「ルカリオ!しんそくで攪乱しろ!」
二人のメガ進化したルカリオと違って、俺のルカリオは普通の状態。持たせている道具も格闘タイプの技の威力が上がるくろおびだ。加えてルカリオという種族自体、スピード特化で耐久力は平凡。はがね・格闘タイプだから相性不利になる事が少ないだけで弱点を突かれれば簡単に倒れてしまう。
(だからここはしんそくで攻撃を避けつつ二人の援護にまわる!そうすれば素早さ特化のコルニのルカリオが!)
「・・今よルカリオ!はどうだん!」
「グルアアアァァァ!」
「ッ!?」
ルカリオ達に雨の如く光弾を降らせて攻撃を続けていたダークライは気づくのが遅れてしまった。目の前で避け続けていた3匹の内の1匹が、いつの間にか自身の真横にまで迫っていた事を。そして気づいた時には手遅れ、顔面に格闘タイプのはどうだんをモロに受け、一瞬意識が飛びかける。
「よし怯んだ!AZさ・・」
「ルカリオ、インファイト!」
俺が合図するまでもなく既にAZさんのルカリオはダークライの真下に移動しインファイトを叩きこんでいた。これには思わず賞賛の声が漏れた。
「やるじゃないですか!」
「後ろで君達の活躍を見続けてきた甲斐があったものだ。」
そのまま2匹はインファイトとはどうだんを打ち続けるが、ダークライもすぐに体勢を立て直して全体攻撃の準備に入る・・そこを俺のルカリオが叩く!
「ルカリオ!しんそく!」
「ガルルルッ!」
技プラスを使っても2匹に比べれば大した事ない一撃、しかしそれはダークライの集中を切らして全体攻撃を止めさせるには十分だった。当然、行動を邪魔されたダークライは俺の方へ怒りの籠った眼差しを向ける。
俺は気にせず二人に叫んだ。
「みんな!このコンビネーションでいく!多少役割が変わる事もあるかもしれないけど・・」
「大丈夫!私達ならやれるよ!」
「君達に不可能などない!」
そして降り注ぐ光弾と黒弾の雨。俺達は再び攻撃を避けながら懐に飛び込むスキを伺う。そんな中コルニがある事に気づく。
「くっ・・私のルカリオを露骨に警戒してるね。」
先程不意を突いたコルニのルカリオの周り・・俺達の周りに比べて明らかに弾幕の雨が集中していた。
(それは逆に、俺とAZさんにそこまで注意を払っていないという事!だったらここは俺が・・)
そう思い立ち俺のルカリオの周りを見る・・思った通り俺のルカリオの周りはコルニのルカリオの周りよりは弾幕が薄い。だが俺のルカリオはメガ進化していない。コルニの方より薄いとはいえ、弾幕の間を縫って一発叩き込める程の余裕は俺のルカリオには無い。
そんな俺の代わりにと言わんばかりにAZさんが前に出る。
「ルカリオ!しんそくからのインファイト!」
「ガルルルラァ!!」
「ッ!?」
AZさんのルカリオが再びインファイトを決めた。そして一瞬ダークライは怯み・・
「ルカリオ!はどうだん!」
「グルルルァ!」
怯んだところにコルニのルカリオがはどうだんをぶち込んだ。
しかしその連携は先程ダークライに見せてしまっている。仲間が一人打ち込んだら他の仲間が次々に技を叩きこむ。それを見越してダークライははどうだんをモロに受けながらも・・コルニに向かって光弾を打ち込んだ!攻撃に集中していたコルニは避けられない!
「なっ!?きゃぁ!!」
コルニが悲鳴をあげて光弾が彼女の周辺で爆発を繰り返す。確実に当たったと思ったダークライだったが・・爆発が終わっても倒れているコルニが見当たらない。
その事実に驚いたダークライはキョロキョロして周囲を確認しすぐに気づく。俺のルカリオがコルニを抱えている事に。
(俺がルカリオにしんそくを指示して間一髪でコルニを助けたのさ!)
そしてダークライがコルニに攻撃を仕掛けてから今に至るまで十数秒、その間もインファイトとはどうだんの連撃をずっと受け続けていたダークライはもう体力が限界に近いはず。
あと少しで倒せる・・そう思った矢先、ダークライが空に浮遊した。その行動にルカリオから降りたコルニが警戒する。
「まさか逃げる気!?」
「いや、彼の周りにはまだエネルギーが渦を巻いている。おそらくは・・最後の攻撃を仕掛けるつもりだな。」
AZさんの予想は当たった。ダークライは月を背にしてこちらを向き・・その瞳の先に超巨大な光弾を作り始めた。それに驚くコルニ。
「嘘でしょ!?はどうだんみたいにエネルギーを一つの塊にして打ち出す気!?」
「でもこれはチャンスでもあるぜ!アレさえ打ち消せばダークライのエネルギーはゼロになって落ちてくるはず!そのあとは俺達のモンスターボールで捕獲する事が出来るはずだ!」
「二人共!3匹のルカリオの力を合わせる!」
そう言うとAZさんはルカリオにはどうだんを作らせ始めた。ただし、通常の両手に込めて打ち出すやり方ではなく、目の前に手を突き出すやり方で。
そんなルカリオを見て理解した。AZさんが俺達に何をして欲しいのかを。
「分かりました!よしルカリオ!AZさんのルカリオと一緒にはどうだんを練り上げろ!ダークライの光弾を真正面から打ち消すぞ!」
言い終わる前に俺のルカリオもコルニのルカリオもAZさんのルカリオの横に立ってはどうだんを練り上げ始める。たぶん俺が理解するよりもずっと早く、自分が何をするべきか気づいていたんだろう。
3匹の波動が一つになってどんどん大きくなっていく・・その美しいエネルギーの集約に、俺やコルニは戦闘中にも関わらずウットリしてしまった。
「すごいきれいね。」
「ああ・・・っ!?おいおいマジか!」
すぐにダークライの事を思い出して顔を向ければ、ダークライは既にエネルギーのほとんどを光弾に込め終えていた。打ち出されるまで20秒もない!
「どうしようキョウヤ!?」
「どうするって・・よし!ルカリオ達の後ろに!」
急いでルカリオ達の背後に移動した。これなら光弾の押し合いになった際に、ルカリオ達を後ろから押して光弾を弾き返す手助けが出来るはずだ。
「これでよし!あとは・・」
「・・二人共、この言葉を復唱してくれ。」
「「えっ?」」
復唱する?どういう意味か聞き返す前に・・
「ッ!!」
ダークライが光弾を発射した。
「来た!コルニ!AZさん!」
(今は光弾に意識を集中しないと!)
光弾はルカリオ達の作ったはどうだんに斜め上から激突!そのまま俺達ごと押し潰す勢いで迫って来るが、当然ルカリオ達もはどうだんを押して弾こうとするし、俺達もそんなルカリオ達を後ろから必死に支えた!でも押し返せない!はどうだんの大きさが足りないんだ!
「ぐうぅ!た、耐えてルカリオ!なんとかしてはどうだんを大きく・・」
「ぐぅ!む、無理だコルニ・・全力で動き続けてルカリオ達も俺達も限界だ・・ぐ!この状態でルカリオ達がはどうだんを大きくするには、誰かがルカリオ達に代わってはどうだんを押し続けるしかない!」
「そんなっ!?不可能だよ!」
「だからこのまま押し続けて・・」
・・続けたところで押し負ける。そんな事は自分でも分かっている。でも他に方法は・・
「・・・波動は、我にあり。」
「え?」
AZさんの声が響く。小声で呟いただけなのに、その言葉は何故か心に響いた。
するとAZさんの手からルカリオの背中を伝って青いエネルギー・・のようなものがはどうだんに流れ、僅かだがはどうだんが大きくなり始めた。
「なっ!?AZさん今のは!?」
「復唱するのだ。波動は我にありと!」
(・・どういう原理か分からないけど、ルカリオにエネルギーを流す事をイメージすればいいのか?)
「・・波動は!我にあり!!」
「私も!波動は我にあり!!」
俺とコルニも高らかに叫ぶ!すると身体から何か気力のようなものが抜け出てルカリオ達に伝っていくのを感じ取れた。
そして同時に死も感じた。自分のエネルギー・・というより魂を千切って渡しているような、おぞましい感覚。
(これは・・やり過ぎると死ぬ!)
勝機と死を同時に見出した俺はたぶん顔が真っ青になっていた。無性に不安になってコルニの方を見れば、彼女も顔を青くしていた。
「安心しなさい、君達が参加するのは途中までだ。はどうだんが光弾と同じくらいまで大きく成長したら、あとは私とフラエッテが命を賭してでも。」
「そんな!?AZさんは今幽霊みたいなものなんでしょ!そんな状態で命を落としたら・・消滅しちゃうかもしれないじゃない!」
「例えそうなるとしても!私は君達を守らなければならない!私はタワーの対処を全て君達に任せて死んでしまったのだ。その上ダークライの暴走まで任せてしまい・・このままでは死んでも死にきれないのだ!分かってくれ!」
AZさんの覚悟に比例するかのように、はどうだんはAZさんのエネルギーを吸ってどんどん大きくなっていく。俺達も出来るだけエネルギーを渡してAZさんの負担を減らそうとするが、死への恐怖がブレーキになっているのか全力を出せないでいた。
それでもはどうだんはグングンと成長していき、あっという間に光弾と同じ大きさにまで成長した。それを見て安堵するルカリオ達・・よく見れば彼らの脚は疲労でガクガクと震えていた。つまり、少しでも波動を渡すのが遅れていれば、俺達は吹っ飛んで負けていただろう事が容易に窺えたのだ。
「・・最後の仕上げだ、二人共離れてくれ。これから一瞬で波動を大量に流し込み、はどうだんを一回り大きくして光弾を打ち消しつつダークライにぶつける。」
「そんな事したらアンタは!」
「良いのだ、君達が安全に渡せる波動の量は残り僅か。なら私一人が消滅の覚悟を持って波動を渡す・・犠牲を最小限にするにはもうそれしかない。」
・・確かにAZさんの言う通りだ。ここで俺達も波動を渡して三人共死んでしまう可能性よりかはAZさん一人が犠牲になってでもダークライを倒す方が戦略上では正しい。でもそんなの・・
「そんなのタウニーが許すはずがない!」
「・・波動は我にあり!」
唐突に誰かが俺の横についてルカリオ達に波動を送り始めた!その誰かとは・・
「「タウニー!?」」
「目覚めたのか!?」
「やろうみんな!四人でダークライを助けるんだし!」
その言葉で思い出す。そうだ・・俺達はダークライを助けに来たんだ!
勝ち負けよりも救う事を優先したタウニーに改めて感銘を受けた俺達は、思いを一つに叫ぶ!
「「「「波動は我にあり!」」」」
4人の波動が一つになってはどうだんを大きくし、せめぎ合っていた光弾を押し返し始める。
それを見たダークライが穏やかな表情で目を閉じた。
「「「「ルカリオ!はどうだん!!」」」」
4人の号令ではどうだんは放たれた。美しい青色の輝きが遂に光弾を掻き消してダークライの元へと向かい衝突。一瞬エネルギーが収縮したかと思うと、真っ白な光を放ちながら大爆発!爆煙が空を包む中、通常状態に戻ったダークライが落下して地面に激突。気絶しているようだ。それを見たタウニーが俺に言った。
「ほらキョウヤ!ボール!」
「え?・・うん!いけっ!」
俺は言われるがままにモンスターボールを取り出して投げた。ボールはダークライに当たってカウントに入る。
1・・2・・3・・カチッ!
俺はダークライをゲットした。
・・・戦いは終わった。