び込める。自分が危険でも関係ない」

 

エイブ「……」

 

シンデレラ「そういう心が、一番美しい」

 

エイブは黙って彼女を見る。

 

シンデレラ「エイブ」

 

エイブ「何だ」

 

シンデレラ「決めた」

 

エイブ「何をだ?」

 

シンデレラは胸元で両手を合わせる。

 

シンデレラ「私、スパイダーマンと結婚する」

 

エイブ「…………」

 

エイブが完全に停止した。

 

エイブ「何?」

 

シンデレラ「だから、結婚する」

 

エイブ「まず知り合え」

 

シンデレラ「知り合う」

 

エイブ「そういう意味ではない」

 

シンデレラ「本名も知りたい」

 

エイブ「本人に聞け」

 

シンデレラ「素顔も見たい」

 

エイブ「本人に頼め」

 

シンデレラ「二人きりで話したい」

 

エイブ「……好きにしろ」

 

シンデレラ「それから結婚する」

 

エイブ「話が飛びすぎだ」

 

シンデレラは楽しそうに笑った。

 

シンデレラ「だって――」

 

テレビ画面へ手を伸ばす。

 

その向こうで戦っている、名も知らない少年へ。

 

シンデレラ「私にとって、スパイダーマンは――」

 

シンデレラの頬が赤くなる。

 

シンデレラ「運命の王子様だから。」

 

エイブ「……」

 

エイブは額を押さえた。

 

エイブ「重症だな」

 

シンデレラ「恋ってそういうものじゃない?」

 

エイブ「私に聞くな」

 

シンデレラ「じゃあ、今度会わせて」

 

エイブ「なぜ私が」

 

シンデレラ「知り合いなんでしょ?」

 

エイブ「一度協力しただけだ」

 

シンデレラ「お願い、エイブ」

 

エイブ「……」

 

シンデレラ「お願い」

 

エイブ「…………」

 

エイブは長い沈黙の末、ため息をついた。

 

シンデレラ「機会があればな」

 

シンデレラの顔が一気に明るくなる。

 

シンデレラ「本当?」

 

エイブ「期待するな」

 

シンデレラ「楽しみ」

 

エイブ「話を聞け」

 

シンデレラはもうテレビへ戻っていた。

 

画面の向こうでは、スパイダーマンがラプチャーの攻撃から人々を守っている。

 

シンデレラは、その姿から目を離せなかった。

 

シンデレラ「待っててね、スパイダーマン」

 

小さく呟く。

 

シンデレラ「いつか絶対――あなたの本当の名前も、仮面の下の顔も知るから」

 

そして、まだ見ぬ未来を想像して微笑む。

 

シンデレラ「私の王子様」

 

この時。

 

ユウトはもちろん知らなかった。

 

遠く離れた場所で――

 

かつて自分が救った少女が、スパイダーマンとの再会を誰よりも強く願い始めていることを。




自分にとってシンデレラは推しです!

ヒロインするなら?パート2

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