こんにちは、今日は珍しく、真面目に記事を作っています。魔法少女と魔法少女の戦闘という物騒な記事を。
紺色の長い髪の、ポールアックスを使う魔法少女と。黒髪ショートの斧にも似た爪を扱う魔法少女の戦闘。グリーフシードが目的なんでしょうかね、茜色すら見えなくなって、日没後のいざこざを、なるべく詳細にノートに書き記す。
「ね、ねぇ!」
「!っと、はい?どうかしましたか?」
「なに、してるの?っていうか、警察に!」
「必要はないですよ、というより、彼女達の戦いに警察は役に立ちません。ですから、警察を呼ばないでください。あと、貴方の叫び声であそこのお二人に、存在がバレました」
ツインテールの少女に後ろから声をかけられるので、説明をしたのだが、声をかけるときの声量が強く。戦っていた二人にバレてしまった。
「晶?!」
「…隙あり!」
「…っ!」
「存在証明《楽園の素敵な巫女》」
《主に空を飛ぶ程度の能力》証明完了
「霊符〈二重結界〉目ざといですね、貴女」
ポールアックスを使っていた魔法少女がこちらを見て、おそらくツインテールの少女の名前を叫ぶ。その隙を、黒髪ショートの魔法少女が突いて、攻撃が入りそうになるので結界を張って受け止める。
「アンタ何者?」
「僕の名前は掟上現。昨日もなければ、明日もない。魔法少女を知る忘却記者。貴方を助けられて良かったですよ。存在証明《神隠しの主犯》」
《境界を操る程度の能力》証明完了
質問に対して、端的に答える。
「それでは、忘れてください。不在証明《忘却記者》」
《謗滉ク顔樟》証明完了
一度スキマで姿を隠してから、逆さまに相手の目の前で猫騙しをする為に上半身を出す。猫騙しを喰らって目をつぶったと同時に、黒髪ショートの魔法少女に、僕という、忘却記者の認知を消し去る。
そのまま、スキマに退避して、ポールアックスを使う魔法少女とツインテールの少女をスキマで回収して。その場をあとにする。
「……それでは、改めまして、忘却記者の掟上現です」
「浅古小巻、さっきは助けてくれてありがとう」
「あさここまき、さん。苗字が浅い古さなのは分かりますが、下の名前の漢字は?」
「小さく巻くで、小巻だけど?」
「浅古小巻さんですね、よろしくお願いします。そしてそちらは?魔法少女について知らないようですが?」
「
「なめかた、
「結晶の晶です」
「なるほど、覚えました。貴女も、よろしくお願いします、と言いたいんですが、あなたの場合はどうしましょうか、」
自己紹介を終えて、魔法少女ではない、魔法少女を知らない行方晶さんの処遇を考える。
「あまり、魔法少女の問題を認知するのは問題なんですがね。僕もあまり関わるようなことはしないように心がけていますし」
「忘却記者だっけ?それってつまり…」
「はい、消せますよ、記憶を」
「なら、頼む」
「わかりました」
浅古さんは、行方さんを巻き込むつもりがないようなので、その言葉に頷く。僕は、普通の人間よりも、魔法少女を優先する人間ですので。
「不在証明《魔法少女》。さて、魔法に耐性がない一般人ですので、今のうちに彼女を家に運びましょう」
「分かった」
行方さんを家に送り届けて、浅古さんと話す。
「寝ると記憶がリセットされる、ねぇ」
「はい、ですので現在迷っていることがあります、」
「ん?何が?」
「貴女の記憶を消すべきなのかという話です」
「はぁ?」
「僕の忘却魔法は、不在証明という存在の否定が元ですからね、このまま寝てしまえば、矛盾が生じます。しかし、貴女と、貴女が戦っていた魔法少女との戦闘に割って入った事実が消えるので、貴女が死んでいる可能性もあります。タラレバですがね」
あくまでこれは仮説だ。正しいとは限らないし、助けにはいらなくて死んでいたとしても、生きているのだからそれに辻褄を合わせようとするかもしれない。そんなことは誰にも分かりはしない。
「……ですがこのままでは補導されてしまう可能性もありますからね、一旦家に帰って考えましょう、貴女が通う学校は何ですか?」
「白羽女学院だけれど」
「女学院ですか、なら何とかなりそうですね。ではまた明日。僕にとっては数時間後の今日に」
どうやら、裏技を使うことになりそうである。