田舎少年が行く学園青春狂騒曲 厄ネタを添えて 作:ビスマルク
おかしいなぁ……。馬鹿共はただのスパイスだったはずなのになぁ……。
既に説明した通り『ノウブル魔法学園』は七つの魔法属性と同じように七つの寮に別れている。ぶっちゃけ各寮で一つの学校みたいなもんだ。自分達以外の寮は他校のように距離が遠い。
それぞれの寮には敷地があり、その中に他寮の生徒が入ろうとすれば必ず書類申請が必要となる。この書類申請をせずに入ったことがバレた場合その生徒はペナルティを受けることになる。闇寮生徒でさえそのペナルティを避ける為に面倒な書類申請をすると言えばどれほど重いか分かるだろう、
なおモンスターが跋扈するほぼ全てがワイルドゾーンな我らが闇寮に入りこもうとする無謀な奴はいないらしい。そもそも存在自体を認識したくないというのが他寮からの評価だそうだ。一体俺達の先輩方は何をしてくれたのだろうか。他のクズなクラスメイトならともかく善良な一生徒である俺やリリィ達女子生徒が苦労してしまうだろう。
さて、話を戻すが他寮の敷地に行くには申請が必要だが、一々そんなものを提出していては交流などする方が面倒になることが多々あるだろう。だからこそ他の寮と交流する場として全体の寮の中心部に「本校敷地」が存在する。7つの寮の特色を全てぶち込んで7で割ったようなその場所は田舎者である俺にとってはよく分からない店などが多かった。カフェ、というのもその一つだ。
「というわけで闇寮代表の付添人のテニア・ラニアックだ。よろしく頼むぜ炎寮さんよぉ」
「や、闇寮代表、ヨル・イザナギ、だ……!!クソが、アイツら集団戦法で襲い掛かってきやがって……!!全員返り討ちにしたが、傷が深いぞ……!!!」
汚れ一つないテニアに対して俺はボロ雑巾のようになりながら地面を這いずり回る。この屑は俺に対して手を貸そうともせずに炎寮の生徒ばかりを見ている。
「は、初めまして……。私は、炎寮代表付添人の、フレイ・アルザード、です……」
ムカつくが、だがしかしその気持ちは分かってしまう。なにせこう、ビッグだ。我が闇寮の女子生徒はみんな美少女だがどこがとは言えないが小さいのだ。こう、色んな所が。
それに比べて目の前の少女は少女というには完成されていた。ボン・キュ・ボンの完成形というべきか。身長もまた俺より高く、190cmくらいありそうだ。だがしかしここで胸や尻に目を向け続けるというのは問題である。紳士にあるまじき行為をするべきではない。というか続けてたら女子達の評価が最低にまで堕ちかねない。よって取るべき行為は一つ。
「「ふんッ!!!」」
「ヒェッ!?な、何故二人して自分に目つぶしを……!??」
「「お気になさらず」」
どうやらテニアも俺と同じ選択をしたらしい。そう、ここで欲望に従って見てしまうよりも少しでも好印象を残すことで今後に繋げることが要。一時の欲よりも未来の愛を取るべきなのだ。なんと完璧な論調だろう。
「ど、どうしようエンリちゃん……!!この人達頭おかしいよ……!!!」
おかしい、紳士的行動ではなくキチガイ所以の行動だと思われている。馬鹿な、女体を舐め回すように見るよりも目を潰すことによる誠意の方が引かれるというのか!?
「落ち着きなさいフレイ。そんなの闇寮の情報を集めれば自然と分かってたことでしょ」
「で、でも……、や、やっぱりやめた方がいいよエンリちゃん。何されるかわかんないよっ!食べられちゃうかもしれないよっ!!」
「大丈夫よ。それともあなたはアタシが負けるとでも思っているの?」
「ううん、そんなことない。エンリちゃんの事、ずっと見てきたからわかるもん。エンリちゃん、最強だもん」
「ふふ、ええその通りよ。だからどっしり構えてなさい」
どんな情報を集めたのだろうか。あと俺達を一体何だと思っているのか。人食いをするような蛮族ではないのだ。屑のクラスメイト達ならばともかく少なくても俺は言葉を尽くして美少女とお近づきになりたいごく普通の学生だ。いやまぁ別の意味で食べたいというのはあるけどそれは未来での話であって今は違う。
だけどしまったな。濃厚な百合成分を感じるのに目が見えないせいで声でしか判断できない。エンリ、と呼ばれた少女の方は声が幼い感じがするというかロリ声というか。俺よりも年下の声に感じる。
「今だけでいい、俺の回復力よ、今すぐ俺の目を治せ……!!」
テニアの後悔の声が俺の耳をうつ。その気持ちは非常に分かる。確かにこんな素晴らしいものを見られる機会は早々巡っては来ない。だが、やはりお前はその程度なのだ。俺は違う、俺はこんな時のことまで考えて行動しているのだ。
「来いオバケ、“
影からオバケが出てきて俺の膝に乗る。そしてオバケの視界を俺の目と同調させることで俺はオバケが見ている世界を見ることが出来る。闇属性の特性の一つである付与を使えばこれくらい出来るのだ!!
そしてその瞬間俺の脳内に流れ込んでくる、存在しない未来。
『燃えろ!!燃えろ!!アハハハハハハハハッ!!!!いいわ、全部全部燃えて燃えて燃え尽きなさい!!!!』
そこにいるのは真紅の髪を持つ少女の姿。身の丈を超える大きさの炎の意匠が刻まれた大斧を構え周囲の生物も無機物も構わず両断し全てを燃やし尽くす。
『なんで、エンリちゃん……。なんで、こんなこと……』
『決まってるでしょフレイ。みんなを守る為よ。魔族に攫われればこの程度じゃすまない。死後の安寧すらも侵される。だからアタシが全部殺して燃やし尽くすのよ。痛みも、苦しみも感じる前に全て神のもとに送ってあげる』
『エンリ、ちゃん』
『さようならフレイ。貴女がまた生まれ変わる時の為に、私が全部燃やしておいてあげる。魔族も何もかも。まっさらな灰の大地でまた会いましょう』
そう言って目の前の幼馴染であり親友である少女を斬り、彼女はそれ以前よりもはるかに速い速度で活動を進める。全てを燃やし魂をあの世に送る。それはあの蠅の少女に会うまで続く。
『寄こせ寄こせ寄こせェ!!!!全部全部全部ッ!!!私の食べるものだ!!!私が得るものだ!!!お前が奪うな、私の空腹を満たさせろォ!!!!!』
『魔族の血が覚醒したのね。ええ、いいわ。たっぷり味合わせてあげる。アタシの炎の味をたっぷりとねぇ!!!!!!』
互いに世界を敵に回す怪物。頭を抉られてもそこから炎が吹き出しすぐに元の姿に戻る紅蓮の少女と、炎を喰らう度にその特性を得て自身に付与することで不死性を再現する蠅の少女。二人の殺し合いは周囲全てを更地にした上で蠅の少女の勝利で終わった。それでもその傷は深く、それを癒す為に肉を求めて倒れ伏した紅蓮の少女に近づく。
『ま、だ……。アタシ、は……ぜんぶ、ぜんぶ、燃やして、まっさらに……』
蠅の少女の口が近付き紅蓮の少女を喰らおうとする。その特性を手に入れて更なる不死性を手に入れ永遠に世界を喰らいつくす為に。だがその前に真紅の髪から燃えて全てが灰になっていく。
『ごめん、ごめんね、フレイ。ごめんね、みんな』
どういう意味の謝罪なのか。目的を最後まで達成できなかった事なのか。それともこの狂気を侵した深い理由も説明せずに殺し続けた事なのか。誰にも分からず彼女は灰となり最後は死体すらも残らずに風に流されて消えていった。
「とんでもないもんを見せんじゃねぇ!!!!!」
闇神改め邪神の加護という名の呪いは直に見なくてもオバケの視界経由でも分かんのかよ!!!最悪だよこれ、なんで直に見たこともない美少女の最悪な終わり方見なきゃいけないんだよ何の呪いだよクソ馬鹿野郎!!!!
俺に襲い掛かるあまりの理不尽に叫ぶ。魔力も噴出したようで強化された回復力で視力も回復した。そして俺の目の前にいるのはこめかみに血管を浮き上がらせるロリ美少女だった。
「初対面の相手に、よくもまぁそんな口を利けるもんね……!!」
口元は弧を描いて笑みの形になっているが俺には分かる。これ間違いなくブチギレてる奴だ……!!
「フレイのどこと見比べて、とんでもないもんって言ったのかしら。ええ、後学の為に聞かせてくれないかしら?」
口調はすぐに穏やかになるも雰囲気と身体から出てる魔力が伝えてくる「私キレてますよ」感。その視線は自分の胸元に向けられている。うん、リリィと違って僅かなふくらみすらもない綺麗なほど薄っぺらな壁のような胸である。
「ぶっ殺すぞ」
俺の視線に気づいたのか物騒すぎるワードが物騒すぎる表情から繰り出される。本気の殺意ですごく怖い。これも何もかもあの邪神の呪いのせいなんですと言えればどれだけいいだろうか。でも絶対言い訳としか思われないから言えない。
あの邪神やっぱ一発くらいぶん殴りてぇよ!!!!!!
お気に入り&評価よろしくお願いいたします。
してくれたらお礼にヨル君が脱ぎますから。