誠に残念ながら、人類は滅びました 作:緑色になることを夢見る黄色
誠に残念ながら、人類は滅びました。
そう、ほかならぬ私の手によってな!
がっはっは。
はぁ、とりあえず私が何をしでかしたか振り返ろう。
私はこの概念観測所の研究所長だ。
コーヒー片手に日本国民が生産する意味☆不明な概念の観測をしていた。
はっきりいってこの仕事とネットサーフィンだったらまだネットサーフィンのほうが有意義だな……
当時の私はそんなことを考えていたはずだ。
それで……えっと……そう、飲んでいたコーヒーがあまりにも苦くて砂糖を入れようとしたんだ。
そうしたら概念の観測や抽出なんかに使う機械に砂糖をこぼしちゃって……
バレたら怒られる! 早く証拠隠滅しないと!!
って慌てて水雑巾で拭いたんだけど、機械がエラーを吐いちゃって……
どうにか直そうとして手元のプラスドライバーで分解したら人類という概念をこの世界から消し飛ばしちゃったってワケ。
うわあああああ!? 私のせいで人類滅んじゃった!!
って慌ててたら助手ちゃんが部屋にはいってきてな、こう言ったんだ。
「所長! 人類の9割以上がなぜか消滅しました!!」
いやぁ、慌てたね。
だって人類がすべて消し飛んだのなら目の前にいるコイツはナニモノなんだってね。
決して自分が人類を滅ぼした元凶だということを知られないために証拠隠滅しようとしたわけではないよ。
ホントホント、ショチョウウソツカナイ。
それで私はとっさの判断で所長パンチを繰り出したのさ。
ミス、所長パンチは空気を撫でた。
助手ちゃんのターン、助手スタンガン!
ヒット、所長に5のダメージ。
助手ちゃん、win!
「所長、なんで殴ってきたんですかって、ああー! 何壊してるんですか!? それ高いんですよ!」
助手ちゃんが何かわめいているが、私はこの時とんでもないことに気づいてしまった。
人類が消滅したのに、私は消えていない。
私の記憶が正しければ、私はまごうことなき人間であるはずなので消えて無ければおかしい。
そして私は一つの結論に至った。
実は人類が全員消えたわけじゃないんじゃね?
この仮説を確かめるべくそこでわめいてる助手ちゃんに質問を投げかける。
「助手ちゃん、君って本当に人間?」
……10秒ほどの静寂が訪れる。
これで確信した、助手ちゃんって人間じゃなかったんだって。
確かにおかしいところはいくつもあった。
私のおごりの時に毎回パフェを10個頼んでそれを完食する点。
……いやこれぐらいしかおかしなところないや。
だが、そんなあほなことを考えている暇はない。
前の前にいる助手ちゃんが人外だと確定してしまったので、私がここから生還する方法を考えなければ。
「どうやって気づいたんです? 私の擬態は完ぺきだったはずなのに~」
ほら見ろ、助手ちゃんの口から名状しがたき……名状しがたき……? うどん? うどんが口から飛び出してきている? どゆこと?
まさかうどん型の寄生生物なのか!?
「おっと、お昼に食べたうどんが出てきちゃいました、これも所長のせいですからね~」
どうやらうどん型の寄生生物ではないらしい。
いや、うどんなんかどうでもいい!
どうしよう、どうするれば助かる……
仕方ない、所長奥義を使う時が来たということだ。
私は流れる水のように正座の姿勢へと移り、そのまま両手を地面につけ、最後におでこを床にこすりつけた。
所長奥義、D.O.G.E.Z.A.
「許してください! 何でもしますから!!」
しかし助手ちゃんには効かなかった。
助手ちゃんのターン、口から本体を出す。
助手ちゃんの口から触手が現れた。
しかし、所長は気づいていない。
「所長、言ってくださいよ~、どうやって私が人間じゃないって気づいたんですか~?」
所長のターン、指をさす。
所長は機械を指でさした。
助手ちゃんが機械の画面をのぞき込む。
「どれどれ~、え、え? え!? 人類滅ぼしたんですか!??」
またもや10秒ほどの静寂が訪れる。
「そういうこったぁ!」
もはや私に恐れるものなど何もない。
私が人類を滅ぼしたのだからな!
がっはっは。
「え、じゃあ所長も人間じゃないってことですか?」
いつの間にか触手を体の中にしまった助手がそう聞いてくる。
「フム、確かにそうなるな。しかし、私は生物学的には100%人間であるし、自認も人間だ」
私は人間のはずだ。
……そうだよね?
え? 人間じゃなかったら泣くよ? ほしいものを買ってもらえなくて駄々をこねるクソガキのように泣きわめくよ?
「でも消えてないですよね?」
「……人間だもん、絶対に人間だもん! 少なくとも助手ちゃんみたいなエロ同人に出てくる触手の化け物じゃないもん!!」
「所長!? 泣かないでくださいよ! わかった、わかったから、所長は人間だもんね、私みたいに化け物じゃないもんね」
そうして私は助手ちゃん特製触手のゆりかごで慰められた。ばぶー。
さて、回想終わり。
今からは私がしなければいけないことを挙げていく。
真っ先にやるべきことは助手ちゃんの対処。
幼児化することで一時的に難を逃れることには成功したが、所長奥義も効かなかった相手だ。はっきりいって手の打ちようがない。
次にやることは衣食住の確保。
助手ちゃんが言うには人類の1割は残っているとのことだが、もれなく化け物のはずなので間違いなく地球は世紀末へとフェーズ移行する。
そうなる前に自分の身を守れるような場所が欲しい。
そして最後。
私が人類を滅ぼしたという証拠の隠滅だ。
今生きているとされる人間たちはもれなく化け物、それも人間社会に紛れ込むタイプだ。
つまり生きるために人間が必要とか、人間を性的に見てるとかそんなところだろう。
そんな奴らが人類消滅の原因を知ったらどうなるか。
間違いなく、死である。
幸いこの施設には自爆装置がついてるためそれを爆破すればいい。
まぁこんなところか。
じゃあまずは助手ちゃんの対処だな。
現在私はエロ同人のように触手に周りを囲まれているものとする。
\(^o^)/オワタ
武力行使は使えないので対話を試みる。
「助手ちゃん、ちょっといいかな」
「何ですか所長~、というか正気に戻ったんですね~」
「えっと、君は私をどうするつもりなのかな?」
「そうですね~、ばらされないために脳をいじくって口封じするつもりだったんですけど、なんか人類滅んじゃってるみたいですし~?」
「なるほど、ではこうしないか? 私はお前が触手だということを誰にも言わない。助手ちゃんは私が人類を滅ぼしたことを誰にも言わない。これでWin-Winだ」
「嫌です」
くそが、私に助かる手立てはもうない。
「いやだ! こんなところで死にたくない! 凌辱もされたくない! o。゚(´Д`。゚)。゚o。ウワァァァン」
「しょうがないにゃあ、じゃあ人間同士の百合カップルで手を打ちますよ」
「え」
「モチロン、拒否権はありませ~ん」
こうして、私に彼女ができた。
助かったので良しとする。