主人公の、実力!
「さて……! 改めて挨拶するね! あたしは、伊地知虹夏! 後輩三人! 結束バンドへようこそ! 歓迎するよ!」
「わーぱちぱちぱち」
虹夏ちゃんが勢いよく挨拶して、やる気のない拍手をするリョウ先輩が追従する。私たちはバンドを結成してから諸々をすり合わせるために、再びライブハウスSTARRYに集まっていた。……はあ。地下の暗い店の雰囲気。家の押し入れみたいでなんか落ち着く……。
「俺は別に結束バンドというわけではないのですが。というか。結束バンド? まさかそれがバンド名ですか!?」
目を見開いてバンド名に生月くんが突っ込んでいる。この間高校で出会った、私、後藤ひとりの人生で初めての友達。しかも、同性を飛び越えて、異性の男の人。なんで私なんかと友達になってくれたのか分かんないくらいに凄くマトモな人。
「う……やっぱ変かな? 変えよっか? リョウ」
「いや、可愛いじゃん結束バンド。虹夏にしちゃいいセンスだと思うよ? でっかくなってレーベルとかに所属するときとかに突っ込まれたら変えよう」
「イメージが壮大!」
「はー! リョウ先輩カッコいいわ〜!」
う……。虹夏ちゃんの隣で(> ▽ <)こんな顔しながら光を放つ陽キャさんは喜多さん。この人も友達だ。ていうか、ここにいる皆私の友達!
ああ凄いよ! こんな私にこんなにいっぱいの友達が出来るなんて……! これも全部、自己紹介で躓いて、また友達出来ないのかな……、なんて暗くなってた私に声をかけてくれた、生月くんのおかげ。
生月、灯くん。背が高くて、茶髪のミディアムのボブカットで前髪は下ろしてる。手も脚も長くて、お顔も、なんか芸能人みたい。ほ、ホント何で私みたいなちんちくりんの愚図女に声かけてくれたのか分かんない。
でも、彼が私に向けてくれる笑顔と、クラスメートと喋っている時の生月くんの笑顔は、何か違う。なんだろ。上手く言えないけど、クラスメートと話してる時の生月くんは、何か線のようなモノを引いているような……。自惚れでなければ、私にはその線を外してくれている。そんな風に思えた。
うう……。何をそんなに吹き上がっているんだ。いきなり友達いっぱい出来たからはしゃいでいるのか?
「まあ! ともあれ、私たちはバンド! 二週間後には初陣のライブ! あんまりモタモタもしてらんないよ! 新人のお二人! 早速だけど実力見せて! スタジオに行こう!」
「はいっ! 虹夏先輩!」
「えっあっはい! 虹夏ちゃん!」
両手を顔の前で握ってフンスと息を吐く虹夏ちゃん。しまった振り返ってたら話聞いてなかった! でも……、実力見せてと聞こえたぞ。
だ、大丈夫だよね。わ、私。ネットじゃ上手いって言われるもん。曲がりなりにも三年間齧りついて努力してきたわけだし。
生月くんも喜多さんも、上手いって言ってくれたし。
よ、よし。ここは一つ、ギターヒーローである私の実力を見せつけてやる! 虹夏ちゃんビックリしちゃうかもな! リョウ先輩なんか拝んじゃうかも!
「おおひとり様……! 結束バンドに現れし救いのヒーロー……!」
「凄い! カッコいいよひとりちゃん!」
「お、俺とやってたときは実力を隠していたのか……! 凄いよ後藤さん!」
「きゃっー!! リョウ先輩から乗り換えるわー!!」
な〜んつってでゅふふふ……!!
「……ひとりも、百面相面白いよね」
「う〜ん。不安」
スタジオに向かう道すがら。七種七様に顔色を変えるひとりを見ながら先輩ズはそう呟いていた。
そして、虹夏が抱いていた不安は、的中することになる。
展開早くて申し訳ないが、スタジオ内にて一通りライブ本番やる楽曲の音合わせを終えた面々。何故か少し重めの雰囲気を断ち切るように、虹夏が口火を切る。
「ど、ド下手だ!」
「ぷっ……。わ、悪いよ虹夏。そんなホントのこと……」
「ガ──────ン!!!!」
歯に衣を着せ忘れていたが。
ガクッ。バサッ。(ひとりが膝から崩れ落ちる音)
「ああ……。ご、ごめんなさいミジンコみたいな腕前で……い、いや、最早ミジンコすらおこがましい。それに食べられるプランクトンです……どうぞ皆さんプランクトン後藤とお呼びください……」
「わー!! ゴメン言い過ぎた! し、しょーがないよひとりちゃん今日初めて合わせたわけだし緊張とかもあったと思うしぃ!」
「そうそう。初めから上手くいくなんてまれ。にしても今のは……ぷふぉ」
「おいコラ笑うなリョウ!」
嗚呼……。何がギターヒーローだ。皆さんのリズムに合わせることすらできない、素人以下じゃないか……。初めてに等しい喜多さんだって、皆さんの演奏についていけてたのに……! なんてザマだ。ほら見ろ。喜多さんも情けない師匠の姿に失望してるよ……。
「…………生月くん。今の後藤さんの演奏は?」
「凄い不服そうな顔してるね喜多さん。まああるあるだね。多分、いや絶対に、後藤さんは対人でのバンド経験が少ないんだよ」
「どういうこと?」
「……喜多さんは、皆で音合わせるときどうやってリズム拾う?」
「え……っと。先輩の体や目の動きで、何して欲しいかは大体分かるわね……」
「そう。喜多さんには自然に出来てるんだよ。でも、後藤さんは、手元ばかり見てた。だから、もう音源化されてる一本調子のリズムには合わせられるけど、先輩たちが生で生み出すリズムに翻弄されるんだ」
「な、なるほど……わ、分かってるなら教えてあげても……」
「それは俺の役じゃねーな。喜多さん。これから曲がりなりにもバンドとして、仲間としてやってくなら、手を差し伸べるのは部外者じゃなく、仲間であるべきだ」
「……生月くんって意外にめんどくさい?」
「弁えてるって言ってよ?」
「……ふ〜ん。ただ、一つだけ! 生月くん! 私にとってあなたは部外者なんかじゃないからね! じゃあちょっと私行ってくるから!」
ダンゴムシのように丸まって自分の世界に籠るひとりを呼び戻そうとする面々に歩み寄っていく喜多の背中を見ながら生月は。
「……恐悦至極」
そう、呟いた。
「後藤さん!」
「はうう……喜多さん……私はもう駄目ですぅ……」
「もう! 何情けないこと言ってんの! ホントは後藤さん凄く上手いんだから! 悔しくないの!?」
私の手を取って強引に立ち上がらせ、パッパと服についた埃を払ってくれる。うう……。お母さんみたい……。
「えっ!? 喜多ちゃん! ひとりちゃんって上手いの!?」
「……無自覚に毒吐きますね虹夏先輩って……。はい、後藤さんは凄く上手ですよ! 私、ギターのことはよく分からないんですけど、心を震わせるっていうか! 言葉にできない何かを掻き立てられるっていうか! 上手いだけじゃない、凄みみたいなものがあります!」
ちょっと泣きそう。き、喜多さん。私のギターをそんな風に思ってくれてたんだ……。
「……私も郁代に賛成。下手ってよりは、翻弄されてる感じに見えた。コード押さえる指は早いし正確。鳴ってる音も凄く綺麗。ひとりは多分名前通りにずっとひとりでやってたんだ。合わせたこと。ないんでしょ?」
「え……あ、はい……」
「ふふ。ならさ、私たちと初めてってことか。光栄。ひとり。バンドって辛いことやキツイこともあるけどさ。練習して、皆で合わせた音がキッチリとハマって。それで観客が歓声なんか上げてくれたらさ。それはそれは気持ちいいんだよ?」
「……え……?」
「我が結束バンド。なんにもないけど、それだけは保証しよう。なにせ音楽。音は楽しいと書くのだから」
ナデナデと。頭に柔らかい感触。リョウ先輩は少しだけ顔を崩して私を見たあと、背中を向けて持ち場へと戻っていった。
な、なんか。喜多さんがリョウ先輩に対してキャーキャー言う理由が分かった気がする。
「嗚呼……。駄目ムリ。推しがカッコよすぎる……! 私が信じてついてきたお人に間違いはなかったわ……!!」
「はあ〜。相変わらず能面みたいな顔して、見るとこ見てんねリョウ」
「ふ……、よせよ照れるぜ……」
励まして、くれたんだ。こんなド下手くそを。
「でも、そーいうことなら! ひとりちゃん! リズム合わせる基本は、コミュニケーションだよ! 目でも顔でも体でも! 私たちの動きを見て合わしてみて! 大丈夫! 私たちもひとりちゃんに合わせるから!」
わ、私。恵まれてる。こんなに優しい人たちとバンド組める機会なんか、一生ないかもしれない。
なら、私は。ここで頑張る。
「み、皆さん。ありがとう……。こんな下手くそに優しい言葉かけてくださって……。わ、私。頑張ります……! ぜ、絶対にリズム合わせて、二週間後のライブ、成功させます……!」
「その意気だ〜! さっ! 皆! もっかい合わせよう!」
立ち上がった桜色の少女とバンド仲間を囃し立てるように虹夏が叫ぶ。そして再び始まる、お世辞にも上手いとは言えない、むしろ酷いくらいのクオリティの演奏。
でも、先ほどの演奏に流れていた悲嘆的な雰囲気は、もうなかった。桜色の少女は顔を上げ、皆の目を見て必死に合わせている。汗を飛ばし、癖で下がりそうになる目線を抑えて。
赤髪の少女も時折歌詞を間違いながら、必死にギターとボーカルの二足の草鞋をこなそうとする。額には汗が光り、整えられたメイクも少し崩れてきているが、構わないようだ。
その様子を優しげな表情で見つめる先輩二人。回を重ねるたび、音を合わせるたび、彼女たちのバラバラだった音が、一つに纏まっていくようだ。その様子を一人見守っていた生月は。
「……楽しそうだね、ど〜も」
そう呟きながら、自然と組んでいた腕に力を込めた。
「す、凄いよひとりちゃん! 五回くらいしか合わせてないのに、もうリズム取れるようになってるじゃん!」
「えっ……!? そ、そうですか……!」
「そ〜だよ〜!! 上手いよひとりちゃん凄い!! これがひとりちゃんの真の実力か〜! 上手いよね!? リョウ!」
「……うん。私の見込んだ通り。これなら二週間後、充分間に合いそう」
「凄いわ! 後藤さん!」
「……。私が驚いているのは郁代にも」
「へ? わ、私?」
「うん。ホントに素人? だとするならば凄いセンス。リズムを完璧に拾ってるよね。コードも拙いながらも押さえられてるし」
「へ、へへ……、喜多さんはまだまともにギター触ったのは二日目くらいですよね……」
「……マジかよ。とんでもない拾い物かも」
「え、え〜? もう、褒めすぎですよぉ〜!」
赤い顔をしながら片手を頭の後ろにやる喜多さん。でも、ほんと凄い。軽く見積もっても私の初心者の頃より、成長のスピードが三倍くらい早い。ああ……可愛くて歌も歌えてギターもできるなんてぇ……! わ、私のアイデンティティが崩壊するう……! (ぱりーん)
「あ、アレ!? なんで泣いてるのひとりちゃん!? さっきまで機嫌良さそうだったのに情緒が分かんない!」
「ぷぷぷ。面白い女」
「いやいや!? 面白がってないで手伝って!? また床ダンゴムシになろうとしてるから!」
「そっちは虹夏に任せた」
「何をう!?」
再び床に丸まろうとしてるひとりを虹夏と喜多が押し留めようとする。それを横目で見ながら、リョウは一歩引いた場所にいる生月に歩み寄った。
「……弾きたくなった?」
「……う」
後ろに手を組み、身長差がある生月の目を見上げながらリョウが問いかける。生月は一歩後退る。
「灯も、ギター弾くんでしょ? しかも。……相当上手いでしょ」
「な、何故そう思うんです?」
「勘と、灯の雰囲気。ひょっとしたらひとりより上手いんじゃない?」
「……買い被りだ。俺は大分ブランクあるし、後藤さんの方が上手いよ」
「聴かせてよ、ギター。興味ある」
「……わ、分かりました」
得も言われぬ迫力。押し切られた形で、茶髪の少年は頭を掻きながら、桃ダンゴムシ相手に奮闘する喜多に声をかけに行く。
「うむむむむ……!! 固い! フジツボ並みの接着力だわ……! コラ!後藤さん! 観念して出てきなさい!」
「所詮私は喜多さんの下位互換……」
「何を言って……!?」
「喜多さん」
「へ? 何? 生月くん」
「悪い。一瞬だけギター、返してくれるか」
「あ、ああ。ごめんなさい。はい」
肩からストラップを外してギターを慎重に手渡す。渡されたワインレッドのレスポールを肩にかけ、見下ろした少年の顔は、僅かだが綻び、上気しているようにも見えた。
「……うん。やっぱり、様になる」
「何弾きます? 何でもいいすけど?」
先の表情をしまい込み、軽い雰囲気でリョウに問いかける少年。
「リクエストなし。好きに弾いてよ。思い出の曲でも何でも」
「……ふむ。そしたら、めっちゃ聴いたアーティストのアルバムのラストの曲を。本来アコギすけど、そこはご勘弁を」
手近な椅子に腰を下ろし、弦にピックを通して音を確認。喜多が目を見開いた。
「凄い……。綺麗な音……」
その音に反応して、ガチガチダンゴムシのひとりも、虹夏も、顔を上げた。
「……き、生月くん」
「わ、凄い。北風が駄目なら太陽作戦か生月くん」
いくら自分が奮戦してもびくともしなかったひとりがあっさり顔をあげたのを見て、虹夏が驚いたのと同時。エレキギターの生音を伴奏に、少年が歌い始める。
派手な技法も、目を見張るようなテクニックもあるわけではない。ただ、自身が展開する音を、羽根でも扱うかのように愛おしげに、零さないように丁寧に演奏する少年の歌声は、何故か聴いている者の耳に残った。
静かに、呟くように歌うかと思えば、伸びやかにどこまでも広がるように。抑揚を使い分け、正確なリズムで一小節を歌い切り、語尾を伸ばしたあと、喉を締めてフェードアウトさせて、少年はギターのボディを叩いた。
「ご、御清聴ありがとうございました」
その言葉にリョウがズッコける。
「いやいや!? これからが盛り上がるとこじゃんそりゃないよ!」
「いや〜、久しぶりだし緊張しちゃって〜」
頭を掻きながら頬を赤らめる生月。そこに、虹夏が話しかける。
「な、なんか凄い静かな曲だね……、き、生月くん歌上手いねえ……」
「あ、ありがとうございます。一時期コレばっか聴いてる時期あって。Mr.ChildrenさんのImageって曲です」
「み、ミスチルかぁ! 勉強不足だわあたし! 全然知らなかった!」
虹夏が目を見開いて感心していると、隣で派手な音がなる。喜多が、膝から崩れ落ちた音だ。
「……先輩に、凄く上手いって言われて、気分良かったけど……。こ、これが真にギター上手い人の音色なのね……! 別次元……! 後藤さんとまた違う種類の凄み……! 何一つ敵わない……! 当たり前だけどぉ……!」
「あああああ喜多さんだけでなく生月くんまでこんなに上手いなんてぇ……! 歌上手くてギターまで出来ちゃったらギターしか出来ない私の存在価値があ……!?」
「やっぱりクソ上手かったね。人が悪いぞ何で隠していたのさ?」
今日一日だけで最早慣れたものなのだろう。恐慌状態に陥る二人を鮮やかにスルーして、リョウは生月を問い詰める。
「隠していた訳じゃないですよ。それに……」
そう言うと生月は、手を床について項垂れている二人を一瞥し。
「まあ、こうなるのでは? と思いまして」
そう呟いた。
「ああ、成る程……」
流石の山田リョウの勢いも少し削がれる。だが、まだ納得がいってなさそうな虹夏がさらに生月に問う。
「そ、そんなに上手いのに何でバンド組んでないの? もったいない……」
その質問に、生月は人差し指を顎に当てふむと一瞬思案する。
「……。例えば皆さんには、バンドをしたあとに目標があると思うんですよ」
「後藤さんのように、誰かと繋がりたいとか」
その言葉に、ひとりは顔を上げた。
「喜多さんは、憧れの先輩と一緒にいたいとか。他にも、ビッグになりたいとか、心の中の叫びを聞いて欲しいとか」
「俺にはなんにもないんです。だから、バンドを組まないんですよ」
生月の言葉を聞くと、虹夏は、首を傾げて納得したようなしていないような。微妙な表情。
「……ん〜。難しく考えすぎじゃない? 何もなくても、バンドはやってみてもいいと思うよ? 楽しいからやる。それで、何が悪いのさ?」
「……確かに。俺は物事を難しく考える性分らしいです。興味ない訳ではないのですが……。ま、バンドはやらないでも、ギターは大好きなので。将来は音楽関係の仕事に就きたいと思ってます。スタジオミュージシャンとか」
「あ〜。に、似合うかも……」
「流浪の凄腕……男の浪漫でしょ? あの人に任せときゃなんとかなるなんて噂の、ギターの腕を資本に東西南北歩き回る伝説のギタリスト。カッコいいでしょ!」
「生月くん実は変な人だね!?」
歯を見せながらサムズアップする生月に鋭くツッコむ虹夏。それを見ながらリョウは、一人胸の中。
(上手く煙に巻かれたな。……曲のイメージに引っ張られたわけじゃなく、何故か、あいつの音楽には影がある……なんでだろう、そんな気がする)
「ま、まあでもさ、生月くん。君にはさ、私たちのバランサーを頼むよ!」
「バランサー? と言いますと……」
虹夏が指を立てて提案する。生月は浮かんだクエスチョンを虹夏に投げ返していた。
「ほら、私たちバンドって、一緒にやりだしたら客観視できないんだよ。考えたらおかしいって分かりそうなことでも気付けなかったり! 生月くんは、外から私たちが変だったり、技術的に足りないとこがあったら指摘して! そういう役目!!」
「ほほうなるほど。そのぐらいならお安い御用です」
「我が結束バンドのスーパーサブだね。ギタリストどっちかが風邪引いて出られないときとか代わりに出るとかね」
「任せてくださいよ〜」
ヘラヘラ笑いながら安請け合いをしようとする生月に、いつの間に復活したのか桃髪の少女が涙を溜めながら肩を掴んで首を必死に横に振る。
「ごごごごごごご後藤さん!? どうしたのさいきなり!」
珍しく本気で動揺している生月の隣に、これまた復活した赤髪の少女が、ユラリと立つ。
「後藤さんが今言いたいことを翻訳するわ……。ただでさえアイデンティティ奪われてるんだから出番まで奪わないで! 虹夏ちゃんに見捨てられちゃうぅ〜!! ……よ。多分」
「み、見捨てないよひとりちゃん!?」
ドタバタとうるさいバンドの面々。山田リョウは正直、喧騒は好きではない。だが、この仲間たちが生み出す喧騒は、何故かそこまで嫌ではなかった。
「……将来性抜群のギターボーカルに、努力の孤独なギタリスト。……あと、なんか影があるギタリスト……か。ふふ。少し、二週間後が楽しみかも……」
フッと表情を崩して、山田リョウは一人考えを締めくくった。
次こそ、結束バンド初のライブですわ。まあ、原作とは似ているようで違う感じの進め方にしようと思っています。
お読み頂きありがとうございます。もしよろしければ感想、評価、ここすきなどと頂ければ、これに勝る歓びはございません。