田舎少年が行く学園青春狂騒曲 厄ネタを添えて 作:ビスマルク
炎寮との決闘が決まった翌日。俺は闇寮の教壇、つまりはクラスメイトの前に立って宣言した。そう、必ず勝利することを。そしてその先にある未来を。
そしてその破格の条件に目の前の馬鹿共は全員がどよめき困惑している。それほどまでに炎寮代表、エンリ・ウリエラの言ったことは俺達闇寮にとってはどちらに転んでも良いとしか言いようのない条件だったのだ。
「つまり、勝てば炎寮の情熱的女子達と合コンすることが出来る……」
「負けたとしても炎寮の配下。つまり女王様系美少女の下僕になれるってことか!?」
「おいおいなんだよこの条件は、神じゃねぇか!!」
「代表!!俺は代表を信じてたよ!!!この条件をのまない奴はただの馬鹿だ!!!」
いやしかしここまで欲望に忠実だと逆に心配になってくるな。乗せるのは滅茶苦茶楽だけど手綱がすぐに外れそうですごく怖い。ちなみに盛り上がっているのは男子生徒だけで女子生徒5人は馬鹿を見る目で見ている。
「えぇ……いや、この条件ボク達に何のメリットもないよね……?」
「あ、あの、合コンも配下も嫌なんですけど……」
「(闇と炎の百合が見れるなら)代表、それはアリだ」
「アリサっちは黙ってよーねー。ところでよるっち、それってもう覆らないの?」
「安心しろ。下僕になるのは俺達男共だけだから。希望者は炎寮で犬小屋用意してくれるらしいぞ」
俺の言葉に女子生徒は全員安堵の溜息を吐き、ごく一部の男子生徒は鼻息を荒くしている。炎寮の下僕とは言ったが必ずしも女子生徒の下につくとは限らないと分かっているのだろうかこいつらは。分かってなさそうだな。まぁその方が万が一の時に生贄に捧げるのが楽だから勘違いの訂正はしないが。
「……………………」
「おい馬鹿代表、あれお前のせいだろ。何とかしろよ(ボソボソ)」
「嫌なんで俺なんだよ、俺なんも悪いことしてねぇだろ(ボソボソ)」
「あ”?なんか言いたいことあるなら直接言ってくれない?」
「ヒエッ……!?あ、あの、なんで鋭く睨んでいるのでしょうかリリィ様……?」
それより深刻なのはリリィの機嫌である。何故か分からないが物凄く機嫌が悪い。文句がある時は必ず真っ先に言い出すのに今は無言でこちらを睨んできている。無意識なのかその背の翅をブブブと震わせていて非常に怖い。たぶん誰も突っ込まないのはその怒気に触れたくないからだろう。俺も隣に立つテニアに肘で突かれてなければ触れなかった。聞こえないようにやり取りしてたら見咎めて物凄い低い声で脅してくる。すごく怖い。
「要するにアンタは、ここで勝っても負けてもどっちでもいいってことよねー」
「いや別に負けねぇけど。俺最強だし」
「ルグ先生にはボロ負けしてるだろ」
「うるせぇあのジジイは必ず下剋上してやる。今日の放課後にでも罠にはめてぶっ潰すんだよ」
早朝起きて6mの落とし穴を掘ってきた。あのジジイといえどその中に嵌れば一瞬の隙は出来るはず。そこを狙ってオバケやトットリと共に奇襲を仕掛けて一気に勝負を決めてみせる。
いや今はジジイの仕留め方よりもリリィの機嫌の直し方だ。こういう時ルーマ姉だったら適当に煽てておけば逆に機嫌がよくなるがリリィはそこまでチョロくはないだろう。
「つまり、女の子相手なら誰でもいいってことよね。不潔っ」
「いや女の子って言っても誰でもいいわけじゃないけど。リリィみたいなかわいい子じゃないとやだよ俺。そんでそんな女の子とか滅多にいないじゃん」
「」
リリィが頭を抱えて机に突っ伏してしまった。耳が赤くなっているように見えるが俺が悪いのだろうか。これは機嫌を治す為に本校敷地にあるカフェに行って美味しいスイーツをご馳走するべきだろうか。いやでもそれをやろうとしてるのがバレたらこの屑共が殺しにかかってくるのが目に見えてるからやるとするならこいつらの自滅を見届けてからじゃないと困る。
「お前本当に田舎出身なのかよ」
「マジで田舎出身だよ。同年代なんてだれ一人いなかったし」
「んじゃ聞き方変えるわ。お前村人に女に対してどう接しろって言われたんだよ」
「お前はとりあえず本音で話してれば嫌われることは少ないだろうからそれで行けって言われた」
「うん。納得した。お前は屑だ死ね裏切りもんゴア!?」
急にテニアが怒って殴りかかってきたのでカウンターで地面に沈めた後に関節技で絞める。気を失ったコイツはいざという時のデコイに使えるので大切にしよう。
「――――ちょい待ち。代表、聞きたいことがあるんやけどええか?」
未だにどんな女王様の下僕になりたいかで騒いでいた馬鹿共の中でほぼ唯一黙って考え事をしていたカンセイ弁の男、ケイル・クルルギが席を立つ。その目は俺を見定めようという意志が強く見える。一つでも答えを間違えれば俺を狩ると言いたげだ。
「なんだ、ケイル?俺は何一つ嘘はついていないぞ?」
「そんじゃ質問させてもらうわ。別に問題ないやろ、嘘吐いてないんなら」
「……言ってみろ」
ここで答えないという事は俺が言ってない事をこれ以上なく雄弁に語ることになる。静かにテニアの腕を掴みいつでも投げ飛ばせるようにしつつケイルの質問を待つ。
「代表、炎寮の代表との決闘に負けたら炎寮の下僕に闇寮男子生徒がなる。そうやな?」
「ああ、そうだな」
「その条件に闇寮の女子生徒は入ってない、あっとるよな?」
「……正しいな」
「ならもう一つ質問や。俺達の飼い主になるのは女子生徒か?」
「「「「「!!!!!!」」」」」
「……お前みたいな勘のいい闇寮男子は嫌いだよ」
その言葉に全員が悟ったのか鬼のような形相で飛び掛かってきた。チクショウが!!気付かなければ万が一の時の保険になったって言うのによぉ!!!余計なことに気付いてんじゃねぇぞ!!!
「テメェこの腐れ代表!!俺達をその気にさせておいて負けた時に捧げる生贄にするつもりだったなクソ野郎!!!」
「囲め囲め!!この屑野郎を生贄にして炎寮に許しを乞うんだ!!!」
「俺が突っ込む!!奴が俺を倒してる間に奴を捕まえろ!!!」
「お前の犠牲は無駄にはしな、おい待てなんで俺の腕を掴んでええええええええええ!?!?!」
「「ぶほっ!?」」
投げられたクラスメイトをこちらもテニアを投げることで迎撃する。空中で衝突したボケ共はそのまま地面に重なって倒れ伏した。チッ、これで俺の手元には
「テメェ同じクラスメイトをぶん投げて武器にするとかカスかよ!!!!」
「お前に言われたくねぇよ!!代表なのに仲間を平気で生贄にするクソ野郎じゃねぇかテメェはよぉ!!」
「うるせぇ!!クソジジイに媚うる為に俺の仕掛けた罠の場所を全部ばらしやがって!!二度とテメェらなんぞ信用するか黙って生贄になってろや!!!」
「報告したらその罠食い破る為に生贄にされたんだよ俺は!!」
「そうやそうや!!粘々の液なんて用意しおって!!動けなくなったんやぞワイは!!」
「クッソ臭い臭い袋の被害だってあったんだぞテメェ!!慰謝料払えや!!!」
「全部テメェらがばらさなければよかっただけの話だろうがボケ共がァ!!!!」
こいつらの密告によって俺の計画の一部がバレてクソジジイに逆に罠にかけられた。罠を作るのを報酬用意した上で手伝ってもらってこれだ。二度とコイツらボケ共を信用するものかとあの時決めたのだ俺は。
「もしも俺が負けたとしたらテメェらは炎寮のムキムキマッチョマンどもの下僕だざまぁみろ!!!俺は何故か危険視されてるからエンリ・ウリエラの下僕にされるけどな!!!マッチョマンに使われるよりは美少女の方が1億倍マシじゃあ!!!!」
「ふんッ!!!!」
「「「「「……あーあ」」」」」
俺が心からの言葉を放つと何故か後ろからリリィがハリセンで頭を叩いてきた。脳を揺らされてふらついている所を一気に倒され腕を掴まれ関節技に持ち込まれる。
「下僕になるのがそんなに嬉しいかアアアアアアアアアア!!!!!」
「あだだだだだだ!!!!ごめん、ごめんなさい!!!絶対勝つから許して!!!!!」
腕ひしぎ十字固めは本気で痛かった。でもほんの少し触れた胸の感触は一生の宝だと思いました。関節技って美少女にやられるとすごく嬉しいことになるのかもしれない。