吸血系女子姫宮レンカは今日も今日とてバカ可愛い! 作:あるふぁせんとーり
9月1日、私立滝夜女学院。
1限の始業式も終えてはや放課後、溜まっていた資料にも目を通し終えた生徒会長、
彼女は他の役員を帰した後、お茶でも淹れようかと席を立っ「頼むわよ!!!!」「たのもー!!!!」
「!? !!? え、誰!!?」
「お邪魔します、会長」
「いやミハネ!!? 何しに来たの!!?」
唐突に勢い良く開けられたスライドドア。
指をすり抜けた空の紙コップがカコーンと景気の良い音を立てる中、そこに姿を現した三人組。
冷静に思い出してみると彼女含め、学年は皆同じ二年生。
1人は抜群の顔と運動神経で評判の金髪美少女、1人は今日転校してきたらしい人形みたいな白ギャル、そして態度不良で有名な御令嬢。
ミハネとはたまに話したりする中だが、レンカはマンモス校ということもあり同学年でもそれほど面識はない相手だった。
「ええっと……なんの御用、かしら?」
「いえ、ふと面白いことを思い出して。私、人間と話すのが苦手なんですよ」
「あらら、そういえば、そんなことも話してくれたかしら」
「はい。もう一度言いますね。『人間』と話すのが苦手なんです」
「……何が、言いたいの?」
「会長、人間じゃないよね」
「なっ……」
「そう言えば会長、いっつもそのベレー帽被ってるよね」
「ななっ……」
「誰にも着替え見せたことないよね」
「ぎくっ……」
「全部口に出てるわよ会長」
もう隠すことは不可能だった。
自分でも自覚できるほどに表情豊かで、そして聡明なハルナは、自らの表情筋がそれを隠し切れるような仕事をしていないことを理解していた。
彼女がおずおずとベレー帽を外すと、ふわふわの毛を纏った亜麻色の耳がぴょこっと跳ねた。
スカートの中から現れた長い尾が不安げに脚に巻き付いた。
「……ええ、そうなの。私……人狼なの」
「人狼……え、人狼ってあの!? え、私食べられるの!? 嫌よそんなの!!」
「そうじゃん!! 人狼って、あの人狼ゲームのやつじゃん!! 食べられたくないよー!!」
「食べないわよ、そんなフィクションじゃあるまいし……、……でも、知られてしまったからにはどうしようかしら……」
「ほらレンカ!! 食べる時に言うやつ言ってる!!」
「……本当に、どうしようかしら……」
「いやビビってるだけねあれ……?」
「ちなみにレンカは吸血鬼で、イヅモはフランケンシュタインです」
「ねえそっちも化け物じゃない!!?」
まるでミーム画像のように互いを指し合う怪物三人衆……人?
怪物三頭衆。
ヴァンパイア、フランケンシュタイン、人狼と丁度三種揃い踏み。
そして更にその数分後。
「あらあら、二人ったら……♡ んっ、ぁぅ……っ♡」
「ミハネ! すごいわ会長! めちゃくちゃもふもふしてる!」
「うわ耳ヤバ! クッションとかにしたら天下取れるよこれ!」
ハルナは、二人の手によって飼い犬のように弄ばれていた。