機動戦士ガンダムヴァルキリー   作:葵衣なつ

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 かつて、戦争があった。

 それは遠い遠い昔のこと、まだ西暦と呼ばれていた時代のこと。

 地球資源を殆ど取り付くしてしまった地球人類が、ここまではいけないと危機感を抱いたことから始まる。

 大多数の人類は宇宙に新たなる理想郷を求め、ある組織の元で宇宙移民計画を立ち上げた。

 その組織の名は『シャングリラ』、後の宇宙コロニー連合…その母体となる宇宙調査機関である。

 だが当時世界を統一していた『地球圏統一連盟』政府は、地球から人類が離れることで自分らの権力を思うがままに振り上げることができなくなるのではと考え、シャングリラの計画を邪魔しようと画策する。

 腐敗しきった地球圏統一連盟のその行いに怒りを覚えたシャングリラと、それを指示する人類は、連盟に宣戦布告をした。

 後の歴史で『五年戦争』と呼ばれる西暦最後の大戦、その始まりである。


第4.5話【大地の記憶】

 西暦2240年2月14日午前4時2分31秒、連盟国の首都・サンフランシスコ付近に一つの核が落とされると同時にシャングリラのリーダー『アハルテケ・テンシュリー』による演説が全世界同時中継で行われた。

 

 内容はシャングリラの宇宙移民計画の全貌に、腐敗しきった連盟での怒り、そして連盟という政府基盤を破壊するためという戦争の目的と宣戦布告。

 

 その演説によってシャングリラはかなりの支持を得、連盟の敗北は決定的に思えた。

 

 それでは何故、戦争終結まで五年もかかったのか。

 

 連盟側の持つ兵器の圧倒的物量に対して、シャングリラは数世紀前に作られたような旧式の兵器で対抗しなければならなかったからである。

 

 彼らは宣戦布告する前からそれは分かりきっていたことで、それでも戦端を開く決意を固めたのかは日本列島にあった。

 

 21世紀半ば、日本列島の最東端・南鳥島の海底にレアアースが見つかり、それが2240年になった現在も尚大量に埋まっているという噂をアハルテケは耳に入れた。

 

 日本列島は約100年前に採掘を打ち止めとしていたが、列島政府がシャングリラの活動を支持していたこともあって、戦争の開始から密かに海底からのレアアース採掘を行ってくれる代わりにと契約を持ち出した。

 

 その契約は列島は直接戦争に介入しないが、戦争に勝利した場合、それによって得た利益の半分を渡すということである。

 

 シャングリラ側は選択肢もなかった為了承し、そうしてレアアース採掘が開始された。

 

 ◈◈◈◈◈

 

 西暦2241年1月2日午後4時47分04秒、シャングリラメンバーの一人『タムレイヤー・クリティ』が発したある一言がきっかけで五年戦争は新たなる段階に進むことになる。

 

 それは…マン・マシーン、この時代の建設に欠かせなくなっていた人型起動機械を戦争に転用できないかといった感じの独り言であった。

 

 だがその一言は偶然にもアハルテケが聞いており、タムレイヤーは一般戦闘員からマン・マシーン軍事転用計画の責任者に大きく昇格することになる。

 

 マン・マシーンがモビルスーツという名称で軍事転用に成功するのはこの2年後のことだ。

 

 ◈◈◈◈◈

 

 西暦2243年4月12日午前2時57分47秒、世界初のモビルスーツ『ザク』が完成した。

 

 深い緑色の装甲を纏い、赤いモノアイと身体のどこかしこから飛び出るパイプが特徴的なそのモビルスーツ。

 

 ザクの初の戦場として選ばれたのは、当時連盟軍本部があると睨まれていたアマゾン川上流への電撃攻撃作戦である。

 

 人の身で安易に入るのは死にいくような危険地帯に本当に本部があるとは思えないとアハルテケ自身、内心思ってはいながらもザクはそういった危険生物に怯える必要のない機械であるために一か八かの実行を命じた。

 

 結果として、本部は存在しなかったが南アメリカ大陸最大規模の部隊の隠れ家として使用されていた基地を破壊できたという大戦果を得れたというのはシャングリラの士気高揚を手助けすることになる。

 

 それからもザクは各地で活躍、連盟軍の敗北は目に見えて明らかだった。

 

 だが連盟は曲がりなりにも一世紀以上も地球の統治に成功していた大規模政府、彼らはシャングリラの大きな戦力であったモビルスーツの開発に成功しており、その名を『ジム』と呼ばれるモビルスーツを投入してきたのである。

 

 それが西暦2243年末の出来事であった。

 

 ◈◈◈◈◈

 

 西暦2244年9月24日、連盟軍のジムとシャングリラのザクによるモビルスーツが戦争に大きいものになっていた頃。

 

 シャングリラは新型モビルスーツを戦場に投入する。

 

 そのモビルスーツの名はガンダム、この一機のモビルスーツによって連盟は敗戦への道を突き進むことになった。

 

 西暦2245年1月3日、連盟の全面降伏によって終結した五年戦争。

 

 その後はシャングリラが新政府を樹立し、人類の生活圏は宇宙へと変わることになる。

 

 その過程で地球は人類の過ちを刻んだ惑星として放棄されることになるが地球にごく一部、残ることを決めた人類もいた…。

 

 そうして人類史はS.C.(スター・センチュリー)へと駒を進め、1022年…再び世界は戦乱の時代へと進むことになる。

 

 第一次宇宙大戦、その悲しき争いの先にある結末を知る者はいない。




マン・マシーン…ガイア・ギアとは違い、この作品では作業用人型起動機械という設定。S.C.でのモビルポッドやプチモビの先祖様という設定でもある。

ザク、ジム、ガンダム…宇宙世紀の同名モビルスーツと姿形は似ているがジェネレーター出力や武装は所々違いが見られる。

◈◈◈◈◈

今回は番外編である五年戦争の詳細をお送りしました。本来は1章と2章の間にする予定だったのですが早めに開示しておいた方が後々話を進めやすいと思い、今回この形で公開します。

次回、機動戦士ガンダムヴァルキリー第5話は近日更新予定。
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