バッドエンドのその先へ   作:ハニラビ

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任務

 

 リンドウがシオン隊に加入し、同じ部隊のメンバーとの初顔合わせを行ってから数週間が経った。

 その間、訓練に任務と忙しい日々が続いていた。数は少ないながらも時折り発生した災害の討伐任務をこなし、シオン率いる部隊は最低限の連携が取れるまでになっていた。

 

 ただ、任務の際に想定されている以上の災害と遭遇する事が度々あり順風満帆という訳ではなかった。リンドウは自身の不運に申し訳なさを感じていた。

 

 

 

(不運をどうにかできないだろうか。)

 

 

 

 字面だけみたら何を言っているのだと思われるかもしれないが、リンドウは至って真面目にそう考えている。

 以前、シオンがこの不運を調べてみると言ったが進展は今の所なかった。漠然とどうしようもない不安をリンドウは抱えながら日々を過ごしていた。

 

 

 

 その日、リンドウたちはミーティングルームに集まっていた。普段はこの場所で任務についての説明を受けている。

 当たり前のようにユリもどこからか話を聞きつけて部屋に潜り込んでいた。

 

 

 

「今回の任務は、エクサルス大森林外周で発生した災害の討伐だよ。」

「そこって、……大災害の跡地よね、禁域の真横じゃない。」

「そうだね、エクサルス大森林は今も禁止区域に指定されているエリアだよ。ただ今回の任務では内部に入ることはないよ。」

 

 

 

 エリカは任務地を聞くとシオンにそう返した。リンドウも禁域という言葉を耳にした事がある。

 

 

 

(禁域、確か……大災害の影響で入れなくなったエリアのことだったか。)

 

 

 

 大災害が発生した際に汚染を受け、立ち入りが難しくなった場所がある。それらのエリアの中にはワルキューレであっても足を踏み入れる事が難しい場所が存在する。

 十数年の歳月が流れた今でも汚染が残り続けている禁止区域。それを禁域と呼んでいる。

 

 禁域に入る際には汚染を遮断する専用の装備が無ければ十分な活動は出来ない。最上位ワルキューレに位置する者のようにエーテル適性の高い者であれば装備が無くともある程度活動が出来るようではあるが、あまり現実的ではないそうだ。

 

 ただ無視することもできない。禁域からは災害が誕生しやすい為、対処しなければ更なる被害を生み出す厄介な場所となっている。 

 

 

 

(禁域そのものには行かないのなら大丈夫なはずだけど、不安だな。)

 

 

 

 脳裏を過ったのは自身の不運だ。難易度の高くない任務をしている今でさえ余計な負担を強いてしまっているのだ。より不安定な場所でどれだけの災害を引き付けてしまうのかは検討もつかない。

 

 

 

「陸上型や飛行型の災害、それと現在確認されている災害の情報は資料にまとめてあるから各自で確認してほしい。」

「はい、シオン隊長。」

 

 

 

 シオンが任務の概要を淀みなく伝えていく。これまでに行った任務のようにやる事は変わらず災害の討伐である。ただ一つ特殊な点があるとすれば任務地だろう。

 シオンもその事を気にかけているようで注意を払っているようだ。

 

 

 

「特殊な場所だから万が一があり得る。だからいつも以上に慎重に臨んでほしい。」

 

(気を引き締めないとな。)

 

 

 

 リンドウはその考えを小さく頭の中に留めた。先行きに不安があったとしても今からどうこうする事は出来ないのだから。

 

 

 

「あと、禁域に入ってしまはないように注意してほしい。」

「はーい!!」

 

 

 

 そうシオンは言葉を続けた。禁域に不用意に近づけば待っているのは破滅だろう。リンドウだって無駄に命を消費したい訳ではない。うっかりでも入ってしまうことはないだろう。

 

 ユリが元気の良い返事を返す。まるでピクニックにでも行くかのようであるが、無事に帰って来れるかも分からない任務である。

 それを理解しているのかしていないのかはユリにしか分からないが。

 

 

 

「それと、ユリはお留守番だから。」

「えー!?」

「あはは……、ユリちゃんいい子にしてるんだよ。」

「子供扱いしないでよー!」

 

 

 

 元気良く返事をしたユリにシオンは無情にも待機を命じた。カルミアは思わず苦笑いを漏らしている。

 驚くかもしれないが、ユリは見た目では判断できない程の力を有している。その事についてはこれまでの任務の中で理解させられた。彼女も確かにワルキューレであった。けれど彼女が戦う事にリンドウは若干の抵抗を感じていた。ユリを出撃させないという選択の方が至極真っ当なもののように思える。

 

 

 

「うぅ、リンを守りたいのに……。」

 

 

 

 凹んでいるユリは、これじゃあリンドウを守れないと不満を溢している。一緒に過ごした時間が数週間に到達しようと彼女の中ではリンドウは弟で自身が姉という認識は変わらないようだった。

 リンドウは未だにその認識がどこから来ているものなのか理解出来ていなかった。

 

 

 

「ユリの代わりを果たせるように全力を尽すよ。だから私たちが離れている間、此処を守っていてくれるかな。」

「うー、……分かった。リンのこと、お願いね。」

「ええ、どうか任せて欲しい。」

 

 

 

 そんなユリにシオンは優しく言って聞かせる。それでもユリは不満気ではあったが納得はしたようである。気落ちしながら俯いた。これまでに何度か見た光景ではあるが、その度にユリが本心で言っている事が分かる。

 もしかして本当に姉なのかと疑問に思うリンドウであったが、流石に有り得ないと即座に否定した。

 

 ユリが落ち着いたのを確認するとシオンが向き直る。

 

 

 

「どうだろう、他に質問はあるだろうか。」 

「隊長、少しいいかしら、この任務は……少し急すぎるんじゃない?」

「……確かに早くはあるだろうね。」

 

 

 

 一番に口を開いたのはエリカであった。エリカの言う急というのは、任務の難易度の話だろう。

 不測の事態が起こりやすい、任務の達成が困難なものである程、新人のワルキューレでは失敗のリスクが高まる。そのような任務には本来経験をある程度積んだワルキューレがあてられるものだ。

 

 今回のように禁域と呼ばれる危険区域がすぐ側にある状態では、普段の任務以上に危険と隣り合わせである。通常ならば経験豊富な隊に任せられる筈なのだ。

 加えて、シオン隊にはリンドウがいる。禁域のような場所でリンドウが戦えば、例え禁域に足を踏み入れなくとも災害がリンドウの元へとやって来る事は想像がつき易い。

 

 まだ隊としての経験の浅い状態で行うにしてはリスキーである。

 

 

 

「この任務は本部からの直属のものなんだ。」

「その、それってあまり無いことですよね。」

「そうだね、通常は支部内で取り決めを行っているから直接指名を受けることは殆どないね。」

 

 

 

 思わずといった風にカルミアの口から言葉が漏れ出る。

 

 任務は各支部で纏められ支部内のワルキューレに割り振られる。そして手に余る場合は他支部に救援を要請する事になる。本部は各支部の取りまとめではあるが全ての指示を出すといったことはしていない。

 故に本部から直々に特定の隊へと任務を言い渡される事は稀なのだ。

 

 

 

「断れない訳ではないけれど、理由も無く拒否するのは難しいんだ。」

「……そういう訳ね。」

 

 

 シオンは申し訳なさそうに答えた。彼女自身この任務に乗り気ではないようであった。

 それを聞いてエリカは納得したようだ。シオンがリスクのある任務を受けた事に違和感を感じていたのだろう。それ以上エリカは口を挟む事はなかった。

 

 

 

「ちょうど手の空いている部隊が私たちだったのか……、正確な理由は分からないけれどこなせない任務ではない筈だよ。」

 

 

 

 シオンにもそのあたりの事情は詳しく分かっていないようだ。ただの末端であるリンドウではもっと分かりようがない話である。

 どうであれ、この任務を行う事に変わりはない。

 

 

 

「危険は避けられないけれど、隊長として貴方たちを守るよ。」

 

 

 

 シオンが決して気休めの嘘を言っているようには見えなかった。そこに自分なら守れるという傲慢さがある訳でもない。

 それがシオンなりの決意表明なのだとリンドウは感じた。であれば、自分も全力で任務にあたって足を引っ張らないようにするだけだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 任務日当日、シオンたちは小型の飛行艇で任務地まで移動していた。

 小型といってもシオンたちが全員乗って尚、十分なスペースが確保されている程度には広々としている。エーテルという特殊なエネルギーは様々な文野の発展へと多大な影響を与えた。こうした飛行艇のエネルギー供給にもエーテルが使用されているのだ。尤も、リンドウはそれについて詳しく知らないが。

 

 窓からは雲海が見え、着々と目的地へと移動している事を教えてくれる。これから行う事が災害との戦いでなければ快適な空の旅だっただろう。

 

 

 

「リンドウ、どんな事があっても心を乱してはいけないよ。」

「分かってるよ。」

「うん、焦らずに貴方のできる事をすればいい。」

 

 

 

 シオンの言葉に耳を傾ける。シオンは全員にこうして声をかけているようであった。いくら訓練を重ねたとしても災害は決して容易く倒せる相手ではない。油断すればそれは死期を早める事に繋がるだろう。

 リンドウはシオンの言葉に頷いた。災害の脅威を身をもって知っている。やれる事をやるのだ。リンドウが頷いたのを確認すると、今度はエリカの方へとシオンは向かっていった。

 

 

 

(いつも以上にシオンは警戒しているみたいだ。)

 

 

 

 彼女の後ろ姿を見ながらリンドウも気を引き締めた。

 以前は他の支部で任務へ出撃する事があっても特別それに何かを思うこともなかった。対して今はどうだろうか。心がもやもやしているような、どこか落ち着かない。

 

 シオンが離れた後暫くして、リンドウの元へとカルミアがやって来た。カルミアは一人で待つ事が苦手なようだ。そのままリンドウの横へと座った。

 

 

 

「リンドウくんは、緊張してる?わたしは凄く緊張してる……かな。」

「少しだけ、落ち着かないかな。」

「なら、一緒だね。そうだ……、これ貰ってくれる?一人じゃ食べきれそうにないから。」

「ありがとう、カルミア。」

 

 

 

 カルミアがチョコレートをリンドウに手渡す。リンドウはそれを受け取った。

 カルミアの問いかけについて考えた。自分は緊張しているのだろうかと。これまで戦う事には緊張なんてしていなかった。

 

 

 

(緊張……、戦うことに緊張してる訳じゃない。多分これは……。)

 

 

 

 周り視線を向ける。シオンにカルミア、ルビアにエリカ、それとこの場にはいないユリ。

 もし手に負えない程の災害に遭遇したら。自身の不運が彼女たちに不幸をもたらしたらと考えてしまう。戦った結果、もたらされるかもしれない任務に不安を覚えているのだ。

 

 カルミアは若干俯くように視線を彷徨わせている。言葉が途切れた、彼女ももしかしたら今回の作戦を不安に思っているのかもしれない。チョコレートの甘味だけがただ広がっている。

 

 

 

(……静か、だな。)

 

 

 

 この場にユリはいない。普段であれば騒がしい少女であるが、こうしていないと物足りなさを覚えた。

 

 

 

(ルビアはどう感じているんだろう。)

 

 

 

 そんな事がふと気になった。ルビアが焦った姿を見た記憶はこれまで無い。彼女も緊張するのだろうか。

 ルビアはガラス越しにずっと外を見ている。リンドウも釣られて外へと目を向ける。太陽が眩く輝き、燦々と大地を照らしている。不穏な雰囲気の中にありながらも、空には美しい青が広がっていた。空の青さだけが変わらず、ずっとそこにはあった。

 

 

 

『到着まで残り1分。まもなく着陸します。』

 

 

 

 機内アナウンスが流れ、刻一刻と目前にまで差し迫っている事を示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 任務地にはアクシデントもなく到着した。飛行艇から降り大地に立つ。

 

 

 

「警戒を怠らないように、指定の地点まで移動を始めるよ。」

 

 

 

 目前にはエクサルス大森林、その名の通り人の背丈など優に超える巨木が巨大な森林地帯を作り上げている。まだ森に足を踏み入れていないというのに、リンドウは外周からでも肌を刺すようなひりつく感覚を覚えた。

 それから、どうしてかリンドウは懐かしさのような感覚を覚えた。ただ、景色に見覚えがある訳ではない。この場所に一度も来た事がないのだから。

 

 

 

「ここから先が任務区域だがら、気を緩めないように。」

「はい、シオン隊長。」

 

 

 

 カルミアがシオンに返事を返す。所々地面が歩き易いようにならされており、手付かずという訳ではないようだ。調査の為にワルキューレが派遣されているのだろう。

 とはいえ完全に道として整備されている訳ではない。木の根に足を取られないように注意しながら進む。

 

 シオンが言うように災害がいつ現れてもおかしくはない場所に既にいる。一つの油断が致命的なミスになる場所だ。リンドウは警戒を強めた。

 

 

 

(なんだか嫌な、感じだ。)

 

 

 

 肌を刺すようなピリピリとした感覚。これまでに感じた事のない違和感だ。

 リンドウはシオンたちをちらりと見るが特段変わった様子はない。少し神経質になり過ぎているかと、心の中で一息ついた。浮き足だっているのかもしれなかった。

 

 シオンの指示に従って特定のポイントへと近づいた。あらかじめ災害の出現予想ポイントがマーキングされている。

 張り詰めた空気の中で、投影型のディスプレイに反応が表示された。異音を耳が捉える。遠くから段々と近づいて来る何か。

 

 

 

「エネルギー反応接近中、災害が来るよ!」

「はいっ!」

 

 

 

 シオンの声にカルミアが返事をしながら弓を構える。リンドウもまた標的をしっかりと視界に収め出方をみる。

 漆黒の異形が木々をへし折りながら姿を現す。人の身長など容易く超えるデカブツ。人類の敵は強烈な圧迫感を見に纏いながら狙いをリンドウたちに定めた。

 

 

 

「陸上型、構えてっ!」

 

 

 

 四足の足を動かしながら凄まじい勢いで襲い来る。

 

 頑丈な装甲を持つ戦車であってもその一撃をくらえばたちまちに潰れたアルミ缶のように姿を変えるだろう。

 これだけの強さを誇りながらもただの尖兵にすぎない。如何に人類が強大な敵と戦っているのかが分かるだろう。

 

 各々が武器を構える。気を抜く事の出来ない時間が始まる。

 

 

 

「リンドウ行くよ、私と前に!ルビア、みんなのフォローはお願いね。」

「分かった、シオン隊長。」

「……。」

 

 

 

 ルビアは返事をするように頷く。その目は冷静に災害を捉えている。

 何度対峙しようと慣れる事はないだろうとリンドウは心の中で思った。災害は土埃を巻き上げ障害物など最初から無いかのように一直線に迫り来る。

 

 

 

(速い!)

 

 

 

ーーードンッ!

 

 

 

 リンドウが前へと出た瞬間、強烈な衝撃がリンドウを襲う。鈍い衝突音が周囲へと響く。その様はまるでダンプカーが硬い壁に突撃したかのようだ。

 

 

 

「ぐぅッ……!!」

「そこ動くんじゃないわよ!」

 

 

 

 強烈な勢いで突進してくる災害をリンドウはその大剣で受け止めた。土埃を巻き上げながらその勢いを殺す。後方へと追いやられながらも災害の動きを止めた。一般人であれば挽肉になるような攻撃であってもワルキューレであるならば対応が可能だ。

 そこにエリカによる銃撃が合わせられる。鉛玉を射出する一般の銃器ではなく、ワルキューレの扱うそれは一種のエネルギー兵器である。

 

 銃撃は特徴的な音と共に災害の身体の一部を削り取ってゆく。シオンの持つ剣に加わる力も少し軽くなり、災害の腕から逃れた。

 

 

 

「馬鹿正直に正面から受け止めるんじゃないわよ!」

「助かる。」

「無駄口は後にしなさい!」

 

 

 

 エリカの攻撃は四肢と身体を繋ぐ関節部分を正確に削る。しかし、災害の歩みが止まる事は決して無い。身体の一部を削り取られたとしても痛がるそぶりをまるで見せない。

 災害に痛覚は存在しないのだろう。形もハリボテのように、ただその形を取っているに過ぎない。あれらの存在に臓器も血管も無い。生物もどきなのだ。身体の削り取られた部分は既に元の形へと戻ろうとしている。

 

 災害は標的をリンドウに定めているようだ。身体の一部を欠損しながらもその殺意は衰える事はなく、前足と呼ぶべき部分を高く振り上げそのままリンドウへと叩きつけようとする。

 

 

 

「私を忘れては困るね。」

 

 

 

 シオンの持つ剣が淡い光を灯し、そして一閃。

 災害が行動を起こすよりも速く剣が振り抜かれた。災害がリンドウに釘付けとなっている一瞬の合間にシオンが振り落ろして生み出した剣撃は災害の片足を切り飛ばした。

 

 災害のリンドウへの攻撃は不発に終わる。大きな欠損であれば災害と言えど直ぐには元通りにはならない。大きくバランスを崩している。

 災害の欠損部位が再生するように粒子を集め再び形作ろうとしている。

 

 

 

「カルミア!」

「ーーーッ、貫いて!」

 

 

 

 シオンの声を合図にカルミアによって限界まで引き絞られた弓の一撃が倒れ伏した災害を撃ち抜く。遅れて空間を切り裂く音が響き烈風が吹き荒れる。

 身体の大部分を撃ち抜いた事で災害は形を保てなくなったのかそのまま崩れ去った。

 

 

 

「……ふぅ。」

「次が来るわよ!」

 

 

 

 一息ついていたカルミアを襲うように新たな災害が現れた。どうやら先程の災害は先行して来ていたようだ。エリカの言葉を聞いてカルミアは慌てたように弓を構えるが既に遅い。

 

 災害の巨腕がカルミアの命を奪おうと迫る。

 

 

 

「……仲間を傷付けさせない。」

「ルビアさん!あ、ありがとう!」

「……。」

 

 

 

 しかし、その一撃はカルミアに届く事はなかった。

 ルビアの槍によって矛先を逸らされたのだ。受け流された一撃はそのまま地面へと叩きつけられた。衝撃と共に土埃が舞う。思わずカルミアは体勢を崩しそうになる。当たっていれば確実に無事で済まなかったであろう。

 

 

 

(気を引き締めないと。)

 

 

 

 場違いにもリンドウは心の中でそう感じた。この危険と隣り合わせの状況で少なからず余裕を感じられているのは彼女たちの実力あってのものだろう。

 

 ルビアは自在に槍を操る。災害の行動の一手二手先を読み解いて行く。放たれた攻撃を受け流し、時には反動を利用してカウンターを食らわせる。味方に影響しそうな攻撃は前以て潰す。

 ルビアは災害を圧倒し、安定して捌いて行く。シオンに頼まれた仲間へのフォローを完璧にこなせるのは彼女にしかできないだろう。恐らく戦闘技術はルビアが群を抜いている。

 

 続々とやって来る災害を視界に収め、ルビアは効率的に戦闘を続ける。カルミアを守りながら、そのまま、リンドウを襲おうとしていた飛行型の災害目掛けて槍を投げた。

 

 

 

「……家族は守る。」

 

 

 

 投げた槍は正確に災害を貫きその身体を霧散させる。

 しかし、森からは続々と災害がやって来ている。それは数えるのが億劫になる程だ。戦闘はまだ始まったばかりだ。生死をかけた綱渡りは続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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