今、目の前に居る少女は肩で息をしている。
理由は、さっきまでまで俺の顔面を狙って辞書を投げるというムダな運動をしていたからだ。
「あ~そろそろ質問いいかな?」
呆れながら少女に聞くと
「あ、後一分待ってください」
荒い息を整えようとしているがタイトな黒色のタートルネックセーターを着てるためか胸が強調されてなんかエロいですよお嬢さん。
一分待って少女の息が整ってきたので質問を開始した。
「質問は2つだ。何の為に俺を召喚した?と、何を使って召喚した?だ」
何故この質問をしたかのかというと、俺は守護者をやっているからだ。
守護者とは簡単に説明すると掃除屋だ。
『人類の自滅』が起きる時にその場へ現界し、そこに存在するすべての人間の殺戮をもってそれを阻止する『殺戮者』だ。
普通なら自由意志を持たぬまま世界に使役される殺戮をする存在なのだが俺の場合は、自我をもち滅亡の原因を他の守護者と違った方法で排除してきた。
その為、俺のことを神として崇めてる連中さえいる。まあ、当たらずとも遠からずなのだがな俺の場合。
昔の事を思い耽っていると
「えーと、1つ目の答えは聖杯戦争という魔術儀式がありましてそれにサーヴァントとして参加して欲しくて召喚しました表向きは」
俺の質問の答えが返ってきた。
まあ、今回はこの世界は平和すぎて守護者として呼び出されていない事を分かっていたが、よりによって聖杯戦争のサーヴァントとは生け贄確定か?
「ちゃんと聞いてましたか?」
「ああ聞いてたよ。聖杯からのバックアップで今知識を得たから大丈夫だお嬢さん」
それにこの時代に居た事もあるから断片的にだが聖杯戦争のことも知っている。
ただ、今変なことを言ってなかったか?表向きはって。
「なあ、今表向きはって言わなかったか?」
「はい、言いましたけど何か?」
裏の目的あることを早くも認めちゃったよ。
「で、本当の目的は何だお嬢さん」
「ん~どうしよっかな~」
何故か焦らし始めた。さっき怒鳴ったから報復か?
何やら楽しそうに考えてるな。三分くらいたって
「うん、決めました。私のこと名前で呼んでください」
「は?」
「だから名前で呼んでください」
「いや、名前で呼んでくださいと言われても俺、お嬢さんの名前知らないし」
なんか機嫌が悪くなってきてるなこのお嬢さんは・・・ ブツブツと独り言いってるし。
「じゃあ取りあえず自己紹介しようか、お互い初めて逢うわけだし」
うん、なんかお嬢さん睨んできたよ、どういう事だよ・・・・・・
「は~俺はライダー(騎乗兵)のサーヴァント聖杯の招きに応じ現界した。以後マスターの剣となり敵を倒し盾となり守るものだ。よろしくお嬢さん」
「・・・・・・陰流 桜」
「え?」
「だから私の名前は陰流 桜です。もう知らないだから九頭 悠理」
今なんて言ったんだこの娘は?
何故俺が生前名乗っていた名前を知っているんだ。それに、『陰流』ってあの『陰流』か―――
俺の驚愕を無視して桜は先ほどの質問の2つ目の答えを口にした。
「普通に召喚しても貴方は喚べないと分かっていたので貴方の縁のある品をつかって召喚しました。」
そう言って桜は、ソレを差し出してきた。
今、俺はどんな顔をしているのだろうか?あまりにも驚きすぎて間抜けな顔をしているのだろう
「あの、大丈夫ですか?」
相当な間抜け面をしていたようで桜が声を掛けてきた。
「ああ、大丈夫だ大丈夫なはずだ」
動揺を隠すのと自分に言い聞かせる為2回呟いてしまったが気を取り直して差し出されているソレを手に取った。
「間違いない、俺が身につけている装飾品だ」
召喚の触媒に使われたのは一見シルバーの十字架のペンダントトップに見えるだろう。だが材質は
無意識にコートの上から身につけている筈の十字架に触れようとした。
ありえない、あるはずがないんだ必死に否定しようとしていると
「そろそろ返してくださいよ、ソレ」
不機嫌そうに桜が声を掛けてきたので思考の海に沈んでいた俺は現実に引き戻された。
桜が手を差し出してるので十字架を返そうとしたが、どうしても聞きたい事があるので質問をした。
「どうやってコレを手に入れた?」
不信感を露わにして尋ねると桜は答えた。
「貰ったんです」
「誰から?」
「貴方からです!!」
ポカンとしていると語気を強めて更に言葉を紡ぐ。
「悠理が消えた後またすぐに現れて十字架と真名を教えてくれたんです!!」
完全に怒らしてしまったが、桜が聞き逃せない事を言った。
「ちょっと待ってくれ、お前は俺の真名を知っているか?」
こちらの困惑を無視して桜は喋り続ける。
「そうですよ、何か文句ありますか?!」
誰か桜の怒りを静めてください・・・・・・