桜竜になってしまった   作:黒プー

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改めて色々調べているとゲーム本編以前の情報が少なすぎる...!
割と考察とか妄想交じりな部分がありますのでいろいろとご了承ください。


2話

釈迦さんに吹き飛ばされてたどり着いたのは、移動する前に住んでいた雲の上っぽい場所だった。下を覗いてみると、陸地はあったけど海に囲まれていて前よりも小さい場所だった。

小さいだけじゃない、人間も全然住んでなかった。でもそれでいいと思う、もう正直人間とはあんまりかかわりたい気分じゃない。このぺこぺこ生物たちと一緒に暮らせればそれでいい。こいつら笛がすごいうまいから飽きないし。

そんな風に過ごし始めて、また若干さみしさが勝ち始めてきたころ。何と人間たちが山を登って雲の上までやってくるようになった。

まあ来ても一人二人くらいだけれど、それでもかなり驚いた。だってここ雲の上だぞ?人間が来るような場所じゃないぞ?

めちゃくちゃ驚いたし、久しぶりに話せる人間が来てくれたからすごくうれしくなって、こいつらにも長生きしてほしくなってつい血を分けて送り返しちゃった。

......一人二人だからいいよね?釈迦さんにもばれないよね?

 

そいつらが無事に戻れたのか気になって下を覗いてみたら、なんか山の頂上らへんにでかい街を立てていた。というかよく見たら姿が魚っぽくなってた。やばい、あれは明らかに私の渡した血のせいだ。しかもなんかあいつら私の血を水に混ぜてやがる。マジで何やってるんだ。慌てて周りを見渡して釈迦さんが来てないか確認する。

...よかった、大丈夫そう。あんな全身ピカピカの人にぶん殴られたらいくら私でも死んじゃう。

と、とにかく山頂でやらかしまくってるやつらを止めなきゃ。

...でもこのまま止めに行っちゃったらほとんどマッチポンプになるんじゃないか?調子に乗って血を渡してしまったのは私だし。

...待て、なら私じゃなければいいんじゃないか?私じゃない私を作ればいい!

というわけでいい感じの人間を端末として作る。

いい感じに神聖に、見るやつが見れば私だってわかるように竜の要素も混ぜて...できた!いい感じ!

遠隔操作する感じでその端末を雲の下に向かわせる。

...宗教でよく神の代理人とか人間体の神とか出てくるけどそいつら出てくる理由って私みたいに神本体がそんな簡単に動けないからなのかもしれない。また一つ神話に説得力が出た気がする。

 

 

そこに行けば永遠の命を得られるといううわさが流れる場所がある。源の宮と呼ばれる、はるか昔から存在する都だ。その都はこの地でも特に高い山、雲すら突き抜けるような高さの山の頂上に、雲に隠れて存在しているという。

水生村の村人たちの間でも、その噂はよく囁かれているものだった。そして今日、その噂は本当だったと証明された。

水生村にはとある仲睦まじい家族がいた。父は神社の神主であり、体が大きく力持ち。その子である姉妹は、どちらも器量がよく見目麗しい。母は早くに亡くなってしまい、3人で水生村の神社で暮らしていた。

そんなある日、神社よりも奥、村のすぐ隣にそびえたつ山につながる洞窟から、巨大な地響きが起きた。

何か大きなものが現れたような、そんな音だ。

そしてその洞窟の中から、京の貴族服を身に着けた、まるで魚のような見た目の人々が村までやってきたのである。

 

「我ラ、源ノ都ヨリ参リシ、貴人デアル。コノ村ニ住ム、アル家族ヲ、迎エニ参ッタ。」

 

彼らが言うには、源の宮は今人足が足りず、そのため長い間この地を守る神を信仰する信心深い者たちを下の村から集めているという。家族はその人足に選ばれたのだという。そして、人足として集められた彼らには見返りに永遠の命が与えられると彼らは言った。

 

「神に永遠に仕えられるなど、実に名誉なことではないか。」

 

村でも随一の信者であったその家族は、貴族たちにつれられるがまま、源の宮へ向かうことになった。

だが、そこで待っていた現実は、彼らの想像していたものとは違った。

まず父は奇妙な水を飲まされ、姉妹の目の前で貴人たちのような怪物に変貌した。

そして姉妹は、源の宮に住む巨大な鯉のエサとして、鯉の世話役を任せられた父の手で源の宮の川に投げられることになった。

姉妹は必死に抵抗した、父に何度も声をかけた。しかし父はまるで言葉が通じないかのようにうわのそらで、その巨大な体躯を持って姉妹を放り投げんとした。

そしていざ投げられようというその時だった。

 

「何をしている?」

 

そこには、美しい人がいた。

見たこともない、まるで光り輝くかのような顔立ち。

京の貴族たちさえ着ていない、純白の狩衣。

只人ではないことを示すかのように左右に揺れる長い竜の尾。

そして、どこからか香り、舞い散る桜の花。

そんな人が、そこに立っていた。

貴人たちが、それを守る武者たちが、そして、変わってしまった父親が、自然とひれ伏す。

その場に立っていたのは姉妹とその人だけだった。

うわごとのように何かをつぶやく貴人に、その人は言った。

 

「目を離しているうちにここもずいぶん変わったようだ。荘厳華麗な建物は並び、日夜宴会は開かれる。私に何をささげるでもなく、ただ君たちが享楽にふけるためだけに様々なことが行われているようだね。」

「ハッ...」

「別にそこに怒っているわけじゃない。私は人とかかわるべきではない、君たちが好きにやるだけなら止めはしないよ。君たちだけならね。」

 

その人は私たちに近づき、守るように尾を絡め、それから言った。

 

「この子達はなぜここにいる?この子達で何をしようとした?そして、この子たちの父に何をした?だから...何をしていると聞いたんだ。」

「ワ、我ラは、タダ、貴方様ニ生贄ヲト...」

「私がいつ贄を望んだ?そもそも私は君たちとまともに話したことすらないだろうに。」

 

奇妙な重圧があたりに広がり、貴族たちを地に縛り付ける。その重圧に言葉すら発することができなくなった彼らは、そのまま地に伏せ続けることしかできなかった。

 

「私はただの旗印じゃない。祭り上げるのは勝手だが、乱暴に振り回すなら旗を借すことはできないよ。」

 

その一言とともに、天から雷が貴人に向けて落ちる。その雷は一撃で貴人を焼き、あたりには肉が焦げるにおいが漂い始める。

焦げた死体を眺めながら、その人は周りの貴人、そして武者に言う。

 

「次はないよ。」

 

次は一人では済まさない。

言外の言葉が聞こえたのか、貴人と武者たちはその場を慌てて立ち去って行った。

残されたのは姉妹と、変わり果ててしまった父親だけだった。

その人は姉妹のほうを向き、そして言った。

 

「無事かな。...いや、無事とは言えない、よね。ごめんね、私がもっとよく見ていればよかったんだけれど。」

 

そう言って頭を下げるその人に、姉妹は頭を上げるように言う。

父は変わってしまったが、自分たちが無事なのはその人のおかげだったからだ。

 

「そう言ってもらえるとありがたいよ。......これから君たちは何を望む?帰りたければ送り返すし、ほしいものがあるならばあげる。...最も、私ができる範囲でだけれど。」

 

その人の言葉に、姉妹は顔を見合わせ、頷く。

彼女たちの願いは、源の宮でその人に仕えることだった。

 

「...その程度であれば構わないけれど、本当に帰らなくていいの?」

 

その人はそう聞いたが、彼女たちに帰る気はなかった。なぜなら変わってしまった父を置いていくことになるからだ。

父を置いていくことはできない、それに恩返しもしたい。なら、ここに残ればいい。

そう姉妹がいうと、その人は少し笑ってから言った。

 

「なら、好きにするといい。」

 

こうして姉妹は、その人に使えることになった。

自分は人と関わるべきではない、そういったその人は、けれど姉妹の言葉を聞いて、どこか満たされたような顔をしていた。

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