一般人がもんくえ・ぱらどっくすの世界で生き残る方法 作:もんくえはいいぞおじさん
パチパチと焚火が火の粉を上げる。
イリアスベルクの道中でキャンプ中でございます。
テントの中にはグースカ眠りこけているルカ(♀)。俺は交代で見張りの最中でごぜえます。
「……結局アリスは居なかったな」
当代の魔王且つお化け嫌いでおなじみ、メインヒロインのアリスフィーズ16世の姿は影程も無い。
この時点で既にこの世界が崩壊までリーチ。序にタルタロスも有ったからビンゴってところか。
「そう言えばイリアス……様の姿も無い」
少なくとも向こう50年は姿が見えないらしい。
アレか? 再創生計画の準備とか、或いは俺を排除するための準備とか……いやよそう。凡百の人間が何考えた所であの邪神の考え何てわからんし判りたくもない。わかった時点であのドブと同じ性格だってことになるからな。
……此処まで不敬を働いても”オシオキ”はナシ。か。
「どうなってんだか」
火にもう一本薪を追加して空を見る。
周囲は焚き木の明かりが届く範囲のみ。その向こうは真っ暗。そして満点の星。
大地が焚き木の周囲にしか存在しないんじゃないかと疑うくらいだ。
「――ッ」
何かが動いた気がした。
手元の剣を構える。
周囲を油断なく警戒して見渡す。
1分……2分……。
襲ってくる気配はない。どうやら風で茂みが揺れただけみたいだ。
そもそもこのセントラ大陸ならいざ知らず、此処はそんな狡猾な手段を取るもんむすは居ないし、居ても我慢できずにすぐに襲う。
ラスボス級が呑気に散歩でもしていない限りは。と言う枕詞が付くが。何でかこのゲームそう言う事が多々ある。
本編のグランベリア然り、RPGの怒りに呑まれて化け物になった勇者ハインリヒ然り。
剣をいつでも構えられるように手元に置いて焚き木の番を続ける。
まだまだ夜は長い。
―――僕の幼馴染はちょっと変だ。
あれこれ変なことで悩むし、よく独り言を呟くし、歴史の事を細かく聞こうとする。
僕のいる村は神殿があるといっても、それ以外はタダの村だし大人たちもそこまで知っている訳じゃない。
だからその質問の向かう先は外から来た人間――つまり旅人になる。
よく僕の働いている宿に来ては色々聞くんだけど、その人たちでも答えられないような事を良く尋ねるらしい。
質問攻めにあったお客さんから「大学に行けるんじゃないか」って言われるんだけど、そんなことをするくらいなら少しでも手伝って欲しい。
でも、別に彼の事は嫌いじゃない。
母さんが流行り病で倒れた時、神父からあんな事を言われて、昔の村の人たちが避ける中僕たちに変わらずに接してくれたし、母さんの看病も手伝ってくれた。
母さんが死んだ後、宿を継いだ時から少しの間は手伝いだってしてくれたし、色々と面倒を見てくれた。
悲しくて眠れない時は傍で見守っててくれたし、村の人たちに酷い目に逢わされないように一緒に居てくれた。
現に今夜の見張りの時も彼は最初に見張りを言い出したし、交代の時間であろうタイミングを過ぎてもずっと見張りを続けてくれている。
だからよ、夜にこっそりスる時に頭にちょこっと浮かぶくらいには……まあ、想っている。
「…………寝たふりしてるなら交替してもらうぞ」
テントの入り口の布がまくられて彼、ノアの姿が現れた。
「気付いていたんだ」
「そりゃ、寝息が聞こえなきゃ気が付くだろうよ。寝るなら寝ろ」
「ううん。じゃあ変わるよ」
「いや、テントに入ってから寝てねぇだろうが。さっさと寝て見張りの時にうっかり眠らねぇようにしろ」
それだけ言ってまた焚火の番に戻っていく。
焚き木の爆ぜる音と、その向こうに彼がいる。
「……おやすみ」
そのことに安心しながら呟くと、向こうから僅かに聞こえた「おやすみ」という返事を最後に、僕は今度こそ微睡みの中に意識を沈めた。
主人公:打算とか世界の事情を知りたいので色々とルカ(♀)の周りでウロチョロしてたらそれなりに懐かれた。
ルカ(♀):色々とお世話されて(打算込み)主人公に懐いた。因みにG行為は本人にバレている。主人公は前世の自分の事を思い出して武士の情けで黙っている。